自分は物心ついた時から村の男達と狩りに出かけ、剣を振るい…
バルハラのシフは女より前に戦士であり、自分も女という性を自覚したことが無かった。
年頃になり男の腕に抱かれ、家に入るという村では当たり前の事さえも考えつかなかった。
『少々大柄に生まれてしまったがせっかくの村1番の美人なのに…』
『剣とは結婚できないぜ。早くしないと嫁の貰い手がないぞ。』
『好きな人はいないの?宿屋の息子のガラはあんたの事が好きみたいよ。』
なんで皆に口々にそのような事を言われるのかが分からなかった。美人?結婚?好きな人?
考えた事もない。自分は女として着飾り、恋をし、結婚をして男の腕に抱かれるべきなのか…
それはどういう事なのか…
どういうことなのか…こういうことだったのか?
違う…シフはハッとするように青い瞳を見開くと、上から馬乗りになる青年の体を突き飛ばそうとした。だが、いつの間にか屈強になっていた青年の体はぴくりともしない。
「やめろ…やめるんだ!」
たまらずシフは叫ぶ。生まれて始めての味わった事のない恐怖に引きつらせながら。今まで散々もう駄目だと死を覚悟した事もあった。恐怖も味わった。だが、こんな恐怖は始めてであった。
「怯えるあなたの顔は始めて見るけど…想像通り綺麗ですね。…ねえ何をそんなに怯えてるんです?別に生娘でもあるまいし。」
外観と比例する優しげな声色の青年…アルベルトはその表情を変えないままシフの肢体を抑え付けながらつぶやく。
「……」
シフは何も答えずに鮮やかな朱色の口唇を噛みしめる。今のこの状況は…まさに男に手込めにされるという状況であろう。村1番の戦士であったシフを手込めにしようという男など今まではおらず、その始めての恐怖、体を諦めなくてはならないという恐怖にシフは肩を震わせた。
「凄い振るえている…こっちまで振動が伝わるほどですよ。」
薄く笑ったアルベルトはからかうように、シフの黒いアンダーウェアをたくしあげた。ブルン…と音を立てながら豊満な白い胸が露になると同時に、アルベルトは賞賛を示すように目を細めた。
「…!や、やめろ!」
カァッ…と耳たぶまで真っ赤にさせながら、シフは露になった胸を庇おうとするが、それもままならない。アルベルトは暫し首を傾げる。
「あなたは…まさか…」
少々呆気にとられながらも、アルベルトは黒いスパッツに指を滑り込ませ、素早く下着をかき分けながら、いきなり湿った内部に指を侵入させた。
「ひっ…!痛っ!」
思わず喉を引きつらせて叫ぶシフに、今度こそ驚きで瞳を見開くが、やがてクスリと笑う。
「…処女なんですか?これは意外ですね。」
シフくらいの年齢の女性が未婚とはいえ処女というのは予想だにしなかったことである。貴族の娘ならばありえない話しではないが、田舎の方が性に対して比較的緩やかであろうという考えであったからだ。
「予想外ですけど…悪い気はしませんね。」
自分以外の男にこうして触らせた事もなく、今指を侵入させている熱いほともまだ誰にも触れられた事がない…それはアルベルトをさらなる興奮に導く。
「やめろ…こんな…」
シフは生まれて始めての懇願をする。貞操を守ろうと決意して今まで処女だったわけでもないが、こんな形で、しかもアルベルトいうのが絶望を与える。
「なんで…なんで…」
これが敵の武骨者とかならばまだよかった。戦う身とはいえ女性なのだからこういうこともあると諦めもついたし、そこまでショックではなかったろうと。だがアルベルトとなれば別だ。
家族と城を一瞬にして失った可哀相な青年、貴族であるがお高いところもなく純真で優しい青年…守れねばならぬと思っていた青年だった。
それがいつの間にか天性の才能を発揮しだし、今ではシフくらい、あるいはそれ以上の強さになり、寂しさと感無量が入り交じった思いで眺めていた青年だからだ。
それが今、突然何かの化物が乗り移ったように優しい外観だけは変わらずに変貌しているのだ。
「なんでって…あなたのような綺麗な方と2人きりで何も思わないわけないでしょ。まあそろそろ頃合いかなと思っていたまでですよ。」
その表情を嘲笑に近い歪め方をさせるなり、一度離していた指を、今度は一気に奥まで侵入させた。
「いたっ…痛い!」
「処女相手は久しぶりというか…あまり経験無いんですけど…なるべく痛い目に合わせませんから。」
十五の年を迎えた時、お付きの侍女を愛し、その侍女が始めての相手であった。責任は取るつもりではあったが、身分違いだと両親は首を縦に振らず、侍女も恐れ多いと城から逃げるように去っていった。
その時の喪失感と悲しみ、裏切られたという気持ちは自分はそういう立場に生まれたのだから仕方ないと諦める事でしか解決できなかった。その後抱く女はそれを商売とした高級娼婦のみであった。
アルベルトはそっとシフの白く豊かな乳房に手をかける。思わずシフは身をよじろうとするがそれもままならない。アルベルトは指を乳房の頂点に這わせると、いきなりキュッと軽く摘んだ。
「あぁっ…んっ…ちょっ…やめっ!いやぁ…」
乳首を弄ばれるシフは、気恥ずかしさと同時に、ゾクゾクする快感を覚え始め、拒絶とも喘ぎともつかない声を漏らす。
「ちょっといじっただけなのにもうカチカチになって…ここ、弱いんだ。」
「し、しらな…っ!あっ…あふっ…あ、あっ…」
続くアルベルトの責めに声にならない喘ぎを漏らす。だが、今度はスルリと入ってきた指に痛みとは違うのけ反り方をする。
「さっきと比べて…よく濡れてる。ほら、分かる?」
邪魔なスパッツを一気に下着と共にはぎ取ると、アルベルトはさらに深く指を入れる。
「ひぁっ…んっ…」
まだ異物感はあるが、先ほどの刺さるような痛みは薄くなっていた。アルベルトはシフの既に濡れ始めた内部から一旦指を引き抜き、ぬるついている指を潤滑油の代わりにするように、ゆっくりと顔を見せ始めたシフの肉芽を摘んだ。
「はぁあああっ!」
シフの体に電撃が貫き、大きな喘ぎ声が発せられる。他人に弄られるのは勿論始めてであり、その快感の源とさえ言える肉芽はプクリと大きく膨れ上がり、さらにアルベルトの責めを受ける。
「ぁあん、はぁっ、ああっ…いやぁっ…ふぁっ…」
アルベルトに犯されようとされる怒り、絶望、恐怖が薄れてくるような強すぎる快楽に、シフはただ声を漏らすしかなかった。トロトロと蜜が溢れだし、その濡れぼそってキラキラと光る鮮やかなピンクの秘口に、アルベルトは目を細めた。
「これなら…そろそろ大丈夫かな?」
親指で肉芽をぬるぬると弄りながら、空いている人さし指を秘口にツルンと滑り込ませると、丁度肉芽の裏側の位置を内部からクリクリと弄り始める。シフは新たな強烈な快感…弱点を責められ再び体を逸らせる。
「はぁっ!んぁ、ぁあっ…もうっ…だめっ…そ、そこっ、いやぁっ…」
肉芽と内部のコリコリした部分を責められ、シフは生まれて始めての多大な快楽に為す術がなく、涙を流しながら叫ぶ。
「女性なら喘ぐ姿は大抵は素敵なものだけど、あなたは別格ですね。」
普段は勇猛な戦士であるゆえに、弱点を責められ、喘ぐその姿のギャップにアルベルトはじっとりとした熱い眼差しになる。
「じゃあ…いきますよ。」
「ひいっ…!」
既にガチガチに固くなったアルベルトの物が容赦無く、シフの中に侵入してきた。生まれて始めて男を受け入れた場所は貫かれ、シフは大きく目を見開き、口をパクパクとさせた。
「さすがに…キツいかな。さあ、息を吐いて。」
痛みと異物感で長い手足をバタ付かせるシフを宥めるようにアルベルトはつぶやくと、乳首を口に含み、吸い上げ、転がしながら、空いている指で大きく膨れたままの肉芽をぬるぬると摘みあげた。
「ひぁっ、あうっ…んっ…くぁあっ…!」
ゆっくりながらも膣中を摩擦するアルベルトの物での痛みと圧迫感、同時に沸き上がる乳首と肉芽の快感がドロドロに混ざり合う感覚に、シフは何とも言えない声を上げた。
「いやぁっ…あふっ、あっ…いやっ、だっ…あ…あ…」
今、シフは生まれて始めての絶頂を迎える前の…ザワついた、疼く感覚に否定と快楽の声しかでなかった。
「あぁっ…ふぅんっ、うぁっ…い、いやっ…な、なにっ…も、もうっ…」
頭まで痺れはじめ、思考が働かなくなってきた。圧迫感と激痛であった膣中の摩擦も、すっかり快楽を生みだすものに変わり、肉芽への擦り挙げられる快感と重なり合うように大きく押し寄せ、シフは戸惑いの悲鳴を上げた時であった。
「…あ…あっ…ぁあああああっ!」
さらに大きな悲鳴が漏れたと同時に…アルベルトの白濁もシフの中へ弾け、シフはそれを受け止めながら、ガクガクと体を震わせ、絶頂を迎えた。
ズルリ…とアルベルトはシフの中から引き抜くと、一仕事成し遂げたような、軽い動作で素早く衣服を身に付けると、まだ始めての絶頂でブルブルと震えたままのシフに手を伸ばす。
バシッ
状況を把握できてない、恍惚に近い呆けた顔つきであったシフだが、この微塵の罪悪感さえなく自分を犯す形で奪ったアルベルトを睨みつけると、その手を振り払った。
「そんなに痛かったと思えませんけど?」
アルベルトのなんで怒ってるか分からない、といった様子にシフは怒りを通り越して呆れ…さらにそれも通り越して微妙な顔つきになる。
「あんたは…本当に坊やか?あのアルベルトなのか…」
どことなく頼りなさ気ではあるが純粋で真っすぐなお坊ちゃま、家族を一瞬にして失った裂かれるような辛さを普段はじっと隠し、朗々と笑っているあのアルベルトは今、一かけらも見当たらない。
今、目の前にいるのは淡々とした、寒気さえ感じる酷薄な美貌と化した見知らぬ青年のようだ。
「何を言ってるんだか。バルハラの地で始めてあなたと出会ってからずっと共に旅してきた僕じゃないか。」
くすりと笑い、シフに衣服を投げ掛けるアルベルトはやはりほんの一瞬の隙に何者か…抗いようのない底知れぬ美貌の魔物に入れ替わってしまったようである。
「…あんた…どうしちゃったんだよ。」
もはや犯され、処女を奪われた事よりもただ…目の前のアルベルトに怯えるようにシフは思わず後ずさる。アルベルトはじっとシフを見るが、やがて軽いため息と共にひらりと側の岩に座る。
「何て言えばいいのかな…シフさん。あなたは今、あの暢気で純粋な僕はどこへ行ったんだ、と思っているんでしょう?今目の前にいる僕は見知らぬ非情な男だって…まあ自分でも驚いてますよ。こういう一面もあったんだなって。」
軽い世間話をするような調子のアルベルトをシフはポカンと眺めるだけである。
「少し休んだ方がいいですよ。今日はここらへんで野宿だろうから何か食料でも探してきますよ。その間に頭を冷やすといいです。」
「なっ…」
まるでこちらが一方的に言いがかりをつけるように怒っているようではないか…そんな理不尽さにシフは声をつまらせるが、アルベルトは飄々とした様子のままスルリと暗い茂みの中へ消えていった。
「……」
アッサリと怒りの対象が消えてしまったことで、シフは暫し絶句していたが、やがてどこへぶつけていいか分からない怒りと…それを上回るショック、悲痛を紛らわせるようにまず剣を地面に叩きつけ、鎧も叩きつける。そして当たり散らす物が無くなると地面を叩きつけた。
「くそっ…ちくしょうっ…」
小さく叫ぶと、シフはじっと地面にうずくまるのであった。
「一応、山鳩を数羽獲ってきました。たき火の前で待機してるグレイさん達もお腹空いているでしょうから。」
戻ってきたアルベルトは、衣服こそ着替えたものの暗い瞳のままのシフに話しかけるが何も答えはなかった。
「まだ怒っているんですか?」
呆れた声色のアルベルトに、シフはぴくりと肩を動かすと、何とか抑えていたものを一気に解き放つように立ち上がった。
「お前…!何だ…何なんだよ!あ、あたしにあんな事をして何で平然と…おかしいと思わないのか!」
「おかしい?なんでですか?とにかくまぁ、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。早く戻らないと心配かけてしまいますよ。」
「なっ…」
シフは絶句する。まるでさっきの事など無かったようにさっさと歩き出すアルベルトに唖然とする。
「ま、待て!」
怒りの声をあげるが、アルベルトは振り返りもせずに足を早める。シフはアルベルトに掴みかかろうとするが、ここで騒いでしまってはそこまで遠くない場所である。
騒ぎを聞きつけ駆けつけたグレイ達に知れる事となってしまうかもしれない…それに耐えられる意味での強靱な精神は持ちあわせていないシフはきつく拳を握りしめると無言のままアルベルトの後を歩きながら戻る。
「遅かったな。何かあったんじゃないかと心配していたんだが…」
クローディアと共にたき火の前に座っているグレイにシフは小さく頷く。
「すまなかった…」
「いや、無事なら…って、おい。」
グレイに視線を合わす事無く、大股歩きで裏の茂みに姿を消してしまっったシフにクローディアも目を見開いた。
「何か…あったの?」
「ちょっと…まぁささいな口論ですよ。心配かけてしまいましたね。」
すまなそうに詫びるアルベルトにクローディアは首を振った。
「あなたとシフさんが喧嘩するなんて…珍しいわね。」
「珍しいというより始めてじゃないか?どうしたんだ?姐さんの尻に敷かれている坊やが…」
「いえ、本当にささいな事なんですよ。本当、なんであんなに怒っているんだか分からないほど。」
シフが聞いていたらそれこそ剣を抜かれかねない事を言いながらアルベルトは山鳩を火にくべる。
「ついでに食料捕獲しておきました。シフさんの事なら心配しないでください。後で僕が行きますから。」
これ以上の詮索は無用だろうとグレイとクローディアは小さく頷くのであった。
「…まだ…」
体の中…膣内に鈍い痛みがある。シフは舌打ちしながらグイ、と携帯している酒を煽った。星が良く見える空の下…やや肌寒い木陰にもたれながら。
「手酌酒ですか…随分荒れていますね。」
のんきな口調で足を踏み入れるアルベルトに、シフは鋭い睨みをきかせる。
「…向こういけ。今はお前と顔を合わせる気はない。」
「あなたが拗ねるのは勝手だけど、あんまりグレイさん達に心配かけちゃいけないでしょう?」
「…拗ねている…だと?」
ゆらり、とシフは立ち上がると、アルベルトに詰め寄る。
「お前、あたしを馬鹿にしてるのか?あたしみたいな普通の娘とは違う大女の戦士になら何してもいいって…」
「馬鹿になんて。ただやりたいようにやったまで…それだけですよ…城主の息子だった頃の僕はずっと色々と我慢してきた。その結果が…全てを失ったわけです。我慢した結果がこれならもう…」
そこで一旦言葉を切るアルベルトは一瞬、あの出会った頃の打ちひしがれた痛ましい姿の青年であった。
「馬鹿馬鹿しくなったまでです。もう僕は欲しいものは我慢しない、そして絶対に手放さない…もう…失うのは沢山だ。」
「……」
先ほど、自分を汚した相手だというのに、痛ましい表情になるアルベルトを見ると怒りは消え、悲痛になる自分は思ってた以上に甘いのか、それとも…シフは首を振った。
「自分でもまぁ…よく分からないんですよ。これほど自分の思うままに動こう、それについての善悪を考えたりしない、ということが無かったものでね。」
一気に色々な事が起きたシフは混乱を通り越してもう何も考えられない…そんな脱力感に飲まれるように立ち尽くしたままである。
「あなたのような勇ましい戦士でもそんな途方に暮れた顔をするんですね。いつもの力強い表情も良いけど、そういう顔も良いですけどね…とにかく戻りましょう。」
アルベルトはシフを一瞥すると、背を向けグレイ達のいる場所へ向うべく茂みをかき分け、去っていく。シフはただ呆然としたままその姿を眺めるだけであった。
「あれ?シフさんは…?」
宿の広いロビーで本を読んでいるクローディアにアルベルトは尋ねる。長い野宿だらけの旅を終え、やっと街に辿り着いた一時であった。
「グレイと武器屋に行ったわ。夕飯は要らないと宿の方に言ったそうだから戻りは遅いでしょうね。」
「…わかりました。」
しょげるように肩を落とし、背を向けるアルベルトにクローディアは視線を移す。
「またグレイさんとですか…いつもそうですね。」
「気が合うようね。私もあなたもお酒など窘めないから、やっと飲める奴がきた、なんてグレイは喜んでいたけど…」
言いかけたクローディアは首を傾げる。まるで目の前のアルベルトは置き去りにされた子供のようにしょげかえって黙っているからである。
「アルベルト?」
「ああ、ぼんやりしてしまって…じゃあ僕は行きますね。お邪魔してすみませんでした。」
「いいのよ。じゃあね、アルベルト。」
笑い返すクローディアを背にするアルベルトの瞳はついさっきまでの明るく屈託ないものと大きくかけ離れたものであった。
「……」
深夜のやや肌寒い宿の一室で酒で火照った体をベッドに投げ出したシフはぼんやりと宙を見る。その心中で思う事はアルベルトの事であった。
『あんたとアルベルトはどういう関係なんだ?』
酔ったグレイに単刀直入に聞かれた事を思いだす。返事は自分でも分からない、と答えた。
(…本当に何なんだろうね…)
本当に分からないのである。あれからアルベルトは当然のようにシフを求めてくる。
最初は抵抗こそしたが、あの底知れぬ何も読み取れない瞳と、驚くほどに罪悪の意識を感じとれないアルベルトの態度に、次第に流される…
シフのような生粋の武人からすれば考えた事さえない明瞭としない状況なのである。
「やめた、やめた!もう寝よう。」
これ以上は考えたくない…固く目をつぶるがドアを叩く音がする。
「…僕です。起きてますか?」
シフはガバリと身を起す。アルベルトの声であった。そして同時にドアが開く。こうして深夜にアルベルトがやってくるのは今や驚く事でもないのだが、それでもやはり抵抗感くらいはある。
「起きているけど…入っていいなんて言ってないんだけどね。」
そんなシフの言葉など耳に入らぬ様子で笑いながらアルベルトはスルリとベッドの側の椅子に座る。
「随分と飲んだようですが…飲みに行くな、とまではいいませんけど…気に入らないな。」
穏やかな笑顔が一転し、あの何も読み取れない冷めた目つきに変わるアルベルトにシフは本能的に怯えるように身構えた。
「…何が、だ?」
かろうじて声を出す。こういう目をするアルベルトは常に自分を求めてくるのだが、その快楽への追いつめ方が執拗であり、それを思いだすと震えが走る。
「何が?毎晩のように他の男性と飲みに行く事を面白いと思う男なんてそういないと思いますが?」
シフを犯して以来、アルベルトはこのようにお前は自分のものだ、と言うような所有権露な発言をする。
それはシフにとって嫉妬されているというより、やはり何も読み取れない、本当の気持ちはどこかという心理が読み取れない方が先に来てしまう。
それは未だ穏やかなお坊ちゃまのアルベルトと体温を感じさせないような冷たいアルベルトの差を感じさせ、ただ怖くなるのである。
「仕方ないだろ…お前もクローディアも飲めないんだから…んっ…」
突然、かすめるような軽いキスをされたと同時に、その体をベッドに押し倒される。
「は、離せ。」
だがシフの体はぴくりともしない。既にアルベルトはその華奢な体から想像できないほどの力を、シフと同格くらいの力にまで成長しているからだ。
そして今シフはかなり酔っている状態であり、これでは押しのける事は不可能である。
「ちょっ…ま、待て!」
伸縮性のある白いシャツを鎖骨までたくしあげられ、大きな白い乳房がぶるんと飛び出る。
露になった胸…筋肉によって張りがある大きな白い乳房は、垂れ下がる事無く上向いている。
逃れようともがく為、プルプルと揺れる乳房に、アルベルトは目を細める。
「シフさんのここは本当に綺麗ですね。」
外気に触れた事で立ち上がったシフの淡いピンクの乳首を、アルベルトは両方とも軽く摘んだ。
「あぁっ…」
ビクリとシフは体を逸らす。乳首に弱いため、軽く摘まれただけでもじわり、と下まで疼いてくる。そんな快感に首を振った。
「…あっ、あはぁっ…いやっ…」
シフの反応を楽しむようにアルベルトは小刻みに乳首に振動を与える。
「あぁ…あっ…やめて…も、もうっ…はぁんっ…!」
「やめてほしいんですか?じゃあこれから声を出さなければ止めてあげますよ。」
愉快そうに笑いながらシフの大きな乳房の割に小さめの乳首を指で挟み込み、人さし指の腹で先端をこすりつける。
「はぁぁっ!あっ、あぁんっ…」
激しくなった乳首への攻めに、シフは頬を蒸気させ、喘ぐ。抵抗しようにも快感の為、力が抜けてしまう。
「やっぱりこらえ切れなかったようですね。じゃあ止めるわけにはいかないかな。」
分かっていた事だけど、とさらに笑いながらアルベルトは強めに乳首を引っ張る。
「いやぁ…あうっ…あぁっ…ふぁっ…」
くりくりと乳首を摘み上げられ、さらに喘ぐシフの股下にアルベルトは右乳首から離した指を滑らす。そして既に湿っている、サイドで止めるタイプの下着も器用に取り外す。
「…あっ」
「うわぁ。凄い濡れてるなぁ。ちょっと乳首弄ったくらいなのに。」
アルベルトの無邪気を装ったからかいの言葉にシフはこれ以上赤くなりようがない、という程赤くなる。アルベルトはそんな反応を見ると薄く笑いながら、ぬるぬるになったシフの内部に指をツルンと差し入れる。
「ここはまだ弄った事無かったっけな…」
シフの内部…奥のコリコリした感覚の部分を擦り当てると、擦るように指先を動かす。
「ひぁっ!な、何っ…あっ、あはぁっ…はうっ、やぁっ…んっ!」
膣内の奥…触れられた事のないしこった部分を弄られるといういきなりの大きな快感に、シフは白い体をビクビクさせながら身もだえる。
アルベルトはそんな姿に熱っぽい視線を送りながら指を引き抜くと、ぷっくり膨らんだ肉芽をキュッと摘んだ。
「ぁあああっ!」
快感の源とさえ言える場所を摘まれ、シフは大きく体を逸らせ、嬌声を上げた。
「相変らず大きいなぁ。ほら、こうやって摘み上げながら、こすりつけられるのが好きなんでしょ?」
「あっ、あぁっ!ふうんっ!いやぁ…あうっ…だ、だめっ…ぁあっ…」
からかいの言葉を投げられても、シフはただ嬌声を上げる事しかできなかった。熱く痺れるような波がじくじくと攻められる肉芽に押し寄せ、下半身がたまらなく火照り始める。
「そろそろイクのかな?凄くやらしい顔になってきてるからね。」
焦点のあわない瞳の端から涙を流し、閉じることができない口からは嬌声だけが漏れるシフを緩やかに笑いながら眺めると、アルベルトは肉芽を速く、小刻みに指先で弄る。
「そ、んなっ…はぁっ!だめっ!んぁっ、いやぁ…はぁあっ!」
見事な金髪を振り乱し、青い瞳から涙を永氏ながら快感に身悶えし、嬌声を上げるシフの姿にアルベルトは息を荒くさせながらもさらにシフの肉芽を執拗に弄る。
「ぁあ、ふぁっ…あ、あっ、ぁああああっ!」
かつてないほど大きな嬌声を上げた途端…シフは腰を大きく浮かしながら絶頂に達した。
口の端から唾液を、そして秘口からは大量の蜜を流しながら、まだ絶頂に達した感覚が抜けきらないように、ビクビクと体を震わせる。
アルベルトは濡れるという表現じゃ追いつかないほど、ドロドロに熱くなったシフの内部に一気に二本の指を埋め込んだ。
「ひぁ!あぁんっ、あ、ああっ…いやぁっ…も、もうっ…」
イッたばかりの過敏な体には、内部への攻めは苦痛に近い快楽であった。シフは否定混じりの嬌声をあげる。
だが、突然…既にカチカチに立ち上がったアルベルトの一物が内部にズリュズリュと音を立てながら侵入するなり、ユノーは大きく目を見開いた。
「ぁあっ!ひっ…ふぁ、あーっ!」
「ん…そんなに強く締めつけないでくださいよ。」
そう言いながらもアルベルトはシフの肉芽を再び弄りだす。イッたばかりの肉芽をまた弄られるのは、それこそ地獄の快楽に近いものがあり、シフはガクガクと体を激しく揺らす。
「あぁあっ!そ、そこ、だめぇっ…も、もうだめっ…ああぁあっ…」
先ほど弄られた内部のこりこりした部分…丁度肉芽の裏側辺りをアルベルトのモノによって摩擦され、肉芽もくりくりと弄られる。
シフにとっては許容範囲を越えた快楽にもはや自分でも自分の体を理解できない、どうしていいか分からぬと喘ぎながら髪を振り乱した。
内部が小刻みに痙攣するようにひくついてくる。
「ああ…あ…ま、またぁっ…く、くるっ…も、もういやぁっ…こ、これ以上っ…あぁ、はぁあ…」
このままではおかしくなってしまう…膣内を擦り付けるアルベルトの一物での熱い塊が押し寄せるような快楽、肉芽へのダイレクトな快楽が同時に沸き上がり、シフは虚ろな、それでいて熱を帯びた視線を浮かせながら、うわ言のように喘ぐ。
「つっ…僕もそろそろ…」
アルベルトも限界であった。動きが一段と激しくなる。
「ぁあ、はぁあっ…あ、ああっ…ふぁあああああっ!」
ビュッ、ビュッと透明の液体が秘口から飛び散るなり、シフはブリッジするように大きく腰を浮かせると、再び絶頂に達した。同時にアルベルトの引き抜かれた一物からもシフの大きく白い胸目掛けて大量の白濁が飛び散った。
「……」
酔った体に立て続けに絶頂に達するというダメージは相当なものであった。シフは大きく息継ぎするのが精一杯であり、焦点の合わない瞳をぼんやりと宙に向ける。
「すみません…よごしてしまいましたね。」
シフの胸に飛び散った己の白濁を、アルベルトはサイドテーブルに打ちかけてあったタオルで優しく拭う。
「酔った体には少々きつかったかな?」
暗にグレイと飲みにばかり行っている事に対してイヤミをいうアルベルトにもう抵抗する気力さえないようにシフはただ宙を見遣るだけであった。