サンダイル歴1301年。  
ワイドの街に、一人の女がたどりついた。  
赤に近いブラウンの髪は肩よりすこし長く、  
後頭部を守る鉢金がカチューシャのようにもみえた。  
 
「待ちなさい、プルミエール!」  
険を含んだ声の女性が、女をひきとめる。  
「ヌヴィエムお養母さま、いえ、お姉さま、私は……貴女の道具では、ありません!」  
プルミエールと呼ばれた女は、女性に向かって言った。  
養母、ヌヴィエムはたしかにプルミエールの母としては若すぎた。  
姉さまと、いうのが本来の血縁関係。  
二人に共通する赤い髪と、どこか似た雰囲気を持つ顔立ちが姉妹であることを感じさせる。  
街中を二人で歩けば、まったく関係を知らない人がみても、それはうかがい知れるだろう。  
異母姉妹であり、年が17離れていたプルミエールをヌヴィエムがひきとったのには理由があった。  
プルミエールの母は、一般市民であった。  
その娘の父が大カンタールであるということは、関係は容易に想像ができた。  
妾、であったのだ。  
 
ヌヴィエムにとって、幼いころにヤーデ皇太子のチャールズよりうけた侮辱、  
それを反証することができない父の子供の数。  
ヌヴィエムの中に葛藤があったのは確かだろう。  
そんな葛藤から、彼女はプルミエールのことを知ると父と対面させ、引き取った。  
父が子供を蔑ろにすることは、彼女にとって、唯一父を許せなくなってしまうコンプレックスとなっていたのだろう。  
 
プルミエールは荷物をかかえ、石の剣を鞘に入れて旅立とうと屋敷の扉をあけたところを、  
ヌヴィエムに腕をつかまれたのである。  
「なにを言うのですか!私は、そんなつもりは……」  
「お姉さま、貴女にカンタール候の娘に相応しく育てていただいたことには感謝しております。  
 でも、私は後継ぎにはなれません」  
プルミエールは強い力のある瞳を姉に向けた。  
二人の目を結ぶ強い意思同士のぶつかり合い。  
先に口を開いたのは、ヌヴィエムだった。  
「……分かりました。どこへでも、いけば良いでしょう」  
「そういたします」  
プルミエールが出て行き、扉から外の光が一筋も入らなくなると  
肩を落として、ヌヴィエムは笑い出した。  
「皮肉な……ものね」  
自嘲、孤独、怒り。  
そんな感情が笑いを彩っていた。  
 
ワイドの街を歩いていると、声をかけられた。  
「姉ちゃん、美人だねぇ、どうよ?」  
振り向くと灰色にちかい黒髪をボサボサと目が隠れるくらいまで伸ばした見るからに下品、  
という風貌の男がニヤニヤと笑いを浮かべていた。  
「なに?」  
男は、ディガーのようだった。  
背中にあるつるはしが、その証拠。  
「格好からすると、冒険者のようだがディガーってわけじゃないだろう?」  
「……ええ」  
『家』に縛られるのを嫌って、旅に出た彼女である。  
大金を持ってなどでるわけもなく、手持ちの金でワイドにまでは来たものの  
財布には数クラウンといった状態になっていた。  
「俺はディガーなんだけどよ。姉ちゃん……」  
プルミエールはギッと睨み付けた。  
「姉ちゃん、ではないわ。プルミエールという名前がある」  
視線の強さにたじろぎながらも、小娘の眼力程度でへたるようではディガー稼業はつとまらない。  
そのディガーは、続けた。  
「プルミエールちゃんよ、誰かのヴィジランツかい?」  
「ちがうわ」  
自分の名前にちゃん付けという馴れ馴れしさは不愉快だった。  
「なってもらえねぇかな。三食宿付き、あとは発掘したモン次第で報酬は出すぜ」  
「なぜ、会っていきなり?」  
「これで、ヴィジランツを見つけるってのは大変でな。  
 俺くらいの中堅になりかけって、程度では腕のいいヴィジランツはこっちからスカウトしなきゃなんねぇ」  
「有名なディガーならば、ヴィジランツの方から売り込む、ってわけね」  
「そういうこった。んで、船着場にいれば、見つけやすいと思って張ってたってワケだ」  
言っていることに矛盾は無い。  
心もとない自分の財布を考えれば、ひきうけても良いと考えた。  
 
「腕もなかなか立ちそうだし、声をかけてみたんだがよ」  
「……いいわ、引き受けましょう。名前は?」  
手を叩く男。  
「ありがてえ!俺は、アゲンってんだ。よろしくな」  
アゲンは、ガッハッハと笑い手を伸ばした。  
握手したい相手ではなかったが、プルミエールは一応手を握った。  
モンスターを倒せば、金が入るというわけではない。  
他のディガーを見つけても条件が合うかもわからない。  
プルミエールも、素性の知れない男と組むことに少しは警戒もしたが、  
彼女はたしかに宮廷内では、かなりの武芸達者といわれていた。  
その自信と、旅費を稼ぎ次第分かれてしまえば、と考え了承したのだった。  
 
アゲンという男は、ある一味に属していた男だ。  
圧倒的な力を得た長とともに、略奪を繰り返していた。  
長とする男が死亡し、一味は瓦解したが  
アゲンは、ディガーとなっていた。  
クヴェルという前時代の遺産を皆のために発掘するという目的のためではない。  
略奪時代に、味を占めたことをするために良い肩書きだったからである。  
なまじ実力があるということが、彼のソレを可能にしていた。  
アゲンの後ろを歩いていくと、小汚い外壁と中も予想通り同じ程度の宿に到着した。  
「ここは、俺のディガーの師匠のゼルゲンさんが買い取った場所だ。  
 だから、俺のヴィジランツなら金はいらねぇ。自由につかってくれていいぜ」  
プルミエールは首をめぐらし、見回した。  
入り口から入ったところに食堂があり、客室は上に数室といったオーソドックスな宿屋。  
「助かる。……ほかに客は?」  
「そんなの分かるわけがねぇだろ。何か問題でも?」  
「いえ。そういえば、私のほかにヴィジランツは?」  
「おう、後で紹介するぜ。一人、斧使いのダイラーってのがいるんだよ、っといた、おい!」  
食堂で食事をしていた金髪を逆毛にたてた男が、こちらを向いた。  
そちらに、歩みを進めるアゲンにプルミエールはついていった。  
男が、兎のローストに石のナイフを立てている横にアゲンは座り、  
それにならってプルミエールも席についた。  
 
「昼飯を食ってたのか?」  
「そうだ。その女は?」  
ダイラーは口についたソースを拭った。  
そのとき唇がかすかに歪んだことに、プルミエールは気づかなかった。  
「ヴィジランツ候補、ってことでいいか?」  
プルミエールはうなずいた。  
「プルミエールといいます。ダイラーさん、よろしく」  
手を伸ばすプルミエールの手を一瞥したものの、ダイラーは手を握り返さなかった。  
「不用意に握手をするもんじゃねぇ。……アゲン、こんな素人雇ってどうするんだ?あ?」  
プルミエールは睨みつけながら、手をもどした。  
「まぁまぁ、ヴィジランツとしちゃ素人でも剣の腕はなかなかあると思ったんだよ、そうだろう?」  
「ええ、剣も槍も問題ないわ。あなたとデュエルでもすれば納得して?」  
プルミエールの視線を受け流して、ダイラーはコップに入っているビールをあおった。  
「たいした自信だな。……いいだろう、お手並みは発掘しに言った時に見させてもらうぜ。  
 ま、よろしく、頼むぜ、姉ちゃんよ」  
「ええ」  
プルミエールはこのとき誤解をしていた。  
ダイラーがプルミエールの挑発に乗らなかった理由を、自信が無いからだと思っていた。  
実戦を経験していない、宮廷のぼっちゃんじょうちゃんの間での実力など無意味だと  
彼女は翌日知ることになる。  
 
粗末なベッドでも、船での旅の疲れは取れた。  
アゲンもダイラーも部屋を訪れるということは無かった。  
彼女は、自分の警戒が杞憂だったことに朝起きて髪にブラシを通しながら、  
鏡に苦笑をして見せた。  
「自意識過剰、だったわね」  
身支度を整え、一階の食堂に行くと二人がモーニングプレートといった感じの朝食を採っていた。  
プルミエールに気づくと、フォークを持っていない手をアゲンはあげた。  
「や、プルミエールちゃん、そこのカウンターで飯を貰ってな」  
「今日の仕事の話だ」  
プルミエールはうなずきながら、カウンターから大きめの皿をうけとり、彼らのテーブルについた。  
「食べながらで、かまわねぇ」  
「失礼、そうさせてもらうわ」  
「ワイドで噂になっているメガリスがあるんだ、そこに行ってみようと考えてんだ」  
「メガリスが、ここらへんに?聞いたことがないけど」  
パンをちぎり、口にほうりこむ。  
ダイラーが、アゲンの言葉を補う。  
「なんでも、たまたま行商人がモンスターに襲われて逃げ回って道に迷ったときに見つけたらしい。その情報が入ったのは3日前でな」  
「まだ、他のディガーに荒らされてもいないだろうぜ」  
「クヴェルがある保障が?」  
「そりゃ、無いけどよ」  
アゲンが食べ終わったプレートをカウンターまでもって行く。  
「プルミエール、だったか。ヴィジランツの仕事は、ディガーの護衛だ。  
 日当で支払われるんだ。俺たちに無駄足ということは無い。  
 メガリスになにもなかろうと気にすることではない」  
食べていたものを飲み込みしばらく、口をへの字にしていたプルミエールだったが、  
「それも、そうね」  
と、食事をつづけた。  
アゲンは手にコーヒーをいれたカップを持ってきた。  
「ま、そういうことでよろしく頼むぜ」  
「ええ、仕事はしっかりするわ」  
 
食事が終わり、3人は宿を出た。  
ワイドの南に、そのメガリスはあるという。  
ワイドを出るまでに、プルミエールは若干の違和感を感じた。  
メガリスが見つかったという話は3日前、そのわりには街に他のディガーの数が少ない……。  
まだ情報が届いていないということと、聞いたものたちはもう向かっている、  
ということなのだろうと彼女は納得することにした。  
 
今まで見つかっていなかったメガリスというだけあって、道なき道を3人は歩いていった。  
途中、モンスターに数回襲われたがたいした強さでもなく、  
3人の力からすると苦戦はしなかった。  
プルミエールは、その戦いの中でアゲンは弓を使いダイラーが斧を使ったのを見た。  
二人の力量はなるほど、なかなかのものであった。  
草が膝の高さまである緑の海を歩いていくと、清流があった。  
アゲンから渡された地図をプルミエールが見る。  
「川があるなんて、この地図にはないわね。どうするの?」  
「いや、ちょうどいい岩場があるじゃねぇか」  
「そうだな、ああも草があるとやりづらいからな」  
二人の言葉にプルミエールの問いに対する答えはない。  
「何を言って……」  
気づくとダイラーの腕は、プルミエールの胸当てと革のワンピース風の防具を剥ぎ取った。  
「え?!」  
ホルダーネックのキャミソールと膝より少し上のプリーツスカートという普通の街中を歩く格好になっただけなのだが、  
強制的に、それも冒険の途中にされたということに楽観的な思考はプルミエールにはもてなかった。  
 
プルミエールの左手が自分のスカートの浮いていた位置でとまった。  
彼女の体勢がとまってはいたが、スカートは元の位置に戻っていた。  
「さすが、アゲンだな。いつもながら……」  
「へっへっへ、影ぬいだけは、自信があるんだ」  
影ぬいによって、プルミエールは身動きがとれなくなった。  
ダイラーが近づいてくると、彼女の右手から石の剣を奪い取った。  
プルミエールは絶望をするしかなかった。  
「あ、あんたたち……」  
影ぬいの麻痺は、体の自由を奪うだけで意識はある。口を動かさなければ、しゃべる事もできるのだ。  
素手にも自信はあったが、この二人の力量を知っていればどうにかできるとは考えられなかった。  
服を再び引きちぎろうとする、ダイラーにアゲンが声をかける。  
「やめろ、影の位置からお前が動かしたら意味ねえだろうが!」  
「む、脱がすのか?」  
「こうすりゃ、いいんだよ」  
プルミエールから奪った石の剣をホルダーネックの首の部分に当てるとスッと引いた。  
キャミソールを支えていた部分が切れ、切った布はスカートの上にエプロンのようになり、  
乳房があらわになった。  
「いやッ……」  
「なかなかのもんだな。さてと、こっちも、っと」  
こんどは、スカートをもちあげるとショーツの腰の部分にナイフをあてた。  
サンダイルの世界でもある地面に引かれる力とともに彼女のショーツはおちた。  
プルミエールはこれからあるだろう行為が、容易に想像できた。  
「スカートはどうする?」  
「これは、このままでいいだろ、スカートまで切っちまっては帰れないだろう」  
「フフ、アゲンは優しいな」  
「そうだろ?へっへっへ」  
そういうと、アゲンは影の位置を確認してプルミエールの体を岩場の上に横にした。  
彼らのこの欺瞞の偽善によって、ワイドで彼らによる被害は今までに十数件あったのに明るみに出なかった。  
見るからにぼろぼろになって帰ってくれば、隠しようがなく告白する娘もいただろう。  
しかし、身なりが綺麗なままならばヴィジランツのような流れ者が話したところで  
街の人たちは真剣に聞くことはほとんどない。まして、話たがる者などいるはずもなかった  
 
ダイラーとアゲンが下半身を露出した。  
彼らの木槍は、灯の槍へと姿をかえていた。  
プルミエールの口からは声にならぬ声があがり、顔は羞恥と怒りで赤みを帯びていた。  
「この前は、アゲンがマ○コだったから、今回は俺がさせてもらう」  
ダイラーはプルミエールの足を広げ、スカートの上にあるキャミソールとスカートを腹に捲り上げると  
槍をプルミエールの中へと差し込んだ。  
「んんッ!!い、痛っ……」  
彼の手段からすれば、処女である女を犯している回数が多いのだろう。  
プルミエールの暗闇のような気持ちとは対称的に、彼らには特別感動があるようではなかった。  
「ち、しゃあねぇな。こんな上玉とできるなら、この間はゆずるんだったぜ。  
 口を貸してもらうぜ、プルミエールちゃん!」  
アゲンの手が顎をつかむと彼女の首をそりかえらせ、口の中に槍をぶちこんだ。  
その間にもダイラーの槍は、彼女の壷内を出入りした。  
「んんーっ……ふぐっ」  
配慮などない、性の蹂躙。  
プルミエールは、逆さになった頭でアゲンの陰茎の裏をみながら鼻で呼吸をするしかなかった。  
腰を烈しくたたきつけるように、彼女の中を槍はつきさした。  
「あぐ……んふ……!」  
喉まであてる様にアゲンの槍は彼女の咽喉を犯した。  
「ん、ん、そろそろだ!」  
アゲンの動きは、自分の快楽に彼女の口腔を使っているだけだった。  
女を使った手淫、そんな感じだった。  
ひときわグラインドを大きくして、プルミエールが喉に当たった槍でむせそうになった時、  
彼は槍を引き抜いた。  
「たっぷり、その顔にかけてやる。ん、おおっ」  
槍の先から飛び出る白い液体がプルミエールの顔と髪を汚した。  
 
「は、早いな。ん、もうちょっとまってろよ」  
ダイラーが浅く動かしてた腰を再び、大きなピストンにかえた。  
顔を胸にちかづけ、左右の乳首に舌を滑らせる。  
口の蓋がなくなって、プルミエールの嗚咽がもれた。  
「あ……や……もう……や、やめ……あんっ」  
ダイラーは、余韻の残っている槍を出したまま、それをしばらく眺めていたがまたしゃがみこんだ。  
「い〜い声だ。っと、まだちょっとものたりねぇ」  
そういうと、プルミエールの口にまた陰茎をねじ込んだ。  
「2回目か?すごいもんだな」  
「ちげーよ、最後の雫をな、ほらっ、ほらよっ」  
プルミエールの口の中に、槍が入り舌がカリに触れるとニュピ、デロと濃い目のザーメンが流れ込んだ。  
最後にブルブルっと痙攣すると、再びアゲンは槍を引き抜いた。  
彼女は、口腔から鼻に抜けるその匂いに、醜悪さを感じたのだが同時に  
性の極端にあるそれが彼女に媚薬の効果をもたらし、膣に力が入ってしまった。  
「締め付けやがる!ん、ん!」  
摩擦が強くなった内壁が、プルミエールの口から喘ぎを奏でさせる。  
「ああ……だめっ……こんな、う……ああーッ!」  
「うぉぉ?!」  
ダイラーの声が絶頂直前なのを知らせた。  
「外で射精せよ、ガキには気をつけないといけねえんだ。アレクセイと同じヘマはしねえようにな!」  
「わかって……る!」  
グッと体を引き抜くと、ダイラーはプルミエールの乳房のとへその辺りにあるスカートにザーメンをかけた。  
「はぁはぁ……なかなか良かったぜ、プルミエール」  
「おう、俺もプルミエールちゃんのナカを味わいたかったが、まぁ、欲張ってもいけねぇからな」  
朦朧とする意識の中で、プルミエールは二人の男を見上げた。  
「影ぬいは、解いておいたし、そこの川で体を洗うといいぜ」  
「チェストメイルはあるから、胸をかくしてな」  
「あっはっは、そうだぜ。そんな格好でいつまでもいると悪いことされちまうからな?」  
最低の男たちの哄笑は遠くに去っていった。  
 

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