バファル帝国の首都メルビル―。  
昼間は賑やかな町も夜になればやがて静寂が訪れる。  
だが、今夜はいつもとは違った。  
折からの嵐に見舞われ、外は暴風雨となり凄まじい雷の音が響き、  
建物の窓はみなガタガタと揺れ風の音と重なり不気味な音を立てていたていた。  
そんな中、ホークは宿屋の自室でゲッコ族から買った古文書を開き、  
図書館で見つけた辞典と照らし合わせ念入りに明日の計画を立てていた。  
ふいにドアがコンコンと小さく鳴り、  
「誰だ?」  
とホークが言うと、ノブがカチャリと回り  
「えへへ、あたし…まだ起きてる?‥みたいだネ。」  
とひょっこり顔を出したのはアイシャだった。少し驚いて  
「どうしたんだ?こんな夜中に。」  
とホークが尋ねると、アイシャは遠慮しがちに  
「雷と風の音が恐くって…ここで寝てもいい??」  
 
「な"っ…!」  
これにはさすがに驚いて、思わずむせてしまった。ゴホゴホと咳をした後、  
「…っわざわざ俺のとこに来なくっても、シフがいるだろう。」  
と言った。  
しかしアイシャは首を振り、  
「最初はシフのとこにいたんだけど…シフ、寝相が悪くて私つぶされちゃいそうになっちゃったの。」  
ああ、なるほど。とホークが一人で納得していると、  
「アルベルトはきっとこんな時間に女の子を部屋に入れたりしないだろうし、  
ジャミルは…今ちょっとケンカしてるから…」  
そう言ってアイシャはしゅん、とうつむいてしまった。  
ホークは小さなため息をつくと、  
「分かったよ。入りな。」と声をかけた。  
アイシャの顔がパアッと明るくなり、  
「やったぁ、ありがとうホーク!」  
と無邪気に笑った。  
 
「ただし、嵐が止んだら自分の部屋に帰れよな。」  
とホークが付け加えると  
「はぁい」  
とアイシャは少し不服そうに言い、ベッドの上にころんと横になった。  
すぐ横で古文書とにらめっこしているホークを見上げ  
「ホークはまだ寝ないの??」  
と聞いてきた。  
「あぁ、もう少しこいつを調べてからだな。」  
と目線を反らさず答えた瞬間、  
 
ガカッ!ドシ――――ン!!  
 
「キャアアアッ!!」  
まるで地割れのような音を立てて神鳴りが辺りに鳴り響いた。  
アイシャはとっさにホークにしがみつき、すぐに耳を塞ぐと、必死に目をつぶった。  
「こりゃあ近くに落ちたな。おい、大丈夫か?」  
ホークがアイシャに目をやると、アイシャはふるふると震えて顔をふせている。  
 
天候の変わりやすいサンゴ海を海賊として生きてきたホークにとって、神鳴りは聞き飽きたようなものだった。  
しかし、この小さな遊牧民の娘にすれば恐ろしいものなのだろう。ホークがポンポンとアイシャの頭をなでてやると、  
今にも泣きそうな顔のアイシャがこちらを見てきた。  
「すごい音…恐いよぅ…」  
尚もゴロゴロと鳴り止まない音に、さっきまでにこにこと笑っていた顔はこわばり、目には涙をためてホークを見上げている。  
ホークはアイシャの頭をもう一度軽くなでてやり、傍にあったふとんをかけてやると、  
アイシャはホークの服をつかんだままうずくまってしまった。  
嵐が止めば帰れとは言ったものの、アイシャが寝れば自分はアルベルトの部屋にでも行こうと思っていたが、  
この分じゃ行けそうにないな、とホークはまだ震えているアイシャを見ながら思っていた。  
 
あれから何分たっただろうか、  
ふいにアイシャが臥せていた顔を上げ、おそるおそる辺りを見渡した。  
依然として外は強い風と雨が吹きつけているが、あれから大きな神鳴りは鳴っていない。  
相変わらずホークは平然とした顔で古文書を見ていたが、アイシャに気付くと  
 
「おぅ、大丈夫か?」  
 
と声をかけた。アイシャはハッと我に返り、  
 
「うん…もぅ平気。ごめんネ!大きな声出しちゃって。」  
 
と無理に笑顔をつくってみせたがやはりまだ恐いのか、ホークの服を離そうとせず  
ホークの横にピッタリとくっついたままだった。  
 
さらにそのまま数分の時間が経過し、アイシャがすこし落ち着いてきた頃、  
アイシャの心の中に恐怖とは別の感情が生まれてきていた。  
 
(ホークは嵐が止んだら帰れって言ってたけど、帰りたくないな…。)  
 
神鳴りは恐いけれど、ホークの隣はアイシャにとってすでに居心地のいい場所になっていて、  
また神鳴りがなってもいいからもう一度頭をなでてほしいな、とそんなことを思っていると、  
ホークが口を開いた。  
 
「そういやぁお前、なんでまたジャミルとケンカなんかしちまったんだ?」  
 
ドキッとしてアイシャは思わず飛び起きてしまった。  
 
「え、えとネ、それは…」  
 
アイシャが少しうろたえていると、それを察したのか  
 
「まぁ、言いにくかったら無理して言うこたぁねーけどな」  
 
とホークは言い、アイシャの肩をポンと叩いた。  
 
「ちがうの!言いにくいとかじゃなくって…」  
 
ホークになら言えるかもしれない、  
と思い、アイシャはすかさず話し始めた。  
 
「あのネ、今日ジャミルと部屋で二人で話してたら、いきなり、えと、その…」  
「? いきなり、どうしたんだ?」  
「………キス、されちゃったの」  
 
ガタッとホークが体勢を崩した。  
ジャミルがアイシャに好意を持っていることは知っていたが、まさかそこまでするとは思ってなかったからだ。  
 
「それで、…おもいっきりほっぺた叩いて逃げてきちゃったから…」  
 
気まずそうにしているアイシャを見て、ホークはフゥ、とため息をついた後、  
 
「やれやれ、しょーがねぇな、あいつは。」  
 
と、少しあきれ半分で言い、またアイシャの頭をポンポンとなでてゃった。  
 
「お前も16とはいえ、まだまだ子供なんだからちったぁ気を付けろよ。」  
 
とホークが言うと、アイシャは少しムッとして  
 
「タラール族では16歳になればもぅ大人の仲間入りだもん!」  
 
と言ってみせた。  
 
「ほー。どの辺がだ?」  
 
と少しアイシャをからかってみると、アイシャはますますムッとしてしまい、くるりと後ろを向いてしまった。  
ちょっとからかいすぎたかな、と思い、ホークがアイシャの肩に手を掛けようとした瞬間、  
アイシャはパッとホークの懐に飛び込んで唇に軽いキスをした。  
 
「ね、子供じゃないでしょう?」  
 
そう言ってアイシャはにっこり笑った。  
 
突然の出来事に、ホークは一瞬何が起こったか分からなかった。  
ただ、唇に残る柔らかな感触だけが、今起きたことが決して気のせいではないと物語っていた。  
 
「お前なぁ、一体なんのつもりだ。」  
 
ホークは目の前のアイシャをじろり、と見て言った。  
 
「だってホークが私のこと子供ってバカにするんだもん。  
だから子供じゃないってこと、見せようと思って。」  
 
そう言うアイシャの顔は、恥ずかしがる様子も悪びれた様子もなく、  
にこにこと無邪気な顔でホークを見上げていた。  
 
そんなアイシャの様子を見て、  
ホークはハァ、と深くため息をつくと、  
 
「じゃあ、文句言うなよ。」  
「え?キャアッ?!」  
 
そうホークがが言い終わらない内に、ドサッと音を立ててアイシャはホークに押し倒されていた。  
腕を掴まれて下になったアイシャの首に、ホークが口をつけていく。  
ピクン、とアイシャの体が反応すると、それを楽しむかのように首筋を辿っていく。  
 
「んっ…」  
 
思わずアイシャがビクッと体を震わせ声を洩らした。  
ホークは首から口を離すと、今度はアイシャにキスをして、ゆっくり舌をからめていく。  
 
「ん、ふっ…」  
 
アイシャが苦しそうな声を出すと、ホークは掴んでいた腕を離し、  
 
「これでおあいこだろ?」  
と言ってみせた。  
 
ハァ、ハァ、と息をしながら、アイシャは起き上がり、  
ドキドキしている胸を押さえ  
 
「…全然、おあいこじゃないよ…」  
 
と小さく言った。ホークはこりゃあジャミルの様にひっぱたかれるな、と思っていたが、  
アイシャはホークに顔を近付けると、もう一度唇を重ねてきた。  
くちゅ、と音をたて、舌をからめる音がする。その行動に一瞬驚いたものの、  
ホークは何も言わずそのままアイシャを後ろに倒し、さらに激しく舌をからめた。  
 
「んッ、ふっ…」  
 
 
時折漏れる甘い声に誘われるように、腕が自然とまだ成長しきってない胸へと伸びてゆく。  
ゆっくりと服の上から胸の上をなぞると、アイシャの体はまたピクンと反応した。  
 
 
外は依然として強い風が吹き荒れ、雨足も一向に衰えていない。  
時折アイシャが出す、か細い声もその中にかき消されてしまうようだった。  
もう寝るつもりだった部屋のなかは暗く、  
ベッドの脇のランプだけがぼんやりと淡いオレンジの光で、重なる二人を照らしていた。  
 
ホークはアイシャの服の下に手を伸ばし、やわらかな身体をゆっくりと撫で上げ、徐々に服を捲くし上げていった。  
あらわになった白い肌の上には、やや小振りだが形の良い二つの乳房が並び、  
アイシャは少し恥ずかしそうにホークを見ていた。  
ホークはそのまま片方の乳房を手でゆっくりなぞり、もう一方の先端に丹念に舌を這わせていった。  
 
ビクン、とアイシャの身体が大きく反応し、  
 
「あっ、やっ…」  
 
と切なそうな声が漏れ、それ以上の愛撫を拒むかのように片手をホークの肩に当て、無意識にぐっ、と押していた。  
ホークは手の動きを止め、自分の肩にあるアイシャの腕を取り、  
ベッドへと押しあてると今度はもう片方の先端に軽く吸い付いた。  
掴んでいた腕に力が入り、アイシャの身体はまたビクッと反応すると、  
 
「んっ、や、ダメぇ…」  
 
と小さくつぶやいた。しかしホークは胸への愛撫を止めず、そのままふとももの方へと手を伸ばしていく。  
柔らかな肌が手にからみつき、撫で上げるごとに小さな反応を示す。  
 
ホークはその反応を楽しむように上へと指を這わし、  
するりと下着の中に手を入れた。  
 
「あっ、やぁっ!」  
 
アイシャがそう叫んでも、ホークの指は止まらず、アイシャの秘部をゆっくりなぞり出した。  
そこはすでにしっとりと湿っており、指を動かす度にくちゅ、くちゅと音を立て、アイシャの敏感な部分を刺激した。  
 
「やっ、んっ、ダメ…」  
 
ハァ、と甘い声を出しながら、アイシャは潤んだ目でホークを見つめた。  
その行動がさらにホークを高ぶらせ、ホークの指はアイシャの中へと入り込もうとしていた。  
ぐっ、と力を入れ、その入り口に指を入れると、  
 
「あっ!い‥たぁぃ…」  
 
とアイシャの顔が苦痛に歪んだ。  
 
ホークが驚きアイシャの中からとっさに指を抜くと、  
まだ苦しそうな表情のアイシャを見つめ、  
 
「お前、まさか初めてなのか?」  
 
と聞いた。アイシャは目にうっすら涙を浮かべ、  
 
「…うん。」  
 
と弱々しくうなづいた。それを聞いてホークが躊躇していると、  
 
「だから、お願い、やさしくして…」  
 
と言い、ホークの服をギュウッと握った。  
ホークは掴んでいた腕を離し、アイシャの頭をなでると、  
 
「…本当にいいのか?」  
 
と念を押して聞いた。アイシャがこくん、と頷き、  
 
「ホークがいいの」  
 
と言った瞬間、ホークはアイシャの口にむさぼりつく様にキスをして、  
一旦外へと出した指をまたアイシャの中へとすべりこませていた。  
 
「あ…!」  
 
アイシャはまたビクン、と身体を大きく震わすと、ギュッ、とホークに抱きついた。  
大きくごつごつしたホークの指は、ゆっくりとアイシャの中で動かされ、奥へと進んでいる。  
鈍い痛みに耐えながら、アイシャは次第に下腹部に痛みとは別の感覚が芽生えてきたことに気付いた。  
やがてそれはじんわりと、快感となりアイシャを襲った。  
 
「ん、ふっ、や、ダメ…」  
 
ハァッ、とホークの耳元でアイシャが喘ぐ。  
ホークはさらに奥へと指を進ませ、アイシャもそれに反応して甘い声を出した。  
先程の痛みはすでに消え失せ、じわじわと迫る快楽に、アイシャは身をまかせていった。  
 
「や、はんっ、んんっ!」  
 
今まで出したことのない声を出しながら、アイシャの身体はビクビクと反応し、  
迫りつつある絶頂の瞬間を本能的に感じ取っていた。  
指をかき回される度に、辺りにはくちゅ、くちゅ、と卑猥な音が聞こえ、  
アイシャの中はとろりとした愛液で満たされ尚もとめどなく溢れだしていた。  
ふいにホークの指の動きが止まり、ゆっくりとアイシャの中から引き出された。  
 
「……?」  
 
アイシャが息を切らしながら、不思議そうな顔でホークを見つめた。  
――もっとして欲しいのに。  
アイシャはそう思ったが、恥ずかしくて言えなかった。  
 
行き場を失った快感を、自分ではどうすることもできないとアイシャは分かっていた。  
ますます身体の芯がじん…と熱くなり、止められない。  
そんなアイシャの気持ちを知ってか、ホークの手が閉じられているアイシャの両足をぐっ、と開かせた。  
 
「キャッ!」  
 
いきなりのことにアイシャが軽い悲鳴をあげた。  
その顔からは恥ずかしさが込み上げている。だが、拒もうとはしなかった。  
あらわになったアイシャの秘部は、白い肌に薄紅色がよく映えて、  
まだ男を知らないながらも十分なほど潤い、ホークを受け入れる準備を終えていた。  
ホークは着ていた上着を乱暴に脱ぎ、アイシャに覆いかぶさると、  
再度アイシャの中へと指を入れ今度は激しくかき回した。  
 
「………!!」  
 
行き場を無くしていた快感が、いっきにアイシャの中をかけめぐり、アイシャは声にならない声を出した。  
必死にホークにしがみつき、頭の中が真っ白になりかけた次の瞬間、  
ものすごい痛みがアイシャの中を電流のように走り抜けた。  
 
「痛いッ!!ダメェ!」  
 
悲鳴に似た声を出し、アイシャは叫んだ。  
涙がぽろぽろとこぼれ落ち、苦痛に顔が歪んでいる。  
一瞬自分の身に何が起こったか分からず、  
ホークが自分の中へ入ってきたのだということに気付いたのはその後だった。  
ホークが涙を手で拭ってやると、アイシャは泣きながら  
 
「こんな…痛いものなの…?」  
 
と聞いてきた。  
 
「ああ、最初の内はな。」  
 
とホークが言い、アイシャの頭をやさしくなでる。  
こんなに痛いのに、痛くなくなるなんて本当かな、とアイシャは泣きながら思っていた。  
気付けばまだホークのモノは先端しか入っておらず、  
入っているというよりは、むしろ当たっている、といった方が正しいくらいだった。  
ホークはアイシャの頭をなでながら、耳元で  
 
「身体の力を抜け、余計しんどいぞ。」  
 
と言った。アイシャは泣きながらこくん、とうなずくと、  
大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出した。  
ぐっ、とまたホークが力を入れ、アイシャの中へ進んでいく。  
アイシャの苦しそうな声が漏れ、ホークの背中に回された手に、力が入った。  
 
ホークの背中に爪を立て、痛みに耐えながらアイシャはホークを受け入れようと必死だった。  
 
「あ…!んくっ、痛ぅ…!」  
 
我慢できない痛みに声が震え、必死にすがりついてくるアイシャは、  
大柄なホークからすると細く、華奢で、力を込めただけで簡単に壊れてしまいそうだった。  
ホークはゆっくりと、しかし確実にアイシャの中へと進み、やがてそれは根元まで到達した。  
誰も知らないアイシャの中は、思った以上にきつく、  
先程の愛撫で満たされた愛液はホークのモノにからみつき、  
まるでそうすることを最初から知っていたかのように締め上げていた。  
 
「…くッ」  
 
思わずホークが洩らし、今度はゆっくりと腰を動かしだした。  
 
「ひっ、あ、んっ!」  
 
アイシャの声が上がり、身体がピクンと跳ねた。  
痛みはまだあるが、段々と身体の中が熱く火照り始め、  
さっきまで指で刺激されていた部分から新たな快感が生まれてきていたのが自分でもよく分かる。  
アイシャの頭の中は次第に何も考えられなくなり、  
そしてそれはホークが動くたびに増していった。  
 
「あ!はんっ!や…っ!」  
 
徐々にスピードを上げるホークに対して、アイシャの声も大きくなる。  
ズッ!クチュ!  
と、肉がこすれ合う音が激しくなり、辺りに卑猥な音が響き渡る。  
 
「あっ!ダメェ!んんっ!」  
 
ビクン、とアイシャの身体が大きく揺れ、  
アイシャの頭の中は真っ白になり、まるで高いところから落ちたような感覚に襲われた。  
それとほぼ同時に、ホークも小さく呻くと、白獨の液体をアイシャの中へと吐き出していた。  
ハァ、ハァとお互い肩で息をしながらそのまま軽いキスをすると、  
ゆっくりホークは自分のモノをアイシャの中から引き出した。  
 
「んっ…!」  
 
忘れていた痛みがアイシャを襲い、どろりとした液が血と混じり流れ出てくる。  
ホークがそれをシーツで拭ってやると、アイシャが恥ずかしそうにし起き上がろうとした。  
が、身体に力が入らずベッドにぽすんと倒れるだけだった。  
 
外はすでに嵐が通り過ぎ、雲の間からは星空が顔を覗かしていた――。  
 
 
翌朝、昨日の嵐が嘘のような快晴に見舞われ、予定どうりメルビルを発つこととなった。  
アイシャはあの後自分の部屋へ帰り、昨夜の一件は二人しか知らない。  
宿屋の外でアイシャがシフと昨日いつの間に帰ったんだい?  
などと話をしていると、アルベルトと気まずそうにしたジャミルが出てきた。  
 
「おはよー!ジャミル、アルベルト!」  
 
アイシャは元気よく声をかけ、丁寧に挨拶をしかえすアルベルトと呆気にとられているジャミルを横切り、そのまま大あくびをしていたホークのもとへかけてきた。  
 
「おはよう、ホーク」  
 
とアイシャはにっこり笑うと、服の袖をくいっ、とひっぱり、小声で  
 
(ね、今日の夜も行っていい?)  
 
と聞いてきた。ホークがゴホッとむせて、アイシャを見ると相変わらずにこにことホークを見上げている。  
ホークはやれやれといった感じでため息をつき、  
 
「好きにしな。」  
 
と言うと、アイシャはまたにっこりと笑い何も言わず向こうへかけて行った。  
するとアルベルトが不思議そうな顔でこちらに来ると、  
 
「アイシャさん今日すごい機嫌がいいけど、何かいいことでもあったんですかね?  
ジャミルさんはジャミルさんで朝から落ち込んでるし…」  
 
と聞いてきた。ホークは不思議そうな顔で二人を見つめるアルベルトを見て少し笑うと、  
 
「さぁな。」  
 
とだけ言った。  
 
 
 
END  
 
 

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