ある日の事。  
ネプチューンは散歩を兼ねた町の見回りをしていた。  
といっても、町はいつも平和なので  
いつしか自分の気に入りの場所である森の方へ足が向かってしまうのだが。  
そして今日も森の中を歩いていると、急に開けた場所に出た。  
この森はとても深く、毎日歩いている彼女でさえ知らない所があるのだが、  
ここもそれのようだ。  
目の前には大きな、透き通った湖がある。  
湖を見た瞬間、体がべとついていたのが気になり出した。  
このごろは気温も高く、ちょっと動き回っただけですぐ汗だくになってしまう。  
どうせ湖があるのなら今すぐに身を浄めたい。  
ネプチューンは周りに誰もいない事を確認してから服を脱いで、湖に入る。  
水はやや冷たいが、逆に身が引き締まる感じで良い。  
しばらくの間、ネプチューンは泉で水浴びを楽しんでいた。  
「あら……?」  
泉の底に、ぶよっとした感触の何かがある。  
水浴びの開放感からか、ネプチューンはつい無防備に足でそれをつついてしまった。  
突然、足下の物体が膨れ上がりネプチューンに絡み付く。  
「きゃあっ!」  
蔦のような形状をした無数の触手がネプチューンの体を水面すれすれまで持ち上げる。  
この形状の化け物には覚えがある。  
彼女は悔しさに唇を噛み締めた。  
 
実物を見るのは初めてだが、数年前に一度だけ図鑑で見た。  
スライムのようなぶよぶよとした物体に包まれた種子は、  
そのスライムに含まれる栄養を摂取して育つのだという。  
そして繁殖期になると手近な所にいる動物の雌に種子を植え付けるのだそうだ。  
おぞましい運命に、ネプチューンは身震いした。  
そしてなにか対策はと考える間もなく触手が太ももに絡み付く。  
敏感な部分を這う感触に、びくんと体をはねさせる。  
「……っ!」  
そんな自分の反応がとても不愉快で、  
目の前を挑発するかのように動いている触手に思いきり噛み付いた。  
ぎりぎりと歯を立てると、その傷口から苦い粘液が滲み出てくる。  
「んっ……んー……」  
吐き出そうとしても、口の中の触手が頑固に栓をしていて叶わない。  
そのうえ、粘液の分泌が止まる気配はなく、段々苦しくなってきた。  
と、その時、腕に絡み付いていた触手がちょいと脇腹をなぞった。  
勢い、口の中にたまっていた粘液を飲み込んでしまう。  
食いちぎって触手の先端を吐き出すが、もう遅い。  
飲み込んでしまったものはどうしようもない。  
食いちぎられた触手が緑色の粘液を滴らせながら、ネプチューンの体に近付く。  
「いやぁっ」  
拒絶の叫びなどものともせず、触手が豊かな乳房に巻き付いた。  
白い肌の上を緑色の粘液が滑る。  
そしてその粘液を塗りたくるかのように別の触手が動き回る。  
「あ、あぁっ」  
触手の動きによってふにょふにょと乳房が変形する。  
どうにか逃れようとするが、執拗に迫ってくる触手にどうにもできない。  
いや、それどころか、心の奥底でもっとと叫んでいる自分がいる。  
体が動くのも、逃れるためというより更なる快楽を求めているようにも思える。  
 
「はふっ、はんっ」  
いつしか、ネプチューンは固く尖った乳首を擦り付けるように動いていた。  
電流が流れるような快感が体全体に走る。  
プライドの高い彼女にとって、それは普段ならとても屈辱的な事だったはずが、  
今はどうでもよくなっていた。  
理由は考えるまでもない。  
軽々しく触手に攻撃を加えた自分に心の中で毒づきながら触手の愛撫を受ける。  
しかし、もしあの場面で触手の粘液を飲み込まなければ  
ここまでの快楽を引き出されなかっただろうと思うと残念な自分を発見し、  
愕然とする。  
もうどこまでが粘液の効果なのかわからない。  
そもそも、粘液には催淫効果などなくて、  
元から自分が淫乱なだけだったのかもしれない。  
「あっ、んんっ」  
その証拠に、自分はこんな気持ちの悪い化け物に体を弄られて  
快感を得ているではないか。  
休まる事のない触手の愛撫に喘ぎ声をあげながらも、  
ネプチューンは悔しさに唇を噛み締めた。  
そんな内心の葛藤など、当然化け物にわかるわけもなく、  
化け物は脚に巻き付いていた触手を動かし、ネプチューンの脚を開かせた。  
そして充分に潤っているそこに先ほどの傷付いた触手が粘液をすり付ける。  
固まりかけていた傷口がちょうどいい刺激になって、  
さらに蜜が溢れ出る。  
ネプチューンの愛液と触手の粘液が交わりあって淫猥な音が響く。  
「やっ、んんっ……」  
腰をくねらせながら声をあげる。  
それに合わせるようにして触手も動く。  
一番敏感な箇所を擦られ、もう我慢が出来そうにない。  
 
と、そこに、湖の底からひときわ太い触手が現われた。  
先端に穴が開いている所から察するに、  
これが種子を産みつける役目を果たすのだろう。  
身構えるネプチューンだったが、もう抵抗する気はなかった。  
彼女自身、恥ずかしい箇所がひくひくと動いているのを自覚しているのだ。  
触手の先端が正確に入り口を捉え、中に入っていった。  
「あっ、あぁーっ!」  
簡単に達してしまった彼女の中を、更に触手がかき回す。  
さらに、敏感になってきた彼女の乳房やその尖った先端、  
それにクリトリスなどに他の触手が絡み付く。  
「はあっ……あぁっ……」  
感じ過ぎて息が苦しい。  
中に入っている触手が前後に動きながらも奥へ奥へと入っていっているのがわかる。  
それに加え、無意識に閉じてしまった脚の内側を触手が這う感覚。  
二度目の絶頂に達してしまいそうだ。  
やがて、中の触手の動きが止まった。  
「うっ、あぁっ……」  
触手が収縮しながら中に種子を送り込む。  
苦しさと快感の両方でネプチューンは呻いた。  
そして種子も出尽くしたのか収縮は終わり、再び触手はピストン運動を始めた。  
「ふっ、ふあぁっ」  
じゅぷじゅぷといういやらしい水音を聞きながら、  
ネプチューンの気持ちは二度目の絶頂に向けて高ぶっていった。  
そしてそれに合わせるように、今度は勢い良く、何かが中に放出された。  
「んん、あんっ、あぁーっ!」  
叫びながら、ネプチューンは意識が遠くなっていくのを感じた。  
 
 
「……ん」  
意識がはっきりした時には、もう夜だった。  
頭上には満天の星空。  
湖のほとりに横たえられていた体を起こす。  
なんとなく、腹の奥になにかが入っている感触がした。  
確か、あの化け物の種子は早ければ3日、平均でも一週間程度で産み落とされるという。  
ネプチューンは誰にも見つからない場所を探すべく、よろよろと歩き始めた。  
 

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