「何をしているんです!悟空!置いていきますよ!」  
「ちょ、ちょっと待ってお師匠様〜!」  
 
俺の名前は孫悟空。お師匠様と共にありがたーいお経を持ち帰るため、こうして旅をしている。  
はっきり言って俺はお師匠様の事が好きだ!だから一緒に旅が出来るのは嬉しい。  
・・・・まぁその他にも使えないブタやカッパもいるわけだが。  
 
「おいっ悟空!早くしないと置いていくぞ!」  
あぁ河童がうるさい。  
 
「全く、そんな所で用を足すなんて・・・」  
あぁ豚がうるさい。  
本当はチビノリダーのくせに  
 
「今行くっての!・・・・・・・・・・よしっ」  
用も足し終えた俺は皆の元に戻ろうとした。その時だった。  
「・・・・!?地面にヒビがっ!あっ!」  
なんとお師匠様の足の下に地割れが出来ていた。  
地割れはどんどん大きくなり、たちまちお師匠様はその地割れた中に落ちそうになった。  
「お師匠様!」  
俺は落ちる寸前のところを捕まえようとした。  
が・・・・  
「うわぁぁぁぁっぁぁぁっぁ!!」  
「あぁぁっぁあああぁぁぁ!!」  
俺は勢いが良すぎたせいか誤って穴の中に2人で落ちてしまった。  
「お、お師匠様ーー!!」  
「悟空ーーーー!!」  
沙悟浄と猪八戒が叫ぶ。本当に全く使えないな・・・奴らは。  
 
どのくらい時間が経ったのだろうか?俺は生きていた。  
「・・・・イテッ・・・。」  
起き上がるとさすがに節々が痛かった。しかし、幸いにも大きな怪我はしていないようだ。  
「どこだよ、ここ?」  
周りを見渡すと森のような場所に俺はいた。周りは一面に木ばかりで他には何も見えない。  
俺はどうやら木の上に落ちたから助かったようだ。  
ふと周りの木を見渡すとひとつの白い布が横の木にひっかかっている。  
(・・・あれはもしかしてお師匠様の・・・?)  
「・・・!お師匠様!?」  
その木のすぐ下にお師匠様は倒れていた。俺は急いで木を降り、駆け寄った。  
「お師匠様!お師匠様!!」  
「・・・・・・・・う・・・・悟空?」  
お師匠様はただ気を失っていただけだったようだ。  
「・・・紗悟浄と、猪八戒はどこに?」  
「あいつらは落ちてないから、多分違う場所に。」  
「・・・そうですか。こんなところでグズグズしている暇はありません。  
早く猪八戒と紗悟浄を見つけに行きましょう。・・・っ!!」  
お師匠様は立とうとしたが、右足に引きずられて座ってしまった。  
「お師匠様!」  
それもそのはず、お師匠様の右足には木の枝が刺さり、血が滲んでいた。  
「・・・っ、このくらいの傷、なんてことありません。っつ・・・・!」  
お師匠様は刺さった木の枝を無理矢理抜き、手早く白い布で結んだ。  
白い布はみるみる血で赤く染まっていった。  
「・・・・さあ、行きましょう。」  
お師匠様はいつもの調子でそう言ったが、明らかに表情は硬く、顔色も悪かった。  
「お師匠様ー無理すんなって!俺がお師匠様のことおんぶしてやるよ!」  
「おっ、おんぶだなんて・・・・そんな・・・そんなことは出来ません!」  
なぜかお師匠様は動揺し、すこし顔も赤くなっていた。  
「そんな別に遠慮することじゃないーって!」  
「で・・・ですが・・・。あ、歩けます!歩けますから!・・・つっ!」  
またお師匠様はつまづいて倒れてしまった。  
「・・・・・・・・・・・・・・・・」  
森の中で長い沈黙が流れる。  
 
「全く、最初からこうしてれば良かったんだって!」  
「・・・・すいません。」  
結局お師匠様は負けて、素直に俺の背中におぶさっていた。  
「・・・重い、ですか?」お師匠様は恐る恐る聞いてきた。  
「重い。すっげー重い!」俺はわざとこう言った。  
「!!悟空っ!!」  
お師匠様は少し怒ったが、自分はおんぶしてもらっているせいか  
あまりいつものような調子では怒らなかった。  
 
でも、本当に俺は初めてお師匠様をおぶった時、  
今まで女性をおんぶしたりする事が無かったため、あまりの軽さに驚いた。  
 
それに、さっきからお師匠様の息が耳にかかったりとか。  
背中ごしに当たる胸の感触とか。  
なんか漂ってくる良い匂いとか。  
太股の柔らかいぷにぷに感とか。  
 
(なんかムラムラしてきた・・・)  
 
俺は初めてこういうシチュエーションでお師匠様と2人でいることに気付かされた。  
今までブタとかカッパとかリンリンとかいう奴らが邪魔ばっかりしてきたからな。  
まぁ今は2人きりだしそういう状況になってもいいというか・・・グヘヘ  
 
と、俺がムラムラしている状況なんか気付かずお師匠様は言った。  
 
「悟空・・・ここは何処なんでしょうか?」  
「うーん多分落ちたから上に行けばいいんじゃ?」  
「そういう問題なんでしょうか・・・・」  
 
お師匠様は少し不安げな表情でいた。  
しかしその後この不安は的中する事になる。  
 
つづく  

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