「っ……………ぅ…はぁっ……!」
声を抑えるために布をかみ締めた唇から、甘さを含んだ吐息が部屋に響いた。
思わず大きな声が出てしまったことに激しい羞恥と自己嫌悪を
覚えながらも、自身を慰める手を止めることが出来ず、自己に対する嫌悪感は
ますますつのっていった。
その嫌悪感と共におし押せる快感に表情を歪めながら、より強い快感を得る為に薄い
法衣の上から柔らかな膨らみの上に実る突起を擽る。
「…ぁ……ッう……んぅ……はぁ……は…っ」
自信を擦りあげる手のスピードが増し、絶頂へと達しようとした…まさに
その時だった。
「三蔵さんってば、こんなことしちゃってていいの?お坊さんなのに〜」
あられもない姿で寝台に横たわり、夢中で自身を慰めていた三蔵法師に突然、凛凛が声を掛けた。
「り…凛凛さん!……いつからそこに……」
「いつって?ずっと居たわよ。三蔵さんの性別、疑問に思ってたんだ。
それを確かめよっかな〜って思って、部屋に忍び込んだの」
と、悪戯っぽい笑みを浮かべながら悪びれることなく答える凛凛。
三蔵はあられもない姿を見られてしまった羞恥と、行為に没頭し部屋に侵入された事を
気づくことができなかった自分に不甲斐なさを感じて泣き出してしまった。
「うぅっ……情けない………」
そんな三蔵を見つめながら、追い討ちをかけるように凛凛が言った。
「まさかこんなのが見られるだなんてね……ふふふ。まぁ、お坊さんだって欲求不満
にもなるわよねぇ」
「わっ……私は……そのような………」
「ねえ、手伝ってあげましょうか?」
「なっ、何を言うのです?!凛凛さんっ、お気は確かですか?」
全く予期せぬ凛凛の言葉に驚きを隠せず、思わず声をあらげた。
思えば生まれてこのかた、男性とも女性とも関係を持ったことが無かった。
いや、僧侶として生きていくのであればもっては、 いけない。
女性でも男性でもないこの体ならば、むしろ、それは都合の良いことであると
思って…否。そう言い聞かせて生きてきた三蔵法師にとって、それは信じられない
言葉だった。
(私は試されているのでしょうか……)
「一人でするよりずっとイイと思うわよ?」
そんな三蔵の心中を知ってかしらずか、三蔵の返事を待たずに、そっと三蔵自身を
手のひらに収め、やさしく擦りあげながら三蔵の耳元で囁いた。
自分で触れるのとはまた違う、柔らかな指の感触と絶妙な力加減にびくっと体を震わせながらも、
その快感を振り払うかのように首を振りながら言った。
「っ…!いけません、凛凛さん…このようなことをなさっては……」
「天竺にいけなくなるって言いたいの?関係ないわよ、ちょっとくらい」
「そ…そんな…ッ!」
三蔵の思いとは裏腹に、凛凛の手中に収められた三蔵自身が柔らかな手のひらの感触に
反応して、徐々に熱い血液が集まっていった。
「反応してるじゃない、どう?気持ちいい?」
「………汚い……ですから…ぁ、くぅ…っ」
「汚くなんか無いわよ。実はね、私も欲求不満だったのよ。一緒に楽しみましょう?」
で……でも、私なんかじゃなくて……こう言っては失礼かもしれませんが……
凛凛さんなら、もっと素敵なお相手が………」
「そりゃそうだけど、いくら欲求不満だからって見ず知らずの男なんかとはしたくないもの。
だからって河童はしっつこそうだし、猿は早そうだし、豚なんかは問題外だし!」
「た……確かに……って、いえ……なんでもありません………」
「だから、ね?ほら、気にしないの!」
「っ………!ん…………」
まだ何かを言おうとする三蔵の唇を、凛凛の唇が塞いだ。
そっと下唇を食み、舌を侵入させるとくちゅっと湿った音が部屋に響いた。