リムルルが転がり込んでくる前の話だ。  
 
うら暖かい日曜日、漏れは誰もいない部屋でボーっとしていた。  
携帯が鳴る、色宮さんからだ・・・・。  
 
「はい」  
「もしもし、O君?」  
「そうですが、何か?」  
「・・とっても恐縮なんだけど、今あいてるかしら?」  
「はぁ、暇ですが」  
「悪いんだけど新宿のO急の地上改札まで出てきてもらえないかしら?」  
「解りました、12時までに逝きます」  
色宮さん  
色宮 雅 漏れの先輩だ。  
車好きが講じてこの業界に入ってきた人だ。  
背が高くてスタイルがいい、営業所内の紅一点で、みんなの憧れの的。  
 
 
10分後、漏れは新宿のロータリー地下にいた。  
O江戸線ができてから新宿が近くなった・・・・。  
 
エスカレーターを上って地上改札口に出た、学生の頃は毎朝O急を使っていたな・・・。  
今から考えれば、あの頃が一番良かった、年末ヒマでコミケにも絶対参加できたし。  
漏れはシガリロを取り出して火をつけると、壁によっかかった。  
日曜日だというのに相変わらず新宿は人がたくさんいる。  
部活帰りだろうか、グチャグチャのブレザーにかかとを踏んだルックスのよくいるBボーイ  
暑苦しいカップル、老夫婦、みんな幸せそうだ。  
漏れはこの頃、独り者暦20年を突破してしょげ返っていたので、なんだか世の中見るものすべてが眩しかった。  
 
時間は11時40分、いささか早すぎた。  
パタパタと、小さな女の子がこちらに走り寄ってきた。  
「おじちゃん、タバコ吸っちゃ駄目だよ、ここはキンエンなんだよ」  
「・・・・・・お、おお、そうだったな、ごめんよ、いい子だね。」  
「・・体に悪いよ」  
その娘はそう言うと、どこかに走り去ってしまった。  
「おじさんはないよ・・・。」  
そう独りでつぶやいた  
 
「O君?」  
「ああ、どうも」  
色宮先輩が現れた  
「行きましょう」  
「はい」  
言葉少なに会話を済ませると漏れは先輩についていった  
先輩と漏れは前にもこうして何回か会っている。  
向こうから誘ってきたり、こっちから誘ったり。  
 
地下道を数分歩いて、東口側に出る。  
人通りの少ない路地、色宮先輩がいきなり漏れの前に突っ立つ。  
 
「どうしたんですか?」  
「・・・・・」  
じーっと漏れを見つめる先輩  
「?」  
いきなり抱きしめられた  
「冗談はやめてください」  
「・・・・・・・」  
「先輩・・・・。」  
 
ちゅう、と音がした。  
首筋が吸われる感触  
「・・・・ごめん」  
「・・・先輩」  
「・・・・」  
「気にしないでください」  
その後はよくわからないけど、なぜか自分の部屋にいた。  
横には先輩が横になっていた、どうやら二人でしこたま飲んだらしい、頭が痛かった。  
 
まさかと思ったけど、それはなかった。  
その後、先輩との関係は今も良好に続いている、特に何するでもなく、口付けからはまったく進行していない。  
さて、リムルルのことをどう説明しようか・・・。  
 
 
金曜日の午後、仕事を済ませた漏れと先輩は足早に待ち合わせの場所へ急いだ  
師走の街はだれもがあくせくと早足で歩き回っている  
今日はリムルルの服を買いに行く予定だが、さすがに女の子のファッションは解りかねる・・・  
で先輩に着いてきてもらったわけだ。  
 
「リムー!」  
「±∞*@%〜〜!(おにーちゃん)」  
「あの子?」  
「ええ、謎のアイヌの女の子です」  
先輩は小さい女の子に弱い、一気に恵比寿顔になった  
「…転がり込んできたって言うのは本当なの?」  
トテトテとリムルルが走ってきた  
「ええ、俄かに信じがたいでしょうけど、本当です」  
「±£≠¥*!(いこ〜よ〜)」  
「よしよし、わかったわかった」  
「可愛いわね…」  
きょとんとしてリムルルが先輩を見上げた  
「−∞≦£*?(この人だれ〜?)」  
「あぁ…何ていえばいいのかな」  
「あだ名でいいわ、色よ、よろしくね」  
「うん、色さんだよ、リム」  
「よろしくぅ!」  
リムルルは漏れの教えた現代語を使ってくれた。  
 
さて、ファッションといっても十人十色だ  
漏れはジーンズにはかなりうるさい方だがそれ以外にはさっぱり…  
「+@¢¥〜!(これ、イイ!)」  
恐ろしい、15万もする着物だぞ  
「いい生地ね」  
「こんなの買えませんよ」  
先輩真剣に生地を見つめている、本当に買う気か・・・・  
「やっぱりユニクロか無印かしら…」  
「無印はともかく…ユニクロは・・・。」  
「ねぇ・・・あとはGAPかな?」  
「ディオールオム、イブサンローラン、バーバリーブルーレーベル、O2、Y’s・・・・」  
先輩・・・・それは自分が欲しいだけでは?  
「まぁ無難にGAPでも逝ってみませんか?」  
「&#%$!!(はやくぅ!!)」  
「そうね、GAPあたりが無難ね」  
 
すたこらと新宿の南口をでて、ガードから降りるとすぐにGAPについた。  
・・・そういえばリムルルはまだ服が自分で着れないんだ。  
「どうしたの、黒子君」  
「いえ、何でもありません」  
先輩に着せてもらうか・・・。  
 
さて、まずはTシャツだな  
無難にクルーネックで逝こう  
 
「この子、明るい色がよさそうね・・・水色」  
「$&#’!(赤!)」  
「先輩!外出の時だけでいいんですからそんなに取らなくてもいいです!」  
「あら、これあたしのよ。」  
手際がいい、さっさと自分のも選んでしまった。  
「サイズ大きいんですね」  
「・・・・胸」  
「#&”(¥&$!!(色、胸おっきぃ!!)」  
「・・・・」  
さて、ご希望どうり赤い奴を試着しよう。  
先輩・・・会計に行っちゃった。  
 
仕方が無い、漏れが着せてやるか。  
試しにリムルルだけ試着室に入れてみる  
「#$’”〜」  
鼻歌交じりに服を脱ぎ始めた、こら!カーテン閉めろ!  
漏れがいなきゃ駄目みたいだ・・・・仕方ない。  
 
上半身素っ裸のリム、それにTシャツを着せるだけ・・・・・  
「#’&”¥!!!!(えっち!!)」  
「うぐぐ、可愛い」  
真っ白な肌、ほとんど無い胸。  
「%"$%&”%・・・・(あんまり見ないでよぅ・・・・)」  
「ごめんごめん」  
「・・・・まだなの?」  
「げ!」  
先輩、試着するのはいいけど順番が逆・・しかもブラジャーだけで出てこないでくださいよ・・。  
 
 
やれやれ、先は長そうだ・・・。  
 
 
「#&%〜〜」  
「うん、いいと思うよ、かわいいかわいい」  
リムルルはひらひらしたピンク色の下着を漏れの顔の前に広げた。  
「&$’”*」  
「まだだめよ、帰ってからね」  
「いや先輩、買ってすぐでも」  
「・・・犯罪者になるなら社会を棄ててからにしなさい」  
冗談ですよ。  
 
それにしても女物の下着というのは不思議な物で見ているとなんだか微笑ましくなる性質を持っているようだ。  
我々男性陣にとって女物の下着というのはエスカレータの下から覗き込むぐらいに貴重なものである。  
だが男物の下着は違う、男ならだれも自分の下着を見て満面の笑みで微笑むことはできないだろう  
考えてみていただきたい  
あなたの目の前にいきなり加藤茶が現れて、顔の前にゴムのヨレたブリーフを広げられた挙句  
「あんたも好きねぇ」などといわれた日にはどのようにしてその日一日を過ごせばいいか解らなくなるほど  
落ち込むこと間違い無しだろう。  
〜余談終わり〜  
「女物下着三点、2500円になりまつ」  
「・・・高いんだね」  
「ヲホホホ・・・娘さん?可愛いわねぇ」  
 
「・・・・」  
「・・・・ふぅ」  
「##”&$(はやくぅ)」  
 
先輩はリムルルにハァハァしっぱなしだし、場が凍りついたのは言うまでもあるまい  
 
さて、冗談をかましながらレジをすませた漏れたちは、O江戸線に乗ろうと思い出横丁の前をうろついていた  
「課長から聞いた話なんですけどね、ここら辺一帯の飲み屋群ができた当時  
そこら中にうろついてた野良猫とか野犬が一週間足らずで居なくなっちゃったそうですよ。」  
「黒子君、あたしこれから食事なのよ」  
「怒らないでくださいよ」  
「*‘@」  
「ああ、それがね、ここら辺の(中略)野犬(中略)・・・だよ。」  
「@l+#$&」  
「おいしいの?狼」  
「&#%%$?:‘P‘」  
「へぇ、お姉さんが言ってたんだ、狼ねぇ」  
「・・・今日は夕ご飯抜こうかしら」  
・・・ごめんなさい。  
 
さて、漏れ達は先輩と別れて、O江戸線に乗り込んだ  
漏れの駅、U駅は乗ったらすぐだ、疲れて寝てしまったリムルルと、大量の衣料品を抱えて電車を降りた・・・・。  
 
 
ご飯をすませて、買ってきた下着を履いてみることにした…  
「◇*&£〜」  
「自分で履かなきゃだめだよ」  
「∞#〜…」  
「わかったよ、明日からはちゃんと履けよ。」  
そう言うと漏れは袋からシンプルな白いパンツを取り出した  
「さ、リムルル、キュロットぬいで。」  
「#¢@」  
「スケベじゃないよ、ほら、脱ぎなさい」  
 
するりとリムルルはキュロットをぬいだ  
引き締まった足、スレンダーな躰、きっと自然のなかで生きて行くと、ごく普通にこうなるのだろう  
「¢…¢%*●÷…」  
「ごめんね、じろじろ見て、さぁ足をあげて」  
「あっ…」  
 
片足をあげたと同時に、リムルルはバランスを崩してこっちに転んだ  
倒れないように抱えてやる。  
 
「£#*…おにぃちゃん」  
「リムルル大丈夫かい?」  
この娘、最近漏れのことをやっとお兄ちゃんと呼んでくれるようになった…  
 
目と目が合う、とたんに二人とも何かおかしくなって笑った  
「£¥¢@∞!」  
新婚さんみたい、とリムルルが言う。  
そういえば、漏れは今までこの娘をそう言う見方をした事がなかった  
急に現代に来て、右も左もわからないだろう、この娘はこれからどうするんだろう  
この年頃なら恋をしてもおかしくない…ちょっと可哀相になってきた。  
 
漏れはリムルルの頭をくしゃくしゃ撫でると、パンツを履かせてやった  
リムルルは大急ぎで鏡の前へぱたぱたと走っていった  
 
本当に可愛い娘だ、一体漏れの理性がどこまで持つだろう…  
 
 
敷き布団をしいた漏れは掛布団を取ろうと押し入れをあけた、その時だった。  
 
「¢%$&!」  
リムルルの悲鳴が聞こえた  
「どうした!リム!」  
…目を押さえている、ははぁ、顔を洗おうとして石けんを目に入れたな…  
一芝居打ってやるか…  
「%$#〜」  
目が〜、と充血した目でリムルルはこっちをみた  
「目を見せてみな…大変だ、ムスカ症候群にかかったな!」  
「£&¥!!」  
「そう、重病だ、注射を打たなきゃな、痛いんだよ、ムスカ病のは」  
「ちゅーしゃ?」  
 
注射の恐怖を知らぬとはおめでたい  
 
「針を刺すんだ、太い奴を」  
「…;…¢◆☆∞!!」  
「アニメじゃないさ、ホントの話(棒読み)」  
「…や、イヤ〜〜!」  
 
あーん、とリムルルはへたりこんだ  
可哀相になってきたな…ネタばらしとしよう  
 
「ウソウソ、目ぇ洗えば治るって」  
「…え?」  
「ごめんごめん、おもしろいから、つい」  
「∴¢*¥!」  
 
本気で心配していたようだ、リムルルはお兄ちゃんのバカ!  
と叫ぶと、布団に突っ込んでそのままふて寝を決め込んだ。  
 
顔を洗いおわって所在のなくなった漏れはその隣の布団に横になる。  
 
電気を消す  
真っ暗だ  
「¢%°¥」  
不意にリムルルが話し掛けてきた。  
「どうしたんだい?」  
 
リムルルは無言で漏れの背中に抱きつく、そして一言だけ  
一緒にねていい?  
と聞いた  
 
いいよ  
 
それから漏れとリムルルはぐっすりと眠った  
明日は休みだし…  

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