「んんッ……んっ」
きつく合わせた唇の、なんと柔らかいことか。
「ふっ……ふううッ」
外には一切が漏れぬように合わせたその中で絡みつく舌の、なんと甘いことか。
「……!んんん……ふっ」
徐々に高潮し紅色に染まりゆく肌、接吻を始めて数秒だというのにもう荒げられた鼻息。
立ったままではもう何もできぬと首に絡められた細い腕……。
「んっ……ナコルル、どうした、もう我慢できなくなってしまったのか?」
唾液にまみれた唇を離し、シカンナカムイはそう問いかけた。
ナコルルはおあずけをさせられた犬のような、途方に暮れた顔で接吻の続きを求めている。
この接吻を求めてきたのは、他でもないナコルルの方からだった。
「ようやく儀式は整うたばかりぞ?見よ、ナコルル」
二人は身を寄せ合ったまま、暗闇を照らしている唯一の光源の方に視線を向けた。
本来であれば、この地の果て――悪しき闇の心を持つものと、神だけがその位置を知るこの
場所には、どんな光も生まれるはずは無い。だが今は、白みがかかった緑色の光が、この空間に
そびえ立つ天井知らずの巨大な鋼鉄製の門を、その根元からあおるように照らしている。
「魔界門……何度見ても馬鹿馬鹿しいほどの大きさよの」
誰がこの場所にそれを作り、いつ開いたのか、またどのようにして閉じられたのか、その歴史は
シカンナカムイさえも知らない。ただこの門の向こうには、想像を絶する狂気と、そして破滅が
封じ込められているのは確かだった。門の向こうから漏れ出して来る吐き気をもよおす瘴気が、
それを物語っている。
門には、人間の身体を二束にしたぐらいの太さのさび付いた鎖が幾重にもかけられており、
例えどんな衝撃が加えられようとも、その巨大な扉が開くような気配は感じられない。
もはや開く機能は失われていると言っても過言ではないだろう。
決して開いてはならない門、何人たりと、開くことを望んではならない門。
だが――
「もうじきだ。機は熟し、万事整うた」
強い確信と少々の嘲りを込めて、シカンナカムイは黒々とした門へつぶやいた。そしてまぶしさの
無い、しかしどこまでも届く強さを持った光の真ん中に目を凝らす。
妖しく透き通った球体と一人の少女が、海中を漂うくらげのようにふわふわと宙に浮いている。
球体は少女の頭の上にあり、白と青の装束を着た少女は球体に見えない糸で吊るされているかの
ように小さな頭を垂れ、四肢をぶら下げていた。その全身からは、カムイの森に季節はずれの
芽吹きをもたらしたあの暖かな光が今もなお溢れ出ており、全ては球体の中へと吸い込まれ、
その輝きに一層の強さを与えていた。光の筋は、まるで球体に無理やりに搾取されているかのようだ。
だが、まだまだ足りないとシカンナカムイは感じる。
カムイの森で目の当たりにした力は、あんな物ではなかったのだ。
「てこずらせおって。あの娘、予想以上に固く心を閉ざしておる。せっかくの力も、そうは
簡単にすべて引き出させては貰えんと見えるぞ……。ナコルルっ!」
シカンナカムイは乱暴な言い草で、ナコルルの両の乳房を服の上からがしっと掴んだ。
「あっ、うあ……!あァ!」
弾力のある手応えと、悲鳴にも近い喘ぎとがすぐに返ってくる。
「コンル然り。お前たちは、あの娘に一体どんな躾を施したのだ? うん??」
「くあっ、あっ……あああっ!」
「こんなにも従順な姉を持ちながら、妹は随分と頑固なものよのう」
くいくいと指の腹に力を込め、乳房を外側から内に集めるように軽く揉みしだいてやるだけで、
乳頭に被せた手の平には、早くも突き出た感触が現れはじめる。
「ふむ……この素直さこそ、真先に受け継がねばならなかった事だったのにのう?儀式を
終えるには時間がかかろうな。一昼夜……否、三日三晩かかるやもしれぬな」
「はぁ……はぁ……あ……ああ」
「だがまあ良いわ」
服の上から親指で擦り付けるように乳首をこねまわしながら、シカンナカムイはナコルルの顔を
眺めた。ナコルルは胸への攻め、しかも布一枚を通しているというのに、快感にたるみ切った顔を
している。完全にカムイの手管に酔いしているのだ。
「ふふ……感じておるな?」
シカンナカムイはナコルルの胸元のあわせに手をかけ、勢いよく左右に開いた。
少女の若さと、ひとりの女としての成熟を予感させる美しく白い両胸がぷるりと飛び出る。
乳房はまるで、高い位置で絞めた赤い帯に支えられているかのように形良く上を向き、しかし
硬さとは無縁な、見るからに柔らかそうな弧を描いていた。
「ふむ……この肢体を三日三晩しゃぶり尽くせるのだと思えば、それもまた良し!」
言うや、シカンナカムイは既に固く立ち上がったナコルルの乳首を口に含んだ。
「ふやあぁぁ!あっ……あー、あーっ」
子供の小指の先ぐらいはあろう頂の感触を確かめるように、ころころと舌先で弄んでやると、
ナコルルは過剰なまでに反応を見せる。滑らかで触り心地の良い胸を下からぎゅっと揉み上げ、
もう片方の乳首もくりくりと指で挟んで遊んでやる。
「くう……う……」
指の動きの小さな変化の一つ一つさえ見落とさぬよう、ナコルルの身体は与えられる全てを
感じ取り、喘ぎに変えてシカンナカムイに快感を訴える。
――我ながら、恐ろしい出来よ。
快楽の虜、堕落し切った大自然の巫女の顔に、シカンナカムイは満ち足りた気分だった。
ナコルルの魂のうち、彼女自身の感情や心といった部分はあの宝珠に封じ込め、大自然を
崩壊の危機から救い出した力は、カムイの森の大樹に満たされている。
その上でシカンナカムイは、ナコルルを自分の声にのみ付き従うようにし、時として自らの
手で操つれるようにした。リムルルをだまし捕らえるのも非常にたやすい事だったし、こうして
ナコルルを肉欲の赴くままに男を求める「雌」に貶める事さえ造作も無い。
「リムルルと言ったな、お前の義理の妹は」
シカンナカムイはナコルルの胸から唇を離し、宝珠の虜となっている少女の名を口にした。
「あれはどうしたものかの?顔立ちは整ってはおるが餓鬼よのう。胸も尻も硬く青い。お前の
ように芳しい香りがせぬ。秘めた力は莫大だがそれだけの事……ほ、『月のもの』さえ、
まだと見えるわ」
「はぁ……はぁ……」
「だが、感謝せねばならぬ。あやつのお陰で、全てが終わりし後も、我はお前を我が物と
する事が出来るのだ」
リムルルが放つ明かりに照らされた、限界にまで感度の高まったナコルルの乳房が、切なげな
息遣いに上下する。
「あの娘は……そうよの、儀式の後に抜け殻となった肉と命は、魔界の輩にでもくれて」
「あぷっ……!ん……ん!」
愛撫が止まった事への抗議か、ナコルルは突然、シカンナカムイの薄い唇全体を覆い隠すように
口付け、ずるりと舌を滑り込ませた。完全にひとつとなった口腔の中で、表裏関係なく舌が
絡みつき、その奥にある欲望を引きずり出そうとしているかのように踊る。
清純そのものな見た目とは裏腹な肉の温度と感触は、雄を誘う雌の所業である。
淫らな毒を仕込んだかのような痺れる接吻と、扇情的な瞳の魔力に、シカンナカムイは何を
話そうとしていたのかも忘れ、蛇のように長い舌でナコルルの口中を負けじとかき回した。
「ん……んっぐ!」
苦しげな、ナコルルの声ならぬ声が漏れる。舌まで震えているのが分かる。
手の平に吸い付くような餅肌の乳房と、しこり立ったその頂を、シカンナカムイはさらに
激しく押しつぶすかのようにこね回す。つねる。引っ張る。
「うんんんん!んんー」
胸からの刺激が強かったのだろうか、息苦しさと止め処ない快感に顔を真っ赤にしたナコルルは、
一瞬逃げ腰になりかけた。だがシカンナカムイはそれを許さない。
――ふふ……近いのだろう?接吻と胸への愛撫だけで果てるとは。
心の中でほくそえむや、指の痕がついてしまうのではないかと思うぐらいにきつく胸をつかみ、
そのまま自分の身体に引き戻してさらに激しく舌を絡め、むさぼりあった。
「ふっ、ふうううんッ……!」
ナコルルは口付けたまま首を左右に振ったが、それが最期の足掻きだった。
こぼれた髪が汗の浮かぶ頬に張り付き、膝から下をがくがく震わせたかと思うと、
「ううううう〜〜〜〜〜〜〜……ッ!!」
喉の奥までも舌で侵されたゆえの、こもり切った声だった。
ナコルルは後ろ手に回した爪先を、シカンナカムイの首に突き立て、肢体を硬直させた。
立っているのには必要の無い筋肉が時折痙攣し、しっかりと掴まれた乳房がその度に揺れ動く。
「愛い奴よの」
じゅるんと音を立て、シカンナカムイは折り重なっていた唇を離した。
「っは! はっ、はあっ、あっ」
目を白黒させながら、ナコルルはびくびくと震えるのに合わせて呼吸するのがやっとである。
激しい愛撫は、ナコルルを想像以上の高みへとさらっていた。彼女の身体のいたるところで、
今もなお強い快感が瞬いているのが、恍惚とした表情から読み取れる。
「お前の肉体は、まっこと破廉恥に出来ているのう。『魂を返した後』も、これならば永く
楽しめそうよの」
口を拭うために、シカンナカムイが胸を鷲掴みにしていた手をぱっと放すと、絶頂の余韻と
脱力に浸るばかりとなっていたナコルルは、ずるずると男の身体を両手でなぞりながらその場に
座り込んでしまった。立て板に打ちかけた水のようだ。
「はぁ……は……はぁぁ……けほっ、ごほっ」
乱暴な扱いを受け、赤く指の痕が残ってしまった乳房を震わせ、ナコルルが咳き込む。
「どうだナコルル?少しは温まったようだの」
声には絶対服従だ。ナコルルは、息を整えながらも苦しそうな顔のまま、こくりと可愛らしく
頷いた。だがそこでまた咳をした。けほけほと、控えめな声で。
底知れぬ暗闇の中、血の繋がらない妹の放つ光によって青白く照らされる、ぺったりとへたり
込んだ姿、咳のたびに辛そうに上下する肩、よだれに塗れた口元、喉、胸元……。
窒息しかけた上で絶頂を迎えたその姿はさながら病人のようだ。
だがシカンナカムイには、ナコルルのその姿が、愛撫と絶頂の連続を前に怯えながらも期待
しているように見えて仕方なかった。どこまでも健気で、従順で、貪りたくなる。
誰にも渡したくない。一目見たときから、そう思っていた。
「お前は我の物ぞ」
誰がなんと言おうと、そう決めているのだ。
だから、自分なしでは生きられぬ身体へと変えてやったのだ。
文字通り、この肉体から放たれる精気を糧としない限りは。
シカンナカムイの足にしだれかけていた両手を、ナコルルはそうするのが当然のように、
ゆっくりと男の股へと這わせる。
アンブロジァとの戦いの以前に、きっとそのような行為に至ったのだとすれば、それは赤子の
おむつを換えるときぐらいだったろうと、シカンナカムイは微笑ましく思う。それと同時に、
黒いとぐろを巻く独占欲に心を躍らせていた。
言い知れない邪な満足感が、瞬く間に「そこ」を充血させてゆく。
やがてナコルルの手がさらに根元へと伸び、それに合わせてシカンナカムイが晴れ着を脱ぎ
去る頃には、雷のカムイの男根は既に大きくそそり立っていた。
ナコルルの恍惚とした視線の全てが、一心に注がれる。
「さあナコルル、約束だ」さらさらとした黒髪を撫で、シカンナカムイがしっとりとした
声で囁いた。「身体の芯から温めるが良い……気の済むまで……おお」
許しが完全に終わらぬうちに、ナコルルは細い指で一物の先から根元までをなぞってゆく。
そしてそのままくるりと指で輪を形取り、太い根元を支えると、朱の唇を割って亀頭の半分を
緩く口に含んだ。
「う……おぉ」
唇同士で味わうのとはまた別な、包み込むような柔らかさだった。
下唇がおずおずと動くたび、裏の筋からじんわりとしたむずがゆいような快感が広がる。
「さあ、もっと深く……」
誘われるがまま、ナコルルは徐々に亀頭全体へ唇を覆い被せてゆく。あくまでもゆっくりと、
味わうようにしゃぶってゆき、そしてぱっくりと全体を含むと、口の中でゆるゆる舌を動かし始めた。
「くあ……おぉ……」
おもわずため息が漏れてしまうほど、ナコルルの愛撫は優しかった。動きは見えないものの、
あの可憐な桃色の舌が、亀頭のいたるところに唾液をまぶしてゆくのが分かる。柔軟なぬくもりの
塊がちゅるりと上を通り過ぎ、敏感な鈴口を舌先で軽く叩いて、今度はまた裏の筋をくまなく
いじくる……。
「良いぞ……そうだ……うっ、くうッ」
何枚もの舌で、同時の攻めを受けているかのような感覚だった。
嘗め回す舌の動きは緩やかでねちっこく、亀頭の出張りの裏へまでも届き、男根を熱い快感の
塊へと変えていく。今や勃起は完全なものとなっていた。ナコルルの両手で握り締めても、
さらに拳ひとつ分は余るほどの長さである。
「ナコルルっ」シカンナカムイは思わず、ため息混じりに女の名を呼んだ。「良いぞ、愛い奴よッ」
主が自らの唇で快楽に浸っているのをナコルルは上目遣いで見やるや、その熱い視線を結んだまま、
今度はゆっくりと頭を前後に動かし始めた。
ぐんと長く反り返った一物を、上からずるりと飲み込み、じゅるじゅると音を立て、吸い付き
ながら引き戻してゆく。しなやかな舌は竿に浮き上がった筋を追い、疼くような快感を走らせる。
「んくっ、じゅぷっ……じゅぽっ、じゅぽっ……じゅぷっ、んふっ……ン」
ナコルルの軽やかな黒の頭髪が揺れ動くその度に、闇の静寂が、ゆっくりとした粘着音と甘い
息遣いに彩られてゆく。
「うくっ、おお……良い、良い具合ぞ」
――何と、心地よいことか。
誰に教えられたわけでもなく、ナコルルはただ本能の赴くままにシカンナカムイの男を頬張り、
一心不乱にしゃぶり尽くしている。興奮に赤みが差した真っ白な頬が、ごろんと膨らんでは、
その口の中に含んでいる物の大きさを感じさせた。
ナコルルはゆっくりと、しかし絶えず頭を前後に揺らし続ける。この行為以外では得難い
優越感と快感が、ふつふつとシカンナカムイの下の腹で重みを増してゆく。
「そうだナコルル、『これ』が欲しいのだろう」
「んむ〜〜っ」
「ならばもっと励めい……うッ、そうだ、それでいい」
しかし、言うなりになっていたナコルルは男根をぎりぎりまで吸い込みながら、唇を離して
しまった。「ちゅぽっ……」という濡れた音と共に、湯気が立ちそうなぐらいに膨らんだ
亀頭がぶるんと闇に覆われた天を指す。
「何ぞナコルル?」快感に酔いしれていたシカンナカムイが、不満を漏らす。
「そう簡単に、褒美が貰えるとでも――」
ナコルルはてらてらと光る男根をうっとりと見つめたまま、今度は根元を支えていた指の
輪で竿をしごき立て、舌先でちろちろと鈴口を弄び始めた。
「くっ……おぉッ」
ぴりぴりとした刺激に一気に昂ぶろうとする快感を、シカンナカムイはすんでのところで
押さえ込んだ。
唾液を浴びた太い竿を、軽い締付けの指が滑らかに行き来する。心地よい滑らかな指が往復
するたび、透明な先走りが搾られ、二度三度と繰り返すうちに先走りは大きな玉となって、
鈴口から滴り落ちそうになった。
寸前、ナコルルは舌でそれをすくい取ると、ねちゃりと口の中に広げてみせる。
「くちゅ……ちゅるッ……あっ、はぁ……」
控えめに開かれた口の上下を、粘りの糸が何本も行き交い、空虚な美貌が一瞬だけとろりと緩む。
先走りの粘りをじっくり味わうと、ナコルルの愛撫はさらに続いた。
ぬちゅ、にゅる、くちっ……ちゅぷ……
いつ始まるか分からない男根の律動を促すかのような指の上下動は、根元で強く、先では優しい。
微妙な加減で強弱を繰り返しながら、一番敏感な裏の筋までを往復する。
一方で、舌も唇も休むことなく、シカンナカムイの怒張の一切は、淫猥な混合液で包まれて
乾く事がなかった。送られ続けるおねだりの視線も、シカンナカムイの脳をさらに激しく
煮え立たせていた。
「く……う……ナコルルっ……」
まるで計算づくのような完璧な愛撫に、妙な悔しさを覚えつつも、シカンナカムイは腹の下から
絶妙な感覚が急激に迫ってくるのを感じた。我慢は既に限界だった。
「ナコルルっ!そろそろくれてやるわッ……」
シカンナカムイは押し殺した声で叫ぶと、腰をぐいっと突き出した。
絶頂を前にしてパンパンに張り詰めた一物を、ナコルルも首に勢いをつけてしゃぶりつく。
雄の本能とも呼べる激しい腰の動きを、真っ赤にした顔で柔軟に受け止める。
「じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ」
音を立てるのを咎める者も、よだれだらけの顔を注意する者もいない。
ナコルルはさらに激しく淫らな音を立てて、太く張った幹を濡れた唇でしごきたてる。
「じゅるっ、ぷじゅ、じるっ」
「うお……お……出ッ」
「じゅぷじゅぷじゅぷっ……!」
淫らな口戯は、速度を増してゆく。
熱のこもったナコルルの喉の奥で、シカンナカムイの根元を快感が駆け上がった。
「はぁっ、はッ……くッ……出すぞ……ナコルルっ!」
シカンナカムイはナコルルの頭を掴み、腰を振り立てた。
最後の最後まで、この快感を味わいつくすために。
「さあ、ナコルルッ……褒美ぞッ……!」
「うんんんん〜〜〜〜ッ」
「我の高貴なる『精』……一滴たりとこぼすなッ!」
ずぼりと根元までがナコルルの口に埋められた瞬間、シカンナカムイの怒張が大きく脈を打った。
「出すぞっ……出ッ……うおおッ……!」
びゅるっ、どぷっ、びゅくっ!
「ふううううう〜〜〜んッ!!」
一発。二発……三発……!
煮えたぎった大量の精液が、狂おしい程の快感と共にナコルルの口中に放たれた。
苦しげな、しかし至福の表情でナコルルは溢れ出る精を飲み下していたが、すぐに限界が
やってきた。
「ぷわっ!はぁぁぁん!」
口中を大量の白濁液で満たしていたナコルルが一物から口を離した瞬間、飲み下せなかった
精が顎を伝い、細い首から胸へと小川を作る。しかしそれでもシカンナカムイの射精は勢いを
失わず、精の味に恍惚としているナコルルの顔面に乱れ飛び、さらなる褒美を与え続ける。
「お……おォ……!止まらぬうッ……ナコルルうッ……ナコ……っ」
女の名を口走るたび、新たな絶頂感と液弾が白い弧を描いて放たれる。
「あ……ぷぁ、はあ、ああん」
胸、頬、まぶた。次々と命中する熱い精液に髪の毛までもどろどろに彩られたナコルルは、
ふやけた笑顔で男の根元をしごき立て、片方の指ですくっては愛しげに口へと運び、ごくりと
喉を鳴らす。
「そうだナコルル、うっ、もっと、もっと出してやろうぞ……くうッ、あッ」
しゅっ、しゅっ、と上下する指の動きに合わせた射精の律動は、なおも止まらない。
「うお、おお……味わえ、好きなだけ……」
「んくっ……あ……あぁ……」
言われるがままに、ナコルルはシカンナカムイの精を口に運んでは、細い喉で飲み下した。
「ふっ、はは……」
――見るがいい、この姿。
シカンナカムイは、天の上でこの情事を見物しているであろう、古い神々に向かって勝ち誇った。
甘く熟れ始めた肉体、潤いある黒髪、心の無い空虚な状態でさえも映える、絶世の美貌。
――見るがよい、我らカムイを救う救世主たる少女の、精にまみれたあられもない姿を。
羨ましかろう、さぞかし、悔しかろう。ともすれば、怒りに打ち震えている短気なカムイ達も
いるかもしれぬ。
――だが知ったことか!
シカンナカムイはまたしても心の中で勝ち誇った。
ようやく射精が勢いを失い始める頃になっても、ナコルルはシカンナカムイの濃厚な樹液を
求めて幹をしごき、ねっとりとした滴りを逃さぬ様、亀頭にしゃぶりついている。
「そうだ……きれいに掃除するのだぞ、うぅ」
射精直後の敏感な男根の裏筋を舐められ、シカンナカムイは腰を浮かせた。
さらにナコルルはきゅっと唇をすぼめたかと思うと、
「じゅるるるるぅ」
ぱっくりと男根の全体を咥えたまま、精液をしぼりとるように吸引した。
「は、お、おぉ……」
費えたはずの精液が吸い出され、尿道をひりつかせるあの快感が蘇り、シカンナカムイは
思わず天を仰いでため息をついた。
自らの手でそうさせているとはいえ、三日三晩持つかどうか少し心配であった。
だが魂を失ったナコルルが生きるには、カムイの精を口にすることが必要なのである。紛れも
無い、このシカンナカムイの精が。
全てを終え、カムイモシリへと戻った暁には、必ず娶(めと)ると心に誓っているのだ。
誰が何と言おうと、果たさねばならない。
――この恋路、誰にも邪魔立てなどさせるものか。
しばし仰いでいた視線を戻すと、ナコルルは自分の身体に付着していた精液をきれいに舐め、
次なる行為へとシカンナカムイを誘うべく、座ったままもそりと下穿きを脱ぎかかっていた
ところだった。
脱衣のときに垣間見えた陰部が一瞬、リムルルの放つ光を受け、きらりと一筋の潤いを見せた。
シカンナカムイは、萎えかけていた己の分身が早くも熱くたぎり始めるのを覚えた。