「げへ、う、うまぞなおんなだなぁ」
ぶくぶくに膨らんだ腹、正視に堪えない醜悪な容貌
そして、血の臭い。
化け物としか形容できない『それ』を目の当たりにし、
女はその端正な顔を恐怖に歪ませた。
「こ、来ないでくださいませ!!」
女は震える手で小刀を抜く。しかし化け物の巨体の前では
爪楊枝も同然。化け物も女の持つ凶器など気にも留めず
近づいてくる。
「あ、あじがいいがなぁ、ふどももなんてやわらかぞでいいなぁ」
だらりと異常に長い舌が口から垂らされる。
よりいっそう強くなった腐臭に、女は体を竦ませた。
その一瞬。
甲高い金属音が響き、女の手から小刀が弾き飛ばされた。
「え…ひぎぃっ!?」
次いで襲い来る激痛。見れば右手のひらに大きな穴が開いていた。
「ん゙~、んめぇ!んめぇな゙ぁー!!」
耐え難い痛みにうずくまる女。化け物は女の血がついた自らの骨を
舐め上げ、歓喜の声を挙げる。
「ま、まずはふぐをはいでぇ、ぞれからたぁっっぶりなめでぇ、
やわっごぐなっでがらぁ、うんめぇどごがらぐぅんだぁ!!」
言うやいなや、化け物の腕が振るわれた。
鋭く尖った骨が女の着物を切り裂き、肌に赤い筋を残す。
「ひぃいっ!?」
新たに生まれた痛みと、自らの裸体を晒す羞恥。
女は短い悲鳴とともに逃げることすら忘れ体をかき抱いた。
「うまぞだぁ!うまぞだぁっ!」
化け物は喜びながら地面に手を打ち付ける。
ドンドンと土が鳴る音。と、それに呼応したかのように、
地面から無数の手が生え、女の体を拘束した。
「いやぁあっ!!」
骨だけのもの、蛆がわいたもの、どろどろに溶けたもの。
それぞれの異なるおぞましい触感に、たまらず逃げ出そうとする。
だが体のあらゆる場所に手が絡みつき、女は四肢を拘束された。
「まずはなめるがぁ」
人ひとりは飲み込めるような巨大な口から赤黒い舌が伸ばされる。
凄まじい長さと醜悪さを兼ね備えた舌。それが女の太ももに這った。
「うあっ!?」
唾液が足に付着した気持ち悪さに思わず声を上げた。
「ひ、い…きもち、わるいぃ…」
腐臭を放つ粘液を塗りこまれ、ザラザラした舌先が太ももに押し付けられた。
じゅるっ
「ひあぁあっ!?」
そのまま股、腹、胸、顔と一気に舐め上げられた。
「んめうぇ~♪」
化け物は満足そうに目を細める。
その味をより知りたくなったのか、化け物はさらに舌を女に這わせた。
「や、いや、んぷっ!」
柔らかい胸を乳首ごと舐り、それでも余る長い舌を女の口に挿れる。
「んむぅう……」
女はその舌を噛み切ろうとした。しかし、口に、いや、全身に力が入らない。
それどころか、化け物に舐められたところが熱く疼いてくる。
「おお゙、やわっごぐなっでぎだなぁ」
化け物は舌先の感覚に満足し、胸と口から舌を離す。
「んちゅ…ゲホッ!」
むせ返るような悪臭が口内から無くなり、残る唾液を吐き出す。
「ながもやわっごぐじないどな」
離した舌を今度は女の股に這わせる。
「ひ、やぁん!!」
先ほど舐め上げられたそこは、女の思っていたこととは別の感覚を返してくる。
ねとねとする粘液、膣と菊座を同時に舐め上げられ、臍の穴を舌先で弄ぶ。
「あ、や……くぅ!」
じりじりと湧き上がる不快感。決して感じるとは思わなかったそれ。
「あ、ふあ、んんん―――!!」
唾液が肌に染み込むたび、女はそれを振り払うように声を上げる。
それ。すなわち、
「ひ、は、あぁああぁぁぁ――――――!!」
――快楽。
自慰すら、ましてや絶頂すら知らぬ女は、化け物の舌で生まれてはじめての
快楽を、そして、悦びを刻み込まれた。
「あ、あぁ……」
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