まだガオウと言う敵がジャパンで戦を起こしていたときの話である。  
まだナコルルに恋をする前の話である。  
まだまだ未熟だった当時、そして初恋の女性・・・  
 
 
 
サムライスピリッツ「初恋物語」  
 
 
 
琉球王国、とても静かな所である。戦いを終えた一人の青年が歩いていた。  
服装は青い忍者の格好。髪の色は金髪、日本人ではない。  
そして、日本の忍者、服部半蔵のような忍者を目指す為に彼は日々修行を続けていた。  
彼の名前はガルフォード・・・  
だが、彼の傍にいるはずの相棒はいなかった。  
「パピー・・・」  
自分をかばって命懸けで助けてくれたパピー。  
パピーを助けてあげられなかった自分が許せなかった。だからもっと強くならなければいけない。  
その時彼は何か嫌な匂いを感じた。  
「血の匂い!!」  
誰かがケガをしているのか?周辺を見回す。次の瞬間、彼の目に映ったもの・・・  
二つの物体。それは大きな化け物と一人の小柄な女性だった。だが二人とも倒れていた。  
巨大な化け物が弓を何箇所か討たれた状態で倒れてた。体中からはドス黒い血が流れている。  
その時だった。みるみるうちに化け物の体が小さくなり、かわいらしい小動物の姿になった。  
だが、苦しそうに息を吐いたかと思うと次の瞬間その動物は二度と動く事はなかった。  
そしてそのまま崩れるように、そして煙のように小動物の姿は消え去った。  
ガルフォードはもう一人倒れている女性を見た。背中に切り裂かれた痕がある。  
さらに、背中から大量の血が流れていた。  
 
しかし動く気配は無い。だがガルフォードは驚いた。服装があまりにも軽率すぎる。  
ガルフォードはその女性に近づく。  
「NO・・・間に合わなかったか?」  
ガルフォードが彼女の胸に耳を当てる。しかし奇跡が起きた。  
かすかだが心臓の音がした。迷わずガルフォードは動く。  
「まだ、息がある。すぐに手当てしなければ」  
すぐにガルフォードは彼女の手当てを始める事にした。  
 
 
 
「う、う〜〜ん」  
「OH!気が付いたみたいだね」  
「こ、ここは?」  
「君が倒れていた所から少し離れた先にある小屋の中さ。誰も住んでいないみたいだから勝手に使わせてもらったよ」  
そう言いながらガルフォードは女性に声を掛ける。  
「どうしてですか?」  
「えっ?」  
「どうして私を助けたんですか!!!」  
「な、ななっ?」  
意外な彼女の発言にガルフォードは驚いた。  
「私を、どうしてあのまま私を死なせてくれなかったのですか?  
チャンプルと一緒にあのまま、どうして一緒に死なせてくれなかったのですか?」  
 
チャンプル?その言葉を聞いてガルフォードはふと思った。「一緒」にと言う彼女の発言から考えて・・・  
彼が思った答えは只一つ。  
 
「もしかしてチャンプルと言うのはあのビックな怪物かい?」  
そういうと彼女はこくりと頷いた。  
「バカな!あの怪物が君の言うチャンプルだって言うのか!」  
「そうよ!」  
そして彼女は泣きながら自分の名前は「真鏡名ミナ」と話した  
そして、ガルフォードにチャンプルとの出会い、自分が旅をしていた理由。  
妖滅師として「あやかし」を討つ旅を続けていた事。自分の村を滅ぼした敵を探してた事。  
皮肉な事に友達であったチャンプルがあやかしの元凶であった事。  
自分の身を掛けてチャンプルを討った事。チャンプルと一緒に自分も死のうとした事。  
しかし、それをガルフォードが助け現在に至ると言う事だ。  
 
少し落ち着いた彼女がガルフォードに話し掛ける。  
「先程は突然、怒鳴ったりしてゴメンなさい。助けてもらった事は礼をいいます。  
でも、私は大切な友達を失ってしまった。これ以上生きていく理由はありません」  
「大切な友達」「失った」この二つの言葉を聞いてガルフォードは何か心に痛みを感じた。  
自分と同じだ。大切な仲間を失い傷付いている。  
「俺もだよ。君と同じでさっき大切な友達を失ってしまったばかりさ。」  
「えっ?」  
その言葉を聞いて彼女は驚いているようだった。  
「その、君が俺に自分の事を話してくれたから俺の事も聞いて欲しい」  
そういってガルフォードはパピーと一緒にここまで体験してきた出来事をミナに話し始めた。  
ミナは黙ってそれを聞いていた。  
 
その男は自分は「ガルフォード」だと名乗った。  
パピーと言う犬と共に多くの悪人を退治してきたこと。  
正義の忍者としてパピーと共に旅をしてきた事。  
だが、謎の悪しき力によりパピーの子供を助けようとして捨て身で飛び込んだ。  
しかしその悪しき力から抜け出す事は出来なかった。さすがの自分も一度は諦めたこの命。  
そして、パピーが自分の主人を助ける為に命懸けでガルフォードを助けた事。  
しかしその為にパピーが・・・  
 
「俺はパピーの為にもっと強くならなければならないと誓った。パピーの分も生きていこうと」  
辛いはずなのにガルフォードは強く生きようとしている。正義の忍者として頑張っていこうと・・・  
ミナにはそう感じ取れた。  
「そうですか。私と似たような事があったのですね。だけど私は友達を失った。もう、これ以上・・・」  
「それ以上は言うな。辛いかもしれないがミナは生きなければいけない。君の両親のためにも」  
「でも・・・」  
「自信を持て、君には笑顔が似合ってると俺は思うよ。俺の世界の言葉で言うならスマイルが大事だぜ!」  
 
「笑顔・・・」  
 
その言葉を聞いてミナは思い出した。あやかしに村を滅ぼされた時、母親が言った言葉を。  
「ミナ、あなたは強く生きなさい。決して復讐なんて考えてはダメよ。  
あなたは笑顔が似合う子なのだから・・・」  
それが母親の最後の言葉だった。だがミナは約束を破った。村を滅ぼしたあやかしを討つために。  
知らず知らずのうちに彼女の笑顔は消えていたのであった。  
 
彼女の目からは大粒の涙がこぼれていた。  
「み、ミナ?」  
気が付いた時には既に彼女はガルフォードの胸の中で泣いていた。  
嗚咽を漏らし、言葉にならない泣き声を・・・  
「うう、うえええんん・・・」  
ガルフォードがゆっくりとミナの頭を撫でる。  
「辛かったんだな。俺なんかよりもずっと、ずっと・・・  
だけど心配なんてしなくていい。君はもっともっと強くなれる。俺が保障するぜ!」  
 
辺りは既に夜になっていた。このまま眠ってしまえば、また何事もなく新しい朝がやってくるのだろう。  
だが、夜はまだ終わらない。  
小屋の中ではあるが、決して大きくも小さくもない部屋に二人はいた。  
「だけど本当に俺で言いのかい?今ならまだ・・・」  
確認の意味も込めてガルフォードはミナに確認する。  
「いえ、元はと言えば私から言い出した事。だから気にする必要はありません」  
「後悔してないんだな」  
「何度も言わせないで下さい。恥ずかしいじゃないですか」  
「分かった、なら俺もそれ以上は何も言わない」  
そういって、ガルフォードはゆっくりとミナを抱きしめた。  
女の子を、それもジャパニーズの女性を抱くのはガルフォードにとって生まれて初めてである。  
すごく柔らかくて、こんなか弱い体で多くの敵と戦ってきたんだと実感した。  
強く抱きしめると彼女の体が壊れてしまうくらいにも感じてくる。  
(俺が守ってやろう)そう考えるガルフォードだった。  
 
ゆっくりと優しく彼女を押し倒す。決して強引にせず・・・  
そしてそっと彼女との唇を合わせる。互いに初めてなのであまりにぎこちない。  
歯と歯がぶつかってしまった。だけど落ち着いてガルフォードがミナの口内に舌をからませていく。  
「ん、んっ」  
かすかに聞こえる彼女の甘い声がガルフォードを刺激する。彼女は性行為は初めてだ。  
だから、俺が彼女をしっかりと支えなければいけないと感じていた。  
 
ミナはゆっくりと目を閉じながらガルフォードの舌を受け入れていく。  
そしてガルフォードの口内に舌をからませていく。  
「ん、むむっ、ん・・」  
彼女との口づけを続けながらガルフォードは胸だけを隠しているかわいらしい上着に手を掛ける。  
幸い上に押し上げれば簡単に脱がせられる事に気付く。  
ふっくらとした彼女の血房。あんまり強く揉まないように慎重に触れる。  
「ん、んふぅ・・ん・・」  
ゆっくりと何かを転がすようにしてガルフォードは彼女の胸を弄んで行く。  
そして口付けをやめ、左手で彼女の胸を揉みながらもう片方の彼女の乳房をゆっくりと舌で舐め始めた。  
突然やってきた大きな快感にミナは両手を押さえながら必死で声を堪えようとする。  
「ん、ん〜〜〜。んふう・・」  
「ミナ・・・声、聞かせてよ。我慢しなくていいんだよ?」  
「で、でも、恥ずかしい声をそんなに出したくはありません」  
ミナの言葉を聞いてガルフォードが小さく笑う。  
「別に気にする必要はないさ。俺たちは今ベリー(とても)恥ずかしい行為をしてるんだから」  
そう言いながら優しくミナの頭を撫でる。ゆっくりと、ゆっくりと。  
「だから、聞かせてよ。ミナのかわいいボイスをね」  
そう、ミナに伝えてからガルフォードはゆっくりとミナの手を床に下ろす。  
まだ、ミナの表情は緊張しているみたいだったが、ガルフォードの言動によって徐々に落ち着き始めた。  
昔からミナは男性不信だった。それなのに何故、この人には心を許せるのだろう。  
自分の故郷以外の男性で自分の気持ちを正直に出す事が出来たのはガルフォードが最初だった。  
再びガルフォードがミナの乳房を舐め回し始めた。熱い何かがミナの体を刺激する。  
 
「あ、ああん。あ、ああっ・・・」  
甘酸っぱいようなミナの可愛い声。目を閉じながらゆっくりとガルフォードの愛撫を受け入れていく。  
「や、やあん。あ、あっああっ・・・ああ・・んっ」  
この時ガルフォードは右手で彼女の下半身の衣服に手を出そうとしていた。  
だが、彼女を守るその紐の部分が上手くほどけない事に気付く。  
慌てているガルフォードを見てミナが少し笑うと自分からその紐をほどく。  
自分で縛っていただけにそれは簡単にほどける。だが、彼女の大切な部分はまだ見えていない。  
一枚の三角形の形をした布が彼女の大切な所を守っている。ガルフォードがゆっくりと布の部分に触れようとする。  
途端にミナがガルフォードの手を静止する。  
「ま、待ってガルフォードさん。そこはダメ」  
顔を赤くしながらガルフォードの手を押さえる。  
「えっ?」  
自分でも直接、触ったりしないのに他人に触られるのはやはり抵抗がある。ミナだって女性である。  
「い、今触られるとあ、あたし・・・あっ!」  
彼女を気を許した一瞬の隙にガルフォードの手は彼女の布の部分に触れていた。  
ゆっくりと上下に何度も撫でていく。  
「あ、ああっ、だめっ、もっと、もっと優しくして・・・」  
ミナは知らなかった。他人に触られる感触がここまで気持ちいい事に。  
このままじゃ自分が変になってしまいそうだ。だけど止めて欲しくない。  
さっきまで抵抗していた自分が嘘のようにも感じ始めていた。  
ガルフォードの指先に何か熱い物を感じた。既に彼女のそれを守る布はぐしょぐしょに濡れていた。  
 
「ミナ、ここ、凄く濡れてるよ」  
「・・・ば、ばかぁ!!何でそんな事言うんですか!」  
この時点でミナの顔は真っ赤になってしまっていた。あまりの羞恥心にこのまま死んでしまいたいくらいだった。  
今にも泣きそうな顔でガルフォードに目で訴えるミナ。  
「ガルフォードさん。ちょっとだけいじわるです・・・」  
「ごめんごめん。でもそれだけミナが感じてくれてるって事だから俺は凄く嬉しい」  
そして、また優しく彼女の額にキスをする。そして意を決意して彼女に確認する。  
「脱がしてもいいかな?」  
「・・・・少しだけ待ってください」  
そう言って彼女が目を閉じながらそっと深呼吸をした。  
「まだ、落ち着かないのでもうしばらくこのままで」  
「大丈夫、そんなにも慌ててないから君のペースで構わないからね」  
「・・・」  
「・・・」  
 
 
 
数十秒くらいたっただろうか?止まっていた時間が再び動き出す。  
「私はもう大丈夫です。どうぞ続けてください。ガルフォードさん」  
「分かった。じゃあ、脱がすよミナ」  
そしてミナはゆっくりと腰を上げる。脱がしやすくする為である。  
ガルフォードはそっと、それを脱がしていった。これで彼女を守るものは全て無くなった。  
そんな生まれた姿のミナを見ながらガルフォードはふと思う。既に自分のモノも大きくなっていたことを。  
既に理性は限界に達している。そしてガルフォードもまたゆっくりと衣服を脱ぎ始めた。  
 
「今日は大丈夫な日ですから気にしないで下さいね」  
「えっ?」  
一瞬ミナの言った事が分からなかった。「大丈夫」ガルフォードにはまだこの言葉の意味が分かっていなかった。  
「いえ、分からないのなら気にしなくてもいいですから。私の事なら大丈夫ですから。  
ガルフォードさんの動きに合わせて行きますから」  
「わかったよ。ミナ。」  
「そのかわり、初めてですから優しくして下さいね」  
 そういってちょっとだけ笑うミナ。  
二人の男女が今、一つになろうとしていた。ガルフォードが自分のモノをゆっくりと彼女の中に挿入していく。  
途端にミナに痛みが走った。ミナの目から涙が零れ落ちる。  
「だ、大丈夫かいミナ?やっぱりやめておこうか?」  
しかし痛みを堪えながらもミナは止める事を否定する。  
ここで止めてしまう事は彼の気持ちに応えられないからだと感じたからだ。  
「大丈夫です、続けてください。少しくらいなら平気ですから」  
徐々にガルフォードのモノが彼女の中へと侵入していく。  
ガルフォード自身ゆっくりと動かしていてもミナの辛そうな表情は変わらない。  
「くううっ!っああ、が、ガルフォードさん・・・・」  
辛そうなはずなのに、ミナは頑張って笑顔を作ろうとする。  
出来る事なら変わってやりたい。ガルフォードはそんな気持ちに駆られていた。  
「う、ううっ、ミナ!」  
ついに、彼女の奥にまで到達した。ガルフォードがゆっくりと腰を動かし始める。  
「あっ、あっ、あああっ。でもさっきより痛みが、やあぁん」  
甘い声を上げながらもガルフォードの腰の動きも合わせてミナもまた自分の腰を動かす。  
その姿はまた人魚が跳ねるように色っぽい。  
 
徐々に彼女の表情も落ち着き始めてきた。それを見たガルフォードも少しだけ安心する。  
少し腰を動かすのを早くし始める。くちゅり、くちゅりと嫌らしい音が聞こえる中、  
「あ、が、ガルフォードさん、あたし、あたし、何だか、とても変に・・・んんっ」  
彼女の声もまた嫌らしく聞こえてくる。どうやら、彼女自身既に限界に近づき始めていた。  
「ミナ、俺、もうそろそろ」  
「あ、あたしも・・・」  
「一緒に、一緒にイクよミナ!」  
グチュッ、グチュッとガルフォードの腰の動きが激しくなる。ミナはただ彼の名前を呼び続けていた。  
「ミナ、ミナぁぁぁ!!!」  
「ああっ、あ、ああっ、イク、イク、イッちゃうよ〜〜」  
そしてガルフォードはミナの中に自分の熱いモノを彼女に全て放った。  
「はぁぁぁん・・・」  
全てを放たれたミナ、持てる気力を全て使い果たしたガルフォード。  
二人はしばらくの間動く事が出来なかった。ただ、時間だけがゆっくりと流れて行った。  
 
 
「ガルフォードさん、私の我侭を聞いてくれてありがとう・・・」  
 
 
 
それからどれだけの時間が過ぎただろうか。自分の横でミナが目を閉じてすやすやと眠っている。寝顔も本当に可愛い。  
ガルフォードもまたゆっくりと眠りに着こうとした。明日、ミナと一緒に旅をしよう。  
今の段階では目的のない旅になるかもしれないがミナと一緒ならきっと楽しいだろう。  
少しずつ彼女の笑顔を取り戻してやろう。  
そう思いながらゆっくりと眠りに着くガルフォードだった。  
 
ガルフォードが完全に眠りについてから数十分後彼女は目が覚めた。  
こんな自分にここまでしてくれたガルフォードに感謝している。出来る事なら彼と一緒に旅に出てみたい。  
だが、ミナには分かっていた。もう別れを告げなければならないことを。  
だけど、それを彼に知られてはいけない。彼に抱かれたときそれを悟られていたのではないかと心配していた。  
だが、彼は気付いていなかった。そう、気づかれない方が良い事もあるのだ。  
「ガルフォードさん・・・」  
ミナはもう一度眠っているガルフォードに口付けを交わす。そして意を決意して持っていた紙に文章を書き始めた。  
 
 
 
長い夜が終わり、再び朝が訪れ始めた。小鳥達の小さな鳴き声が聞こえてくる。  
また、長い一日が始まるのだ。  
小屋の窓から太陽の光がくっきりと見える。その光のまぶしさからガルフォードは目覚めた。  
「う〜〜ん。ちょっと腰が痛いけど、まだまだ元気元気!」  
そういって自分の横で眠っているミナを見つめる。ミナは完全に眠っているようだ。  
「OH、ミナ、もう朝だよ見てごらん。今日は本当に雲ひとつないよ」  
 
そういって、優しくミナの体を揺さぶる。しかしミナは全く動く気配が無い。  
「?」  
よっぽど疲れていたのだろうか?起きる気配を感じない。しかしミナの背中を見てガルフォードは驚愕する。  
彼女の背中は辺り一面に真っ青な痕がはっきりと残されていた。昨日までは全くなかったのに。  
眠っている間が背中の傷が悪化してしまっていたのだ。彼女は眠っているのではない。  
既に、彼女は・・・・  
 
 
 
「ミナ!嘘だ。そんなの嘘だ。絶対これはジャパニーズジョークさ。眠ってるだけだろ?ミナ・・・」  
もはや、笑う、悲しむ、怒る、どの感情を取ればいいのかガルフォードには分からなかった。  
ただ、ミナに向かって言葉を吐き続ける事しか出来なかった。  
混乱している中、かろうじてガルフォードはミナの足元に一枚の紙が置いてある事に気付く。  
その文章はミナがガルフォードに送った最後の言葉(メッセージ)であった。  
 
ガルフォードさん。この文章を読んでいる頃、私は傷に苦しんでいるか、既にこの世にいないかのどちらかだと思います。  
私が受けた背中の傷はチャンプルによって作られたもの。恐らくあの爪には人を死に追いやる猛毒があったのでしょう。  
あなたは私を懸命に治療してくれました。どうか自分を責めないで下さい。  
どちらであってもこの時代の薬では治す事は不可能だったのですから。  
でも、死ぬ前に初めて人を好きになる事を知りました。だから私は悲しくなんかありません。  
だから、最後にガルフォードさんにお願いがあります。  
 
 
 
「私の事は忘れ、私以外の人を精一杯愛してあげて下さい。私を抱いてくれたその手で」  
 
 
 
あなたは夢を見ていたのです。真鏡名ミナと言う一人の女性の夢を・・・だから私の事を忘れ・・・  
 
 
 
紙が手から離れる。紙の上には多くの涙がこぼれていた。ガルフォードは何度もその女性の名を呼んでいた。  
呼べば彼女が戻ってくるような気がしたからだ。例えそれが無駄なあがきだと分かっていても。  
声がかれるまで、涙が止まるまで、その男の叫び声が止まる事はなかった。  
許せなかった。彼女の容態にも気付かず守って上げられなかった自分自身が。  
 
 
 
その後、ガルフォードは立派に成長していく事になる。この世の悪を倒すためパピーと共に。  
「パピー。どうやらまた、ジャパンが危ないらしい 俺は正義のニンジャ、ガルフォード!そして親友のパピーだ!暗黒の野望がオレを呼んでいる!叩きつぶせと呼んでいる!正義の風がジャスティスなオレを呼んでいる!悪の栄えた時代はなし!」  
 
 
それから数年後、ガルフォードは一人の巫女に恋をする事になる。  
その女性については今はまだ語る時ではない。  
 
 

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