千両狂死郎。江戸の町の歌舞伎世界で彼の名を知らぬものはいない。鬼の舞を極めた為に、羅将神ミヅキ達に狙われる事になるが死闘の末この野望を打ち砕く。  
その時、ミヅキに支配されていた美州姫を救う事になる。  
舞を極め相方を捜し求めていた狂死郎にとって運命とも言える美州姫との出会いはここから始まっていた。  
 
 
 
サムライスピリッツ「世話女房」  
 
 
 
「狂魔王の声が止んだ。自らの考えで動ける。私は自らの神通力を過信し、逆に手のひらでおどらされてしまったのか」  
ミズキから解放された美州姫。しかし操られていたとはいえ自分の犯した罪はあまりにも大きかった。  
そこで狂死郎が彼女に助言をした。  
「そこでじゃ、お主の罪滅ぼしにふさわしい事を教えてやろうぞ。  
見た所、お主なかなかの美人。これからは阿国を名のり、共に舞い、人々に歌舞伎のすばらしさを広めるのじゃ」  
「わ、私が・・・?」  
 
突然の言葉に驚いている美州姫であったが真面目に答える狂死郎の言葉に徐々に引き込まれていくのであった。  
 
 
 
半年後、阿国と名を変えた美州姫は狂死郎の予想以上に美しくまた華麗に舞を舞うようになった。  
これ程の短い時間で舞を極められる者は狂死郎一座の中でもそうそういるものではない。  
阿国は狂死郎に大きな感謝をしていた。返しても返しきれない恩がある。  
ある時、自分の部屋の中で阿国は一つの決断をしていた。今夜あの人に自分の思いを伝えよう・・・  
 
 
狂死郎一座のほとんどが寝静まった夜。阿国は狂死郎に「今宵の夜中、自分の部屋に来て欲しい」とお願いをした。  
窓側から見える景色は満月の光に照らされてうっすら輝いて見えている。  
阿国がそっと狂死郎の来る時間を待っていた時であった。戸を叩く音が聞こえてきた。  
「阿国、入っても良いか?」  
狂死郎であった。  
 
そして、狂死郎が戸を開ける前に阿国自身から待っていたかのように戸を開ける。  
少し緊張した様子で阿国が自分を見つめている事に狂死郎が気付く。  
「狂死郎様。阿国はずっと、狂死郎様がここに来るのを今か今かとお待ちしておりました」  
「しかし何故このような夜更けにわしを呼んだのじゃ?明日でも良いのではないのか?」  
そもそも、何故この時間に狂死郎を呼んだのか、皆に聞かれたくない事でもあるのだろうかと本人は想像していた。  
しかし阿国は首を横に振り、意を決意したように狂死郎に口を開く。  
「操られていたとはいえ、かつての私はこの時代を壊し、罪のない人間を殺し、許されない罪を繰り返しました。  
しかし狂死郎様は私に新しく生きる道を与えて下さいました。  
何のとりえも無い私に歌舞伎の舞を教え、人々を和ませる歌舞伎の舞を踊れるようになれたのも、全ては狂死郎様のおかげです」  
狂死郎は黙って聞いていた。阿国の舞は狂死郎をも驚愕させるほどの美しさを持っていた。  
さらに生まれながらの美人の顔。  
だが、その舞は決して並大抵の努力で身に付くものではない。  
狂死郎の舞の指導は父親譲りと言われているぐらい厳しい指導であった。  
狂死郎一座の仲間達だけではない。勿論阿国に対しても何度も罵声を浴びせた事もある。  
何度も阿国が泣いている姿を目撃した事だってあった。  
自分だって好きで人に怒鳴りたいわけではない。  
しかし、狂死郎にとって「歌舞伎」とは命と同じくらい大事なものであった。  
父親譲りの「歌舞伎」と「舞」の誇りが狂死郎にはある。  
その為に狂死郎も歌舞伎の指導となると人が変わってしまうのだろう。  
「阿国よ。お主がそこまでの技量を身に付けたのはワシではない。  
ワシの指導に最後まで従い、自分自身に負けずに努力をしたお主自身であるぞ。  
ワシは只おまえに必要最低限の指導しか教えてはおらぬのじゃからな。  
それにとりえがないと言うのはお主に自身が無いからそう思い込んでしまうもの。  
 
この狂死郎の名に誓ってもよい。今のお主は歌舞伎のとりえが十分にあると・・・」  
狂死郎の激励の言葉に阿国は心の中で感謝の気持ちを抱いていた。勿体無い言葉。  
そして阿国が意を決意して自分の気持ちを狂死郎に伝えようとした瞬間、狂死郎の口から意外な言葉が飛び出してきた。  
「阿国よ、これからはワシの元から離れ自分自身の力で舞を広めてみてはどうじゃろうか?」  
「!?」  
「ワシから教えられる事は全て教えたつもりじゃ。後はお主自信の力で新たな歌舞伎の道を探してみてはいかがであろう?  
勿論今すぐにとは言わぬがいずれ・・・」  
ふいに狂死郎がそこまで言った瞬間であった。阿国の表情が徐々に暗くなって行くのが分かった。  
「・・・です」  
「?」  
一瞬、狂死郎は阿国が何を口にしたのか聞き取れなかった。  
だが阿国が自分の胸に飛び込んできた瞬間、目に涙を浮かべながら狂死郎に叫んだ。  
まるで動物が飼い主に懐く様な優しい気持ちで。  
「いやです。わたくし、狂死郎様の元から離れるのは嫌でございます」  
「阿国・・・?」  
「私は、私はずっと狂死郎様の傍にいたいと思っております。今でも、そしてこれからも。  
一人で歌舞伎なんてやりとうもありません。狂死郎様のいない歌舞伎になんの意味がありますでしょうか?  
何処へも行きたくありません。ずっと傍に居たいと思っております」  
狂死郎はこの時初めて阿国が自分に恋をしている事を知った。正確に考えるならば、これは只の恋ではなくそれ以上の気持ち・・・  
「だから、だから私は狂死郎様のお世話をしてあげたい。ずっとお傍に居る為にあなたの女房になりたいと決意しています。あなたの世話をする女房、そう、あなたの薙刀と同じ武器銘である・・・」  
 
「世話女房・・・」  
二人は同時に言った。ここまで阿国の決意を言われてしまっては、狂死郎にはもはや返す言葉も思い付かなかった。  
阿国の瞳から涙がこぼれ落ちていくのが見えた。阿国は狂死郎の返事を待っていた。  
もしも断られてしまったらもう自分は生きていく気持ちを失ってしまうかもしれない。  
 
 
 
「阿国よ・・・」  
「は、はい・・・」  
緊張している阿国に対して狂死郎は落ち着いた表情で阿国に話し掛ける。  
「かつてのわしは狂死郎ではなく狂志郎と言う名であった。父の歌舞伎を超える為にわしは狂死郎の名に恥じぬ様、努力を惜しまなかった。  
だが父の死と共にわしの名は狂死郎と改めた。父からは「お前はこの父を遙に超えた」と教えられた」  
阿国は知っていた。今の狂死郎の名前は前座長「狂死郎」の名を取って生まれたものである事を。  
そして狂死郎が口癖のようにこの後何を言い出すかも分かっていた。  
「じゃが、わしは今でも剣技と歌舞伎において父親に勝てたと感じた事は一度も無いのじゃ  
まだまだ新しい舞が何処かに眠っているのではないかと考えているくらいなのじゃ。  
鬼の舞以上の舞が・・・」  
今でも父親を追い続ける狂死郎。息を吸ってゆっくりとそれを吐き出す。そして落ち着いた表情から真剣な顔で阿国に言う。  
「阿国よ。父親以上の歌舞伎を身に付けるためにわしに力を貸してくれぬか?  
おまえが望むのであればもう一つの「世話女房」としてわしのそばにいてもらいたい・・・」  
「き、狂死郎さ・ま・・・」  
それは事実上の狂死郎が阿国に対する返事の答えでもあった。  
その言葉と同時に一人の女性が涙をこぼしていた。阿国である。  
 
その涙は自分の意志では止められなかった。狂死郎の返事は阿国の心を動かすほどに十分過ぎる一言であった。  
突然の阿国の涙に狂死郎も戸惑いを隠せなかった。落ち着かせるために阿国を抱きしめようとした。  
しかしその必要はなかった。  
「狂死郎様・・・」  
狂死郎が動く前に阿国から狂死郎を抱き締めたのだ。  
「阿国・・・」  
阿国の体の匂いが狂死郎の神経を刺激する。  
思わず勢いで阿国をその場に押し倒してしまう。  
突然、狂死郎がとった行動に阿国も一瞬戸惑ったが嫌な顔一つする所か優しそうに狂死郎に答える。  
「狂死郎様、慌てなくても阿国は何処にも行きません。その代わり優しくしてくださいね」  
「すまぬ阿国・・・」  
狂死郎は自分の行為を恥じた。女性に対してここまで理性を失ってしまったのは阿国が最初である。  
だが、阿国以外の女性に対して理性を失う事は二度とないだろうと感じていた。  
恥ずかしさを隠しながらゆっくりと冷静を取り戻す。  
狂死郎は阿国の唇と自分の唇を合わせる。  
決して上手いと言うわけではないが狂死郎なりの行為に阿国の表情は次第に赤みを増してきた。  
 
 
「狂死郎様・・・阿国は、狂死郎様をずっとお慕いしたいと思います。」  
 
 
月の明かりだけが二人の姿を映し出す。今宵は長い夜になりそうだと狂死郎は思った。  
お互い着ている衣装を脱ぎ、生まれたままの姿で見詰め合う。  
阿国と出会う前の狂死郎の好みの女性は「ナイスバディでセクシーダイナマイツの欧米人」と仲間達に話していた。  
だが、阿国にそれを口にした瞬間、間違いなく阿国の悲しむ顔が想像出来てしまうので狂死郎は阿国にだけは黙っていた。  
今からして思うと何故欧米人にこだわっていたのかは自分でも分からない。  
阿国を大切にすると心に誓った今、それは過去の話だと狂死郎は自分自身に言い聞かせた。  
「あ、あの・・・狂死郎様」  
あまりにも狂死郎が阿国の裸体の姿を見つめていた為か阿国が困ったように狂死郎に尋ねる。  
「あんまり見られると私も恥ずかしいです・・・」  
狂死郎としては考え事をしてただけなのだが阿国から見れば狂死郎が自分の体をまじまじと見つめていると考えていたのだろう。  
阿国の一言にようやく我にかえった狂死郎。現在の状況に集中出来ていない自分を恥ずかしく感じた。  
「今宵は二人だけの舞を披露しようではないか。これこそまさに「裸の舞」誰にも真似出来ぬであろう。  
わしとお主だけしか知らぬのじゃからな」  
あまりにも狂死郎らしい例えだと苦笑しながら阿国は「はい、狂死郎様」と返事を返した。  
先程は慌てて阿国を押し倒してしまったが今は違う。  
風邪を引いた子供をゆっくりと寝かせる母親のように狂死郎はゆっくりと阿国の体を仰向けに寝かせる。  
そして互いの愛を再び確かめ合うかのように口付けを交わす。  
狂死郎も阿国も性行為は始めてであるが口付けを交わす事に関してはこれが初めてではない。  
 
歌舞伎の舞台では「永遠の愛を約束する男と女の役柄」を演じる事だってある。  
だから二人にとってはさほど難しいことではなかった。  
大きく違うのは「役柄」ではなく「本当に結ばれる二人」なのである。  
しばらくすると狂死郎はゆっくりと阿国から唇を離す。その時阿国の瞳からゆっくりと涙がこぼれ始めていた。  
「ああっ、狂死郎様」  
その涙を見て狂死郎はにやりと笑いながら阿国をからかう。  
「阿国よ、まだ泣くのは早いのではないか?泣くのは最後の最後であるぞ」  
「嬉しいのです。狂死郎様とこのように結ばれるのを、私は待っていたのかもしれません。  
だから我慢出来ずに涙が出てきました。勿論悲しいからではありません。  
嬉しいのです・・・」  
成る程、と思いながら狂死郎は阿国の答えに頷く。そして意を決意したかのように阿国の胸に手を掛けようとした。  
(これから狂死郎様に触られる。狂死郎様だけに許す阿国のこの体)  
阿国はゆっくりと自分の両手を床に置き狂死郎の行為に全てを任せる事にした。  
そしてゆっくりと自分の目を閉じる。  
自分の顔が徐々に赤くなっていくのが分かる。体中に熱を帯びていくようなそんな感情に高ぶられる阿国であった。  
だが、数秒たっても狂死郎の手は動かなかった。  
この時阿国は狂死郎が自分の体をどのように弄るか悩んでいるのかと考えていた。  
(そんなにも悩まなくても阿国はいつでも心の準備が出来ていますのに・・・)  
 
実は狂死郎は口付けを交わす行為は慣れているのだが、それ以降の行為は本当に始めてであった。  
だがあまり阿国を待たせるわけにもいかない。  
父が死ぬ前に性行為について相談すれば良かったと今更ながら後悔する狂死郎であった。  
狂死郎は阿国に分からぬようにため息をついた。  
自分は本当に父親に勝ったと感じたことがない。歌舞伎と(性行為)に関しては・・・  
狂死郎は腹を決めた。  
男として、そして狂死郎と名乗った自分が弱音を吐くなどこれほど情けないものはない。  
「ええい!ぶっつけ本番じゃああ!!」  
「!?」  
突然の狂死郎の発言に一瞬阿国は戸惑った。同時に閉じていた目も慌てて開ける。  
何に対して「本番」なのか阿国の思考をゆっくりと回転させる。  
だが阿国の考える時間は狂死郎の行動によって簡単にかき消されてしまう。  
狂死郎が阿国の胸をゆっくりと揉み始めたからだ。だが、決して激しく弄くりまわさず子供を撫でるように優しく揉む。  
「あん、やっ、はああっ・・・」  
初めて阿国が甘い声を漏らした。初めは狂死郎も片手だけで阿国の胸を揉んでいたが次第に反対の胸にも手を掛ける。  
ゆっくりと料理をかき混ぜていくようにして阿国の胸をかき回す。  
「ああっ、きょ、狂死郎様。やん、あああっ、ああっ、はあ、はああん」  
両方の胸を弄くり回しているからだろうか。先程の倍くらいの阿国の声が狂死郎を刺激する。  
 
だが、狂死郎は自分の手を止めない。さらに阿国の声を聞くために狂死郎は阿国の両胸を弄くりまわした。  
「あっ、あっああっ。そんなっ、狂死郎様っ。だ、だめです。もう少しだけ優しくしてください」  
「優しく」と言う言葉にようやく狂死郎は我に返った。手を離すと阿国が取り乱したように呼吸をする。  
顔は既に赤く蒸気してしまっている。だが、狂死郎はこれで終わらせるつもりは無かった。  
頭の中に一つ思い浮かんだものがあった。  
それは手で揉むよりもきっと阿国を満足させられる方法だと。  
「阿国よ・・・」  
「は、はい・・・?」  
まだ息は荒いが落ち着いて阿国は狂死郎に返事を返す。  
それを確認したうえで狂死郎は阿国に自分の考えを述べ始める。  
「お主の声をもっと聞かせて欲しい。もっとわしを満足させて欲しい」  
「えっ?」  
言うが早いか狂死郎は自分の顔を阿国の胸の前に持っていく。そしてそのまま阿国の乳房を自分の舌で舐めはじめた。  
腹を空かせた子供がようやく出来上がったご馳走を見て急いで食べ始めるように・・・  
さすがの狂死郎も少し下品だと感じたがもう後には引けない。  
自分の欲求を満足させるように阿国の乳房を舐め上げていく。  
「ひゃっ、あああっ、ああっ、だめ、だめです狂死郎様っっ!!やああんんっ」  
先程とは比べ物にならない刺激が阿国に襲い掛かった。  
「あっ、狂死郎様・・・あっ、ひうっ・・・」  
もはや口の動きが止まらなかった。自分の感じた分だけ狂死郎の前で甘い声を漏らす阿国。  
我慢したくても我慢出来ない自分の声。  
だけどそれで狂死郎が満足してくれるならもっと狂死郎のために出し続けようと思う阿国であった。  
 
自分の予想通りだったと思わずにやりとしてしまう狂死郎。  
やはり阿国を感じさせる事が出来たと満足する自分がいた。  
この時少しだけ父親以上の性行為が出来たのではないかと鼻を高くしてしまっていた。  
すぐに有頂天になってしまった自分に気付き冷静さを取り戻す狂死郎。  
阿国は狂死郎の激しくもないが極端に優しくもない触られ方で半分絶頂を迎えていた。  
自分の下半身に何か熱いものが溢れてきた様な、そんな羞恥心を感じ始めていた。  
(も、もし狂死郎様に気付かれてしまったら阿国はきっとはしたない女だと思われて・・・)  
だが、常に阿国の裸体を見続けている狂死郎である。それに気付かないはずが無い。  
「ん?」  
狂死郎がそれに気付きゆっくりと阿国の股間に手を掛けようとした。  
「きょ、狂死郎様。そこは駄目です。お願いですから見ないで下さい」  
阿国が慌てて狂死郎の手を押さえる。あまりの動揺する阿国の姿を見て狂死郎は一度はためらった。  
だが、何故阿国がここまで必死に抵抗するのか、そしてここまで動揺するのか。  
その理由を考えた瞬間。狂死郎の中に魔性と言ってもいいくらい大きな欲求を駆り立てた。  
(迂闊であった。じゃが間違いなく阿国の弱点、すなわち阿国の泣き所はこの股間じゃな)  
全てを自分の中で理解した狂死郎はすぐに阿国の手をどかし始める。  
「だ、だめです。お願いです狂死郎様」  
必死で抵抗する阿国であったが女性の力ではあまりにも男性の力の前に勝ち目はなかった。  
「阿国よ恥ずかしがる事はない。それを今からわしが教えてやろう」  
言い終わると同時に狂死郎は阿国の股間に顔をうずめる。  
そして先程の胸と同じ様に狂死郎の舌が阿国の股間をゆっくりと舐め始めた。  
 
「ひんっ、やあん」  
阿国にとって胸以上の刺激はないと感じていた。  
だが自分の秘所を狂死郎に舐められた瞬間、全てが崩壊してしまいそうな絶頂感に襲われてしまった。  
「きょ、狂死郎さまあああっ、だめ、だめです。お願いです。そこだけは、そこだけ、ああっ、あああん、はあん」  
阿国の許しを請う声が甘い声と同時で聞こえてくる。だが阿国も本当に許しを請いているわけではない。  
口ではそういっているが本当は狂死郎以上にこの快感を味わいたいのだ。  
「ああっ、やっ、ああん、狂死郎様、阿国のは汚いです。な、舐めたら駄目でございます。  
ひあっ、ううっ・・・」  
狂死郎が阿国のそこを舐めれば舐めるほど狂死郎を求め続ける愛液が零れ落ちる。  
狂死郎はそれも分かっていながら舐め続ける。  
「阿国の何処が汚いのだ。わしは阿国のなら病気になっても全然構わぬぞ」  
「そ、そんな狂死郎様。病気になっては私が困・・・やあん、あああっ、だめええっ」  
決して手を止める事を辞めない狂死郎。その容赦のない行為に次第に阿国の体は絶頂を迎え始める。  
「きょ、狂死郎様、はあっ、わ、私おかしくなっちゃいます。止めてください。ひゃああん」  
「おかしくなっても構わぬ。わしが許す。もっと阿国の事をわしに教えてくれ」  
「だ、だめです。ああん、ああっ、も、もう駄目、あああああああっ・・・」  
阿国の秘所から止め処なく愛液がこぼれて来る。  
その瞬間阿国の体がゆっくりと力を失っていく。そのまま力尽きたように動かなくなってしまった。  
さすがにやり過ぎたと感じた狂死郎であったがもう遅かった。そのまま阿国は5分程意識を失ってしまうのであった。  
「すまぬ。少しやりすぎてしまったようじゃ」  
狂死郎は調子に乗りすぎた自分を恥じ、そのまま阿国が目覚めるのを待つのであった。  
 
「ううん・・・」  
「気が付いたか阿国」  
「もしかして私、気を失っていたのですか?」  
恥ずかしそうに狂死郎に確認する阿国。今までずっと待っていてくれたのだなと、自分の為に待ってくれた狂死郎に感謝していた。  
「狂死郎様、阿国は大丈夫ですからそろそろ・・・」  
阿国が何を狂死郎に求めているのかすぐに察知できた。そう、まだ最後の仕上げが残ってる。  
果たして自分に出来るであろうか。阿国を最後まで守れるであろうか。そんな不安が狂死郎の頭をよぎっていた。  
「大丈夫ですよ。狂死郎様。私は信じていますから」  
「・・・」  
一瞬沈黙の時間が流れた。だがその沈黙に負けない狂死郎の声が響く。  
「分かった。だが辛かったら必ず言うのだぞ」  
最後に確認の念を押す狂死郎。だが阿国は笑顔で首を横に振った。  
「狂死郎様、それは間違っています。私が辛いのはただ一つ。  
それは狂死郎様が私の前から居なくなる事。只一点でございます。それ以外に何が辛いでしょうか・・・」  
「阿国・・・」  
狂死郎は何も答えられなかった。今までここまで自分を慕う女性がいたであろうか。  
自分の為に愛し、自分の為に「世話女房」になると言った阿国。  
夜の静けさの中穏やかな風が吹き始める。窓の隙間から流れ込む風が阿国の長い髪をゆっくりと揺らしていく。  
「さあ、狂死郎様・・・」  
 
阿国の一言が狂死郎の迷いを全て吹き飛ばす。狂死郎は迷わなかった。  
「いくぞ、阿国」  
「はい」  
既に狂死郎のそれは大きくなっていた。「やっぱり狂死郎様のは大きいですね」と恥ずかしそうにしながら阿国は答える。  
「男はみんな大きいものじゃ」と狂死郎が苦笑いを浮かべながら、  
ゆっくりとそれを阿国の秘所に入れていく。  
「あああっ、」  
「あ、阿国?」  
突然の阿国の辛そうな悲鳴に狂死郎は手を止める。しかし阿国がそれを許さないように拒否をする。  
「だ、大丈夫ですから、最後までお願いします。絶対に止めないで下さい」  
戸惑った狂死郎だが「阿国は強い女じゃのう」と、心に感じながら狂死郎は続きを始める。  
狂死郎自身にも分かっていた。阿国が無理をしている事を、だがそれを口に出すわけにはいかない。  
阿国のためにも、そして阿国の気持ちに応えるためにも狂死郎はゆっくりと腰を動かし始める。  
「ああっ、狂死郎様。狂死郎様のが私の中に入っていくのが分かります。いいです。  
とても気持ちよくて、ああっ・・・」  
ずぶずぶと狂死郎のそれが阿国の奥の中に入っていく。  
「ううっ、うう、ううん」  
阿国の秘所から少しだが血が落ちているのが見えた。さすがの狂死郎も動揺する。  
それに気付いた阿国が狂死郎を安心させる言葉を投げかける。  
「大丈夫です、これは女性が大切な男性に始めてをあげる瞬間に必ず起きる事なのです。  
私だけではありません。女性には皆ある出来事ですから」  
「そう、そうであるのか?すまぬ。わしは女の体の構造は詳しくはないからの・・・」  
まだ少し動揺して見たいだと阿国は思うが、事情を理解してくれた狂死郎を見て安堵の息を漏らす。  
だが、狂死郎が再び腰を動かし始めたので安堵の息よりも先に絶頂の声を漏らす。  
 
「はあっ、はああっ。狂死郎様、感じます。狂死郎様のが奥まで、奥まで来てるんです。嬉しいです・・・」  
「阿国よ、わしも嬉しいぞ。こうやってお主と一緒にいられる事が」  
二人を祝福するかのように自然の風がさらに大きく吹き始める。  
その瞬間窓の外に綺麗に咲いている桜の花びらが窓の隙間から流れ込んでいく。  
まるで桜も二人を祝福するかのように。  
「狂死郎様、私、私、もうそろそろ・・・」  
「阿国、二人で一緒に迎えようぞ」  
狂死郎の動きが今まで以上に激しくなる。そして阿国の動きも激しくなっていく。  
「きょ、狂死郎さまああああっ・・・・」  
「あ、阿国っ・・・」  
全ての限界を迎えた二人。絶頂を迎えると同時に狂死郎の中のものがゆっくりと放出されていった。  
そしてそのまま二人は全ての時が止まったかのように意識を失った。  
 
「なあ、阿国よ」  
「はい、狂死郎様?」  
全てを終えた二人がゆっくりと布団の中で眠り付こうとする。勿論裸のままで。  
「確かにわしはお主には第二の世話女房になってもらうと言った。じゃが、女房であっても歌舞伎に関してわしは容赦は出来ぬと思う。  
それこそが父譲りの厳しさでもあるのじゃから」  
「構いません、今でも、そしてこれからも狂死郎はいつも通りの狂死郎様です」  
いつものように阿国が答える。  
「狂死郎様・・」  
「ん?」  
「長い付き合いになりますがどうか末永く宜しくお願いします」  
「う、うむ。こちらこそわしの為の「世話女房」として宜しく頼むぞ」  
もしかしたら自分は阿国の尻に惹かれるのではないかと  
少しだけ心配する狂死郎であったが「世話女房」だけにそれも悪くと感じるのであった。  
 
 
後に狂死郎歌舞伎はさらなる発展を目指す。人々の心を和ます歌舞伎として歴史に語り伝えられていく。  
二つの「世話女房」を持つ一組の夫婦によって・・・  
 
 

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