ある日のことだった。葉月は兄の着物を繕っていた。任務ですぐにボロボロになってしまうのでそのサイクルは非常に短い。  
特に赤い着物の持ち主はよく着物をボロボロにして帰ってくる。葉月は破れたところを縫いつけながら微笑んだ。当の本人は  
現在、用事で出かけていていない。傍らに置かれている白い着物の持ち主もだ。こちらは損傷が少ない。性格がモロに出てし  
まっている着物を見比べ、葉月は再び微笑を浮かべた。  
「葉月」  
急に名を呼ばれて吃驚した葉月が振り向くと、白い着物の持ち主。すなわち長兄の蒼月が立っていた。どうも早く帰ってきた  
らしい。  
「蒼月兄さん、早かったのね。火月兄さんは今日中に戻るって言ってたけれど、まだ帰ってこないの。」  
針を動かしながら葉月は言う。その手を見て蒼月はなにやら不思議な気持ちになる。彼女が縫っているのは自分の物ではなく、  
弟の物だ。しかも自分の着物はまだで傍らに放り出されている。何故だかは分からないが、それを見たとき彼はイライラした。  
自分らしくはないと思ってみたものの、正直弟には常日頃から多少の嫉妬心がある。手合わせに勝ってはいるものの、内に秘  
められた力が恐ろしく、また疎ましい。そして何よりも直球的に妹に対して愛情を示す彼に対して自分は冷めた態度で、且つ  
遠回しにしか愛情が表現できない。もしかしたらイライラの原因としては、後者の方が勝っているのかもしれない。自分より  
火月にべったりなのはあからさまに分かることだ。  
「今日の御夕飯、どうしようかなあ。火月兄さんは牡丹鍋がいいって言ったけど、猪捕ってこれるか分からないもんね。」  
無防備な背中。高度な任務には到底つけない。葉月は人がいいから警戒心が薄い。この前炎邪に攫われたのもそれが原因だ。  
ましてや自分の兄弟に警戒など決してしないだろう。例えそれが邪な心を持ったとしても彼女は人を信じている。  
「ねえ、蒼月兄さんはどう思う?」  
葉月がこちらを振り向いた瞬間、無邪気なその顔を見た途端、彼の中で何かが動いた。そして突然、葉月を抱きしめた。通常  
の彼の態度からすればありえないことである。火月なら大いにありうるかもしれないが。  
「そ…蒼月兄さん?!…どうしたの…?!」  
あらぬ事態に葉月は動揺し、狼狽する。当然のことといえよう。そんな葉月に冷たい笑いを浮かべながら彼は言葉を発した。  
「葉月、そういえば貴女にまだ付けていない修行がありましたね。」  
「え…?」  
葉月の目が驚きで大きく見開かれた。  
 
「あの…蒼月兄さん、修行って私、たいがいのことはもう教えてもらったけれども…?」  
どこまでも彼女は無邪気なようだ。しかし、目が泳いでいるあたり薄々感じているらしい。そこは流石にくの一といった  
ところであろうか。蒼月も火月も顔立ちは悪くない(むしろ蒼月はかなりいい方だろう)ためにそういった関連で朝に帰っ  
て来る日が度々あったため、葉月もなんとなく、それは理解してたのだが、自分がそのような任務に就くことは想像してい  
なかったし、そのための修行をするなど頭に浮かんだことが無かったのである。もっともそれは兄達がそうしないように葉  
月を庇っていたからだし、葉月は魔を封じる力があるために、そちらの任務に集中するよう月心斎から言われていたからで  
ある。  
「物わかりが悪いですね。わざわざ言わなければわからないのですか?」  
「そっそれは、その……」  
葉月の顔がうつむいてみるみるうちに赤くなる。  
「それに、兄さんとだなんて……」  
「おや、知りませんでしたねえ。葉月に好きな男がいるだなんて、初耳ですよ。じゃあその人に頼みましょうか。」  
「ちっ違うよ!だって……」  
「ならどうしてです?よく分からない男とそうしたいのですか?それとも私でなくて火月が良いのですか?」  
そこまで言うと葉月の顔が一瞬さらに赤くなり、手を後ろにしてモジモジしはじめる。やはり葉月をからかうのはやめられ  
ない。我ながら悪い兄であると思うが、楽しい。  
「ちょっと、何でそこで火月兄さんが出てくるの?!」  
「だって葉月は私より火月にばかり懐いているじゃありませんか。」  
「それは火月兄さんの方が世話がかかるもの。蒼月兄さんは傷だらけになったたり、着物破いて帰ってきたりしないし…」  
「では私でも構わないと思うのですが。そうですか、他の人がいいんですね、葉月は。」  
「そうじゃなくて!それとこれとは違う…って…きゃっ!」  
葉月の背中が床に着いた。目の前に自分の兄の目が移っている。その目がこんなに冷たい目だとは思わなかった。  
(他の男になんか、葉月の相手はさせませんよ。)  
蒼月は口元は微笑んではいるが、目はギラギラと冷たく光っていた。葉月はそんな顔を戦闘でしか見たことがなかった。  
怖い、とそう感じてしまう。  
「…ねえ…蒼月兄さん、やっぱり私にはまだ早いよ…やめようよ…ねえってば。」  
弱々しく葉月は講義するものの、蒼月は手早く葉月を襦袢一枚に仕立て上げた。年頃の娘らしく膨らんだ胸と引き締まった  
細い腰と白い肌が翡翠色の髪に映えて美しい。やはり他の男にやるには非常にもったいない。  
「何を今更言っているのです。同じ年頃の子はみな済ませているというのに。」  
「…だって、怖いし、恥ずかしいよう…それに火月兄さんが帰ってきたらどうするの……」  
「ではその時は火月にも手伝ってもらいましょうか。」  
「えええっ!そんな、そんなのやだよっ!」  
顔を真っ赤にして葉月は抵抗したものの、すでに襦袢の紐も緩められており、もう後には戻れない。蒼月はフッと自嘲的な  
笑いを一瞬浮かべた後、葉月の襦袢の隙間から手を差し入れた。  
「うわあっ!」  
「手を入れただけでそんなに大声を上げないでくれませんか、葉月。先が思いやられます。」  
「じゃあ今すぐやめてってば……きゃあっ!うむ…むぐ…」  
葉月の口が蒼月の手によって封じられた。必死でもがく葉月だったが、蒼月の手はびくともしない。  
「全く、触れただけで…少しは我慢しなさい、葉月。外まで聞こえるじゃありませんか。」  
そのままゆるゆると揉んでやると、葉月の真っ赤で熱をもった頬がいっそう熱くなっていくのを手越しに感じる。  
 
 
 
 

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