天下一武闘会が終わった。
決勝戦は覇王丸と殿様の対決となり、結局覇王丸の優勝となった。
自分が途中敗退してしまったのは口惜しいがまぁ、順当な結果だろうと思う。
それに子供の頃からずっと憧れていた服部半蔵その人と本気で戦り合えたことに、
優勝できなかった口惜しさよりも充足感を強く感じていた。
全ての戦いが終わった後、彼女は不思議な力を失っていた。
そのまますぐ故郷へ帰ると言う彼女に、一緒に着いていくことにした。
彼女の妹がそのことに対して不満を露にしていたが、ごまかしごまかし彼女らに着いていった。
自分でもなぜそう感じたのかよくわからないが、このまま彼女と別れてしまったら
もう一生会えなくなるのではないか、そんな不安があった。
だから彼女の妹が露骨に嫌そうな顔をしていても、無理にでも着いていこうとしたのだ。
そんな妹を彼女が優しくなだめているのが、無理に着いていこうとしている俺を彼女が肯定してくれ
ているようで勝手に嬉しく思っていた。
経験上、容姿の所為意外にも他所から来たということだけで謂われなき迫害を受けることには慣れていた。
今回もその覚悟を決め、初めて彼女の故郷へ足を踏み入れた。
自分の容姿を見て、最初はよそよそしかった人達もどこから来たのかという問いに答えた途端、一変。
村中一気にお祭り騒ぎになり、物凄い歓待を受けたのだ。
これには拍子抜けした、というよりも驚いた。
挙句の果てには年頃の娘の中から嫁を選べとまできた。
その中に彼女の姿が無いのが残念で仕方が無く、丁重にお断りしておいた。