『「いい体ですねえ」』
廃寺に白い裸身が蠢いていた。金髪が波打つ。傍らの人影は静かだった。
シャルロットは怪しい剣士と決闘して敗れ、その意に従う事になった。主君
の為に有能な人材を探していると剣士は言う。剣士にシャルロットは従って進
むほか無かった。
二人は廃寺に入った。人の気配に気づいたシャルロットが目を向けると、暗
い顔をした若い女が座っていた。
「お前も、あの剣士に敗れて連れて来られたのか?」
「…チャンプルごめん…。もっとしっかりしていれば見失わなかった…。」
しかし女はこちらに目もくれず、何かを呟くばかりだった。
「さあ、こちらに。今日あなたにやってもらう事はまだあります。」
言われてシャルロットは剣士に寄った。
「いつも甲冑をつけているという必要は無いでしょう。」
丁寧だが抵抗を許さない意思を感じさせる言葉だった。しぶしぶシャルロッ
トが甲冑を脱ぎ始めた。
「見た目は合格でした。これからは、直に調べさせていただきます。決して
暴れないように願います。」
何をするのか怪しむシャルロットに剣士が近づいた。そして、胸に手をやっ
た。
「な、何を!?」
「暴れないように願います。」
剣士の手は止まらなかった。服の上から胸の形をなぞっている。静かで優しい
手つきだった。剣士は両手を左右の胸の曲線に沿って動かしていた。縦と横に、
同心円を描くように丸く、左右の中間を往復もした。
「形はわかりました。では、よりしっかりと調べさせていただきます。」
剣士がさらに正面から近寄った。近寄って、胸をはだけさせた。さすがにシャ
ルロットが顔をゆがめる。相変わらず丁寧で柔らかな手が遠慮なく向けられた。
乳首を美しい指が触れている。押して、離して乳首が上下した。乳首が、気の
せいか盛り上がった。盛り上がったその乳首の周りを指が回った。自然と、口が
閉じて奥歯をかみ締める。シャルロットの鼻息がかすかに荒くなった。
「どうかなさいましたか。まさか、いえ失礼。」
シャルロットは軽く咳をした。落ち着こうと努めたが、高ぶりはおさまらな
かった。
剣士の手が胸にかぶせられ、軽くつままれた。
「うっ。」
押し殺した声が漏れる。軽くつまんだまま、指を細かく動かしている。
「うっあっ!!」
声がやや強くなった。剣士がまた口を開いた。
「私は、ただ調べているだけです。よこしまな考えは微塵もありません。」
たまらずシャルロットが叫んだ。
「お前の意図など聞いていない!!お前の心中がどうであろうとお前のしてい
る事は無礼で猥褻な事でしかない!!」
そう叫んだ隙に剣士が後ろに回りこんだ。背後から手を回して、胸を包んだ。
優しく軽くもんで、そのまま微かに上下に動かした。振りほどこうとするが、相
手は器用に動いて離れなかった。そのままシャルロットの動きは鈍くなり、やが
て膝を突いてしまった。されるがままになった。
荒い息を吐きシャルロットは座っていた。消耗し切って余裕は全く無い。相手を
窺う事もできない。相手はシャルロットの横に座っていた。その手が、シャルロット
を更に脱がせた。抗うどころか、相手が何をしているか察する事もシャルロット
はできなかった。半裸にされたシャルロットに、抱きつくようにして剣士が手を
伸ばした。シャルロットの体中を剣士の綺麗な手が這い回った。
剣士黒河内夢路の吐息がシャルロットの頬にかかる。一段と熱い喘ぎが起こった
。夢路に興奮の様子は欠片も無かった。まさにその真っ黒な瞳のごとく、全く心を
持たないように、冷たく丁寧で親切な侵略が続いた。
「お前が、お前が女の私を…。」
「調べているだけです。」
「何の為に!!」
夢路の心中を予想する事は全く不可能だった。本当に任務の為なのか。それとも
倒錯した欲望の為なのか。シャルロットはわからなかった。あのミナですらわから
ないのだから当然だった。
「彼女もそうでしたが…。」
「あっうっうっあっうっ…。」
「いい体ですねえ…。」
その時、廃寺全体が揺らいだ。夢路が飛び退って辺りを見回した。凄まじい揺れ
が廃寺を襲った。隙を見てシャルロットが着衣を直して甲冑をかき集めると廃寺を
飛び出した。夢路も逃げた。ミナもまた舞い上がる煙から逃れた。
(もしかしたら…、死んでいた方がよかったかな…。)
歩きながらうつろな目でミナは考えていた。
(それにしても一体…。)
その時、目の前に何かが飛び出した。
「ああ…チャンプル!!」
「チャン!!」
ミナは、ミナを思うあまり村中の人を殺めてしまう事もある、幼い未熟なシーサ
ーを抱き上げた。
(おわり)