小ネタ シャルロットと天草四郎  
 
 「ああ、生き返るようだ」  
 立ち昇る湯気の向こうに波打つ金髪と白い裸身が見え隠れする。その  
豊満な胸も。  
 珍しい物が並ぶ市がもうすぐ終わると聞いて道を急いだシャルロット  
は迷ってしまったが、そのお陰でこうして温泉に浸かっている。森の奥  
に孤独に湧いてる温泉に近づくものは彼女一人だった。  
 湯から上がった手が顔を拭い、肩を拭う。その一挙一動の度に豊かな  
胸が水面から顔を出しては沈み、新たに水面に波を増やした。湯の下には  
、今は隠れて見えない脚線美が沈んでいる。  
 突然、シャルロットは動き出した。剣を握って辺りを見回す。  
 (確かに感じる)  
 シャルロットはただならぬ気配を感じていた。全裸に剣だけを携えて  
シャルロットは湯の中で沈黙をしばらく保ち、一気に突いて斬った。  
 しかし手ごたえは無かった。斬りつけた空間には明らかに湯気とは異  
なる靄が浮かんでいた。  
 「さすがだな」  
 靄は更に言葉を続けた。自分、天草四郎はまた近いうちに姿を現すと。  
そして誰にも止められないだろうと。止められない事がわかっているか  
ら敢えて予告してやっていると。どこか事務的な演説だった。  
 「さらばだ」  
 「ちょっと待て!」  
 意外な呼び止めに靄が消えるのをやめた。  
 「お前、その、なんとも思わないのか?」  
 「何がだ?」  
 「だから、湯浴みしている裸の私の前に現れて…」  
 「ああ、許せ」  
 「そうじゃなくて!!」  
 怒り始めたシャルロットに靄が見るからに困ったような素振りを見せた。  
 「もしかして女として見なかったのが悪いのか?お前がそう望んでいる  
んじゃないのか?」  
 「違う!私は女だからああだこうだと私に決め付けるのが嫌いなだけだ  
!!こうもあからさまに女でないように見られて良い気分なわけがあるかっ!!」  
 シャルロットの怒りは湯のぬくもりも手伝って見る見るうちにその体を  
白から赤へと染めていった。その胸もその胸の頂上も。  
 「大体お前達はいつもそうだっ!!胸の大きい色気女とみなしたかと思ったら  
男と同類のように私を見るっ!!特にお前だっ!!まるで子供か男を見るような…」  
 「…めんどくせ…」  
 つい思わず洩らしたその言葉が更にシャルロットの怒りを燃え盛らせた。  
 「今何と言った!!」  
 とうとう嫌になって天草の靄は一瞬で消え去った。  
 
 「これだから卑しいものどもは困る」  
 天草はため息をついた。遠くを映す水晶玉の中で、シャルロットは天草の  
靄が消えた所に向かってしばらく怒鳴り続けたが怒りが収まってまた湯に浸  
っている。  
 天草は大きな姿見の前に立った。右に身を振り、左に身を振り、微笑を浮  
かべた。シャルロットは知らない。天草が誰を愛しているのかを。  
 
(終)  
 

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