(並の人間なら、立てなくなるどころか三人は死ぬくらいしたのに!!)  
 「ぎゃ゙お゙ゆ゙ら゙」  
 「でも当たりはしないか」  
 一瞬臆したものの気をとりなおして易々と骨槍をかわす。この怪物は底  
知れない胆力があるらしい。しかし最初に比べればだいぶ消耗したらしい。  
 (もう少しか)  
 「ぐゔぐゔぐゔゔゔ!!!」  
 遠めに離した怪物がいきなり地面を叩き出した。それも、酷く恐ろしい  
顔で。  
 (一体何を)  
 「あ!!」  
 気づいた時は遅かった。地面から無数の腕が飛び出してきた。あの怪物  
と大きさはまるで違うが、どこか似た、業の深さを思わせる腕が無数に。  
 「やだ!」  
 身動きが取れない。足が、腿まで腕につかまれてる。なんて禍々しい気  
持ち悪い腕だ。嫌悪感で震え上がりそうになる。  
 (こ、こいつら!!)  
 ただ掴んでるだけじゃないのに気がついた。気持ち悪く足にまとわりつ  
いてくる。撫でたり、擦りついたり、ゆるく包み込んだりしてくる。業が  
深い腕らしいことだ。怒り半分気持ち悪さ半分だ。  
 「えい!!」  
 抜け出さないと。刃を振るって腕の茂みを抜け出そうとする。見えなく  
ても見えても刃を当てられて腕が退いていく。いい調子だ。  
 (このまま、しまった!)  
 手が捕まってしまった。もう刃を振れない。後はもがいて振りほどくし  
かなくなってしまったというのに、なかなかほどけそうにない。そうして  
いる間にも手が、気持ち悪く足に触れてくる。  
 「やめろ!!シクルゥ…バカ!!」  
 助けを呼ぼうとしてみると、シクルゥは既に自分の背後で捕まっていた  
。なんとも情けない顔をしている。情けなくて声一つ出せなかったらしい。  
もう後は、何が何でも悪あがきするしかなくなったと言うわけだ。  
 
 「この!えい!あっ」  
 無我夢中で暴れてる隙に、また腕が気持ち悪く触ってきた。両足の内側を  
絶妙な手つきで。  
 「や、この!!」  
 恥ずかしさと怒りがこみ上げるが、だからと言って優勢になるわけでは  
ない。それどころかますます足に嫌らしく触れてくる。  
 「あっ、く…ひぃ」  
 手が伸びてもっと上に迫ったが限界らしく縮んで下がった。しかし他の手  
まで背伸びをやり始めた。一瞬の触れが尻に、腰に、腹に、胸にまで来た。  
 「や、やめろ!!」  
 足が震えてきた。  
 「やめて…。い…。う…。ああ…。」  
 震えが、変わってきた。足の間が熱くなってきている。精神が頼りにな  
らなくなり始めた。理性と気合が急速に弱まって、代わりに、恥ずかしい  
感情が浮き上がってきた。それがすれ違ったら終わりだ。いつの間にか目  
の前にあの妖怪変化が蹲踞していた。舌なめずりをしているが、食欲を忘  
れて見入っているようだ。犯すと言う発想は忘れても助平心はまだ残って  
いるらしい。  
 「くうん!ああっあああ!!」  
 膝を地面につけた途端、今まで一瞬触れるだけだった腕が上半身にまで  
じっくり触れてきた。胸にまで。下半身は勿論なすがままになった。一番  
大事な所にまで指の腹が、優しくいやらしく触れてくる。もう、私は…。  
 
 「え…?」  
 「ごろ゙じでや゙る゙ゔゔゔ!!」  
 気がつくとあの怪物は退散していた。頭や背中に深々と矢が刺さってい  
る。相当な勢いのある矢らしい。  
 「あれ…?」  
 色黒の女の子が立って怪物の逃げた先を見つめていた。こっちの醜態に  
気がつかないでくれたのが幸いだった。ようやく気がつくと、とても驚か  
れた。  
 「あの、ありがとう」  
 女の子は言葉が見つからない様子で何かを拾うと走り去ってしまった。  
 「変な子だな。お礼を言ってやったのに」  
 

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