聞き慣れない不快音が轟いた。金属を貫く音だ。発せられた元は女傑シャルロット  
の鎧である。その鎧に、太く逞しい腕が先端を潜り込ませている。軽く工夫された鎧  
だが、それでも鎧だ。しかし音を立てて鎧は穿孔されてしまった。  
 「へへ…」  
 その鎧を貫いた腕の持ち主が不気味に笑う。  
 「ぞくぞくするぜぇ!!」  
 シャルロットの顔は恐怖に青ざめた。予想だにしない恐怖に勝てなかった。言葉を  
出す事を忘れるほどの驚愕と恐怖に体が痙攣していた。  
 鎧に突き込まれた腕が動く。鎧に隠れて見えないその先端が、中で動き回っている。  
掌は、目指す物を捉えたらしい。  
 「いいねぇ…」  
 「あっ!」  
 シャルロットが声を上げた。真っ黒な羅刹丸の手が、物体に触れる。丸みを帯びた  
その物体の表面を、いとおしげに禍々しい手が這い回った。  
 「あ、ああ…」  
 「たまんねぇな」  
 柔らかいが、強い弾力を以って押す手を跳ね返してくる。揺れる様が鎧に隠れてい  
ても感じ取れる。豊かな質感を手に感じていた。  
 「いいねぇ…この感触!!」  
 「うあ!!」  
 豪腕の手が物体を掴んだ。そして、シャルロットが絶叫した。  
 「この…、この…スケベ!!」  
 シャルロットの鉄拳が音を立てて羅刹丸のアゴを打った。  
 「どこを触っている!?」  
 「臓物じゃなかったか?」  
 「恥を知れ恥を!!キィイイ!!」  
 顔を真っ赤にしたシャルロットは更に羅刹丸を殴りつけて踏みつけた。  
 
 (こいつ…腹の中空洞か!?)  
 「姉様この人何やってるの?お医者さんなの?」  
 「いやあ!!リムルルから離れて!!」  
(終わり)  
 

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