今日で才蔵に監禁されて三日がたった。
両手足は後ろに縄で縛られていて身動きがとれない。しかも動こうとすれば縄が肉に食い込み痛い。
どうにも間抜けで無様な姿だ。
なぜこうなったか、京次郎は歯軋りしながら思い出していた。
三日前京次郎は才蔵に仕合いを申し込んだ。最初、才蔵は嫌だと断った。
しかし才蔵は自分が勝った場合京次郎がある条件を飲むことで承諾した。
ある条件とは、一回だけ唇を許すこと(詰まり接吻なのだが)だった。
仕合いが開始しされ京次郎は殺すつもりで才蔵に振りかかった。
しかし才蔵は攻撃を受けようともせず、ただひたすらに逃げ回る。
京次郎は苛立ち思わず力任せに剣を振ったため少しよろけてしまった。
それを狙って才蔵は京次郎を押し倒し、京次郎の剣を奪い取って地に投げ捨てた。
約束だとつぶやいて京次郎の唇に触れた。
何度も何度も口付けされ息がもたない。やっと離され息が吸えるようになったが少しくらくらする。
そしてそのまま抱きかかえられた。心地よくて何も言わなかった。今は悔やむべきことだ。
家に着きなかに入った、
途端に床に叩きつけられ痛みに身体を歪ませている間に縄で縛られてしまい現在に至る。
戸の開く音がした。才蔵が帰ってきたみたいだ。
「京次郎食うか?屋台で買ってきた」
才蔵は包みを広げ、寿司を京次郎の口に近付けた。
「…食べる気がしないね。さっさとこの縄を解きなよ」
京次郎がすごむが才蔵は引かなかった。
「食え。一昨日から何も食べてない筈だ。体力を少しでも付けろ。」
といって京次郎の口を無理矢理こじ開け寿司を口に放り込んだ。
「今夜は体力が必要になるんだからな…」