『もう、ダメかもしれない』
チェルシーは絶対絶命の状況で、そう思った。
地べたで仰向けに倒れているチェルシーは、目の前に立ちはだかるチンピラを睨み付けた。
「なんだァ?その目はァ」
刃がボロボロで血がこびりついた汚い刀で、チェルシーの頬をペチペチと叩くチンピラが一言言う。その行為は、チェルシーのプライドをひどく傷付けた。
チェルシーの愛刀は、折れて吹き飛んでしまっている。こんな汚い刀を持ったチンピラに負けるとは、全くツイてない。
「何とか言ったらどうなんだァ?」
木々がざわめく風の強い夜、汽車がよく走るレールの上……こんな辺鄙な所で絶命するなんて……。
唐突な寒気が、チェルシーを襲う。
「……………」
チェルシーは目をつむった。
「……いい顔だ」
うす汚れた刀で、頬に右斜めの一線を入れられた。その線から、紅い液体が流れた。
「うっ………」
あまりの苦痛に、顔の表情が歪む。
「…ハッハッハッ!!!!こりゃァ滑稽だ!!!!!これはなァ、黒生家を小バカにした罰なんだよォ!!!!!!!」
いきなりチェルシーを罵倒したチンピラが、チェルシーの喉元に新たな血で汚れた刀を突き付けた。
同時に、草履で土を蹴りながら歩く音がチンピラとチェルシーの耳に入ってきた。
「んァ………!?」 チンピラが異変に気付いた。草を踏みしめて歩く音が次第に近付いてきている。誰かがこちらへやって来る様子だ。
(……赤玉党……黒生家の連中……?くっ……運に賭けようか)
チェルシーは運に身を任せた。
チンピラは足音を気にしながらも、チェルシーの身体をなめ回すように見ていた。
「お〜い、紀行さ〜ん!!!!」
チンピラは声のした方に振り向いた。赤玉党の本拠地付近にある下り坂に、こちらを見下ろしているヤツが一人、そこにはいた。
「あ……アイツッ!!!」
どうやらこのチンピラは紀行と言うらしい。上のヤツは黒生家のチンピラだった。チェルシーは絶望した。
「おい!!何しに来た、豚磨!!」
チンピラはドスの効いた声を張り上げて上にいる豚磨に言う。
「豚磨じゃないっす!!!!琢磨です!!!!……紀行さん、こんな時間にどうしたんですかィ?夜は汽車なんて来ませんが……」
どうやら琢磨からはチェルシーが見えないらしい。
「おい、豚磨!!!!こっちへ降りてこい!!!近くに、梯子があるだろ……!!!!!おい、女………動いてんじゃぁねェよ」
紀行はチェルシーの股に跨いでゆっくりとしゃがみ込んだ。チャイナドレスの生地が、紀行の尻にフィットしていき、ゆっくりと伸びていく。
「や……やめて!!!!」
チェルシーは身体をくねらせる。
「ほぉぅ……かわいいじゃぁねぇか…。刀を持つとあんなにも気性が荒くなるのにな」
チェルシーは紀行から視線を遠ざけるようにして右を向いた。しかし紀行は、左手をチェルシーの右頬に持っていき、傷口から出た血を拭って無理矢理正面を向かせた。
「ひっ……!!!!!!」
「何ビビってんだよォ……。オイ、豚磨……早く来い」
後ろから駆け足が聞こえる。
「すんません!!!紀行さん!!!……で、何かいるん…………ひぃぃぃぃっ!!!女っ!!」
「琢磨も何ビビってんだよ……刀を持ってねぇヤツは、弱ぇのばっかなんだよ……安心しな」
「は……はぃぃッ」
琢磨はおどおどした様子で紀行に謝る。
「で……この女、どうするんすか?」
琢磨が紀行に問う。
「この女…?お前にやるよ」
「えぇっ!?」
「その変わり!!!!!ヤる時はお前が2番目だぞ……わかったな」
「あぁっ…!!!モチロンっすよ!!!!!しっかし……紀行さん、この女……結構イイ女じゃぁないっすか!!!」
「刀を持つとこの女は恐いぜェ!!!いやぁ、堂島に刀を鍛えてもらってよかったよォ!!なかなか強かったぜ、この女は」
紀行は勃起した股間をチェルシーのチャイナドレスに押し付けながら言った。
「俺はなァ、気が強ぇ女が大好物なんだよなァ」
紀行は史上最強の不細工顔を琢磨に向けた。不細工な紀行の顔がより不細工になった。それに対し、琢磨はまだじっと見られるマシな顔だ。
「……ぁっ……ちょっと…何っ!?」
紀行の服から堅くなったモノが隆起し、チェルシーの股らへんにゴリゴリと当たる。
「さぁて、そろそろ………」
紀行は、チェルシーの可憐な唇にキスをした。
激しい口臭に、チェルシーは直ぐさま吐き気を催す。
「んんっ……!!!!!!!」
紀行の舌が、チェルシーの唇を割って入っていく。そのいやらしい音と、琢磨が唾を飲み込む音が重なった。
琢磨はチェルシーの元へ歩み寄り、彼女の右隣で寝そべった。レールに敷いてある枕木が妙に心地良い。
チェルシーの柔らかい乳房を、琢磨のごつごつとした手が、確かなあの感触を確かめるようにゆっくりと揉み上げていく。
「あぁっ……やッ……はっ……むンっ…」
チェルシーの唇は、紀行の唇で塞がれて彼女の声は掠れていたが、確かに彼女は喘いでいた。
「俺も……興奮してきましたよォ……紀行さんっ」
琢磨は自らの股間を掌で摩り始める。紀行はチェルシーから唇を離した。
「いい味だったッ……ますます気に入った。……オイ女、お前…名前はなんて言うんだ」
紀行は口からチェルシーの唾液を垂れ流しながら聞いた。
「誰が名前なんていうかっ!!!!!…んぁぁっ……」
虚しい抵抗だった。琢磨は、チェルシーの右乳房を揉むペースを上げている。
「やぁン……ちょっ……ダメっ……!!!!!はぅゥン!!!!」
一旦愛撫を止めた琢磨は、持っていたハルユキを取り出し、チェルシーのチャイナドレスを首から臍までの真ん中をゆっくりと切り裂いた。
「豚磨のくせに……ハルユキなんざ持ってやがる………俺なんか初代五光なのに」
紀行はふて腐れた。
チャイナドレスや巻いてあったさらしも破れ、チェルシーは赤面する。
「きゃぁぁぁ!!!!!」
チェルシーは両手を交差して、服の両側から零れた胸を押さえる。
「おぉッ!!!こりゃァ見事!!!!」
琢磨が思わず歓喜の叫びを上げる。
「キャァキャァうるせェなあ!!!!」
紀行は抜刀をし、ボロボロの初代五光をチェルシーの手の甲に突き付けた。
「…くっ…チンピラ……おっ……覚えてなよ!!!」
「………へっへッ!!!!そんな顔も…また惚れるよぉ……さァ、手を退けな」
(悔しい……こんなチンピラに……)
チェルシーは黙って手を地に置いた。
(私は…まだ死にたくない!!!!!町を守る為に……私はここに…)
「紀行さん………早く、早くしてくれよォ」
欲にまみれた琢磨が、紀行を急かす。
「そ……そうだな……」
紀行は我にかえった。彼の中の凌辱心が、彼自身を狂わせていた。
琢磨がチェルシーの胸にむしゃぶりつく。琢磨の唾液が、チェルシーの桜色の乳輪から乳房に流れていった。
「ぁふぁぁッ……!!!やッ……やめてぇぇ!!!!!」
紀行はチェルシーの腹に指先で円を描くように優しくなぞる。チェルシーの腹がひくついた。
「はぅぅ……っ……くっ…くすぐったいぃ」
「なぁ……琢磨、悪ィ……さっきの約束、無しにしてくれ……!!!すまねぇ…!!!だんだん、オマエがうらやましくなってくる……」
紀行は琢磨にお願いをした。約束を守らないなんて、全く最悪な男だ。
琢磨はチェルシーの乳首を舌で転がしながら、
「ちゅ……っ……紀行さんにもこの柔らかさを分けてあげたい……はむッ……いいですよ……」
「ありがとう……琢磨!!!!!!!俺は最高の部下を持ったゼ!!!後で甘栗んとこでおごるからな!!!!」
紀行は嬉しさのあまり、チェルシーの股の上でホバーリングした。臍まで斬られたチャイナドレスの生地が、股の所まで破けてパンツが見えた。
左乳房を揉んでいく節くれだった紀行の手つきに、チェルシーは快感を覚えた。
「…ぁぁんっ…ん……ゃだぁぁ……」
(あぁっ……何か…変な感じ……)
チェルシーは両内股を擦り合わせる。そこからは、クチュッ…と湿った音が……。
「コイツ、濡れてやがるよ」
紀行はチェルシーの股に右手の人差し指と中指を添える。パンツ越しだが、そこはびちょびちょに濡れていた。
「……ぅぁぁ……触ら……ないで…」
ねちねちとした乳房への愛撫と股にあてがわれた手に、チェルシーは強姦されながらも強い快感を感じていた。
(……私……どうなっちゃうの……?)
これから先、何をされるかわからない……。
快感の泉に溺れた彼女を助ける事なんて、不可能に近い。彼女の先の事は何も見えないのだ。今は快感の泉の流れに身を任せていたい……。
チェルシーは、未熟な果実のような乳房を愛撫されながら、ゆっくりと事の流れに身を任せていた。
「はぁッ……ぁぁ………んんっ………」
今はまだ、パンツに包まれているチェルシーの秘部に、紀行は指で微弱な振動を送る。
「は…っ……ぁぁ………やぁん……気持ち……いいっ……」
「そうか……気持ちいいか……?無理矢理犯されてんのにインランな女だなァ」
紀行は秘部への愛撫を続けながら、冷たくそう言い放った。
「母ちゃんのおっぱいみたいだァ……」
未だに乳房をいじくりまわす琢磨。
「あひぃっ…!!らめっ………そんらに早くしらいれ……!!!!」
パンツの上から、敏感な芽がある部分あたりを人差し指の先端で激しく擦られる。
気持ちが良すぎて呂律が回らない。チェルシーは可愛い声で鳴き続ける。
「紀行さんっ……この女………いいですねェ……」
股間を膨らませた琢磨は、自分の肉棒を取り出し、チェルシーの顔に跨がった。
「ひぃっ……!!!!!!!」
初めてじっくりと見るグロテスクなブツが、重力に逆らってピンッと真っ直ぐに伸びている。
「舐めてもらうよォ……」
チェルシーの唇を割って入ろうとする琢磨の肉棒。しかし、チェルシーはそっぽを向いた。
「ちょっ……ちょっと!!舐めろよ!!」
チェルシーがそっぽを向いた方に肉棒を向けると、またそっぽを向いてしまう。琢磨はイライラした。
「おい、どうした」
紀行は立ち上がり、チェルシーの様子を窺った。
「オイオイ、舐めてやれよォ……」
チェルシーの頭を紀行は両手で無理矢理正面に固定した。
「琢磨…入れていいぞ」
「紀行さん…ありがとうございます」
肉棒をチェルシーの咥内へ挿入していく。
「んがっ……ちゅぷっ…………グホッゴホッ」
あまりの臭さに、チェルシーは噎せた。
「あったかくて気持ちいい……舌を先っぽでチロチロしてくれると嬉しいなァ…」
しかしチェルシーは噎せるばかりで何もしない。
「……風呂に入っとけばよかった」
そう言いながらも、チェルシーの口を犯す琢磨。
(臭いっ…気持ち悪い!!!)
チェルシーは今にも胃の内容物が飛び出そうだった。今までの快感も、この行為で吹っ飛んでしまった。
立っていた紀行は、先程からいたチェルシーの股の上にゆっくりとした動作で座る。
紀行はチェルシーのパンツに手を掛けた。
パンツが下に下がっていく。チェルシーの若草が、風に靡いて爽やかに揺れた。
「ハッ……ひゃら……!!!!!」
肉棒を口にくわえながらも、チェルシーは必死に抵抗する。
「おまえは素直じゃねぇなァ……」
チェルシーの秘部に顔を埋め、舌先を駆使して小ぶりで敏感な突起を突く。
「あはっ……ふぁっ………うぅっ……うぅっ!!!!!」
「ハァッ………ハァっ……」
琢磨がピストン運動を激しくする。チェルシーは呻いた。
「も……もうダメだぁ………出る…出ちまうゥッ!!!!」
どぴゅぅぅぅぅぅっっっ!!!!!!!
大量の精液が、チェルシーの口の中に注がれる。
「うぐぇ……ぉおぇっ…………」
(臭いし……マズい…!!!喉に引っ付いて取れない…!!!)
琢磨が肉棒を引き抜く。チェルシーは瞬時に噎せ出した。
「すまねぇなぁ……」
本当にすまなそうな顔をして、琢磨はチェルシーに謝った。何せ、3日も風呂に入っていないのだ。
「琢磨、もう夜が明けるな……」
長い愛撫が終わり、紀行はチェルシーの秘部に肉棒をあてがった。
「そう……ですね」
肉棒をだらし無くぶら下げた琢磨は、紀行の後ろへ向かって歩いていった。
ゆっくりと、肉棒を膣内に入れていく。膣の締まりが激しい。
「ハァっ…ハァ………オマエ……処女…だな……?」
しきりに痛さを訴えるチェルシーに、容赦無く肉棒が突き刺さる。
「痛い…!!!!!!痛いよぉぉ!!!!!!!誰か………誰かっ!!!!!!!!!」
「こりャァ……キツイ………他の女より……あぁっ、出ちまうよォ」
グチョグチョと湿った音を立て、紀行の肉棒は膣内に完全に入った。
「痛いっ……痛いぃっ……早く抜いて!!!!!!」
さっきの気持ち良さはどこへやら、今は身を引き裂かれるような苦痛しかない。
「ハァ……っ……琢磨……最高だよ、この女は……」
琢磨の方を振り返る………が。
……琢磨がいない。
それに気付いた時には、もう遅かった。
「ぐぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
断末魔の叫びが響き渡り、一人の坊主が、紀行の首を撥ねた。
返り血が、チェルシーとその坊主の身体に飛び散った。
陽が昇り、鳥が鳴き、また新しい日が始まった。
朝日の眩しさにチェルシーは目が覚めた。煎餅布団のせいか、身体が痛い。いや、レールの上であんな事をされたからか……。
「…うっ……ここは…?」
ぼやけてよく目が見えない。
「おい…大丈夫………な訳ねぇな……。馬鹿二人は殺しておいた……安心しな」
目の前に、紀行と琢磨を殺した坊主頭がいた。
「……飯、作ったから、食いたかったら食いにこいや」
「……ありがとう……」
チェルシーは礼を言う。そして心の中で自らを恥じた。一時の快感に溺れた自分が恥ずかしく、大馬鹿だった……と。
「俺の名は吉兆。赤玉党のモンだ。……お前は?」
「私の名前はチェルシー……アタシは、赤玉党に入りたいんだ……その為にここに来た」
やっと目が見えるようになった。
チェルシーは身体を起こす。
「……痛っ……」
「オイ、立てるか…?」
吉兆がチェルシーの身体を支える。
「ゴメン…ありがとう……」
吉兆とチェルシーは、眩しい光が照らす赤玉党本拠地内部へと、消えていった。
――1年後――
夜更けに赤子が泣く声がこだまする。暗闇に二人、人影が見える。
「ここが……大手門か…。さぁ……チェル……」
「吉兆……私は……私は……」
赤子を抱いたチェルシーが、そこにはいた。死んだ紀行と、チェルシーの間に出来た子供だった。
「…子供は…悪くない……だけど…私は、この子を見る度にあの事を思い出してしまう……そのうち気が狂って、この子を殺してしまうかも…しれない」
チェルシーは涙を浮かべ、声を震わせた。
「お前が決めた事だ……俺は、見守る事だけしか出来ない」
「……最後に……この子に名前を付けさせて…」
その言葉は誰に言ったわけでも無かった。
『さよをよろしくお願いします』……そう書かれた紙切れを、赤子の服に挟む。そして厚い布に包まれた赤子を門の前に置く。
「さよ………ごめんなさい……これしか、私には出来なかった…………あぁぁっ……」
鳴咽を漏らし、チェルシーは赤子の前にひざまづく。
吉兆はただ、チェルシーを見守るだけだった。
時は江戸。「侍」が確かに存在していた頃。
遷都し、喪失し、そしてまた決して変わらずにあるもの。
さよは、強く、強く、その時代を生き抜いた。誰よりも強い侍と共に。
そして江戸時代が終わり、明治時代が始まった。
時代はもはや侍を必要としなくなっていた。
しかし、まだこの時代には人の世に流されず、信ずる道のままに生きる者たちがいた。
「吉兆……!!!!」
「チェル……!!!!」
激動の時代に飲み込まれた二人の侍は、刀を構えた。
戦友として、親友として、二人は闘う。
己自身が信ずる、正義の為に。
―完―