夜空に浮かぶ満月が、天原の地を照らしている。  
 その月光を身体中に浴びながら、向かい合うのは一組の男女。  
 しかしながら“男女”などと一口に言っても、二人の関係は何ら艶っぽいものでは無かった。  
 絡み合う視線は熱情とは無縁で、何処までも冷たい。  
 二人の間に愛を語らう言葉は存在せず、あるのは相手に隙を見せまいという静かな息遣いのみ。  
 周囲に漂うのは甘ったるい空気ではなく、今にも死の臭いが漂ってきそうな殺伐とした雰囲気。  
 愛する者同士としては余りにも遠い両者の距離感は、さながら一触即発の間合いのよう。  
 中段に刀を構える和服姿の男に対して、二振りの忍者刀――その名を浮雲小太刀と言う――を逆手に構えた忍装束に身を包む女。  
 そう、早い話が二人は殺し合いの最中だった。  
(……一体、どういうこと?)  
 相対してから幾許かの時間が経った頃、女――おぼろは違和感を抱き始めていた。  
 芽生えた違和感を一言で表すなら、相手に余りにも手ごたえが無い。その言葉に尽きる。  
 いや、それだと多少の語弊があるだろう。実際、男の強さは確かなものだった。  
 そうでなければ、おぼろに命を狙われて、ここまで生き延びていることなどあり得ないはずである。  
 そもそも一筋縄ではいかない相手だと理解していたからこそ、おぼろ自ら闇夜に紛れて暗殺という手段に打って出たのだから。  
 おぼろは自分の実力に自信を持っていた。そしてそれは驕りではなく、自他共に認める確かなものだ。  
 だからこそ、おぼろは若い女という身の上ながらに、このような裏の仕事を生業とすることが出来るのである。  
 そんなおぼろから見て、男は底知れない存在だった。とにかく不自然なのだ。  
 おぼろが繰り出す攻撃は、それこそ様子見のものから文字通り一撃必殺のものまで、全て余裕を持って捌き切る侍。  
 それくらい守りに関しては卓越した実力が在るにも関わらず、攻めに回ると一転して、男の実力は拙いとしか言いようの無いものとなる。  
 突きも、振りも、確かに早い。けれどもそれだけだ。  
 おぼろ程の実力があれば軽々と避けることが出来る程度の、本気で相手の命を狙っているのかさえ訝しく思える攻撃。  
 とは言え、そのような取るに足らぬ腕前の攻撃であったとしても、侍とおぼろが持つ刀では元々の強度からして違う。  
 その為、おぼろは相手の攻撃をなるべく自身の小太刀で受けることはせず、軽やかな身のこなしを活かして、後方に回転したり、或いは侍の頭上高くを跳び越える形で避け続けていた。  
 ――難攻不落な城を思わせる守りに比べて、余りにも見劣りする攻め。  
 その理由に考えを巡らせて行き着いた答えに、あり得ない、とおぼろは自ら否定した。  
 そもそも認められる筈が無かったのだ。自分が相手に手加減されているかも知れない、などということは。  
 例えばそれが手加減ではなく油断であったならば別に構わなかった。自分を見くびっていたことを、あの世で後悔させてやるだけである。  
 けれども仮に、おぼろの実力を見切った上で、それに見合う程度に力を調節していたとするなら、それは女忍としての誇りを踏み躙られるような屈辱的行為だ。  
(大体、相手に手加減する理由なんて存在しない)  
 そう自分に言い聞かせて、おぼろはともすれば頭に血が上りそうになるのを何とか堪えた。  
 
 互いに無言のまま向き合いながら、おぼろは改めて目の前の男を観察する。  
 自身の命が脅かされているにも関わらず、何処か飄々とした様子の男からは、相も変わらず殺気というものが感じられない。  
 男の眼こそおぼろを捉えているが、それは殺し合いの相手を見る視線とは何かが決定的に違っている。  
 命を賭けた戦いの中で相手に向けるには余りに不似合いで、自分の心が無意識的に嫌悪感を覚えるような、その視線の正体は……  
「もう少し、なんだがな」  
 ぼそりと零された男の言葉に、おぼろの思考は中断される。  
 本来ならば、おぼろが暗殺任務中に相手と会話を交わすことなどない。黙々と暗殺対象の命を奪うだけだ。  
「……何を、言っているの?」  
 にも関わらずそう問い掛けてしまったのは、おぼろ自身、この膠着し続ける状況に思いあぐねていたからに他ならなかった。  
「いや、な」  
 つまらなそうに返事をすると、侍は一気に間合いを詰めてくる。  
 そして、おぼろに向かって繰り出されるのは、例によって鋭さが削ぎ落とされたかのような拙い突きだ。  
 その突きを後方に回転することで回避して、距離を取ったおぼろは侍を見遣る。  
 自らの突きを回避されたことに驚く様子も見せず、男は何やら思い悩むかのように唸っていた。  
 男のそんな態度が少し癪に障り、おぼろは何事か言おうとする。しかし、それよりも早く男は口を開いた。  
「――やはり、駄目か。裾の中身がもう少しで見えそうなんだが」  
 最初、おぼろは何を言われたのか理解出来なかった。  
 言葉自体が意味するところは勿論分かる。けれども、そんな言葉が何故この状況で出てくるのかが分からない。  
 そうしたおぼろの心を知ってか知らずか、男は淡々と言葉を続けていく。  
「お前が回避行動を取る度に何とか中を覗こうとしていたのだが……。見えそうで見えないというのは中々に興奮を誘うものではあるが、ここまで見えぬとなるとな……」  
 無念そうに語る男の言葉を半ば呆然と聞きながら、おぼろは先程考えていた視線の正体に漸く気づく。  
 それは女を一人の人間としてではなく、ただ性を処理する為の対象として見る、下衆な男共の視線だ。  
「ふざけた真似をっ!」  
 心が怒りに染まっていくのが分かる。冷静さが必要とされる忍としては、それは紛れもない過ちであったが、我慢など出来るはずも無かった。  
 目の前の侍は、自分を弱い相手だと見下して手加減していたのでは無かった。そもそも最初から殺し合いの相手としてすら見ていなかったのだ。  
 其処らの町娘――いや、それこそ遊女とでも戯れるような感覚で自分と相対していたのだ。  
 おぼろにとって、これ程までの侮辱は他に無いと言えた。  
「絶対に……殺してやる!」  
 溢れる憤怒を隠そうともせず、おぼろは小太刀を構え直して男を睨み付ける。  
 対する男は相変わらず飄々とした表情で、おぼろを見返していた。今ならその視線の意味も、はっきりと理解出来る。  
 その顔が不愉快で仕方が無い。これまでに暗殺してきた相手のように、その顔を苦痛に歪ませて、死への恐怖に引き攣らせてやりたくなる。  
 一陣の風が吹いたのと同時に、おぼろは一気に間合いを詰めた。  
 狙うは首筋。隙を突いて背面に回り込み、首を掻き切る。それがおぼろの最も得意とする必殺の手段だ。  
 その為にもまず相手に隙を作らせようと、おぼろが牽制目的で右手の小太刀を振るった瞬間。  
 
「覗くのは、諦めるべきか」  
 そう言い放った男の目が一瞬凶悪そうな光を帯びる。その瞳を見て、本能が危険であるとおぼろに告げてくる。  
 警告に従って、おぼろは何かしらの対処を取ろうとしたものの、それより先に侍が動いた。  
 小さく呼気を吐き出しながらの無音の踏み込みは、正しく神速。これまでの遊戯のようなものではない本気の一撃であることが窺えた。  
 おぼろの優れた動体視力を以ってしても目にも止まらぬ一閃の後、何かが砕けるような鈍い音が耳に届く。  
 思わず音の出所を目で追ってみれば、視線の先にあったのは――――  
「なっ……」  
 骨を砕かれた自らの右腕が、だらりと力無く垂れ下っているのがおぼろの目に映った。  
 握力の無くなった右手に握られていた小太刀が落下して、足下の土に突き刺さる音が何処か遠く聞こえる。  
 眼前の光景をおぼろが頭で理解する間もなく、侍の刀が再び一筋の軌跡を描いた。  
 そこからは先の繰り返しだ。骨の砕ける音、そして動かなくなる左腕。  
「え、ぁあ……?」  
 一瞬にして自らの身体に起こった出来事に呆然自失な様子のおぼろを、ここぞとばかりに侍は地面に組み敷いた。  
「行為の最中に出血過多で息絶えられては興醒めだからな。峰打ちにしてやったぞ」  
 どこか嘲るような男の声も、今のおぼろの耳に届くことはない。  
 脳が理解するより先にやって来た両腕の激痛が、おぼろの身体を苛んでいたからだ。  
「き……ぃやあぁぁあっ!」  
 おぼろの口から絶叫とも悲鳴ともつかない声が発せられる。自らの両腕に走る耐えがたい痛みに、おぼろはただ悶絶するばかりである。  
 両足をばたつかせ、言葉にならぬ声を上げて、おぼろは身体を苛む苦痛から何とか逃れようとするが、当然の如くそれは無意味な行為でしかなかった。  
 鋭い痛みを与えるばかりで全く動きすらしない腕では、もう満足に小太刀を握ることさえ出来ないだろう。  
 ――任務失敗、完全なる敗北。おぼろはその結果を認めざるを得なかった。  
 両腕の痛みに揺れる視界の中で、漠然と侍が自分へと手を伸ばすのが見える。男の目的、そしてこれから自身に訪れる未来など考えるまでも無かった。  
 ここまで自分を馬鹿にした男に穢されるくらいなら、いっそ――おぼろがそう決心しようとした刹那、  
「がぁ……!」  
 開いた口に刀の鞘を咥えさせられる。そのまま両顎の関節部分を押さえつけるような形で鞘紐できつく縛られて、鞘と口とを強く固定される。  
 それは、おぼろに残された最後の行為――舌を噛み切って自害するということすら許さないという、無情な仕打ちだった。  
「死にたいのなら死なせてやろう。けれどもそれは、この夜が明けてからだ」  
 そう言って男は地面に横たわるおぼろの身体の上に圧し掛かった。ご丁寧にも両足を動かせぬようにして。  
 死を選べぬのなら、或いは意識を失ってしまった方が、おぼろにとって幸せだったのかも知れない。  
 しかしそんなささやかな逃避ですら、両腕から絶えず感じる激痛がおぼろに許してはくれなかった。  
「ぐっ……うう……!」  
 苦しそうにしながらも何かを言おうとしたおぼろは、けれども固定された鞘に口の動きを邪魔され、結果として声ならぬ声を漏らすばかりだ。  
 せめてもの抵抗とばかりに、おぼろは自らの身体に覆い被さる男を強く睨み付ける。  
 両腕を失い、身体の自由を封じられても尚、気丈に振るまおうとする。そんなおぼろの姿を見て、侍はさも愉快と言わんばかりに口元を歪めた。  
 
 今だ苦痛に喘いでいるおぼろの顔を暫く眺めた後、侍は視線を僅かに下へとずらす。  
 動かした視線の先にあったのは、おぼろの荒い呼吸に合わせるように前後するなだらかな膨らみだ。  
 そこに手を伸ばして軽く触れると、布越しながらも確かな量感が手のひらに伝わってくる。  
「思った通り、中々の大きさだな」  
 そう呟いた侍はおぼろの忍装束の襟元に手を掛けると、力任せに引き裂いて胸元を露わにする。  
 中から現れた何重にも巻かれているさらしを取り払うと、さらしに押さえつけられていたおぼろの大きめな乳房がまろび出た。  
 多少汗が浮かんでいるのは両腕の痛みからだろうか。透き通るような白皙の肌が汗に濡れているのは、何とも艶めかしい。  
 形の良い胸の頂点では、桜色に彩られた蕾が小さくその存在を主張していた。  
 目の前の光景に我慢ならなくなり、侍は両手で二つの膨らみを掴む。  
「く……ぅ……ぅあ……」  
 おぼろの口から苦悶の声が漏れる。  
 それはおぼろを苦しめ続ける折れた腕の痛みに因るものか、はたまた自分の身体を好き勝手に弄ばれる悔しさに耐えかねた故か。  
 どちらであるかなど侍には分からなかったし、また分かる必要性も感じてはいなかった。  
「これは……たまらないな」  
 直接触れたおぼろの乳房は、手のひらに吸い付くような弾力を伴って、侍を楽しませる。  
 最初こそ撫でるような優しい手付きで触れていた侍であったが、やがては肌に朱色の跡が残るくらいの強い力で揉みしだき始める。  
 胸に思い切り力が込められる度におぼろの身体が震え、口からはそれまでとは別な痛みによる声が小さく漏れた。  
 自らの手の中で思う通りに形を変えていく乳房の柔らかさと、手のひらに擦れるように触れる乳首の固さ。  
 たっぷり時間を掛けて二つの感触を充分に堪能した後、侍はおもむろに手を離した。  
 次に胸へと顔を近づけると、まるで乳房に浮いた汗を全て舐め取ろうとするかのように、おぼろの胸を舌で丹念に愛撫し始める。  
 思うままに舌を走らせて、おぼろの柔肌の舌触りを楽しもうとする。  
 侍の舌によって汗が掬われた胸の表面は、その代わりに涎や唾液でべとべとに汚されていく。  
 おぼろの乳房を万遍無く舐め尽くすと侍は満足げに舌を離し、そのまま今度は乳首へと吸い付いた。  
「くぅ……っ……」  
 まるで母乳を求める赤子のように、音を立てながら一心不乱に自らの乳首にしゃぶり付く男の姿は、おぼろにとって耐え難い程の不快感と計り知れない屈辱を感じさせるものだった。  
 恥辱に顔を歪めるおぼろを見た侍の口元に薄い笑みが浮かぶ。その顔が見たかったのだ、とでも言うかのように。  
 顔に笑みを貼り付けたまま、侍は緩慢とした動作で自らの身体を起こす。  
「そろそろ、構わないだろう?」  
 その言葉は問い掛けの形を取ってこそいたが、それは侍にとって言うなれば宣言のようなものに過ぎなかった。  
 侍はおぼろの太腿を掴むと、そのまま無造作に足を開かせていく。  
 その行為に、ここにきて漸く先程の言葉の意味を理解したおぼろは慌てて両脚を閉じようとするが、それは無駄に終わる。  
 ただでさえ男と女という体格差がある上に、おぼろは両腕が動かず、挙句には体勢に関しても絶対的に不利なのだ。  
 どうしたってまともな抵抗など出来るはずが無かったのである。  
 ややあって侍は無理矢理おぼろの両脚をこじ開けると、おぼろの太腿の間に自分の身体を捻じ込ませた。   
 
 動き易さを追及した結果なのだろう。短かめに作られているおぼろの忍装束の裾を捲り上げると、中からは真っ黒な腰巻が姿を現す。  
 その腰巻を感慨深げに眺めながら、侍は自分の顎を数度ほど撫でた。  
「ふむ……最初からこうしておけば良かったか」  
 その言葉は、仮にも命を狙われている状況にも関わらず、何とか裾の中を覗き込もうと躍起になっていた先程までの自分自身を省みてのものに違いなかった。  
 目に焼き付けようとするかのように暫く腰巻を見詰めた後、侍は何処か不快そうに視線を動かす。その先にあったのは自らの下半身だ。  
 股間の屹立は和服越しにもはっきりと分かる程であったし、褌の中は先走りの汁で濡れていて履き心地が大層悪い。  
 侍は自身の着物の前を広げると、褌を緩めて自らのもう一つの刀とでも言うべきものを剥き出しにする。  
 逞しく反り返っている肉幹は、これから訪れるだろう快感に対して歓喜の声を上げるかのように力強く脈打っていた。  
「では、入れるぞ」  
 そう言って腰巻を乱暴に剥ぎ取り、おぼろの恥丘を露出させる。  
 仄かな雌の匂いを放ち、淫らな蜜に濡れる秘処は、思わず目が吸い寄せられそうになる程の色香を醸し出していた。  
 眼前に曝け出されたおぼろの膣口に、侍はそそり立つ自らの分身を押し付け、二度三度と擦り付ける。  
 その行為にびくりと大きく身体を震わせるおぼろ。そんな反応でさえ今の侍には興奮を増進させる材料でしかない。  
 おぼろの肢体と触れ合ったことによって痛いくらいに血が滾っている肉茎を軽く握って狙いを定めると、侍は一気におぼろの秘処を貫いた。  
「いっ……ぁあ……あっ……」  
 くぐもった声を漏らすおぼろの太腿を両手で掴み、侍は抽送を開始する。  
 ――女忍なのだから、閨の術など用いる際に幾人もの男と床を共にしてきたのだろう。  
 それが侍のおぼろに対する印象であったのだが、意外にも剛直を締め付けるおぼろの膣圧は強く、ともすれば痛みすら感じそうになるほどであった。  
 遊郭「天風」で働く遊女達の緩い膣とは全く違うおぼろのきつい締め付けに、加速度的に快感が高まっていく肉幹。  
 その快感に促されるように、侍は何度も何度も自らの分身をおぼろの秘処へと叩き付け、辺りには互いの下腹部のぶつかり合う音が響く。  
 膣肉を削り取ろうとするかのような勢いで膣壁を擦り続け、子宮口を亀頭の先端で何度も叩き、ただひたすらに性器へと与えられる快感を追い求める。  
 発情期の犬が如く乱暴に男が腰を振るうのを、おぼろはまるで地獄を彷徨う死者のような面持ちで受け入れ続けざるを得なかった。  
(もう長くはもたない……か)  
 激しい抽送に自らの限界が近づいていることを悟った侍は、おぼろに咥えさせている鞘を軽く引いて形の良い耳を自分の方へと向ける。  
 そして口を寄せ、おぼろの耳元で囁いた。  
「俺とお前の子供なら、さぞかし強い侍になるとは思わないか?」  
 その言葉を聞いたおぼろの瞳に意思の光が宿る。そこには紛れもなく確かな拒絶が込められていた。  
「いぁ……っ」  
 鞘で顎を固定されたままのおぼろの呟きは、余りにも覚束ない口調で、はっきりとした言葉にならずに消え入ってしまう。  
 けれども、おぼろが一体何と言おうとしたのか、侍にははっきりと分かった。  
 だからこそ。  
 侍は自らの剛直が膣口から抜けるぎりぎりまで一旦腰を引いた後、今度は一気に腰を下ろした。  
 その刺激で遂に臨界点を超えた侍の分身が、おぼろの最奥で欲望を爆発させる。  
「う……うぁ……あ……」  
 自分の膣内で脈動する憎い男の性器から、子宮に向かって精液が大量に流し込まれていく感覚は、おぼろの心に僅かに残されていた自尊心を破壊するには十分だった。  
 一滴残らず自らの精を吐き出し終えると、侍は一息吐いてから自身の肉幹をおぼろの秘処から引き抜く。  
 すると収まり切らなかった白濁が、おぼろの太腿の間から溢れ出すように毀れてくる。  
 その光景をぼんやりと眺めた後、改めて侍は自らが組み敷いていた女を見遣る。  
 視線の先には既に気丈な女忍の姿は無かった。そこにはただ虚空を見つめる、まるで亡骸のような姿を晒す女が居るばかりだ。  
 そんなおぼろを上から見下ろしながら、侍はゆっくりと口を開く。  
「楽しませてくれよ、まだまだ夜は長いのだから――――」  
 月灯かりに照らされた侍の口元に愉しげな笑みが浮かぶ。そんな男の身体の下で、輝きを失ったおぼろの瞳から一筋の涙が流れた。  
 

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