今日はなな菜村の七年に一度の大豊作の日。  
千代吉が勇んで村に向かう。  
もしかしたら黄金のなな菜が取れるかも知れない。  
子供のころに一度採ったものは摂津に上げてしまったので、少し寂しい気持ちもあったの  
だ。  
今度は、絶対に加代姉にあげるつもりだ。  
もとより、なな菜村には黄金のなな菜を人にあげると幸せになれるという伝承もあ  
った。  
加代姉はクソまずいって言ってたけど、もらってくれるかもしれない。  
なな菜村につくと、急いで身支度をして、収穫所まで向かった。  
「うわー!スゲーっす!」  
目の前には大量のなな菜。  
他人の目から見たら、ただたんに芝刈りをしていないから雑草が伸び放題なだけだが。  
「あらー千代ぼー」  
いつもどおりに酒臭く加代姉が近づいてきた。  
「ただいまっす!」  
「どうしたのー急いだ様子で」  
「だって、今日は大収穫の日っすよ!これだけなな菜があればななな丸も酒もいっぱい作  
れるっす!」  
喜んだ様子の千代吉を見ると、加代はうーんと少し苦い顔をしたが、すぐに笑顔を作った。  
「そーだねー、千代ぼーはあっちのなな菜を酒蔵に運んで」  
「はいっす!」  
 
七菜鍬を取り出すと、土ごとなな菜を掘り返した。  
周りでは大人たちが褌姿で作業をしていた。  
ほかの男に黄金のなな菜を採られたら大変っす。  
清人のもとで練習した千代吉は土の柔らかさ、質などがわかるので次々になな菜の山を積  
み上げていく。  
それを選別し、水で洗い、酒蔵に持っていった。  
「加代姉ー」  
前が見えなくなるほどのなな菜の山を笊に載せて酒蔵に入る。  
酒蔵の中では、加代が真剣な顔でなな菜を水に浸していた。  
「これはどうすればいいんすかー」  
よろよろと周りを見渡すと、んーと返事が返ってきた。  
「そこらへんに置いといて」  
そこらへんと言われても、足元どころか前も見えないのだ、足で空いた場所を探している  
と、足元の桶に躓いて転んでしまった。  
「うわぁっ!」  
なな菜を大量に散乱させ、発酵させているなな菜酒の樽に突っ込む。  
「ちょっと千代ぼー!どうしたの」  
「おぼれる!おぼれるっす!」  
発酵途中の強烈な酒の匂い、さらに口に入ってくる強烈な苦味。  
「ほら、つかまって」  
加代が手を伸ばしてくれて、その手を握る。  
なんとか樽から出ると、四つんばいになり咳をした。  
「まったく、もう!」  
「すまねーっす」  
怒った様でも加代は心配してくれているようで、酒蔵の発酵用の藁の場所に寝させてもら  
った。  
 
寝ていても酒蔵なので、酒の匂いが鼻に届いてくる。  
多少飲んでしまった酒と、その匂いだけで千代吉は意識がもうろうとしていた。  
「千代ぼー?」  
目の前には加代の顔が。  
「どうしたっすか?」  
「なんだ、起きてたの、大体作業は終わったから、私も休憩」  
隣にとすん、と人の気配が伝わってくる。  
「ん」  
顔に置いた布をはずすと、加代が徳利で酒を飲んでいた。  
これだけの匂いの中、まだ酒を飲んで大丈夫なんすかね。  
酒のせいで顔が少し紅葉色に染まり、喉が淫猥にごくりとなる。  
ふと、加代が両腕を思い切り天に伸ばすと、巫女装束の隙間から桜色の突起が見えた。  
千代吉は目をそらそうとしたが、始めてみる異性の匂いに、釘付けになってしまう。  
「加代姉、見えてるっす」  
ぼーっとしたまま加代に言うと、加代は酔っ払っているのか、手を扇のようにぱたぱたと  
させた。  
「何言ってんの、前はお風呂も一緒だったじゃない」  
この一言で、千代吉の心に火がついた。  
 
加代を押し倒す。  
酒が入って息を荒げている千代吉の顔を見て、加代が不安そうな顔をした。  
「どうしたのよ、千代ぼー」  
「オレだって、もう男っす」  
加代の両腕を強く掴み顔を近づける。  
「ちょっと、もう、冗談はやめてよ」  
「いつまで、オレは加代姉にとって千代ぼーなんすか?」  
真摯な声に、加代が冗談ではないと気づいた。  
「だって、千代ぼーは千代ぼーじゃない」  
その言葉に、千代吉が手を離す。  
力を入れすぎたせいか、加代が腕をさすっていた。  
「・・・」  
「変よ、千代ぼー」  
「師範が、言ってたっす」  
千代吉がぐっと涙を溜める。  
「自分は志乃さんに認めてもらうためにって、道場開いたって」  
心が支離滅裂で、枷が外れてしまったようだった。  
「オレは加代姉を守ろうって、強くなろうって!だけど・・・オレは子供の千代ぼーのま  
まなんすか・・・?」  
涙が溢れ出す。  
「オレじゃ・・・守っても頼りないっすか・・・?」  
もう涙は止められず、鼻水を垂らしながら泣きじゃくる。  
なんて見苦しいのだろう。  
だけど、一度泣いてしまうと止められなかった。  
ふっと、青臭い匂いが鼻につく。  
目の前には真っ白な布があった。  
その奥に、体温があり、鼓動を感じる。  
「・・・っ・・・っ加代姉・・・」  
嗚咽をしながら加代に包まれる。  
「そんな心配してたんだね」  
「だって・・・」  
「強いよ、千代ぼーは。だって、ほら」  
加代が千代吉の手をそっと握り、自分の胸に置いた。  
「さっき押し倒されたときから、こんなにどきどきしてるもん」  
「・・・っ・・・すまねーっす」  
「ごめんね、いつまでも千代ぼーを子供扱いして」  
「いいっす、どうせオレは子供っす・・・」  
「千代ぼー、ううん、千代吉」  
「なんすか」  
「そう思うなら、私のこと、加代姉じゃなくて加代って呼んで」  
「・・・加代?」  
「そう、今から私と千代吉は一人の男と女」  
不意に、加代の手が千代吉の陰部に触れた。  
「加代姉・・・酔ってるんすか?」  
さっきまでの酔いが吹っ飛んでいく、今度は、甘い吐息に酔わされそうだった。  
「加代って呼んで、それに、千代吉とだったら・・・したい」  
 
「ほら、千代吉、飲んで」  
全裸の加代が正座をし、股の部分にななな酒を注ぐ。  
意識が朦朧とするのは、酒のせいか、性への興奮のせいか。  
千代吉が股に顔を近づけると、一口、また一口とついばむように飲む。  
酒の流れが快感なのか、加代は時折体を震わせていた。  
全部飲み干すと、加代が千代吉の頭を押さえつける。  
「だーめ、中のも全部飲んで」  
顔を陰部に押し付けられ、加代の女陰に接吻する。  
「ん・・・」  
ゆっくりと舐めると、酒とは違う、粘りのある液体が口についた。  
それを必死に舐めると、加代は耐えられないように正座を崩し、足を開いた。  
その姿が官能的で、思わず息が荒れてしまう。  
「今度は千代吉の、ね?」  
神官の服の下を脱がされると、加代が男根に手を這わせる。  
それだけで千代吉の男根は隆々と背を伸ばしてしまった。  
加代が顔を近づけると、先端に熱い息が伝わってくる。  
「加代姉・・・なにするっすか」  
すると、加代が男根に爪を立てた。  
「いてーっす!」  
「加代って呼ばなきゃだめ」  
今度は爪を立てた場所を丹念に舐めたくる。  
仰け反ってしまうような快感にどうすればいいのかわからない。  
まるで別の部分になってしまったかのように腰から先が熱い。  
加代が啄ばむような舐め方から、しゃぶるように口に入れる。  
もう、限界だった。  
一瞬、男根の感覚が無くなると、加代の口の中に精を出していた。  
驚いたように眼を開くと、すぐに尿道をすするようにしゃぶりだす。  
最後の一滴まで逃さないと口をすぼめると、唇だけで締めながら先端まで顔を移動させた。  
「加代・・・すげーっす、なんか、びくって」  
「ほんと、いつのまにか男の子になっちゃって」  
放心に近い千代吉を横にさせると、佳代が上に乗る。  
「なにするんすか?」  
「ここにいれるの」  
 
女陰を開くと、勢いの衰えない千代吉の男根に入り口を当てた。  
「ん・・・」  
だが、なかなか入らない。  
「どうしたんすか」  
「初めてだから・・・まだよくわからないの」  
だが、一度狭い入り口に先端が当たると、手で固定しながら千代吉のものを中に招いた。  
狭い。  
そして熱い。  
他人の中に自分のものが入っているなんて。  
不思議な感覚だった。  
先端から裏側まで、包まれるように締められる。  
加代は、荒い息をしながら下唇を噛んでいた。  
「痛いんすか?」  
「うん、でも、もうすこしすれば」  
しばらく、荒い息で二人で繋がったままにしていると、加代が動き出す。  
ぬめりのある液が男根を舐めるように刺激し、皮をこするように締める。  
「ん・・・あぁ」  
どちらが先に嬌声を上げたのだろう。  
加代がゆっくりと腰を上げると、男根に吸い付いている女陰が眼に入った。  
本能が刺激されるような光景に、千代吉はもどかしさすら感じた。  
何度か腰を上下すると、慣れてきたのか、加代が体重をかけるようになってきた。  
「加代ね・・・加代、いいっすか?」  
「うん・・・」  
繋がったまま加代を押し倒し、四つんばいにさせる。  
腰に手をやると、思い切り自分の腰を押し付けた。  
「んぁっ!」  
かぶさる様に上体を前に出すと、加代の胸をもむ。  
その間にも腰を叩きつけるように何度も何度も押し付けた。  
まるで、犬みたいっす。  
ふと、そんな考えが浮かんだ。  
二人でもつれるように倒れると、加代の片足を上げさせ、後ろから中に入れる。  
口で接吻をしていると、だんだんと二回目の射精感がこみ上げてきた。  
「加代・・・もう」  
「じゃあ、もっと、突き上げて・・・んっ」  
腰の動きを早めると、更に男根が反りあがるようだった。  
「加代!」  
ひときわ強く突き上げると、精を放つ。  
腰を動かし、周りの肉壁に押し付けると、脱力感が身を包んだ。  
 
「ほんと、大人になっちゃって」  
ことが終わると二人で裸なのが妙に恥ずかしくなり、藁で体を隠している。  
千代吉も、先ほどのことが強烈に焼きついてしまったので下を向いていた。  
ふと、今の状況を打開するものがあることに気がついた。  
「あ、加代にあげるものがあるっす!」  
先ほど着ていた神官の服からなな菜を取り出した。  
ただのなな菜ではない。  
黄金のなな菜だった。  
「あげるっす!」  
得意げに差し出した千代吉に加代が笑う。  
そっと包むようにしてそのなな菜を受け取った。  
加代がため息をつきながらつぶやく。  
「やっぱり、まだ千代ぼーかもね」  
「なんでっすか!?」  
「さぁね」  
そっと、黙らせるように千代吉の額に接吻をした。  
 

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