最近は猛暑が続く。
太陽は月に取って代わられぬようにと熱烈に自分の熱さを押し付けてくる。
「ただいま帰った」
いつも通り道場から帰ると、珍しく志乃の出迎えが無い。
庭かと思い、覗いてみるがいない。
ふと、水音がしたのでそちらに向かう。
どうやら風呂場にいるようだ。
「志乃?いるのか」
「あーごっちーん」
ドアを隔てた志乃の元気な声。
「今帰った」
「今日お庭掃除してたから、汚れちゃってー、ちょっと待っててね」
ぽちゃん、と音がする。
ふと、足元に布が引っかかった。
どうやら志乃の着物らしい。
思えば、この扉の向こうには裸の志乃がいるのだ。
胸が高鳴り、滴る汗をついつい手の布で拭く。
ふと、その布が志乃の着物だと気がついた。
いつも、志乃の体に張るように纏われている布。
今日も庭掃除で汗をかいたのだろう。
その布を鼻元に近づけて、匂いをかぐ。
不覚にも、自分の物が隆々としてくるのがわかった。
「ごっちーん、あがるからちょっとあっちいってー」
「あ、うむ」
すぐにその場から移動すると、手にはまだ志乃の着物を持ったままだった。
先ほどまでしていた自分のことが恥ずかしくなり、すぐに洗物の中に放り投げた。
次の日。
道場が休みで家に居るのだが、志乃が買い物に出かけてしまった。
久しぶりの休日に二人で居られないのは少し寂しい。
縁側に居てもじりじりと日照りが体を暑くさせた。
志乃もこの暑さでは大変だろう。
少しは家事の手伝いでもすれば、負担が減り、一緒に居られるかもしれない。
そう思った俺は布団を干そうと寝室に入った。
ふと、志乃の布団が眼に入る。
いつも志乃はこの布団に寝ているのだ。
頭で非常識だと考えるよりも先に、志乃の枕に顔をつけていた。
荒くなる息と脈動。
布団を抱きしめるように体を押し付ける。
股間に血が上っていくのがわかる。
匂いをかぎ、物を布団にじかに押し付けた。
コレが、志乃の匂い。
甘い。
どこか草の香りも混じっていた。
やがて、精を放ってしまう。
脱力感と興奮に息を乱しながら余韻に浸っていた。
しばらくそうしていて、まずいことに気がついた。
布団を汚してしまい、乾かしても匂いと跡が残るかもしれない。
急いで布団を二つ物干し竿に吊るす。
えいやっと水をぶちまけた。
そして根本的に何も解決していないことに気がつく。
どうしたものか。
突然、雨が降ってきた。
いや、それはおかしいだろう。
ここは素直に転んで水をこぼしたとい事にしておこう。
「ただいまーごっちーん」
志乃が帰ってくると、二つの濡れた布団を見て不思議そうな顔をした。
「あれ、布団どうしたの?」
「そのだな、水をかけてしまったのだ」
「そうなんだ、じゃあ寝るときどうする?」
あ、と口から声が出る。
なんと自分は浅はかなのだろう。
「あ、お客さん用の布団があるから一緒に寝よ?」
「い、一緒にか?」
「嫌?」
布団を放すだけであの騒ぎになったのだ、ここで嫌とは言えぬ。
「わかった、そうしよう」
きっと、俺が変なのもこの暑さのせいだ。
そうに決まっている。
夜になり、志乃がすやすやと隣で眠っている。
俺は暑さで眠れそうに無い。
不意に、志乃がこちらに寄りかかってきた。
首筋が近くなり、匂いをかいでしまう。
布団よりもはるかに濃厚で、少し汗の匂いがする。
もう、我慢が出来ない。
寝ている志乃を押し倒し、息を荒くしながら体をまさぐった。
首筋から匂いをかぎ、舌で肌を舐める。
「志乃・・・」
「・・・」
返事が返ってこない。
「寝ているのだな・・・?」
確認をすると、唇で口を塞ぎ、志乃の手で自分の物を愛撫する。
いつもよりも少しひんやりとした志乃の手は柔らかく、それだけで達しそうになった。
だが、志乃の股を開かせ、口をつける。
「ああ、志乃」
何度も舐めたくると、蜜が溢れてきた。
志乃は目を瞑って何も言わない。
「志乃・・・挿れるぞ」
狭い肉壁に思い切り自分の物を挿入した。
志乃は一度ビクンと体を跳ねらせたが、何も言わなかった。
自分よがりに腰を何度も叩きつける。
「志乃・・・志乃・・・」
飴を舐めるように志乃を味わい、腰を打ち付ける。
抜こうとすれば名残惜しげに吸い付いてくる志乃の膣を何度も味わっていると、不意に限界が訪れた。
「志乃!」
志乃の膣内で俺の物が震える。
最後の一滴まで注ぐと、自分の物を取り出した。
こぽりと白濁の液が志乃の閉じた女性器から流れた。
あわててそれをちり紙でふき取ると、志乃の衣類も整えてやる。
そして、今度は涼しくなり眠りに浸るのだった。
朝起きると、志乃はまだ寝ている。
俺もそろそろ朝食を食べて道場に行かねばならぬのだが。
「志乃・・・」
声をかけても起きない。
思わず、喉が鳴る。
「まだ寝ているのだな?」
くーくーと胸が上下している。
暑い・・・。
俺はまた布団にもぐった。
外では夏の熱い日ざしが続いている。
それから連日、俺は道場に遅刻を続けることになった。