「どこいっちまったんだよ・・・」  
飴細工をほお張りながら辺りを見回す。  
さっきまで一緒にいたのに、いつの間にか姿が見えなくなっていた。  
右を見ても人、左を見ても人。  
こんな状況でマロを探せるだろうか。  
頭を掻きながら飴を一口。  
甘い。  
そしてため息。  
どうやって探したらいいのだろう。  
せっかく、鳳からウサギ道場の金髪のアンちゃん経由でマロと祭りに出かける約束をこぎつけたのに。  
おいてけぼりにしてしまったと思い、さっき行った場所を全部探す。  
時間はどのくらいたったのだろう、人ごみは絶えず、永遠に終らない騒ぎのような気がした。  
そのなかで、どのくらい過ぎたのかもわからず、終わりなく迷っていく。  
鳳たちもいない、雑踏の中でひとりぼっちになってしまい、徐々に不安がこみ上げてくる。  
もともと自分で何か決めるのは得意じゃねぇのに。  
「・・・っ・・・っ」  
不安が恐怖に変わり始め、次第に涙がこみ上げてくる。  
周りの人々に情け泣く泣く姿を見せまいと浴衣の裾で顔を隠す。  
視界が暗くなると、人々の声だけが聞こえてくる。  
騒音、騒音、騒音。  
人の大きな声は、昔向けられた罵倒のように響く。  
華やかな祭りが、目を隠しただけで恐ろしく感じた。  
こみ上げてくる涙が、ついには雫になりかける。  
すると、着物の裾をくいくいと引っ張られた。  
見てみると、マロが包みを持って、様子を伺うようにこっちの顔を見上げていた。  
「・・・」  
慌てて涙を拭って顔に力を入れる。  
「な、なんだよお前!いきなりいなくなりやがって!アタ、アタイこわ、心配して・・・」  
勢いよく言おうとしたが、涙で少しぐずってしまう。  
ついには肩を揺らして涙をこぼしてしまった。  
「なんだよ・・・台無しじゃん・・・せっかく・・・」  
情けない、たかが一人になっただけでこんなに不安定になるなんて。  
せっかく好きになれたのに、もう嫌われちまうのかな。  
「・・・」  
 
アタイの顔を眺めていたマロが持っていた包みを開いた。  
何か白くて丸いものだったけど、涙でにじんで見えない。  
いつまでも泣いてるアタイの口にそれを無造作に突っ込んだ。  
突然なので詰まりそうになってしまい、咳き込んでしまう。  
「なんだこれ、石衣?」  
「・・・べる」  
多分、マロは「食べろ」っていったんだろう。  
「これ、買ってきたのか?」  
「・・・んだ」  
指をさしたのは結構な行列が出来ている屋台だった。  
石衣を売っている屋台なんて聞いた事がない、そこそこ値が張るものなので人が集まっていた。  
「えっと「んだ」ってのは「並んだ」って言ったのか?」  
こくりと首を縦にふった。  
「・・・めん」  
無愛想な顔に少し赤らみがさしていた、普段との違いに少し心臓が高鳴った。  
涙がすっと止まる。  
「なんていった?」  
綻んでしまう顔を引き締めながら、もう一度聞いてみる。  
先ほどのおいていかれたという悲しみの反動からか、こうして申し訳なさそうにされると、ついつい意地が悪くなっちまう。  
「ご・・・めん」  
今度は顔を完全に下に向けてしまった。  
アタイの方はさっきまでの不安はどこへやら、マロの恥ずかしそうな姿に楽しさがこみ上げる。  
「じゃあ、もうアタイから離れんなよな」  
腕を組んでマロに言うとマロは短く「ん」と答えた。  
するりと袖が触れると、手のひらに暖かい感触があった。  
 
けん騒に少し疲れて、神社の境内で二人で夜風に当たった。  
神社の外では陽気な笛の音や見世物の人寄せの声が聞こえてくる。  
「あー、つかれちまった」  
「・・・」  
マロはボーっと宙を見据えていた。  
こっちは人酔いをしたのに、マロは疲れないのか。  
二人で饅頭をほお張る。  
 
「そういえば・・・」  
袖から丸い粒を取り出す。  
鶴屋が二人っきりになったら飲めって言ってたな。  
「これあげる」  
「・・・?」  
不思議そうに首をかしげた。  
「アタイもなんだかわかんないんだけど、鶴屋からもらった。金平糖かなんかかな」  
二人で口に含むと、下で味わう。  
味は蜂蜜と銀杏を混ぜたように甘ったるい。  
「あんまりうまくねぇ」  
ほっぺたを右に左に動かしながら食べている辺り、マロは意外と気に入っているらしい。  
アタイのほうは口の中がべたべたするし、なんだか喉が渇いてきた。  
あんまり心地悪いので水でも飲みに行こうと、マロと手をつないで境内の外に出ようとした。  
「・・・んっ・・・はぁ」  
不意に足を止めてしまった。  
空耳かと思ったが、一度耳にしていまうとそちらに意識が集中して聞き取ってしまう。  
「ああぁ・・・・んっ・・・ふぅ」  
アタイも子供じゃない、女がこんな声を出すときはどんなときかはわかった。  
そして、よくよく聞いてみると一人だけじゃない、草の揺れる音や、かすかに水っぽい音が聞こえる。  
自分で顔が赤くなるのがわかる。  
だけど、恥ずかしい反面、一瞬胸が動き、胸から下腹部へとツンとした刺激が走る。  
「あっ」  
不意に、隣にマロがいるということを意識する。  
しかし、耳に入ってくる淫猥な鳴き声が弄るように通過していった。  
どうしよう、どうしよう。  
自分の秘部が口を開いたかのように、糸を引いた何かが通過していく。  
ぽたり、アタイの足元に水滴が落ちた。  
すごくムズムズとしてきて、膣を覆ってる肉の部分が疼く。  
隣にはマロがいる。  
でも、着物が擦れるわずかな刺激だけで体が反応する。  
「マジ、まずいって・・・」  
小声でつぶやき、足を擦るように動かす。  
息が熱っぽくなり、膣を手で触りたくなる。  
「もう・・・遅いよな・・・鶴屋とか、心配してるし・・・」  
 
早めに帰ろうと即したけど、マロが手を掴む。  
「なんだ、よ」  
そうしている間にも、何か埋めるものをとひくひく動くのがわかる。  
すると、マロがアタイの手を引っ張ってきた。  
見かけよりも強い力で、草むらに連れて行かれる。  
アタイのほうはもう足に力が入らなくって、腰を下ろしてしまった。  
頭がボーっとして、しゃがんでしまったせいか、自然に股を手で触れてしまう。  
せっかく今日のために見立ててもらった浴衣もはだけて、アタイのお腹から下が見えてしまっている。  
マロは息を荒げて、苦悶するように体を震わせていた。  
もう、アタイもマロも正常じゃない、場の雰囲気がそう言っていた。  
膣に触れると、想像していた以上の気持ちよさが走る。  
「ぅん・・・」  
肉壁とも神経とも言えない、快感の塊のようなひだを弄繰り回す。  
マロに向かって股を広げてしまっているのは、たまたまなのか、それともマロに見て欲しかったからか、アタイにはわからなかった。  
だんだんと水泡と粘っこい水の混じるような音がしてくると、これ以上の快感を、この快感の終わりを求めてマロに近づく。  
マロは拒否のようなそぶりを見せたけれど、アタイにされるがままに服を脱がされた。  
やっぱり大きくなっていた肉棒が上を向くように大きく立っていた。  
こんな事は初めてだし、男のモノを見るのも初めてだったけれど、本能的にどうすればいいのかわかる。  
人差し指で肉棒に触ると、ピクンと張り詰めた肉棒が上下に揺れる。  
右手で掴むと、そそり立つ見た目に反して弾力と熱さがあり、皮が柔らかい。  
「・・・」  
もう、アタイも言葉を話せない。  
貪るようにマロのものを口に含むと、男根のスジを舌で舐め、口をすぼめて上下させる。  
舌の裏で男根の先を何度もなでるように舐め、ゆっくりと、きつめに絞る。  
そうしている間にもアタイも自分を弄繰り回し、二人でいる場所がまるで淫らな香でもたいているかのように、色情に染まっていた。  
男根から口を離すと、マロはひときわ息を荒げていた。  
アタイが横になると、マロがかぶさってくる。  
焦り、何度も入ってくるのに失敗して擦れる。  
マロのものがアタイに触れてる、それだけでも気持がいい。  
すると、不意にマロの男根が入り口に触れた。  
そのままゆっくりと中に入ってくる。  
 
「ぃ・・・ぁぁ・・・」  
いままで表面しか触られていなかったのに、届かなかった内側まで刺激され、思わず声が出てしまう。  
若干の痛みと、もうかき混ぜて欲しいという欲求。  
擦れるたびに痛みが走り、そして浅めの部分の快感。  
「んぅ・・・マロぉ・・・」  
頭に行っているのは快感の興奮か痛みの苦しみかわからない。  
涙が出てきて、ただ、狂ってしまいそうなほどにマロを抱きしめた。  
「くぅ・・・」  
マロがアタイの胸に顔をうずめる。  
右胸の奥にマロの唇があり、熱い。  
上半身を起き上がらせ、マロに接吻する。  
舌と膣の二つが潤滑油のような蜜に溢れ、溶け合うように絡めあった。  
だんだんとマロの動きが細かくなっていく。  
震えるように突き上げられると、マロが男根を抜き出した。  
白い液体がアタイの顔に降りかかる。  
男根から吐き出されたものなのに、怖いくらいに快感を感じた。  
 
「で、さぁ、鶴屋」  
「はい、スズメさん」  
鶴屋が新しい医学書を読みながら適当な返事をする。  
「あの飴なんだったんだよ、マロが三日も寝込んでるってどういうことだよ」  
「前にその筋の人たちが欲しがってた精力剤なんですけど、効果がありすぎてしばらく興奮して落ち着かないんですよ」  
「そんなもんよこすなよ!」  
これだけ怒ってるのにへらへらと「いやぁすいません」なんて、こいつはやっぱりおかしい。  
鳳は顔を赤くして後ろをむいてるし、とんでもないものを飲まされた。  
「もういい!」  
そっぽを向いて借家から出る。  
「あれ、スズメっちどこ行くの?」  
入り口で雨どいを直しているウズラが不思議そうに訪ねてきた。  
「本間家の近く」  
 
「スズメちゃん、いつもどこにいってるの?」  
鳳が鶴屋に尋ねると、鶴屋が耳打ちをした。  
「ほら、興奮が収まるようなお見舞いですよ」  
 
 

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