「はあ〜〜〜〜〜」
俺はいつものように、収入から出費を差し引くと負の値しか出てこな事務所の帳簿を見つめながら
塩素よりも比重が重そうな息を吐いた。
「おいガユス、そんな辛気臭くなる息を出すな、もしくは部屋の清浄な空気を保つためにゴミ袋でも
その頭に巻きつけとけ」
いつものように財政の首を絞める、もとい切り落とすことに多大な貢献をしてくれている俺の相棒
様は優しい声をかけてくださった。
「そう思うのなら、おまえも少しは事務の仕事を手伝ったらどうだ、せめて部屋の片付けだけでもし
てくれ……って俺は仕事疲れの親か!」
「ドラッケン族の戦士が家事をするなどありえん、そんなことする暇があったら我が娘のひ孫を作っ
てたほうが有意義だ」
いつのまにか三世代家族になっていたギギナの家具はどうでもいいが、暇なときは実際に武器の手
入れか家具の製作しかしていないやつなど解雇して、美人で働き者の秘書さんを雇ったほうが有意義
ってのは間違いないだろ。
「美人秘書か〜」
脳内の単語が意識しないいまま口に出た。
思った以上に俺の心は蝕まれているようだ、精神性ギギナ疾患に。
「そうだな、貴様のような貧困めがねと二人で長時間同じ部屋に居るというのはもう立派な拷問だ、
少しくらい花があるほうがいいだろ」
「………お前な〜金がなくて死にそうなのに秘書を雇うって、どんなパラドックスだよ、計画的な自己破産か?」
ギギナとの不毛な会話(毎度のことだが)に飽きた俺は残りの事務の仕事に専念することにし、ギギナ
も結局ひ孫と、さらに玄孫の制作に没頭していた。
あとでつまずいた拍子にでも破壊しよう。