イェスパー「何をしているベルドリト」
ベルドリト「うん?ヨーカーンさんのとこにもへもへっと遊びに行くんだよ」
イェスパー「む。そうか。道中レコンハイム公爵には気を付けろ。
童顔のお前が奴に捕まったら最後。
身も心も完全に奴隷で人形な便器に作り替えられ、最後に防腐処理を施されて永遠に奴の家の家宝となるのは目に見えている」
ベルドリト「何言ってんのさ兄貴。バロメロオさんはいい人だよ?ぺどぺどっと気持ち悪いけどお菓子くれたし。じゃーねー」
ベルドリト「およ。ヨーカーンさんこんにちはー。
たなたなっと遊びに来たよん。
にしても珍しいね。ヨーカーンさんがそっちから呼んでくれるなんて」
羊羹「急な呼び出しですまなかったな。
何の事は無い。つい最近、と言っても百年程前だが。我が面白い咒式を思いついたので付き合って欲しいのだ。
そうだな……無理矢理分かりやすい直すと生体変化系第5階位〈乱馬弐分乃壱〉と言った所か」
ベルドリト「んーと、よく分かんないけど死なないなら良いよ」
意識が覚醒する。
「―――!!やっと気がついたか!」
聞き慣れた声。何時もより幾分か平静さを失っている様にも感じる。
「兄貴?」
声をかけてみる。
「良かった。本当に、」
すすり泣いているらしい。それを隣の猊下が宥めているのが見える。
他にも周りには何人か見知った顔が見えた。
聞いた話では、何時になっても帰って来ない自分を不信に思った兄貴が探していると、空き部屋で呼吸もせずに倒れていた自分がいたらしい。
すぐに兄貴は周りの人を集めて医務室に運んだんだそうだ。
今まで丸一日昏睡状態だったというから驚く。戦闘で入院した事はあったが、今回は原因が分からないため兄の心配も並大抵の物ではなかったのだろう。
確かに死ななかったが、ここまでやるなんて酷いよヨーカーンさん。
そこまで考えた所で周りの人達の会話が耳に入る。
『やはりここはイェスパー君、もっとも彼、いや、この場合適切ではないか。と親密な関係の君の口から』『いや、俺は………そうですね。この場で話をつけます。』
何を話しているのだろうか。猊下の言ってる事の意味も分からない。
そんな事を考えている途中、兄貴が顔をこちらに向ける。
「コホンッ。えーと、実はだな、その、お前はだな、―――女になった」は?
「………は?」
何を言ってるのだこの人は。以前から阿呆だとは思っていたがここまでとは。
どこからそんな電波を受信して来たんだろう。
阿呆の兄貴が胸を見る様目線で促して来る。
随分と高等な生地であろう繊細な薄い布。小さな膨らみ。その頂を押し上げる控えめな突起物。
……うん?
自分は何を見たのだろう。
遂に自分まで阿呆になっちゃったか。阿呆は兄貴だけで充分だと思ってたのに。血の繋がりって怖いね
「で、今の体調はどうだい?顔色を見る限りは元気そうだけど」
猊下が尋ねて来る。気持ちの整理が付かないが大丈夫と胸を張って立ち上がる。
ところで、猊下も兄貴もこんなに身長大きかったっけ?
前は精々肩まで位だったのに、今は胸にも届かない。
何かがおかしい。それが自分の頭だとは思いたくない。
焦って腰に捲かれた布の中を覗き込む。
………………………?
もう一度。
………………………!
ああ、自分はここまで阿呆になってしまったか。阿呆さでは兄貴を超えた自信が付いたよ。やったね僕。ごめんね父上
「……ようやく理解したか。」
逃避の途中で兄貴が話し掛けて来たので現実に引き戻される。
猊下が独り言の様に口を開いた
「ここまでの流れをまとめよう。おそらく君は昨日大賢者殿の手によって体を女の子にされてしまった。いいね?」
頷く。自分だけが阿呆じゃないと知って気分が楽になる。
「戻し方を咒式医師に急いで解析させているが一向に分からない。
だが、運の良い事に一週間後にちょっとお茶でも飲もうかと翼将全員に召集をかけてある。
かけた本人や聖者殿なら戻し方法も分かるだろう。」
成る程良かった。
……ちょっと待て。 一週間もこのまま?
「早ければ今夜辺りバロメロオ卿やシザリオス君辺りも到着すると思うよ」
おまけ。二人の反応
イェスパーの場合
「……と言う訳だ。一週間我慢してもらうぞ」
「えー。……でも仕方ないか。遊びに行っちゃった僕が悪いんだもんね。
でも何で兄貴目逸らしてるの?」
「(……隠せよ)」
キュラソーの場合
「あの、ちょっと、ちょっとだけ胸触ってみていいですか」
「うん?別にいいけど何で?」
「では、失礼つかまつる」
むにゅ
「……有難う御座いました…(元男に負けたぜコンチキショーウ!)」