ナツミはぶつぶつ言いながら、転送装置に乗っていた。
「すまんのう、ナツミ。じゃが、とても急を要することなんじゃ」
博士は、申し訳無さそうに言った。
スペクターがゲットされてから、どのぐらい経っただろう。
ナツミ達が住む町は、すっかり平和を取り戻していた。
サルが逃げ出したという事実さえ、風化の一途をたどっていた。
かく言うナツミも、この研究室のことを、すっかり忘れていた。
しかし、博士から「すぐに来て欲しい」と言う連絡があった。
ナツミは「カケルに頼めばいいじゃない」と言ったが、博士はそれをかたくなに断った。
それで、ナツミは仕方なく、久しぶりにこの研究室に来ていた。
「それにしても、メカボーにサルレーダー、トビトンボまで持たせて・・・また、サルが逃げ出したの?」
サルレーダーを背中に背負いながら、ナツミはそう言った。
「まあ、そんな所じゃ・・・」
博士は、少し口を濁した。
「じゃあ、ゲットアミも持っていかないと」
ナツミがそう言うと、博士はナツミに小さな布のようなものを渡した。
「それは、新型のゲットアミじゃ。持ち運びに便利なように、改良したのじゃよ」
博士はそう言うと、「健闘を祈っておるぞ」と言って、転送装置を起動した。
「ひゅうううん・・・シュタッ」
ナツミが転送されたのは、家の玄関のような場所だった。
もっとも、靴を脱ぐための場所と、家の廊下の間にある段差は、
2段ジャンプしてやっと手が届くほどに、その家は大きかったのだが。
「よいしょっと」
ナツミがその段差を上がると、その横に携帯電話のようなものがあった。
(そういえば、これをメカボーで叩くと、博士と交信できるんだっけ)
ナツミは道具をメカボーに持ち替えて、その携帯電話を叩いた。
「おお、ナツミ。では、まずは1階にあるサルの人形を使って、新型ゲットアミの性能を確かめてみてくれ」
「どうやって使うの?」
「右側のジョイスティックを、サルに向かって振るのじゃ」
「わかったわ。使い方は、あまり前のゲットアミと、変わってないってことね」
「そうそう、R3ボタンを押すと、真正面に振ることが出来るのじゃ」
「了解よ」
博士の説明が終わると、ナツミは右側の大きなドアの隙間から、部屋に入った。
その部屋は、どう考えても「台所」であった。
その真ん中に、サルの人形が、ぽつんと置いてある。
ナツミはそれに近づくと、R3ボタンを押した。
「ゲッチュ!」
ナツミは少し離れた所からそれを振ったが、サルの人形は、ナツミの手から放たれた網に、吸い込まれて消えた。
「へえ・・・効果範囲が広くなったんだ。なんだかんだ言っても、さすがは博士ね」
ナツミは、そんなことを言った。
「で・・・サルはどこにいるのかしら?」
ナツミはそう言うと、サルレーダーのことを思い出した。
「そうか、サルレーダーを使えばいいのか。ええっと・・・」
ナツミはそう言って、サルレーダーをぐりぐりと回した。
「・・・あった!ええっと、名前は・・・『スペルマ』?変な名前」
ナツミには、『スペルマ』という言葉が何を意味するのか、わからなかった。
「画像は、真っ暗で見えないわね・・・こうげきが5、すばやさが5、けいかいが1か」
ナツミは、けいかいだけがやけに低いなと思ったが、
『スペルマ』と言う名前のサルは、それなりに手ごわそうだと思った。
「んで、場所は・・・上のほうね」
ナツミは、玄関の先に階段があったのを思い出し、台所から外へ出た。
「それにしても・・・」
階段の前で、ナツミは立ち止まった。
「この家、どこかで見たことがあるような気がするのよねえ・・・」
ナツミは、この家に、どこか懐かしさを覚えていた。
しかし、この家は大きすぎる。
ナツミが階段を2段ジャンプで登ることが出来ず、仕方なくトビトンボを使わなければならないほどだ。
「そうだ・・・ここ、あいつの家じゃない・・・」
段の上にいた敵をメカボーで倒しながらも、ナツミはこの家のことを思い出していた。
そう、ここは巨大化したカケルの家である。
ナツミは、(何であいつの家なの?)と思いながらも、階段をようやくのぼり終えた。
(2階といったら、トイレと、寝室と、あいつの部屋しかないじゃない)
カケルの家に来たことは何回かあったので、ナツミはそんなことを思っていた。
「ええっと、サルレーダーは・・・えっ!?」
ナツミは、ちょっと驚いた。サルレーダーの示した方角は、明らかにカケルの部屋をさしていたからだ。
「何で、あいつの部屋なのよ?」
そんなことを言うナツミだったが、(まあ、行って見ればわかるか)という思いが勝った。
ナツミの目の前には、大きなドアがそびえたっていた。
見上げると、そこには「カケル」と書かれた札のようなものがかかっている。
しかし、台所と違い、カケルの部屋のドアは、完全に閉まっていた。
「ん?何か仕掛けが・・・あった!」
ナツミが廊下を見渡すと、奥まった所に、さも「メカボーで叩いてください」といわんばかりのスイッチがあった。
「せ〜のっ、それっ!」
ナツミはメカボーを使って、そのスイッチを叩いた。その刹那。
「ごごごごごご・・・」
「きゃあっ、地震!?」
家が音を立てて揺れ始め、ナツミは思わずその場にへたり込み、目を瞑った。
「お、収まった・・・あれ!?」
ナツミが目を開けると、家の大きさが、元に戻っていた。
(そっか、これでカケルの部屋のドアを開けられるって言う仕掛けなのね)
ナツミは、立ち上がると、カケルの部屋の前に立った。
(カケルはいるのかしら・・・?)
ナツミはそんなことを思い、まずはドアをノックすることにした。
コンコンと、ドアを叩くナツミ。
「誰だろう・・・おかしいな、今日はみんな出かけてるはずなんだけど」
部屋の中から、そんな声が聞こえる。カケルの声だ。
「私よ、ナツミよ。あけてくれる?」
ナツミはそう言って、カケルを促した。
「な、ナツミ?何の用なんだ・・・?とりあえず、あいてるから、勝手に入っていいよ」
カケルがめんどくさそうに言うのを聞いて、ナツミは自分でドアを開けて、中に入った。
「で、ナツミが俺に何の用?」
カケルはナツミを背に、ゲームをやっていた。
「ゲッチュ!・・・終わりっ!」
そんな声の後に聞こえる、ゲームクリアの音楽。どうやら、サルゲッチュをやっているらしい。
「この部屋に、サルが来なかった?」
ナツミは(ま、いつものことだし)と自分に言い聞かせて、カケルに聞いた。
「サル?ははは、もうサルがいるわけがないじゃないか」
カケルは少し笑いながら、後ろを振り返った。
見ると、ナツミは、右手にメカボー、背中にはサルレーダーを背負っている。
それは、スペクターと戦っていたころの自分の格好と、ほぼ同じだった。
ゲットアミを持っていないという、唯一にして最大の違いを除いては。
「おいおい、何でナツミがそんな格好をしてるんだよ?」
カケルの疑問は、的を得ていた。
「博士に頼まれたの!」
ナツミはちょっと怒った様子で、カケルの質問に答えた。
「博士にだまされたんじゃないの?ほら、博士って、変なところあるじゃん」
カケルの言うことに、ナツミは少し納得する部分があった。
「でも、サルレーダーが反応してるし・・・」
ナツミの言うとおり、サルレーダーは確かに「サルが近くにいる」ことを示していた。
「ははは、きっと故障だって。そんなことより、お前もやるだろ、ゲーム?」
カケルは笑って言うと、セーブが完了したのか、リセットボタンを押して、ゲーム機から離れた。
「ナツミ、何やる?スキー?ボクシング?それともシューティング?」
カケルはそんなことを言いながら、2P用のパッドを探していた。
「ええっと・・・あった!」
カケルがパッドを探し当て、後ろを振り返ると、そこにはサルレーダーを持ったナツミがいた。
「あんた・・・サルだったの?」
ナツミの言葉の意味が、カケルにはわからなかった。
「ははは、冗談」
カケルはそこまで言ったが、その先が言えなかった。
サルレーダーが、明らかに自分に反応していたからだ。
「おいおい、嘘だろ?」
カケルはそう言ったが、ナツミは少し怒っていた。
「そうよね・・・幼馴染だもの、けいかいは1よね」
ナツミは、そんなことを言った。
「待て・・・待ってくれ・・・」
カケルは、ナツミが自分を捕まえるつもりであることに気がつき、思いとどまるようにナツミに言った。
「なんだかんだ言って、運動神経は高いから、すばやさ5なのも納得よね」
「ま、この狭い部屋じゃ、意味無いけど」
ナツミは聞く耳を持たずに、アイテムを新型ゲットアミに持ち替えた。
「や、やめてくれ・・・冗談だろ・・・」
カケルは首を横に振って、乾いた笑いをした。
「こうげきが5っていうのは、ちょっと疑問だけど・・・ま、いっか」
ナツミはそう言って、R3ボタンを押した。
「行くわよ、ゲッチュ!」「うわあっ!」
カケルの体に、網が絡みついた。
しかし、カケルの体は、消えなかった。
「あれ?何で転送されないの?」
ナツミは怪訝な表情で、網に絡まれたカケルを見ていた。
「だー、取れない・・・」
カケルは網から脱出しようと、やっきになっていた。
「あ、ごめん、今手伝うから」
ナツミはあわててそう言うと、網に手をかけた。その刹那。
「うわっ、な、何だ!?」
網がカケルの服の上を移動し始めて、カケルは素っ頓狂な声を上げた。
「何なの、これ?」
ナツミも少し戸惑っていたが、部屋の中に、博士との交信機があることに気がついた。
「おお、ナツミ!これを叩いたということは、ここまではうまく行っている様じゃな」
あまりにも博士の言うことが状況と違っていたために、ナツミは少し怒った。
「そんなわけ無いでしょ!何でカケルがサルなわけ!?それに、ゲットアミが変だし!」
ナツミは少しあせった様子で言った。
「カケルがサルと言うわけではない。カケルの中にサルがいるのじゃよ」
「意味わかんないわよ、博士!」
博士の説明に、ナツミは当然の反応をした。
「ならば、カケルを見てみたまえ」
博士の言葉に、ナツミはふとカケルのほうを向いた。
見ると、今までカケルの体中に巻きついていたはずの網は、
今やそのほとんどが、足の付け根の辺りを目指すようにうごいている。
そして、それらは全て、カケルのズボンと太ももの間の空間から、服の中へと進行をかけていた。
「どうなってるの、博士?」
ナツミはまた博士に説明を求めた。
「それは、サルの追尾機能じゃよ」
「追尾機能?」
博士の説明に、ナツミは怪訝な表情をした。
「追尾機能と言うのは、サルがいるところに向かって、網が動く機能じゃよ」
博士の説明に、ナツミは「うんうん」とうなずいていた。
「では、ナツミ、いま網はカケルのどこに向かっているかのう?」
博士は意味深にそう言うと、通信を切ってしまった。
「どこに向かってるって・・・」
ナツミはそうつぶやいて、またカケルのほうを向いた。
ナツミの目に映ったものは、ズボンの中、股間の辺りを目指して動く、網だった。
網が股間の辺りをもぞもぞと動いているのが、カケルのズボンの上からでもわかる。
(えっ・・・あそこって、「アレ」があるあたりじゃない・・・?)
ナツミが「アレ」を見たのは、小さいころに、父親と一緒にお風呂に入った時が最後だった。
ナツミは顔が赤くなっていくのが自分でもわかり、あわてて目をそらすと、またメカボーで交信機を叩いた。
「博士・・・網は・・・カケルの・・・こか・・・」
ナツミは恥ずかしくて、それ以上のことが言えなかった。
「やはりか・・・ナツミがカケルを裸にすれば、全てがわかるんじゃが・・・」
博士が信じられないことを言ったので、ナツミは顔を真っ赤にした。
「やはり、ナツミにはちと酷だったかのう・・・戻ってきなさい」
博士がそんなことを言う間も、ナツミは考えていた。
「・・・やるわ」
「・・・え?」
ナツミの発言に、博士は少し驚いた。
「やればいいんでしょ、やれば!」
ナツミは自分に言い聞かせるように言うと、博士との交信を切った。
「どうなってるんだあ!?」
ナツミが博士と交信している間、カケルは自分の「アレ」に絡み付いてくる網を、必死に取ろうとしていた。
しかし、それはナツミから見れば、「カケルがアレを擦っている」ようにしか見えなかった。
「きゃっ!ちょっと、何やってるのよ!?」
あわてて顔を隠すナツミ。しかし、その目はしっかりと、カケルの股間を見つめていた。
「誤解だよ、誤解!網が取れないんだよ!」
カケルもあわてたように言った。だが、カケルは、自分のモノに、今まで感じたことの無い気持ちよさを感じていた。
「ちょっと、見せてみなさいよ!」
ナツミは覚悟を決めてそう言うと、いきなりカケルのズボンとトランクスを、同時に脱がしてしまった。
「ブルンッ!」と音を立てて、それはナツミの目の前に現れた。
「ちょっと、カケル、何大きくしてるのよ!?カケルの馬鹿!H!変体!」
カケルのモノが半勃起状態だったので、ナツミはそれを罵倒した。
「ナツミ・・・そこまで言わなくても・・・」
それに対し、ちょっと凹むカケル。
「さっきから、網にこれを締め付けられてるんだよ・・・」
カケルがそんなことを言ったので、ナツミはちょっと疑問に思い、また交信機を叩いた。
「ナツミ、サルレーダーを起動するのじゃ・・・それで、全てがわかる・・・」
しかし、博士はそう言っただけで、交信を切ってしまった。
(サルレーダーを・・・?)
ナツミは疑問を浮かべながらも、サルレーダーを起動した。
「きゃあっ!!!」
ナツミが、悲鳴を上げる。サルレーダーに映ったものが、カケルの肉棒だったからだ。
さらに、「せつめい」の欄には、信じられないことが書かれていた。
「せつめい
なまえ:スペルマ
とくちょう:カケルのお○んちんのなかにある、せいえきのこと。
カケルのおち○ちんをきもちよくしてあげれば、そとにでてくるぞ」
ナツミの顔が、明らかに青ざめていく。かと思えば、今度は真っ赤になっていく。
「博士、だましたわね!!!」
ナツミは怒りが頂点に達し、交信機に向かって、メカボーを思いっきり叩きつけようとした。
「待ってくれ、ナツミ!」
しかし、その右手は、カケルの右手によって、止められた。
「ちょっと、放して!汚い手で触らないで!」
カケルがモノを右手で扱っていたことを思い出し、ナツミは少し暴れた。
「話を聞いてくれ、ナツミ!博士は悪くないんだ!だって・・・」
カケルは覚悟を決めると、ナツミに向かって言った。
「だって、こうして欲しいって博士に頼んだのは、俺なんだ!」
「どういうことよ?」
今まで博士に向かっていたナツミの怒りが、今度はカケルに向かう。
「サルの人形があったり、外に敵がいたり、巨大化した家が元に戻ったりしただろ?」
「あれは、全部俺が頼んで、博士に作ってもらった仕掛けなんだ」
「意味わかんない!どうしてそんなことをするの!」
ナツミにとっては、当然の反応だった。
「そ、それは・・・」
(が、頑張れ、俺・・・男なら、根性見せろ!)
カケルは自分にそう言い聞かせて言った。
「それは、俺がお前のこと、す・・・好き・・・だから・・・」
「!!!」
ナツミの顔が、明らかに赤くなった。
「でも、お前を目の前にすると、全然素直になれなくて・・・それで・・・」
「それで、博士に『恋のキューピッド』を頼んだって言うの?」
言いたいことをナツミが言ってしまったため、カケルは少しうなだれた。
「馬鹿!」
それを聞いて、ナツミはカケルを罵倒し始めた。
「馬鹿馬鹿馬鹿!」
ナツミはカケルをさらに罵倒した。
「うう・・・」
カケルは、うなだれたままだった。
「何で・・・何で・・・」
ナツミは、訳がわからなくなっていた。
「何で、あんたが先に告白するのよ・・・」
ナツミの言葉に、カケルはちょっと驚いた。
「あんた、どうせ鈍感だから、私が先に告白するって思ってたのに!」
そこまで言って、ナツミは頭に上った血が、一気に下がっていくのを感じた。完全なる、墓穴だった。
「え・・・それって・・・」
カケルはナツミの気持ちを確かめたくなり、そう言った。
「そ、そうよ!」
ナツミは、完全に開き直って言った。
「私も、あんたのこと、す・・・好きなのよ!」
「・・・あっはっは!」
あまりにもばかげた展開に、カケルは笑ってしまった。
「何よ!悪い!?」
ナツミは少し怒ったが、「両思いだったのに、それが言えずに突っ張っていた」と言う事実と、
カケルの笑い声につられて、「あはははは!」と、大笑いしてしまった。
「ほっほっほ、上手く行ったようじゃのう」
博士は向こうから交信して来た。
「じゃが、まだステージクリアではないぞ。ステージクリアするには・・・」
「わかってる。カケルの精液を、出してあげればいいんでしょ?」
博士の言葉を、ナツミは止めた。
「まあ、どうすればいいかは、ナツミのほうがわかっておるじゃろう。健闘を祈っとるぞ」
そう言って、博士は不気味な笑いを浮かべた。
「じゃあ、覗けないようにしておくわね」
ナツミはそう言うと、メカボーを交信機に思いっきりたたきつけた。
「ガシャーン!ザザザザ・・・」
交信機は、壊れてしまった。
最強アイテムである「マジックハンド」ですら壊せないものを、ナツミはいとも簡単に壊してしまったのだ。
(す、すげー・・・ナツミ、結構力あるんだな・・・)
それを見たカケルは、感心と言うより、ちょっと恐怖していた。
「ナツミ、お前、何すればいいのか、わかってるのか?」
カケルは、そんなことを言った。
「何言ってるの、カケル。昨日あんた達男子がサッカーしてた間、私達女子は保健体育の授業だったんだから」
ナツミは、昨日の体育の授業のことを言っているらしい。
「そっか、そういえば、男女に分かれろって、先生に言われたっけ」
先に男子は保健体育の授業を終えていたため、カケルは「ナツミが何を勉強していたのか」がすぐにわかった。
「ようは、これを擦ってあげればいいんでしょ?」
ナツミは「楽勝よ」といわんばかりにそう言った。
「う、うん・・・」
カケルは、いよいよナツミにいろいろされてしまうのかと思うと、緊張せずにはいられなかった。
「すぐイかせちゃうんだから!だって、あんたの汚いもの、いつまでも触ってたく無いからね!」
ナツミはそう言うと、カケルのモノを、いきなり超高速で擦り始めた。
「ああっ!な、ナツミ!いきなりそんな・・・うわあっ!」
ナツミのちょっと乱暴な手コキに、カケルは喘いだ。
「我慢しなさいよ!男の子でしょ!」
そんな声にも、ナツミは全く容赦を見せない。
「あああっ!」
しかし、ナツミの手は、カケルが思っていたよりも、柔らかくて、スベスベしていた。
その手の動きに慣れたのか、少し痛いとまで感じたナツミの手コキを、
カケルは快楽として受け入れることが出来るまでになっていた。
「馬鹿!何硬くしてんのよ!」
ナツミはそう言ったが、内心は(カケルのが大きくなってる・・・)と思っていた。
だが、そんなことを言ってしまった反面、ナツミには、手コキのスピードを限界まで速めるという選択肢しかなかった。
「ほら!さっさとイきなさい!」
ナツミがそんなことを言うまでもなく、カケルのモノは限界だった。
「ああっ!ナツミ、出る!」
カケルはそう言うやいなや、射精し始めた。
「ゲッチュ!」という効果音に、「ドクン!ドクン!」と言う精液の出る音がかき消された。
「ああっ・・・出てる・・・」
しかし、カケルの精液は、ゲットアミに吸い込まれ、外に出てくることは無かった。
「ちょっと、カケル!」
ナツミは、少し怒った様子で言った。
「何だよ、ナツミ・・・」
カケルは、少し萎縮していた。
「もうちょっと我慢しなさいよ!この早漏!・・・って、すばやさ5ってそういう意味!?」
ナツミの言うことがあまりにも的外れだったので、カケルも少し怒った。
「何だよ!お前がさっさとイけって言ったんだぞ!」
「早漏!変体!」
さらに罵倒を続けるナツミ。
「お前がイかせたんだよ!」
しかし、カケルのこの言葉で、ナツミは一気に顔を真っ赤にした。
「・・・ごめん、もっと、気持ちいいままでいて欲しかったの!」
ナツミはそこまで言うと、はっと目を覚ました。またも、完全なる墓穴だった。
「ははは、素直じゃないな、ナツミ。ま、そんな所が好きなんだけどな」
カケルのそんな発言に、ナツミは顔を赤くしながらも、
「お互い様でしょ、馬鹿!」と言って、少し笑った。
しかし、何かがおかしかった。
「あれ、もうスペルマはゲットしたのに、どうしてゲームクリアにならないの?」
ナツミの言うとおり、カケルは射精したにもかかわらず、ゲームクリアになっていなかったのだ。
「スタートボタンを押して、ポーズしてみなよ」
ナツミの疑問に、カケルはそう言った。本当は博士が言うべきなのだが、交信機は先ほど壊されている。
ナツミは、スタートボタンを押した。
ポーズ画面には、こんなことが書かれていた。
「スペルマをゲットせよ! ひつようゲットすう:すべて」
「す、全て・・・?つまり・・・」
ナツミには、その表記が意味することが、なんとなくわかった。
「つまり、カケルのこれが空っぽになるまでって事!?」
ナツミの最悪の答えは、大正解だった。
「ははは・・・頑張れ〜・・・」
カケルはそんなことを言った。
「つまり、まだ出せるって言うことね」
ナツミはそう言って、カケルを睨みつけた。
「でも、もう手は疲れたし、さっさと終わらせたいから・・・」
ナツミはそう言うと、いきなり自分の服を脱ぎ始めた。
「な、ナツミ!?」
カケルはあわてて、ナツミから目をそらした。
ナツミは「覗かないでよ!」と言うつもりだったが、その必要は無いようだ。
「カケル、もういいわよ」
ナツミはそう言って、カケルを促した。
「う、うん・・・うわあっ!」
ナツミに誘われるように振り向いたカケルだったが、ナツミが生まれたままの姿だったので、驚いてしまった。
「あんまりじろじろ見ないでよ!これでも、私・・・結構恥ずかしいんだからね」
ナツミは、右腕で胸を、左手で股間を隠しながら、顔を赤らめてそう言った。
「ナツミ・・・きれいだよ」
感慨深そうに、カケルはそう言った。
(ふーん、そんなことが言えるんだ。お子様だと思ってたんだけどな)
ナツミは、そんなことを思った。
「カケル、今度は私を気持ちよくしてよ」
ナツミのおねだりに、カケルは少し驚いた。
「スペルマゲットのためだからね!私が気持ちよくなりたいからじゃないからね!」
カケルは(嘘だな)と思ったが、(ま、いっか)と思い、ナツミを気持ちよくする準備にかかった。
カケルはまず、ナツミの胸を揉んだ。
「あっ・・・ちょっと、どこさわって・・・いやん・・・」
ナツミはカケルに胸を揉まれている事に、怒りよりも先に嬉しさを感じていた。
「ナツミの胸、思ってたより柔らかくて、気持ちいい・・・」
カケルの口から出る、これ以上無い正直な感想。
ナツミの胸は、小さいながらも、発展を始めていた。
「あ・・・ちょっと、ここ、硬くなってるな・・・」
カケルはそう言うと、ナツミの胸にある小さな突起を触った。
「ああっ!」
その刺激に、感じてしまうナツミ。今までの強気な発言も、もはや出てこなくなっていた。
「俺・・・胸を揉むの、初めてだったんだけどさ・・・大丈夫だった?」
ナツミの胸を揉み終わると、カケルはそんなことを言った。
「ん〜、まあ、初めてにしては、上手だったんじゃない?」
ナツミは、これでもカケルを最大限にほめたつもりである。
ナツミの言葉に、カケルは笑顔になった。
「じゃあ、次は・・・われめを、気持ちよくするんだよな?」
カケルは、ナツミに確認するように、そう言った。
「わかってるなら、はやくやりなさいよ・・・」
ナツミはそんなことを言ったが、内心は期待していた。
「じゃあ・・・」
カケルはそう言うと、ナツミのわれめへと指を滑らせた。
「クチュッ・・・」
小さいながらも、はっきりとした音がした。
「あっ・・・ナツミ、ぬれてる・・・」
カケルは小さな声で、そうつぶやいた。
「な、何よ・・・恥ずかしかったからだからね!別に、あんたの胸揉みだけで感じたわけじゃないからね!」
カケルの言葉に、顔を真っ赤にしながらも、言い訳をするナツミ。
しかし、カケルはすでにナツミの嘘と本音を聞き分けられるようになっていた。
「指・・・入れていいか?」
カケルはナツミのことをもっと気持ちよくしようと、そんなことを言った。
ナツミは無言のまま、ゆっくりとうなずいた。
「ああっ!ひゃあん!」
ナツミの中を別の生き物のように犯す、カケルの指。
「ナツミの中、あったかくて、時々締め付けてくる・・・」
指を締め付けられる感覚に、Hな気分になるカケル。
「あああっ!そこ、駄目ぇっ!」
ナツミの声が最高潮に達する。カケルが指を曲げて、俗に言う「Gスポット」を刺激したのだ。
「ああああああ!」
その刺激に、ナツミは潮吹きしながら、カケルの指をぎゅっとしめつけた。
(すげえ・・・女の子って、こんな風になるのか・・・)
たった数分前まで、片思いだと思っていた少女。
それが今、自分の目の前で、潮吹きをしたと言う事実に、カケルは感慨深そうにしていた。
「はぁ、はぁ・・・」
ナツミの息は乱れ、顔は高揚し、われめからは透明な液体が出ている。
「さ・・・これで、もう準備はいいわね・・・」
ナツミはそう言うと、いつの間にかすっかり元の硬さを取り戻したカケルのモノの上に、自分のわれめを当てた。
「えっ・・・お前、初めてなんだろ・・・?」
カケルにとっては、当然の反応だった。
「大丈夫よ、多分」
ナツミは、根拠が無いことを言った。
「それに、中に出したら、赤ちゃんが・・・」
「それは平気。精液は全部、ゲットアミに吸い込まれるみたいだからね。見てたでしょ、あんたも」
ナツミはカケルの言葉を止めて、そう言った。
カケルは、「う、うん・・・」と言うと、ナツミのわれめに吸い込まれる、自分の肉棒を見ていた。
「くうっ!」
ナツミがそんな声を上げると、そのわれめからは、血が出ていた。
「ナツミ・・・」
カケルはそれを見て、ナツミの胸に手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと、どこさわって・・・」
「これで、少しは痛くなるかな、なんて思ったんだけど・・・」
カケルの優しさに、ナツミは感動しながらも、口では「馬鹿ぁ・・・」と言った。
カケルの肉棒がナツミに全て入るころには、ナツミの痛みは、すでに快楽に変わっていた。
「カケル、結構大きいじゃない」
ナツミはそんなことを言ったが、実際には、カケルの肉棒は、ナツミの奥まで届いていた。
「じゃあ、スペルマをゲットするわね」
ナツミはそう言うと、腰を動かし始めた。
「ああっ!き、気持ちいい!」
騎乗位の格好をしているので、ナツミがリードすることになる。
しかし、ナツミは自分の腰振りに、自分で感じてしまっていた。
「ああっ!お、俺も、気持ちいいよ!」
ナツミの性器が、自分の肉棒を締め付けながら擦り上げる。
その感覚に、カケルは、自分も腰を振りたい感覚に襲われた。
しかし、自分が下にいるため、このままでは腰を動かしにくい。
「ナツミ・・・ごめんっ!」
カケルは不意にそう言ってナツミを抱き寄せると、ベッドの上でくるりと体を横に回した。
これにより、今度はカケルが上になる。
それが意味することは、「これでカケルは自由に腰を振ることが出来る」ということだった。
「腰、動かすからな!」
カケルはそう言うと、いきなりナツミの中に、腰を激しく打ちつけ始めた。
「ば、馬鹿っ!私が気持ちよくしてあげて・・・ひゃあん!」
いきなり腰を激しく打ちつけられ、ナツミはよがった。
「ごめん・・・でも気持ちよくて・・・止まんねえ!」
カケルの腰振りは止まるどころか、どんどんと勢いを増していった。
「ああっ!す、すごい!すごいよぉっ!」
ナツミは、(そっか、こうげきが5って、こういうことか)と思いながら、イきそうになっていた。
「ナツミの中、狭くて・・・もう、イきそうだ・・・っ!」
カケルの肉棒は、限界だった。
「いいよ、カケル・・・来て!」
ナツミの中も、限界だった。
「ナツミいいいいいいい!」
カケルはそう言いながら、射精した。
「カケルううううううう!」
カケルに中に出される感覚に、ナツミもイった。
(俺、ナツミとつながった・・・)(私、カケルとつながった・・・)
二人の思うことは、同じだった。
「ねえ・・・今日は無理だけどさ・・・次にするときは・・・網、無しにして欲しいんだけど」
ナツミがそんなことを言ったので、カケルは少し驚いた。
「網が中で擦れて、気持ち悪かったのよ!」
その言い訳に、カケルは笑ってしまった。
それにつられて、笑うナツミ。その耳には、ゲームクリアの音楽が聞こえていた。(fin.)