・「さよなら妖精」を改変してあります。  
・守屋xマーヤ  
・18禁  
 
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 謎の外人美少女マーヤと大雨の不動橋の土手で印象的な出会いをしてから、行くところがない彼女は  
白河さんの旅館に住み込みで働くことが決まり、落ち着いた頃、彼女の行きたがっていた、「中之町」  
にみんなで行こうと言うこととになった。  
 
 マーヤ、俺、大刀洗、白河、文原の5人で集まり、道すがら、論田橋やら町の看板などあらゆるもの  
に哲学的意味を問い、興味を持つマーヤに我々は新鮮な気持ちで翻弄されつつ、俺は、マーヤの視点、  
考え、その人柄に急速に惹かれつつあった。ワンレンロングの大人びた大刀洗と2年ほどの付き合いに  
なるが、未だに親密になれるほどでない。  
 
 観光客とごった返す中、マーヤだけは迷子にならないよう追いかけているうちに、どうやら、大刀洗  
たちとはぐれてしまったようだ。  
 
「これは…、まずいことになったな」  
「どうかしましたか?そういえば、まちさんたちが居ませんね。こういう場合、日本語でなんと表すん  
でしたっけ?」  
 俺は、今の気分を表すように重々しく、  
「はぁ…。『は、ぐ、れ、た、だよ』」  
「そうでした!」  
 
「これ以上、事態を悪化させないために手をつなごう」  
 降ってわいたような状況に俺は、不自然にならないように提案した。  
 
「うふ、わかりました」  
 彼女の笑顔が大変魅力的で、つないだ手の繊細さが恋人同士のような錯覚をもたらした。  
 あちこち見つつ、途中、彼女の靴紐がほどけたのを直しているとき、イチイの木細工をする土産物屋  
が見えてきて、なかなか気の利いた品揃えをしているようなので、店に入った。  
 
 その中で、紫陽花の透かし彫りをしたバレッタが彼女に似合いそうだった。でも、傷物の所に置いて  
あって割引になっていた。何か問題があるのかな?と店員に聞くと、紫陽花の葉の部分が節になってい  
るからということだったが、これはこれでいい感じなので安く購入して店を出ると、彼女が待っていた。  
 
「やあ、待たせてしまったね。お詫びという積もりじゃ無いんだけど、これをマーヤに」  
「……これは?」  
 
 彼女の瞳がきらめいた。  
 
「髪を留める物だよ」  
 紫陽花のバレッタを彼女のクセっ毛に付けてあげた。  
 
「それで……、これは哲学的意味があるのですか?」  
 その問いかけに俺は、ドキドキしてきた。  
 
「マーヤに何かしてあげたくなってさ、よく似合うよ」  
「もりやさん。そういう意味なのですね。ありがとうございます」  
 
 手をつないで歩く彼女の距離が近くなった気がする。そして、彼女からいい匂いがしてくるな。  
 俺を見て話しかける彼女の唇がやけに気になったり、何だろう、これは。  
 
「少々、歩き疲れてきました。あの看板によると、わたしの所持金でも休憩できるようですね」  
 
 彼女は、少し通りから外れたその建物に向かって歩き始めた。付いていくと、ここは、  
「あの…マーヤ?ここは、確かに"休憩"もできるところだけど、その、マズいんだけど」  
「危険な場所ではないのでしょう?ぜひ、行ってみたいです」  
 
 まあ、行くだけなら問題ないか?彼女の押しに負けて、ラブホテルに入ってしまった。  
 
 適当な部屋のボタンを押し、キーを受け取ってエレベーターで部屋に向かう。どことなく淫靡な  
雰囲気に俺は、どんどん変な気持ちになってきつつ、目的の階に着いて、部屋に入った。  
 
 彼女はベッドに腰掛けて、  
「やっと二人きりで、落ち着けるところに来られました。ここに来たのは、誤解ではありません」  
 
 彼女の頬は紅潮し、俺を見て微笑んでる。俺も、彼女の隣に座った。  
 
「それは、どういうことなんだ?」  
「わたしの国では、日常的に不意の死……銃撃や暴行などがあるため、気になる相手が居ると関係を  
急速に進展させるのが普通なのです。日本では、はしたないことですよね」  
 
「……場合によるかな。俺にはそういう経験が無いが」  
 
「もりやさんは、あの土手に居た、大きな荷物を抱えた不審な外国人に何故、通り過ぎず、話しかけよ  
うと思ったのですか?その後も、色々親切にしていただいて、わたしは、その会話、行為から、あな  
たのことが好きになってきました。そして、先ほど、この素晴らしい髪飾りを下さいました。これは、  
あなたからの明確な好意ですよね?」  
 
 二人っきりで、この距離。適当に誤魔化し、やり過ごせるような雰囲気では無かった。  
 
「一目惚れというのか判らないが、俺らしくも無く、マーヤに声をかけて、変に思われても仕方ない  
くらいあれこれしてきた。惹かれていた気持ちは、そうだな、恋愛感情だったかもしれない。いや、  
迷惑かもしれないが、紫陽花のバレッタは……そういう意味になるよ」  
 
 返事の代わりに彼女はキスをしてきた。彼女の思い、不安などが入り交じった物が彼女のたおや  
かな舌と共に俺の中になだれ込んでくる。熱い吐息と共に唇が離れた。  
 そして、彼女はさっさと服を脱いで、全裸になってしまった。  
 
 日本人とは違ったこぼれたミルクのような肌色、つんとした乳首、かたちの良い乳房、みごとな  
スタイルに見とれていると、いたずらっぽく微笑む彼女に俺の服を脱がされてしまった。  
 
 ベッドに仰向けに寝た彼女に、俺は引き寄せられるように覆い被さっていく。  
 肌と肌が触れあっていると本能が刺激され、彼女の唇をまた、貪り、かたちの良い耳に愛の言葉を  
ささやき、なめらかな首筋に口づけをし、堪らない感触の乳房を両手で揉みしだき、乳首を愛撫した。  
 
 時折、知らない言葉を漏らすが、体の反応で判る。痛くしないよう、不快なことを避けて。  
 
 彼女の体は汗ばみ、淡い茂みの奥は十分に熱く濡れている。漲った俺のを彼女は握りながら、  
「もりやさん、そろそろ性器を挿入してください。あなたのも十分でしょう?」  
「ああ、そうだな」  
 枕元のコンドームを取って、装着しようと思ったら、  
「わたしは、今月でこの国を去ります。何かあってもあなたには迷惑がかかりませんから。そのよう  
な無粋な物は必要ないですよ」  
「わかった」  
 
 磁力があるような彼女の瞳を見つめつつ、濡れそぼった膣口に自分のを合わせて、彼女とひとつに  
なった。俺と彼女に合った様々な誤解、ずれは徐々に馴染んでいくからだとともに無くなっていき、  
二人の間には快楽しか無くなっていく。  
 
 やがて、どうにもならない衝動を抑えきれず、彼女の中に思いの丈をぶちまけた。  
 喘いでいる彼女が愛おしくなり、名残のキスをした。  
 
「もりやさんの気持ちで、わたしはいっぱいです。とてもしあわせですよ」  
「こんなことが実現するなんて思わなかった。ありがとう、マーヤ」  
 ベッドから降りて、シャワーで汗を流した。あまり長居をするわけには行かないので、いそいそと  
着替えて、チェックアウトした。  
 
 ホテルの出口を出ると、  
「ねえ、ほんとうに二人がここに入っていったの? えっ!?まさか」  
 
 白河さんが驚愕の表情で固まっている。  
 
「本当だったようね。どういうことかしら?守屋君」  
 
 大刀洗が鬼の表情だ。マーヤが何か言おうとしたら、  
「とにかく、マーヤ、もう、帰るわよ。文原くんも一緒に来て!」  
 強引に白河さんが連れ帰ってしまった。  
 
 残された俺と大刀洗は、一言もしゃべらず、混雑した町並みを抜け、河原に出て、土手に座った。  
 
「マーヤが来てから、あなたの心はあたしから急速に離れていくのが判ったわ。マーヤが何かを不思議  
がったとき、いつも説明を嫌がってたでしょう? わたしの気持ちに気づいて欲しかった……。」  
 
 河原の涼しげな風が二人の間を渡っていった。  
 
「大刀洗は、いつもわかりにくいんだよ。察して欲しいというのは判るけど、マーヤのことは、嫌がら  
せにしか思えなかった。こう言うのも何だけど、体臭に煙草臭さが出始めた頃から、感覚の違いとか、  
ずれを感じるようになってきたよ。俺に伝えるべき言葉が煙と共に消えたんじゃ無いか?」  
 
「なんてヒドイ言い方するのかしら。わたしは待っていたのに。そんなときに二人でラブホから出てく  
るんだもの。もう、おしまいなのかしら」  
 
「流れでホテルに入って、コミュニケーションの延長的に最後までしたよ。でも、マーヤは近日中に  
帰国してしまうらしい。政情不安とかで」  
 
「だから、なんなの?」  
 
「変なことになってしまったので、この関係は無かったことにするか、休止できたらと思ってる」  
 
「頭を冷やしたいのね。はっきり交際しているとは言えなかったけどさ。でも、あたしの気持ち、判る  
よね?」  
 
「ああ。酷いことをしたと思う。男同士であれば、ボコボコに殴られるだろうな」  
 
 大刀洗は、それがあったかとばかりに俺にさんざん殴ってきて、やがて気が済んだようだ。  
 俺は、体中のあちこち痛くなったが、大刀洗は、すっきりした顔だ。  
 その日は、そのまま解散となった。  
 
 
 数日後、ちょっとどうかと思うマーヤの送別会が催され、彼女は自国に帰っていった。  
 
 俺は、彼女が気になり、肉体関係にまでなってしまったので、どうにかして彼女の国に行ってみたくなり、  
その後、バイトしたり渡航手段を考えたり1年ほど躍起になっていたら、大刀洗がこっそり手紙を送ってい  
て、返事が返ってきたという。  
 
 沈痛な彼女の顔を見て、悪寒が走ったが、翻訳までしてもらった文面を読んで俺の頭は混乱した。  
 
「マーヤが狙撃されて、即死?あり得ない。何故、首を撃たれたんだ」  
 
「もう、あなたがマーヤの元に行く必要は無いのよ。念を押すようだけど、同封されていたこのバレッタ、  
覚えてるよね?」  
 
 埃っぽくなっているが、間違いなく、俺が送った紫陽花のバレッタだ。俺は、それを持って崩れ落ちた。  
 
 
 大刀洗に付き添われ、彼女の遺品を山の見晴らしの良いところに埋めに行こうということ向かっていた。  
 この藤柴市がよくみえるところに穴を掘り、そっとバレッタを埋めていたところ、声がした。  
 
「それは、どんな哲学的意味があるのですか?」  
 
 聞き覚えるのある声に愕然と振り向くともう、会えないはずの人が微笑んでいた。  
 
「マーヤ!!どうしてここに居るんだ。あの手紙に書かれていたことは、ウソなのか?!」  
 
「町中で銃撃戦が始まり、数名で近くのビルに避難したんです。そこで窓ガラスを破って飛んできた銃弾  
が横に居た、日本人の通訳をやっていた女性に当りって、顔面が無残な状態になり、即死状態でした。  
あんまりな彼女の最後に衝撃を受けたわたしは、あなたにもらったバレッタを供え、彼女の死を偲びました」  
 
 沈痛な彼女の表情を見つつ、俺は現実感が希薄だった。  
 
「そして、戦車がやってきて、ビルを砲撃しはじめたので全員、避難した直後、ビルが崩壊しました。  
兄は、わたしのバレッタを覚えていて、背格好が似ていた死体をわたしだと思ったようです。その後、  
日本人通訳を失った会社員の彼に付いて、しばらく働いていて、日本まで付いて来たわけです」  
 
「マーヤ、壮絶な経験したわね。日本にはどれくらい居るの?」  
 
「彼の紹介で別のお仕事を手伝うことになったので、明日には出発です。思い出の場所を歩いていたら、  
もりやさんとまちさんに似た人を見かけたのでこっそり付いていたら、びっくりしました」  
 
 奇跡って本当にあるんだと思いつつ、彼女にもらった名刺は、現住所等書いてあって、紛争地域の仕事  
じゃないから心配なく、ちょくちょく日本にも来るらしいことを聞いた俺の心から喜んだ顔を見た大刀洗  
が俺を睨んだ。  
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  
おわり  
 

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