「静かな夜だ……」  
シャノン・カスールは、焚き火の前でお茶を啜りながら、小さく呟いた。  
だるそうに背中を丸めたその様子は、妹に『若年性老人症』と言われるのも納得できるぐらい、非常に爺むさい。  
「これで、ラクウェルがアレを見つけてなければ、もっと平和なんだが」  
シャノンは大きく溜息をつくと、少し離れた所に止めてある馬車を眺めやった。  
その中には、血の繋がらない妹のパシフィカと──問題の彼の双子の姉、ラクウェルがいる。  
「大体、隠してあった魔導式なんて、物騒なモンに決まってるんだよな……」  
シャノンは見回りをする為に立ち上がりながら、心底イヤそうにかぶりを振った。  
 
 
──そもそもの発端は、やはりと言うか何と言うか、パシフィカだった。  
「あれ? ねえ、ラクウェル姉。私、こんなの見つけたんだけど」  
「あら、それ母さんの字ね。──どこで見つけたの?」  
客室部分にいる妹から、見覚えの無い薄い紙束を見せられて、ラクウェルは御者台で首を傾げた。  
「うん、実はヒマだったもんで、母さんの覚え書きを眺めてたんだけど」  
「よせよせ、そもそもお前は、魔導式なんぞ分からんだろうが。知恵熱出しても知らんぞ」  
「うるさいわねっ! 恒常性無気力老人病のシャノン兄に言われたくないわっ!」  
「あらあら、また二人で楽しそうに……で、それからどうしたの?」  
いつものようにじゃれ合う二人を見て、ラクウェルは少し羨ましそうにしながら、続きを促した。  
 
 
「あっ、そうそう。それでね、馬車が揺れた拍子に、その上に水筒の水を思いっきり零しちゃったの」  
「な、なんですって!?」  
その途端、ラクウェルは舞台女優のように大げさなリアクションを取り、表情を凍りつかせた。  
彼らの母であるキャロルの覚え書きは、超一流の魔導士であった彼女が残した、魔導式の集大成だ。  
特に、シャノンから『魔法オタク』とまで呼ばれるラクウェルにとっては、何よりの武器であり宝でもある。  
動きを止めた姉の瞳にじわっと涙が滲むのを見て、パシフィカは慌てて言葉を続けた。  
「あっ、ラクウェル姉、大丈夫だよ! すぐに拭いたから、中までは染みてないし。  
 ──でね、濡れた裏表紙がぺろっとめくれて、これが出てきたって訳なのよ」  
「そう……。パシフィカ、ちょっと貸してもらえるかしら?」  
気を取り直したラクウェルは、妹の手から薄い紙束を譲り受ける。  
ほんの数枚の紙を束ねたそれの表には、丸い文字で『キャロルのひみつメモ♪』と書いてあった。  
「なんつーか……、妙に頭の痛くなるタイトルだな……」  
「ええ、本当に父さんと母さんは、似たもの夫婦だったわよね……」  
げんなりしているシャノンとは対照的に、ラクウェルはどこか嬉しそうに頷いている。  
「……まあ!」  
「げ……」  
そして、ラクウェルが表紙をめくると、再び双子の口から対照的な呟きが漏れた。  
そこにびっしりと書いてある文字──それは、二人が見たことの無い魔導式の構成であったのだ。  
普段のぽやーんとした表情もどこへやら、ラクウェルの目が獲物を見つけた獣のような光を放つ。  
「うふ、うふふ、うふふふふ……」  
 
 
唇の端を嬉しそうに持ち上げながら、馬車の揺れを物ともせず、ラクウェルはその記述に没頭していった。  
「パシフィカ、お前は何だってまた、火薬庫に花火を投げ込むような真似を……」  
「ううっ、ごめん、私が悪かったわ……」  
不気味な含み笑いを始めた姉から微妙に距離を取りつつ、シャノンとパシフィカは囁き合った。  
一度こうなってしまうと、ラクウェルを止めることなど出来ないのは、二人とも良く知っている。  
──結局、ラクウェルは夕食も取らずにその魔導式を読みふけり、現在に至っている、という訳だった。  
 
 
「とりあえず異常なし、か……ん、ラクウェル?」  
「あら、お帰りなさい、シャノン」  
数十分後、シャノンが周囲の見回りを終えて戻ってくると、焚き火の前にラクウェルが座っていた。  
寒いのか、毛布を身体に巻きつけて、背後には<力天神>をアレンジしたモノ──スーピィ君を連れている。  
いつ見ても気が抜けるその姿を目にして、シャノンはどっと疲れを感じた。  
「ラクウェル、用もないのに<力天神>を使うなって、前にも言ったよな……」  
「用があるから使ったのよ? ちなみにこの子は、『夜のお供用スーピィ君2号』。──可愛いでしょ?」  
「んごっ!」  
その半自立型魔導式は、褒められた事を喜ぶかのように、短い腕をぱたぱたと振り回した。  
普段からその言動を図り難い姉だが、特にスーピィ君にかける情熱は、シャノンの理解を超えている。  
シャノンはもはや頭痛すら感じつつ、焚き火を挟んだ反対側に座り込んだ。  
「分かった分かった、好きにしてくれ。……俺は少し仮眠を取るから、見張り頼むぞ」  
「あら、駄目よ。私はシャノンに用事があるんだから」  
 
 
「用事? ……って、うわぁっ!?」  
立ち上がったラクウェルが毛布をするりと身体から落とした途端、シャノンは驚愕の声を上げた。  
なぜなら、毛布を脱ぎ捨てたラクウェルの姿は、一糸纏わぬ全裸だったのだ。  
揺らめく炎に、彼女の滑らかな肌が照り映え、潤んだ瞳からは妖しいまでの色香を放っていた。  
「もう我慢できないの……。お願いだから、抱いてちょうだい、シャノン……」  
豊満な肢体を惜しげもなく晒しながら、ラクウェルはゆっくりと焚き火を迂回してシャノンに近づく。  
放心状態だったシャノンは、ラクウェルがすぐ傍まで来たところで意識を取り戻し、彼女を押し留めた。  
「ちょっと待てっ! そもそも何でいきなり……って、まさか!」  
混乱するシャノンの脳裏に、昼間見つかった魔導式の事が電光のように閃いた。  
どう見ても正気とは思えないラクウェルのこの行動は、あの魔導式が関係しているに違いない。  
シャノンがそう考えると、まるでそれを読み取ったかのように、ラクウェルが答えた。  
「うふふ……、そうよ。あの魔導式は、脳を刺激して、性欲を引き出す効果があったの。  
 シャノンで試したら、またパシフィカに怒られると思って、まずは自分に掛けてみたんだけど……。  
 さすが母さんだわ。薬物でも不可能な精神操作を、こんなに見事に出来るなんて……」  
「またって、前にも何かやったのか? いやそれより、双子同士でそんな事したら、色々まずいだろっ!?」  
情欲に染まった表情で迫り来る双子の姉に気圧され、シャノンはずりずりと後ずさった。  
ラクウェルの股間はすでに濡れそぼり、零れた雫が腿の半ばまで滴っている。  
戦闘ならば冷静に対処できるシャノンも、こういった状態ではまともな対応策を考え付くはずもない。  
シャノンは滅多に見せないうろたえた様子を見せながら、姉の魔手から逃れようと必死になった。  
「大丈夫よ。生理機能にも干渉してるから、妊娠の危険性は無いの……」  
 
 
「だから、そう言う問題じゃなくて……うっ!? こっ、こいつっ、離せっ!」  
いつの間にか背後に忍び寄っていたスーピィ君が、シャノンの両腕をがっちりと掴み、逃亡を阻止した。  
一流の剣士であるシャノンでも、素手では土木作業用の魔導式の力に対抗できるはずもない。  
スーピィ君の短い腕から逃れようともがくシャノンの上に、妖しい笑みを浮かべたラクウェルが馬乗りになった。  
 
 
「さあ、まずは服を脱ぎましょうね……」  
「止めろラクウェル! くそっ、正気に戻れって!」  
ラクウェルは幼い子供に着替えをさせる時のように、優しく囁きながら弟の服を脱がし始めた。  
下半身は自由になるとは言え、まさか本気で蹴りを入れる訳にもいかず、シャノンの抵抗はぎこちない。  
「……あんまり大声出すと、パシフィカに聞こえるわよ?」  
「うっ……!」  
着々と自分の服を脱がしていくラクウェルに指摘され、シャノンはどっと油汗を流して硬直した。  
確かに、万一こんな場面をパシフィカに見られたら、確実に身の破滅だ。  
動きを止めたシャノンの様子を気にもせず、ラクウェルは下着ごとズボンを引き下ろした。  
「よいしょ……っと。あらシャノン、何だか元気がないわね?」  
「だから、どこを見て言って……、ああ、もういい、好きにしてくれ……」  
まだ柔らかい肉茎を見て意外そうな顔をするラクウェルに、観念したシャノンは投げやりに答えた。  
「あら駄目よ、そんな態度じゃ。こう言う事は、男女の協力が大事なんだから」  
「……その前に、お互いの合意が必要なんじゃないのか?」  
諭すように告げるラクウェルの言葉に、シャノンは半眼になりながら、もっともな理屈を述べる。  
 
 
しかし、怪しげな魔導式に支配されたラクウェルには、正論は通じなかった。  
「じゃあ、シャノンをその気にさせれば、問題はない訳よね。……はむっ」  
「どわっ!? ラッ、ラクウェル、何て真似をっ……!」  
ラクウェルはシャノンの陰茎をつまみ上げると、まだ小さいままのそれに、いきなりかぷっと齧り付いた。  
敏感な場所に柔らかく湿った感触を受けて、シャノンの身体がピクンと反応する。  
シャノンの股間に顔を埋めながら、ラクウェルは唇と舌を駆使して、男根に刺激を送り始めた。  
「んっ……んちゅっ。ふふっ、ねぇシャノン、気持ちいい……?」  
「くっ……、よっ、よせ、止めるんだ……」  
甘い声を出すラクウェルの責めを受けながら、シャノンは苦しげな声を発した。  
どこでこんな技巧を覚えたのか、ラクウェルは優しく舌を動かし、シャノンの官能を引き出しにかかる。  
シャノンは両手を真っ白になるほど強く握り締め、自分の唇を血が滲むまで噛み締める。  
意識を痛みに集中し、本能に従おうとする肉体を、意志の力で必死に制御した。  
 
 
「んんっ、ぷあっ! おかしいわね、どうして立たないのかしら……?」  
いくら奉仕しても一向に大きくならない男根から口を離し、ラクウェルは困った様子で呟いた。  
ようやく責め苦から解放されたシャノンは、安堵の溜息を吐き、身体の力を抜く。  
荒い息をつきながら、ラクウェルを翻意させようと、懸命に説得を始めた。  
「あっ、当たり前だ……。大体、いくら何だって、同じ顔した姉弟同士で、立つ訳がないだろ……」  
「……やっぱり、そういうものかしら?」  
口元に人差し指を当て、小首を傾げるラクウェルに、シャノンはここぞとばかりに力説する。  
 
 
「そういうものなんだ。お前だって、今は妙な魔法のせいで、とち狂ってるだけだ。だから……」  
「ああ、そうよね!」  
シャノンの言葉を遮って、ラクウェルはピンときた様子で両手を打ち合わせる。  
分かってくれたかと安堵したシャノンは──しかし続く言葉に再び硬直した。  
「それなら、シャノンにも同じ魔法を掛ければいいのよね」  
「なっ、なにっ!?」  
引きつりまくったシャノンをよそに、ラクウェルは嬉々として呪文を唱え始めた。  
ラクウェルをこれほど狂わせる魔法を掛けられたら、さすがに抵抗する自信はない。  
関節が抜ける勢いで、シャノンはスーピィ君の手から逃げ出そうとしたが、それも間に合わなかった。  
「……人の理・人の性を捨て・ただ内なる獣に従え……<淫夢操>」  
「くあぁ……っ!」  
呪文が完成すると同時に、シャノンの視界が赤く染まり、本能が理性を消し飛ばした。  
強烈な蒸留酒を飲んだ時のように、頭がカッと熱くなり、現実感が失せる。  
ただ、酒による酩酊と違うのは、頭と同時に股間にも血流が集まり、燃えるような欲望が沸き上がる点だ。  
シャノンの股間のモノは見る見るうちに大きくなり、鋼のように硬く反り返った。  
「うふふ……。とっても立派よ、シャノン……」  
「うっ……、ううっ!」  
艶然と微笑むラクウェルに陰茎を撫でられ、シャノンは快楽のうめきを漏らした。  
実の姉であるという認識が薄れ、ラクウェルの白い肢体に情欲が込み上げる。  
理性のタガが外れた状態で見る彼女の身体は、贔屓目なしに美しく、魅力的だった。  
 
 
普段は意識したことも無い豊満な乳房は、若さ故の艶と張りを持ちつつも、重たげな質感を強調する。  
見事にくびれたウエストは、両手で掴めそうなほど細く、引き締まっている。  
そこから腰、太腿へと続く流麗なラインは、芸術的とさえ言えるまろやかな曲線を描く。  
長い黒髪と同色の艶やかな茂みは、あふれ出た雫に濡れ、その奥の秘密を想起させて止まない。  
匂い立つような色香を放つ完成された女体に、シャノンの中の獣性は猛り狂った。  
「あ……、ラクウェル、俺……」  
「ふふふっ。最初から、こうすれば良かったわね……」  
戸惑うようなシャノンの声に、ラクウェルは満足そうな笑みを零した。  
「シャノンも、もうしたくて堪らないでしょう……?」  
「うっ、くうっ!」  
ラクウェルはシャノンの身体に手を伸ばすと、ゆっくりとなぞるように指を滑らせた。  
首筋から鎖骨の上、鍛え上げた胸板から、脇腹をくすぐり、さらに下へ。  
彼女の指が揺らめく度に、シャノンの身体が面白いぐらい素直に反応する。  
怒張の先端からは透明な先走りが滲み出し、次第に雄の性臭を辺りに漂わせていった。  
「私ももう、堪らないの……。──ほら、聞こえるでしょう?」  
ラクウェルはそう言って、今度は己の秘部に指を這わせると、わざと音を立ててそこをまさぐった。  
シャノンの耳に、湿った肉の擦れ合う、くちゅくちゅという音が響き渡る。  
「……んくっ……」  
淫靡な声と水音に、思わず唾を飲み込んだシャノンの喉が、大きく上下する。  
シャノンの剛直は音の源を求めるかのように跳ね、更に硬度を増して一回り大きくなった。  
 
 
「じゃあ、入れるわね……」  
自分の指で充分に潤ったラクウェルは、シャノンの男根を掴み上げ、花弁の入り口に当てた。  
熱いぐらいに充血したそこは、シャノンの先端を吸い寄せるように誘う。  
「んっ、んんんんんっ……!」  
「うあっ……!」  
ラクウェルは、快楽にきつく目を閉じながら、そのまま一気に腰を降ろした。  
柔らかな肉襞が剛直を包み込んでいく快感に、シャノンは苦痛にも似た叫びを上げる。  
根元までを完全に咥え込むと、ラクウェルは両手をシャノンの胸板に突き、上気した顔を彼に向けた。  
「んっ、すごいわ……。分かる、シャノン? あなたのが、私の奥に当たってるの……」  
「ラ、ラクウェル……。お前、初めてじゃないのか?」  
自分のモノをすんなりと受け入れたラクウェルに、シャノンは驚き混じりの表情で問いかけた。  
いくら魔法の影響があるとは言え、処女であったならば、これほど抵抗無く挿入出来るはずがない。  
普段は異性になど興味を持たないラクウェルが経験済みであった事は、シャノンには正直予想外だった。  
「うふふ、昔ちょっとね……。それより、今は楽しみましょ? んっ、ん……」  
「うっ、うあっ!」  
ラクウェルが腰を動かし始めると、シャノンの脳裏に、疑問を消し去るほどの快楽が走った。  
ふんわりと包み込むような肉襞の連なりが、鳥肌が立つほど絶妙な力加減で、シャノンの肉茎を撫でる。  
自分で慰めた時とはまるで違う、熱く湿った膣内の感触に、シャノンは陶然となった。  
「ああっ、ラクウェルっ、こんなっ、こんな……!」  
「んんっ、シャノンっ、駄目よ、まだイっちゃ……」  
 
 
「……つうっ!」  
すぐに暴発しそうになったシャノンは、ラクウェルに思い切り脇腹をつねられ、痛みに顔をしかめた。  
意識が快楽から苦痛に逸れ、今にも出そうだった射精の兆しを僅かに引き戻す。  
ラクウェルは腰の動きをゆったりと円を描くものに変え、シャノンの昂りが落ち着くのを待った。  
「うふふ、一人でイクなんて、許さないんだから……」  
「ああっ、くうっ、ラクウェルっ……!」  
もう少しのところでお預けをくらったシャノンは、解放された両腕を持ち上げ、ラクウェルの胸に伸ばした。  
たっぷりとした二つの膨らみを持ち上げ、本能のままに揉み解す。  
淫らに形を変える双丘の柔らかさが、手の平を通じて目眩を起こすほどの情欲を引き出す。  
シャノンは執拗にラクウェルの胸を愛撫し、ピンと突き立った頂点をくりくりと撫で擦った。  
「あんっ、いいっ、いいわっ、シャノンっ! もっと、もっとしてっ!」  
「くうっ、あああっ……!」  
シャノンの指に官能を呼び覚まされ、ラクウェルは再び前後の動きを開始した。  
時に捻りを咥えつつ、まるで叩き付けるかのように、激しい律動でシャノンの剛直を貪る。  
深く腰を落とす度に、押し出されるように淫裂から溢れる愛液が、シャノンの下腹部を熱く濡らしてゆく。  
シャノンもラクウェルの乳房を揉みながら、彼女の動きに合わせて腰を突き上げ、高まりを求める。  
双子ならではの息の合った動きで、二人の快楽は次第に同調したかのように揃っていった。  
「ラクウェル、俺っ、もうっ、これ以上はっ……!」  
「んんっ、いいわよっ、私もっ、もうちょっと、でっ……!」  
限界を告げるシャノンの囁きに応じ、ラクウェルは口元に寄せた自分の指を軽く噛みながら、腰を振った。  
 
 
シャノンのモノが彼女の中でビクビクと跳ね、ラクウェルの身体もガクガクと予兆に震える。  
「ううっ、駄目だっ、出るっ……!」  
「んあっ、あああぁん!」  
ドクドクと迸る熱い飛沫を感じながら、ラクウェルは長い髪を振り乱し、絶頂の叫びを放った。  
 
 
「はぁっ、んはぁっ……。シャノン、随分溜まってたのね……」  
「あっ、ああ……」  
物憂げに身体を起こしたラクウェルに、シャノンは熱に浮かされたような呟きを返した。  
「ふふっ、ほら見て……。んっ、こんなにいっぱい……」  
「っ……」  
ラクウェルは膝立ちになると、両手で秘所を持ち上げ、シャノンの目に開ききった花弁を晒した。  
大きく広げられた膣口から、シャノンの吐き出した白濁が、トロリと糸を引いて地面に零れ落ちる。  
その淫猥な光景に、絶頂を迎えたばかりのシャノンの剛直が、再び硬度を取り戻していった。  
「あらあら、まあまあ。シャノンったら、まだし足りないみたいね」  
「うっ、いやその……」  
楽しげに微笑むラクウェルの言葉に、シャノンは気まずげに言葉を濁した。  
「でも、丁度良かったわ。準備したのが無駄にならなくて」  
「……準備?」  
ラクウェルの台詞に不穏な雰囲気を感じ取り、シャノンの額に冷たい汗が一筋流れ落ちる。  
「じゃあ、スーピィ君1号、こっちにいらっしゃーい♪」  
 
 
「い、1号? って事は、まさか……」  
馬車に向かって声を掛けたラクウェルに、シャノンのイヤな予感が膨れ上がる。  
身体を起こして逃げようとしたが、いつの間にか再びスーピィ君(2号)が彼の肩を掴み、押さえつけていた。  
「んご、んごっ」  
「やっ、嫌っ、放して、放してったらぁ!」  
馬車の扉が開き、奇妙な鳴き声と共に、聞き慣れた少女の叫びと、ばたばたと暴れる音が聞こえて来る。  
スーピィ君に抱えられて現れたのは、下着姿にされたパシフィカだった。  
「ああーっ! 二人とも、ホントにやっちゃったのねっ! この変態姉弟、節操無し、異常性欲者っ!」  
「さっ……最悪だ……」  
言い訳のしようがない状況を見て、パシフィカは自分の状態も忘れて、きゃんきゃんと喚き出す。  
考え得る限り、最もまずい状況に陥り、シャノンは思わず頭を抱え込んだ。  
「ラクウェル姉っ! かっ、仮にも妹の私を襲った挙句、血の繋がったシャノン兄にまで手を出すなんて……」  
「ああっ……。パシフィカがシャノンを相手にする時みたいに、私に文句を言ってるわ……」  
かなり本気で怒っているパシフィカの言葉に、何故かラクウェルは嬉しそうに顔をほころばせる。  
ラクウェルはゆらりと立ち上がると、両腕を胴体ごと抱き締められて身動きの取れない妹に近づいていった。  
「やっ、ちょっと、ラクウェル姉、目がコワいんだけど……」  
「まだそんなに抵抗するのね……。やっぱりこの魔法、効果に個人差があるのかしら……」  
「ちょ、ラ、ラクウェル姉、止めっ……!」  
またもがき始めたパシフィカの横に立つと、ラクウェルは白い指を妹の内股にそっと滑らせた。  
その途端、パシフィカの抵抗がぴたりと止み、顔が怒りではない感情に赤く染まる。  
 
 
大人しくなったパシフィカの、片手の指先が湿っているのに気付き、ラクウェルは目を細めて小さく笑った。  
「あらあら、今まで我慢できなくて、自分で慰めていたわね……?」  
「なっ……! そっ、そんな事してないっ!」  
耳元で囁かれ、パシフィカの顔が耳の先まで紅潮した。  
激しくかぶりを振り、自分の反応を恥じ入るように、身体をよじらせる。  
ラクウェルは妹の傍らに跪くと、かすかに濡れているパシフィカの人差し指を手に取り、軽く口付けた。  
「んっ、嘘をついては駄目よ……。パシフィカの指、あそこの甘いお汁が付いてるもの……んちゅっ」  
「やあっ! ちっ、違うもん……違うもんっ……!」  
愛液を舐め取るように指をしゃぶるラクウェルの呟きを、パシフィカは子供のような口調で否定した。  
しかし、いやらしく指を舐める舌の動きと、じらすように内股を這うラクウェルの指が、官能を呼び覚ます。  
言葉とは裏腹に、パシフィカの股間からは新たな雫が溢れ、ショーツの染みを広げていった。  
「シャノンも、まだ足りないみたいだから、今度はパシフィカがしてあげなさい……」  
「え……シャノン……兄……? ──っ!?」  
ラクウェルの責めに我を忘れていたパシフィカは、兄の名前を告げられて、はっと目の焦点を取り戻した。  
自分の痴態を黙って見詰めていたシャノンとばっちり目が合い、快楽を遥かに上回る羞恥心がこみ上げる。  
「やっ、ばかばかっ、シャノン兄っ、こっち見るなっ!」  
「パシフィカ……」  
慌てて両足を引き上げ、自分の身体を出来るだけ隠そうとしながら、パシフィカは思い切り怒鳴った。  
けれど、魔法の効果で理性を失ったシャノンは、パシフィカの身体から目を放そうとしない。  
あまりに熱いシャノンの視線が突き刺さり、パシフィカの身体の芯から、経験した事のない炎が燃え上がった。  
 
 
「あら、照れなくてもいいのに。さっきした時には、『初めてはお兄ちゃんじゃなきゃやだ』って……」  
「ラッ、ラクウェル姉っ!」  
自分の秘めた思いをシャノンの前で暴かれて、パシフィカは慌ててそれを遮った。  
「大丈夫よ、パシフィカはとっても可愛いんだから。シャノンだって、あなたとしたいって思ってるわ」  
「やっ、脱がさないでったら!」  
パシフィカの抗議をものともせず、ラクウェルは彼女の胸を隠している布を脱がし始めた。  
ラクウェルが肩紐を腕から抜き取ると、スーピィ君がパシフィカの両腕を取り、背中に回して固定する。  
ぐっと胸を突き出す体勢にさせられ、シャノンの目に少女の小振りな乳房が晒された。  
「やあっ、シャノン兄っ、お願い、見ちゃいやぁ……」  
「……パシフィカ……」  
パシフィカは、薄く涙さえ浮かべながら、自分の身体から目を放さない兄に懇願した。  
シャノンも、僅かに残った理性では、目を逸らすべきだと分かっていたが、本能がそれを拒絶する。  
ラクウェルに比べれば小さいとは言え、充分に膨らんだ双丘は、パシフィカの動きに合わせてたふたふと揺れる。  
恥じらいに身体をくねらせるパシフィカの姿に、シャノンは魅了されていった。  
「んっ……、さあ、こっちもシャノンに見てもらいなさい……」  
「お、お姉っ、だめっ、それだけはだめっ!」  
ラクウェルはパシフィカの胸の頂点に軽くキスをすると、彼女の身体に指を滑らせ、下半身へと手を伸ばした。  
最後に残ったショーツに手を掛けられて、パシフィカはきつく足を閉じ、儚い抵抗を示す。  
しかし、意外に力強いラクウェルの手には逆らえず、するすると足首まで引き下ろされ、剥ぎ取られてしまう。  
ごく薄い金色の茂みは、濡れてぺったりと肌に張り付き、ふっくらとした下腹部は、無毛のようにも見える。  
 
 
異性の目に触れさせた事の無い秘所を剥き出しにされ、パシフィカは恥ずかしさに顔を伏せた。  
「ほらシャノン、見えるでしょ……? パシフィカの可愛いここ……」  
「ああ、よく見える……」  
ラクウェルは脱力したパシフィカの足を軽く開かせると、シャノンに良く見えるように、身体をずらした。  
シャノンは、薄いピンク色の、蕾のように口を閉じたパシフィカの花弁を、食い入るように見詰める。  
月明かりと焚き火の炎に照らされ、朝露のようにそこを濡らす乙女の雫が、扇情的な彩りを加えている。  
腹の底から溶岩のように滾る獣欲が、シャノンの股間を焼き焦がした。  
「シャノンをあんまり焦らしちゃ可哀想だから、すぐに用意するわね……」  
「んっ……! やっ、ラクウェル姉っ! ……ああんっ、ふっ、くっ……痛っ!」  
ラクウェルはそう呟くと、パシフィカの下腹部を覆うように片手を添え、指でゆっくりと愛撫を始めた。  
中指で縦筋を上下になぞりながら、親指でその上の肉芽を押し潰し、くるくると弄る。  
最初は甘い声を上げていたパシフィカは、中指が花弁の中に潜り込むと、途端に痛みを訴えた。  
「あら、ごめんなさいね。……もうちょっと、濡らしておいた方がいいわね。んっ、ちゅっ……」  
「やはぁっ! やっ、だめだよぉ……んんっ!」  
ラクウェルが下腹部に顔を寄せ、労わるように舌を伸ばすと、パシフィカは背筋を逸らしてわなないた。  
ろくに自分で触れた事も無い秘所を、つるりと舐め上げられるたび、狂おしいほどの快感が走る。  
耐性のないパシフィカは、あっと言う間に快楽の波に翻弄され、理性を失っていった。  
「やあっ、こんなの、嫌なのっ……。私、シャノン兄以外の相手に、こんな事っ……」  
「……んもう。本当にパシフィカったら、お兄ちゃんっ子なんだから……」  
身体は反応させながらも、自分を受け入れようとしない妹の言葉に、ラクウェルは少し拗ねた口調で呟いた。  
 
 
最後にちゅっと花弁に口付けると、立ち上がってスーピィ君に合図をし、パシフィカを解放する。  
崩れ落ちそうなパシフィカに肩を貸して数歩を進み、そこで彼女の身体を下に降ろす。  
そこはもう、シャノンが座り込んでいる、すぐ目の前であった。  
「やっ、あっ、シャノン兄っ!?」  
「パシフィカ……」  
ふと視線を落としたパシフィカは、凶悪に反り返ったシャノンのモノを見て、今更ながら慌てた。  
両手で胸を隠し、シャノンの視線から逃れるように、横座りになって身体を捻る。  
だがそうした仕草は、却ってシャノンの欲望を昂らせた。  
「パシフィカ……」  
「だっ、駄目だよ、シャノン兄っ! 魔法なんかで操られて、こんな事するなんて……」  
スーピィ君の手から解放されたシャノンは、熱い思いを込めて妹ににじり寄る。  
初めて見る『男』の顔をした兄の姿に、パシフィカは軽い恐怖を覚えながら、ずるずると後じさる。  
しかし、シャノンに両肩を掴まれて、パシフィカの身体がピクッと震え、動きを止めた。  
「パシフィカ、最初の男が俺じゃ、駄目か……?」  
「えっ、あうっ、そっ、そういう訳じゃ……ひゃんっ!?」  
いきなり背後からするっとお尻の谷間を撫でられて、パシフィカは奇妙な声を上げた。  
振り返ると、妖しい目つきをしたラクウェルが、彼女の背後に膝立ちになっている。  
ラクウェルは妹の背中にしなだれ掛かると、からかうように耳元で囁いた。  
「うふふ、我慢しなくてもいいのよ。自分に正直になればいいの……」  
「あっ、ラクウェル姉、そこっ……!」  
 
 
「パシフィカ、俺……」  
「やっ、シャノン兄っ、まだ心の準備が──んむっ!」  
秘所に触れたラクウェルの指に気を取られた隙に、シャノンに唇を奪われて、パシフィカは言葉を詰まらせた。  
シャノンの舌が彼女の唇を割って入り、ラクウェルの指が彼女の花弁を優しく撫でる。  
「んんっ……ぷあっ! だっ、だめぇ、んぷっ、ふたりとも、やめてぇ……」  
四本の手と二つの舌に同時に責められたパシフィカは、蕩けるような甘い声を漏らした。  
ラクウェルは、花弁の淵をなぞるように愛撫しながら、首筋に舌を這わせ、耳たぶを甘噛みする。  
その間、シャノンは何度も唇をついばみながら、まだ硬さの残る胸をそっと撫で回す。  
ただでさえ魔法で高められたパシフィカの欲求は、もはや耐え難いまでに高まっていった。  
 
 
「あっ、ラクウェル姉、お願いっ……」  
抑制が効かなくなったパシフィカは、背後にいるラクウェルに、蚊の鳴くような小声で呟いた。  
「んっ? どうしたの、パシフィカ?」  
「あ、あのね、私、初めては、その、シャノン兄だけに……」  
妹のせめてもの願いに、ラクウェルは微笑ましさを感じつつ、そっと頷く。  
「……はいはい。じゃ、お邪魔虫は退散するわね。シャノン、優しくしてあげなさいよ?」  
「あっ、おい、ラクウェル……」  
二人から離れたラクウェルの言葉に、今更ながらシャノンは戸惑いを覚える。  
しかし、そのシャノンの首に、パシフィカは両手を廻し、ぎゅっと胸の中に抱き締めた。  
「いいよ……シャノン兄。私、シャノン兄にだったら……」  
 
 
「パシフィカ……」  
その言葉に、普段は隠していたパシフィカへの男としての愛情が、シャノンの胸を満たす。  
「でっ、でも、初めてなんだから、優しくしてくんなきゃ、やだよ?」  
「……ああ、分かってる」  
愛しい少女の瞳を覗き込みながら、シャノンはパシフィカの腰を抱え上げ、自分の剛直の上に誘導した。  
片手で先端を入り口に宛がい、不安そうに震えるパシフィカの頬に、思いを込めたキスを送る。  
それだけで、パシフィカの身体の強張りはすっと解け、彼女はふわっと微笑んだ。  
「じゃあ、いくぞ……」  
「うっ、うん、ゆっくりね……つうっ!」  
シャノンがパシフィカの腰を引き寄せると、くちゅっと音を立てて、亀頭が秘裂に埋没した。  
初めて受け入れるそれの大きさに、引きつれるような痛みを覚え、パシフィカの顔が歪む。  
シャノンはそこで手を止めると、優しくパシフィカに問いかけた。  
「やっぱり、痛いか?」  
「ううん、平気だよっ……。シャノン兄、続けて……」  
「……無理すんなよ。我慢できなかったら、すぐ言うんだぞ……」  
「むっ、無理なんか、してないっ……んっ、んふぅっ!」  
シャノンは彼女の反応を確かめながら、ゆっくりとパシフィカの身体を下ろしていった。  
これも魔法の効果なのか、初めてのはずのパシフィカも、あまり痛みを覚えない。  
それどころか、静々と奥に向かって進んで来る熱い塊に、感じたことの無い快感を感じていた。  
「……くっ、パシフィカ、全部入ったぞ」  
 
 
「あっ……。いま私、シャノン兄と一つになってるんだね……」  
最奥まで貫かれて、甘美な幸福感を感じたパシフィカは、嬉しそうな顔で呟いた。  
「お兄ちゃん、大好き……」  
「ああ、俺も大好きだ、パシフィカ……」  
以前は軽く返したパシフィカの告白に、シャノンは正直な思いを答えた。  
抱き締めた華奢な身体も、我侭なくせに甘えたがる性格も、その全てが愛しいと、今は素直に認められる。  
「私、本当はずっと前から、お兄ちゃんに抱いてもらいたかったの……」  
「俺だって実際の所、だいぶ我慢してきたんだぞ? お前を女として見ないように、な」  
理性の枷が無くなった事で、さらりと真情を吐露したシャノンの言葉に、パシフィカの胸が熱くなった。  
普段は文句を付けている怠惰な雰囲気も、意外に細かい性格もひっくるめて、愛しくて堪らない。  
お互いの心が通じ合った事が嬉しくて、どちらからともなく唇を寄せ合い、情熱的なキスを交わす。  
激しく舌を絡ませながら、二人の腰は自然に動き始めていた。  
 
 
「んっ、んあっ、はっ、お兄ちゃん、いいっ、気持ち、いいよぉっ……!」  
「くうっ、くっ、パシフィカ……、俺もだっ……!」  
軽く足を曲げて座ったシャノンの腰に縋りつくような体勢で、パシフィカは身体を突き上げられていた。  
既に破瓜の痛みは快楽に押し退けられ、すらりと伸びたしなやかな足が、シャノンの背中で組み合わされている。  
シャノンの動きに合わせて、パシフィカの腰が弾むように上下し、薄く血の混じった雫が零れ落ちる。  
パシフィカは切ないまでの快感に我を忘れ、シャノンは彼女の顔にキスの雨を降らせながら、背中を抱き締める。  
愛し合う者同士の交わりは、心までが溶け合うような錯覚を起こし、ますます激しさを増していった。  
 
 
「んふっ、二人とも、あんなに乱れて……。そんなに見せつけられたら、私もまた……んんっ!」  
一方、弟妹達の痴態を見ていたラクウェルは、再び燃え上がってきた劣情を鎮めるために、自分で慰めていた。  
片手の指で乳首をこりこりと捏ねつつ、二本の指を使って、花弁の奥を掻き出すように刺激する。  
「ああっ、私っ、またイッちゃいそ……うんっ!」  
ラクウェルは深く埋めた指を細かく動かし、トロンとした顔でうっとりと呟く。  
そうしている間に、パシフィカは始めての絶頂を迎えようとしていた。  
「あっ、お兄ちゃ、んっ! わたし、なにか、くるっ……!」  
「くっ、いいんだっ、パシフィカっ、そのまま……」  
「やっ、うそっ、こわい、こわいよっ、おにいちゃ……!」  
自分で慰めた時とは質の違う昂りに、パシフィカは必死にシャノンの身体にしがみ付いた。  
押し付けた乳房がシャノンの胸板に押し潰され、それは却ってより深い快楽を生む。  
けれど、そんな因果関係も分からないほど我を忘れたパシフィカは、更にきつくシャノンの身体を抱き締めた。  
「やだっ、くるっ、きちゃう……んっ、〜〜〜〜っ!!」  
「くうっ!?」  
声にならない叫びと同時に、パシフィカの膣内が、一際強くシャノンのモノを締め付けた。  
きちきちと音を立てそうなほどの強い締まりに、シャノンも一旦動きを止める。  
しばらく身体を硬直させていたパシフィカは、ふっと力を抜くと、シャノンの身体にもたれ掛かった。  
「はぁっ、はぁっ……、な、なに、これ……?」  
「……パシフィカ、もうイッちまったのか?」  
「イク……? そっか、これがイクってことなのね……」  
 
 
シャノンの言葉に、パシフィカは夢見心地のまま、ぼんやりと呟いた。  
「えっ、ふにゃっ!?」  
しかし、軽く息を整えたパシフィカは、再び動き始めたシャノンに、驚いた声を発した。  
「ちょっと、シャノン兄っ! 私、これ以上されたら……あっ!?」  
「悪いな……。俺も、途中じゃ止められないんだ……」  
「うそっ、そんなっ、わたしっ、ふにゃあぁっ!」  
絶頂を迎えたばかりの身体は、再びの刺激に容易に反応し、パシフィカの意識を快楽に引きずり込んだ。  
子猫のように鼻に掛かった声を出しながら、パシフィカはシャノンにされるがまま、身体を揺さぶられる。  
脳裏に白い火花が散るたびに、パシフィカの膣はきゅんきゅんと締まり、肉棒を刺激する。  
ただでさえ狭いパシフィカの中を激しく突き上げながら、シャノンは小刻みな締め付けに我を忘れていった。  
「ふみっ、ふみぃっ、だめっ、わたしっ、とんじゃうぅっ……」  
「パッ、パシフィカッ──くっ!!」  
「うみゃぁっ!? ……あふっ、なんか、あついの、でてるぅ……」  
内壁に勢い良く精液を注ぎ込まれ、パシフィカは不可思議なその感触に、戸惑いの呟きを洩らした。  
シャノンは荒い息をつきながら、愛しい少女の身体を、思いのたけを込めて抱き締める。  
「パシフィカ……。お前は、俺が守ってやる。絶対に……」  
「んっ、信じてるよ、お兄ちゃん……」  
二人は、互いの肩に顔を埋めながら、幸せそうに微笑んだ。  
 
 
──そして、翌日の朝。  
 
 
「ちょっと、シャノン兄っ! 可愛い妹に、オムレツを分けてあげようと言う優しさは無いのっ!?」  
「……生まれてこの方、『可愛い妹』なんつー上等なモンを持った覚えは無いが?」  
(ああっ、気まずいわ、とても気まずいわっ……)  
普段通りにじゃれ合うシャノンとパシフィカの前で、ラクウェルは一人小さくなっていた。  
(こんな肝心な副作用を、忘れていたなんて……)  
特殊精神操作系魔法──<淫夢操>。キャロル・カスールが編み出したこの魔導式には、一つ欠点があった。  
施術者以外の人間に掛けた場合、前後数時間の記憶が消去されてしまうのだ。  
悪用しようと思えば、これほど確実なヤリ逃げの方法は無い。  
とても他人には教えられないが、せっかく作った構成を捨て去るのは忍びない。  
キャロルはそう考えて、この魔導式をメモに残しつつも、覚え書きの背表紙に隠すという面倒な事をしたのだ。  
ラクウェルも最初は、好奇心に負けたとはいえ、パシフィカやシャノンにこれを使う気は毛頭なかった。  
けれど、自分に掛けた魔法の影響のせいで暴走し、その欠点をすっぽり忘れていたのだった。  
(……夕べの事を話したら、やっぱり二人とも、怒っちゃうわよね?)  
本心では愛し合っていても──いや、だからこそ、最初の契りを魔法で強制された挙句、記憶を奪われたと知れば。  
二人の怒りはいかばかりか、想像するだに恐ろしい。  
「私のどこが可愛くないってのよ、この無気力若年寄っ!」  
「少しは自覚しろ、この爆裂ワガママ娘っ!」  
(ごめんなさいっ、シャノン、パシフィカ。いけないお姉さんを許してね……)  
心の中で謝罪しつつも、夕べの事は秘密にしておこうと、硬く誓うラクウェルであった。  
 
 
〜END〜  
 

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