―――あら、お酒ですか?  
―――ええ、ラクウェルさんもいかがですか?  
 
 その戦いは、お約束から始まった。  
 
「…なんだこりゃ」  
「シャノン兄、わかって言ってるでしょ」  
 
“ふはははははははははは!!  
 行け、スーピィくん!!我らが覇道を阻む者はもはや存在しない!  
 今日こそ愚かな愚民どもに目にものを見せてやれ!!  
 ちなみに愚かと愚民を続けて言う事で愚かさは二乗だっ!”  
『んご?』  
『んごー』  
『んご!』  
 
「…」  
「えーと…ミユティエがお酒持ってきたみたいで…」  
「ゼフィ」  
「何だ、我が主」  
「逃げるぞ。全力で」  
「どこに行くつもりだ?  
「山でも海でも温泉でもいい」  
「何言ってんのよシャノン兄!?」  
「馬鹿、大きな声を出すな!」  
“…むぅ?”  
「…」「…」「…」  
“む?…むむむむむむむ!?  
 ほほう…貴様、どこかで見たと思えば、あの時の男か”  
「一応双子の弟なんだが」  
“ふははははは、愉快愉快!!  
 まさかこのような辺鄙な土地で貴様と出会えるとは!!”  
「地元だしな」  
“ここで会ったが百年目!!  
 今日こそ貴様をスーピィくんの荒波に沈め、死ぬまでアへアへ言わせてやろう!!”  
「全力で断る」  
 
 巻き起こるんごの嵐!!繰り返される洗脳!!  
 次々と酒を呑むラクウェル!!  
 
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?  
 このままじゃスーピィくんがこの世を支配してしまうかもしれないのよ!」  
「いや、さすがにその頃には酔いも醒めてると思うが」  
「…ゼフィ、まともに付き合うな」  
“ふははははははは!!  
 この世の富は全て私のものだ!”  
「「…」」  
「ほら!言ったとおりでしょーが!!」  
「ゼフィ。  
 とりあえず、あのスーピィくん達をどうにかできないか?」  
「…できなくはないが」  
 
 ゼフィリスが作り出したのは、相手が人でも遠慮なく攻撃できる(注・致死性の武器は装備しておりません)汎用特殊変形合体人型兵器!  
 三つの心が一つになるとき、その兵器は威力を発揮するとかしないとか!?  
 
「いくわよシャノン兄ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」  
「…何考えてるんだお前?」  
「決まってるじゃない!!  
 最大威力の必殺武器で、あの中心にいるラクウェル姉ごとスーピィくんの大群を吹っ飛ばすのよ!!」  
「あいつが操縦できないようにしろ、ゼフィ」  
「了解した」  
「ああっ!?全然思い通りに動いてくれない!?  
 私の思いが足りないの!?答えてゲッ」「とりあえず黙れ限界突破暴走猛牛娘」「言うに欠いて乙女を牛呼ばわりしないでよっ!?」  
「…相変わらず凄まじい一家だな」  
 
 今回は湯冷めも期待できない!  
 どうする、カスール一家と竜機神!  
 
「…シャノン」  
「シャノン兄…」  
「どうにかするしかないってことか…」  
「ちなみにシャノンスパークとパシフィカが言っている武装は大気圏内では使えんぞ」  
「ええ!何で最後の必殺技が使えないのよ!?」  
「いや、流石に山を砕くような武器を使うわけにもいかんだろ…全く」  
「面倒くさい、か?」  
「…知るか」  
 
 次回、『恐怖の三重奏!必殺のシャノンスパーク!!』にぃ…スイッチ・オン!!  
 

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