古びた小さなアパートの一室に夕日が差し込む。冬の夕暮れ時は早く、部屋に差し込む夕日は
一日の終わりを告げる寂しさ感じさせ、少し物悲しくもある風景だ。
その差し込む夕日を受けながら、寂しさとも物悲しさも感じさせない二人が熱く抱擁し口付けを
交していた。互いを決して離すまいと二人はきつく抱きしめ合い、その腕を緩めようとはしなかった。
少年、少女であった頃より互いに想い合いながらも、その気持ちを伝えることが出来ずにいた二人が
この冬の夕暮れ初めて心の内を口にし、真に愛する気持ちを通わせ合ったのだ。堰を切ったその想いは、
留まる所を知らず溢れ出す。
男は、女の唇を解放すると熱を帯びた熱い瞳で一言だけ言葉を発した。
「ナッキー、お前の全てを感じたい」
その言葉に多少、動揺したものの既に心の準備は出来ていたのかナッキーと言う愛称の女、尚子は
頬を染め、静かに頷いた。頷くと同時に恥ずかしさを隠すように尚子は男の胸に身体を預け、頬を
摺り寄せる。耳に聞こえる男の胸の鼓動が自分と同じものだと知った尚子は、自身の心が男を求め
その全てを受け入れたい、心だけではなく身体の奥深くその存在を感じていることに気が付いた。
「岩崎君…私も貴方を感じたい。貴方を感じさせて」
尚子は恋人となった男、岩崎にその想いを告げる。
「ナッキー!」
岩崎は尚子を抱き締める腕に力を込めた。きっと尚子は自分と同じ想いだろうと岩崎は思っていた。
だから尚子は自分の想いに頷いてくれたことが嬉しかった。だが、それ以上に、愛する女の口から
自分を求る言葉を聴く嬉しさは特別で、男として満たされた気持ちになる。岩崎は嬉しさのあまり
自身の奥にある激情の赴くままに尚子を押し倒した。
尚子は自身に覆い被さるように見下ろす岩崎を見つめる。熱を帯びた二人の視線が絡みつく。そのまま
引き合うように互いの顔が近付き唇が重なり合う。一度、離れ再び唇を重ねる。岩崎は重なり合った唇
から尚子の口中に舌を挿し入れ彼女の舌に絡ませて来た。
「んっ! …ふっ…」
岩崎の舌の進入に尚子は一瞬驚き、どう対処してよいのか戸惑った。そんな尚子のことなどお構いなしに
岩崎は唇を吸い舌を執拗に絡ませてくる。尚子は、呼吸が出来なくなるほどの情熱的で濃厚なキスを受け、
次第に頭の奥がぼやけるような感覚に襲われる。初めは岩崎の舌に翻弄されているだけだった尚子も
何時しか自分からも舌を絡めだしていた。
一頻り互いの舌を絡ませ合った後、離れようとする唇の名残を惜しむように唾液が細い糸となり二人を
繋ぐ。岩崎がその名残の糸を舌先で絡め取った。二人を繋いでいたものが無くなり、新たな繋がりを求めて
岩崎は尚子の衣服を一枚ずつゆっくりと剥ぎ取る。
「あっ……岩崎君…」
衣服を剥ぎ取られ裸体を露にした尚子は、羞恥心と初めて男を迎え入れることへの緊張感で震えていた。
そんな震える尚子の頬にそっと手を触れ岩崎は優しく言った。
「怖いのか?」
「ううん…ちょっと緊張してるだけ」
尚子は首を横に振り、腕を伸ばして岩崎の頭を自身の胸に抱き締めた。
「そうか…。ナッキー、お前の胸は柔らかいな」
尚子の胸に抱き締められた岩崎は、その膨らみを掌で包み込むように軽く揉みしだく。
「あっ!」
胸を揉まれた尚子は身体をピクンと跳ねらせた。尚子の反応を見た岩崎は自身の上体を起こし、両手で
乳房を下から寄せあげ、円を描くように揉み、その先端にある赤く硬い乳首を舌先で転がし軽く甘噛みする。
「い、岩崎く…ん。あっんっ…何だか…くすぐったい」
身を捩りながら尚子は言う。初めて乳房を揉みしだかれた尚子は、快楽よりもくすぐったく感じるようだ。
「どこに触れたら、お前は一番気持ちが良くなる? 言ってくれ」
岩崎は一旦、乳房を弄ぶ手を止め尚子に問う。
すると、急に尚子の頬が真っ赤に染まる。そして、恥ずかしそうに軽く目を逸らし答えた。
「そんな事! …言えないよ…恥ずかしいじゃない…」
「わかった…。ここか? ここがお前の一番感じるところか?」
女が恥ずかしがって言えない場所――下半身にある隠されたその場所に岩崎は手を伸ばし触れた。
隠されたその場所は、茂みも肉襞も花芯も秘所の奥から溢れ出した蜜で濡れ、ヌメヌメとしていた。
「ひっ! あんっ…岩崎君! そ、そこは…」
初めて受けた快楽に尚子は歓喜の声を上げ、身体を激しく捩る。尚子の一番気持ち良く感じる場所を
探り当てた岩崎は、その場所を隠すように生えている茂みを掻き分け、花芯を包み込んでいる肉襞を開く。
そして、人差し指と中指を揃えて花芯を下から上へとそっと撫で上げた。
「あっ…あぁんっ!」
花芯を刺激された尚子は再び歓喜の声を上げ身体を捩り、自分自身気付かずにもっともっとと言う様に
腰を軽く浮かせた。尚子の無意識の要求に岩崎は、小刻みに指を震わせ花芯を刺激した。その度に尚子は
嬌声を上げ、腰を浮かせ岩崎の指に自身の股間を擦り付けてくる。尚子が花芯への刺激を快感に感じる度に
秘所の奥から蜜が流れ出して太腿を伝い流れ落ち、岩崎の指に絡みついてクチュクチュ、ピチャピチャと
粘りつくようないやらしい水音が響いていた。響く音に尚子は羞恥心を感じ、岩崎は益々興奮していった。
尚子の痴態と水音に興奮した岩崎は指の動きを速く小刻みな動きからゆっくりと上下に擦るような動きへと
変え、そして、また速い動きへと変えていく。
「あんっ! あぁっん。だっ…駄目! なんだか…私…おかしくなる。い、嫌だ! もう、止めてーっ!」
尚子は、激しい快楽に気が変になりそうだった。逃げても逃げても追いかけて来るような快感に、自分自身を
持て余し始めていたのだ。その感覚をもっと味わっていたい。だけど、頭の奥を直接刺激するような感覚
から開放されたい。そんな相反する思いが鬩ぎ合い気が付けば叫んでいた。
その叫び声を合図のように岩崎は指の動きを止めた。
「あ…あ…はぁ…はぁ…」
刺激から開放された尚子は、荒い呼気を吐いていたがホッとしていた。そして、刺激の余韻に浸るように
ぼんやりと宙を見つめている。
そんな尚子を見ていた岩崎は、自身も限界に近付いていたことを感じ、ボタンを外すのももどかしいと
いった様子で慌しく衣服を脱ぎ捨てた。
「ナッキー…」
そして、尚子の上に覆い被さり優しく抱き締める。
「岩崎君…?」
肌に触れる岩崎の温もりを感じ、尚子は意識を自分を抱き締める男へと向けた。
「そろそろ、いいか?」
「う…ん」
岩崎の言わんとしていることを悟った尚子は頷き、いよいよその時が来たのだと自身の身の内に愛しい男を
受け入れる時が来たのだと思い心臓がドクンと跳ね上がった。そしてギュッと目を閉じ、その瞬間を待つ。
「少し…身体の力を抜いてくれ」
緊張のあまり身体を強張らせている尚子に優しくキスをして言った。
「それ…難しいよ、岩崎君。でも…」
初めての事なのだから緊張するのはどうしようもない。それでも尚子は気持ちを落ち着けよう大きく息を
吸い、吐き出して深呼吸した。すると少しだけリラックス出来たような気がした。
「ん。大丈夫だよ。岩崎君」
尚子は今度こそ岩崎を受け入れようと軽く微笑んで続けてくれるように促した。
「それじゃ、ナッキー行くぞ」
岩崎は尚子の脚を開かせ、その間に自身の身体を沈める。そして、尚子の秘所に自身の熱く固く勃起した
陰茎をあてがい、奥目掛けてゆっくりと挿入していった。
「うん。…!? あっ! ああぁっ!!」
膣の中を進む陰茎に裂ける様な痛みを感じ、尚子は悲鳴に近い声を上げた。その痛みに堪えようと岩崎の
背に腕を回しギュッとしがみ付く。それでも激しい痛みに涙が零れた。
ゆっくりと、時々休みながら岩崎は尚子の膣の中の最奥へと陰茎を進める。奥まで挿し入れるまでには
かなりの時間を要した。何とか最後まで入れることが出来た岩崎は、尚子の涙を唇で吸い取った。
そして、軽くキスをすると尚子の背に腕を回し抱き寄せると、腰を前後に動かし始めた。
初めはゆっくりと少しずつ腰を動かす。そして、次第に動きを大きく速くしていく。岩崎が腰を動かすと
尚子の秘所から溢れた蜜が陰茎に絡みつく。その蜜が次第に赤く染まりだした。尚子が男を始めて迎え入れた
証だった。
岩崎は尚子の膣壁の締め付けに身体中が快楽に支配され、己の欲望を吐き出す寸前まで来ていた。限界を
迎えつつある岩崎の腰の動きは速度と激しさが増していた。快楽から開放される為の、最後の刺激を陰茎に
与えていたのだ。
「ナッキー! うっあっ…んっ!」
とうとう絶頂を迎えた岩崎は尚子の膣の最奥を突き上げ、子宮口目掛けて熱い精を放出した。
尚子は、終始痛みに堪えていたが、それでも愛しい男を身体の奥深くで感じ、その繋がっている部分から
自分達が身も心も一つになり真に結ばれていることに喜びを覚えた。岩崎の熱い精を受け、その一体感は
益々強くなったように思えた。
精を出しつくした岩崎は、自分を受け入れてくれた愛しい女の頬を掌で包み込み額に優しくキスをした。
「岩崎君…嬉しい…今、自分が本当に幸せだって…そう、思う」
尚子は喜びの涙を流しながらそう言った。
互いに想い合いながらも、その手を取り合うことが出来ずにいた二人であったが、この日、漸くそれが
叶った。
部屋に差し込んでいた夕日はとうに沈み、空には星が冬の冷気にあてられ瞬いていた。