明智光秀の追撃を避けるため、伊賀の抜け道を進んで間もなくだった。
突然現れた忍者部隊に襲われ、二人ははぐれてしまった。
五右衛門にとっては予想内の出来事であったが、その遭遇時期が早すぎた。
明智光秀の事や、いま通っている抜け道の危険さを伝える暇すら無かったのである。
「こんなやつらは敵じゃねぇが…。問題は……」
次々と襲いかかる下忍を統率する、恐るべき男の顔が五右衛門の脳裏に浮かぶ。
「嗚呼…阿国さん……阿国さぁーーーーん!!!」
大きな叫び声が、狭く暗い道に木霊した。
「こないなトコではぐれてしもたら、かなわんなぁ……」
一方の阿国といえば奇襲などなんのその、どんどん蹴散らして爆進し、
五右衛門よりもかなり先に進んでいた。
「あらぁ……?」
すると何やら簡易的に設置されたような関所の姿が見えてきた。
そして、その門前で待ち構える麗人の姿も。
女性のように真っ白で麗美な面持ち。
その中にもどこか誠実さを感じさせる男らしい表情。
その相反する彼の魅力がよけいに阿国の心を昂ぶらせた。
「この場所を通ることは分かっていましたよ。」
「凛としやって…ほんかいらしわぁ…。ええ男はんになるわぁ。」
「な…何を訳のわからない事を! さぁ、おとなしく捕まっていただきます!」
「捕まる?……うち、何かしましたやろか?」
「とぼけても無駄です! 堺で狼藉を働いた『阿国』というのは、貴方ですね!?」
「……グスン…」
「あ、あれ…?」
「うち……うち、ただの通りすがりやのに……」
「ぅええっ!?」
「グスッ…そんな怖い顔して……うち、泣いてまう……クスン……」
肩は震え、目尻には大粒の涙が溜まっている。
薄々分かってはいる事だが、蘭丸はこう聞くしかなかった。
「あ、あの…もしかして、貴方は『阿国』という方ではないのですか?」
「ちゃいます。うち…うち……そんなお人、知りまへん…!」
「そうなのですか!? とっ、とにかくここは危険ですから…さぁ、こちらへ!」
「はいな。」
「…大変失礼しました。私は森蘭丸といいます。」
それから阿国はこれまた簡易的に造られたであろう個室に、丁重に案内された。
しかしながらそこには寝床まであり、蘭丸専用の個室のようだった。
「しかし…何故あのような道を通っていらしたのですか?」
熱く沸かした茶を差し出し、蘭丸も椅子に腰掛ける。
ペコリと会釈する阿国の可憐な仕草や様子から、蘭丸は完全に猜疑心を解いていた。
「うち、なんや歩いてるうちに迷てしもて。」
「それは大変でしたね…。でもここはちょっと戦になりそうなので……
もしお急ぎでなければ、ここに留まっていただいても構いませんよ?」
「あぁんもう、ほんに優しいんどすなぁ……」
うっとりとした目で見つめられ、たまらず蘭丸は顔を赤らめて俯いてしまった。
組んだ両手に顎を乗せ、それでも阿国は見つめ続ける。
「えっと…その……あ、そうだ。そういえば貴方のお名前をまだお聞き……」
「いややわぁ。初対面の女子の名前聞くやなんて…。何する気ぃ…?」
「いっ、いえっ! 決してそんな不純な気で聞いたわけでわっ!!」
「知りたい?」
阿国が首を傾げれば、サラサラとした前髪も揺れた。
「いえ!…いや、はい!…じゃなくって、あの…えっと……」
「うふふ…。蘭丸様は……好きなお人とか、いはるの?」
「えっ!?」
話題を変える唐突な質問に、頬を丸く染める蘭丸。
阿国はもう出雲に誘う気まんまんらしい。
「いやぁ…その様子やったら、いはるんや? 残念やわぁ。」
「ソッ、そうイう意味で、好きってイうのとハたぶん違ウと思うのでスが…!!」
蘭丸はクルクルと目を渦巻かせ、手をバタバタと羽ばたかせる様に振った。
「あらあら。お茶しばいて落ち着きやす。」
「はひ。…ズズズ……」
阿国に茶を勧められ一口飲むと、ようやく蘭丸は落ち着きを取り戻した。
「……一人はとても強く偉大な人で、一人はとても優しく誠実な人…。」
「あぁん、そんなん困りますなぁ。うちもそんなん迷てまうわぁ…。」
「いえ、そういった意味じゃ………あの、聞いてます?」
「で、どちらに決めるんどす?」
「………分からないんです。」
「分からへんの?…決められへんのやなくて?」
「…はい。」
蘭丸は思った。
なぜ出会ったばかりの人にこのような話を続けているのか。
なぜこの女性にこうまで素直な気持ちを話したくなるのか、と。
「あかんで? 男の子やろ?」
「は、はぁ…。」
「女の子はな、男の子から好きって言われたいんやけど、ただ言われるんやのうて……」
ピシッと人差し指を立てる阿国による御高説が始まった。
先程から微妙に話が食い違っているのだが、あまりに熱心に語るので
蘭丸は止めるに止めれず、ただ時々頷いて聞くしかなかった。
「……せやからな、あんじょう決めな。」
ツツ…と蘭丸の手に白い指が添う。
「しゃあないなぁ、もう。お姉さんが勇気の出るおまじない、したるわ……」
ガタガタと椅子ごと移動し、肩と肩を触れ合わせる。
「ちょっ、ちょっ…と…何を…!?」
「こぉら。…目ぇ瞑って……」
「……〜っ!!」
微笑を浮かべた阿国の顔が近づき、蘭丸は目をギュッと固く瞑った。
柔らかな唇が重なった瞬間、蘭丸の手がピーン!と伸びた。
うっすらと目を開けば、信じられない程にまで近づいた阿国の顔がある。
驚くべき勢いで心臓が脈打ち、手足は震えてままならない。
蘭丸はどうしていいのか分からず、ただ阿国の閉じられた目を見つめていた。
ただ、阿国との接吻による陶酔感に抱かれながら。
長い口づけが終わり、互いの唇が離れた。
蘭丸は先程まで触れていた感触を確かめるように、唇に指先を当てる。
「初めてやったん…?」
阿国と目を合わせた蘭丸はさらに頬を染めて俯き、コクンと小さく頷いた。
「どうやった?」
「…なんと言えば……その…すごく……酔っちゃいそう…です……」
「あぁんもう、ほんまにかいらしいわぁ……」
ポテッ…と蘭丸の肩に頭を預ければ、艶やかな髪の甘い香りが蘭丸を包む。
「お姉さんと、もっとええ事…せえへん?」
「もっ、モっとイイ事!?」
先程まで阿国から感じられた清純さは薄れ、今ではどこか妖艶な色気が溢れ出ていた。
「そうや……」
蘭丸の耳元に熱い吐息を吹きかけ、股間に手を添える。
「こっ、こんなの駄目ですっ!!」
「きゃっ…!!」
阿国の体が不自然にコロコロと転がり、倒れ込む。
蘭丸が力一杯押したため、予想以上に阿国を突き倒してしまった…らしい。
「すっ、すいませんっ!!」
「あいったぁ……」
「お怪我は…お怪我はありませんか!?」
「腰…打ってもぉたぁ……」
チョイチョイと寝床を指差しながら、阿国は腰を擦る。
その仕草やさっきの転がり方に何の不自然さも感じない純粋な蘭丸は、
阿国を軽々と抱えて寝床へと運び、うつ伏せに寝かせた。
「大丈夫ですか!?」
「あきまへん……腰…揉んでおくれやす…。」
「はい!」
言われるがままに蘭丸は熱心に腰を揉み始める。
ギシッ、ギシッと木製の寝床が軋む音を立て、
「あっ…あぁん!………そこ…そこぉ………」
阿国の喘ぎ声が部屋に響く。
「…っ!!」
熱心に治療にあたっていた蘭丸だったが、思わず手を止めた。
どこか自分が猛烈に卑猥な事をしているかの様な気分になったからである。
「もう…終わりなん……?」
「…い…いえ。」
「ほんなら今度は、直に擦っておくれやす……」
「ぅえぇっ!?」
腰が痛いと言っているはずの阿国が楽々と腹を浮かせて帯を解くと、
空気を含んだ彼女の衣服がふわりと横に広がった。
「そっ、そんな…!!」
「いたた……もうあきまへん……早よぉ…早よぉ〜……」
「いけない!……しッ、しシシ、失礼シますッ…!!」
手を震わせながら赤い袴をずらすが、それだけでは素肌は露出しなかった。
薄い白衣が幾重にも羽織られており、袴から引き抜かなければ肌は見えてこない。
「あきまへんで……?」
「な、何がですか?」
「知らん間にお尻見たら。」
「そッ、それハもう…!」
少し意地悪っぽく言ったにも関わらず、真面目に受け取る蘭丸だった。
阿国もクスクスと笑いながら言ったのだが、その様子に笑みを止める。
(ごっついわこの子。ほんまに天然はんやわぁ。)
あんたもだ。
真っ白な腰を露出させると同時に、生唾を飲み込む音が部屋に響く。
「どないしたん…?」
「いっ、いえ!…では…いきます……」
「うん………あっ…あん……あ……んふぅ………ええよぉ……」
恥ずかしさに耐えきれず、蘭丸は天井を向いてしまった。
「…もっといっぱい…しておくれやす……」
腰をくねらせると袴がさらにずれ下がり、尻の割れ目が覗き出た。
「うわッ!! ちょっ、あのっ!!!」
「…蘭丸様……」
「わーーッ!!」
ムクリと阿国が起きあがると、蘭丸は吹き飛ぶようにして跳びのいた。
今の状態で起きあがれば、阿国はほぼ半裸になる事は明白だったからである。
乱れた衣服から垣間見える豊かな谷間。
裾から伸びる迫力ある太腿としなやかで細い脚。
背筋が痺れるほどに妖艶な微笑。
目が合うたびに心臓が飛び出しそうな瞳。
阿国を見ないよう両手で壁を作るが、男の本能や欲望には勝てずに
どうしてもその隙間からチラチラ見てしまう蘭丸だった。
「こっちおいで……蘭丸くん……」
阿国の脳内で、今からしばらくは上下関係が逆転するらしい。
『様』ではなく、『くん』付けで蘭丸を呼んだ。
「お姉さんと、もっといっぱいええ事…しよ……?」
妖しく手招きする阿国の手に、蘭丸は自然と吸い寄せられた。
仰向けに寝かされると、衣服の乱れた阿国が上から覆い被さった。
火照る蘭丸の頬を優しく撫でると、さっそく唇を奪う。
「…お口開けて、舌出して……」
瞑った目を震わせながら、蘭丸の口内から小さな舌が出てきた。
「もっと。…もっとぉ。……うふふ…そうや……」
「んっく…!!」
舌同士が触れ合う強烈な快感に、蘭丸は熱い吐息を漏らした。
直立した自分の舌に、まるで味わうかのようにして阿国の舌がネットリと絡みつく。
「んはぁっ…!!」
舌を唇でしごかれる事がこうまで快感を享受できるもなのか、と蘭丸は思った。
「んふぅ……蘭丸くん、どない?」
「す…ごいです……こんなの…初めて……」
「…こんなお姉さん…嫌い?」
「い、いえ…あの…そのぅ……」
「言うて。」
「……好き……です…。」
「ああぁん…♪」
満面の笑みを浮かべた阿国がフワリと抱きつき、耳元で囁いた。
「いっぱい舐め舐めしたるきに……」
たっぷりと接吻を交わした後、左右の首筋に雨のような口付けが降り注ぐ。
「…ひゃう……ぁん………あっ…ふぁ…あぁっ…!」
「いやぁ、かいらしいお声出しはって……」
「…あ……す、すみません…。」
「ううん、ええんよ……もっと声出して……」
耳たぶを舌先でコロコロと転がし、耳に熱い息を吹きかけると
蘭丸はゾクゾクと身をよじらせて女性のような声を漏らした。
「はぁん…!」
「うふふ……ええ子…。ほな…見てて……」
そう言うと阿国は蘭丸の上にチョコンと座り、乱れた着物を脱ぎ捨てていった。
袴や足袋を脱ぐ際に阿国の腰が時々上下し、その度に蘭丸は目を逸らした。
「…見えた?」
「な、何の事ですか!?」
「いややわぁ、もう。知らんぷりしてからに…。」
「うぅっ…。」
「ほんならうちも見たろ……」
阿国は蘭丸の股の間に潜り込み、その太腿に幾度か唇を落とした。
口で腰帯を解き、着物をどんどん脱がせて肌を露出させてゆく。
「なんやこれ…えらいけったいなもん履いて……」
ペチンペチン。
見た事も無い素材でできた下着を摘んでは離し音を立て、阿国は興味津々だった。
「あ…それは西洋製で…その…戦っている時に、動きやすいんです……」
「ふ〜ん……」
ペチンペチン。
「ほな、蘭丸くん…腰上げてんか。」
「…………」
もはや言われるがままに蘭丸は従う。
蘭丸曰く『すぱっつ』なる下着をシュルシュルと脱がし、生まれたままの姿にした。
「いやぁ…白ぅて可愛らしいなぁ……」
色は白いが体と相応な大きさの陰茎が、血管を浮かべてやや勃起している。
だが、それでも亀頭の半分は包皮に包まれ隠れていた。
陰毛も極めて少量であり、必要最低限に生えているかのようであった。
その事を阿国に弄られると、蘭丸はまた顔面を真っ赤にして逸らしてしまった。
「ほら見て…蘭丸くん……お姉さんが、口づけしたるきに……」
そっと根元を持った阿国の唇が、先端に近づいてゆく。
「あ…そ……そんな……」
チュッ……
「ぅあうッ!!」
…チュッ…チュッ……ピチュ…チュッ……
「…あっ!…んあ……ぅあっ……あぁッ!!……」
啄ばむ様にして亀頭と口づけを交わし、先端を唾液まみれにした。
続いて包皮に舌を潜りこませ、ネットリと亀頭に絡ませながら剥いていく。
「ぅあッ!…あ…あぁっ!……はぁんっ!!」
「痛い…?」
完全に剥けた亀頭をチロチロと舌先でくすぐり、蘭丸の反応を伺う。
「くぁっ!……い…痛くは…ないです…………」
「ほんま?…ほんなら……」
「ぅわぁっ!!」
驚くほどに温かくヌルヌルした口腔内に包まれ、蘭丸の体に電流が走った。
ゆっくりと根元まで深く咥え込むと、できるだけ亀頭には刺激を
与えないよう竿の部分にのみ小刻みに首を振って愛撫をおくる。
同時に陰嚢も優しく揉めば、すぐに蘭丸の喘ぎ声に力がこもった。
「そんな……だ…だめ……もう…もうっ…!!」
蘭丸の腰はガクガクと震え、口内に含まれた勃起はビキビキと更に張り詰める。
「だめ…だめぇ…あ……あぁっ!…出ッ…出るっ……あああっ!!!」
「んぐっ!!…ぐぷっ…ぷ……あぶぁっ!!」
それは阿国が想像したものよりも激しく、濃厚な射精だった。
喉の奥を叩きつけるような勢いで精が迸り、続いて口内を瞬時に濃い
精液が満ちていくと、堪らず阿国は嗚咽と共に精を吐き出してしまった。
「げほっ!…げほっ!!……げほ……こほっ……」
「だっ、だいじょうぶですか!?」
コクンと阿国は頷くが、それでも咳は止まらない。
ビチャッ…ビチャ…と阿国の口元からは濃い精液が垂れ落ち、
涙目で咳き込むその無残な光景が蘭丸の心をさらに痛めた。
蘭丸は上半身を起こし、咳き込む阿国の背を擦った。
「…優しいんどすなぁ……」
「そんな…私が悪いのに……」
「えらい濃うて、びっくりした…。あんまりしてへんの?」
「わ、わたしは…そんな……」
阿国の予想通り、手淫さえ数える程しかした事がない蘭丸だった。
「すんまへんなぁ……ちゃんとお口で受けとめたかったわぁ……」
「わっ…!」
トンッと蘭丸を再び押し倒し、阿国は再び股間にうずくまった。
精液で真っ白に汚れている萎えた陰茎を摘まみ、口に含んだ。
「んくぅっ!!」
射精してすぐの敏感な部分が責められ、蘭丸は腰を跳ねさせる。
陰嚢に至るまでの全体の汚れを丹念にしゃぶり尽くすと、阿国はやや体を浮かせた。
「ほら…こんなんも……」
屹立した乳首をコリコリと裏筋で転がし、鈴口に潜りこませる。
「あ…ああッ!!」
そのまま谷間で挟み豪快にしごけば、蘭丸は再び完全に勃起した。
「う…あっ……す…っご……柔ら…かくて…気持ちいい…!」
「ほんま?…嬉し♪」
パツパツに張り詰めた亀頭に、愛らしくチュッと口づけをした。
「蘭丸くん……一緒になろ…?」
「で…でも……わたしは…その……」
声がゴニョゴニョと篭り、よく聞き取れない。
阿国はガバッと抱きつき、耳元で囁いた。
「お姉さんに言うてみ?」
「…その…わたしは………」
十秒経過。
「そんなん気にしまへん。」
「で、でも…上手くできるかどうか……」
「だいじょうぶ。全部お姉さんに任せとき。」
「…は、はい…。」
小声で初体験である事を告白した蘭丸の上に、阿国は股を開いて跨った。
根元に摘んで先端を自ら当てがい、秘唇に添える。
クチュクチュと腰を振って幾度か焦らし、頃合を見て徐々に腰を沈めていく。
「んんっ…!」
「う…あ……あぁ……ぅああっ!!」
「…どない……?」
「あ…熱…くて……トロトロ…して…!!」
「こんなんどう?」
意識的に腰に力を入れ、キュンッキュンッと蘭丸を締めつける。
「ぅわあッ!!」
「ああんっ!!」
あまりの快感に、蘭丸は無意識の内に阿国を乱暴に突き上げてしまった。
「……そ…んなん……反則…や……」
一気に膨張した勃起に高く突き上げられて相当効いたらしく、
蘭丸の胸板に掌を乗せて倒れないよう必死に踏ん張っていた。
だが我慢できなくなった蘭丸がプルプルと震える乳房を揉み、
乳首をコリコリと捻ると阿国は陥落し、ボテッと上に倒れ込んだ。
柔らかな乳房が蘭丸の胸板で弾み、押し潰される。
「…もう……蘭丸くんのいぢわる……」
「す、すいません…。どうしても触ってみたくって…。」
「もうあかんわ…力入らへん……」
「…あの…私が……」
「うん…好きにしてええよ……」
耳元で囁き、頬にチュッと口づけを重ねた。
「……頑張ります!」
ガシッと阿国の尻を掴み、蘭丸は腰を突き上げ始めた。
「あんっ!ひんっ!!やっ、あっ、ああっ!!」
まだまだ不慣れなものの、外見からは想像もつかない強靭な筋肉がしなり、
その力強い打ちつけに阿国の甘い悲鳴が蘭丸の耳元で挙がる。
「蘭丸…くん……」
「あ……」
自然と唇を重ね、無我夢中で互いを貪り合った。
下から手を潜りこませ、たっぷりとした乳房を揉みほぐす。
どうも蘭丸は乳房に興味があるようで、先程から隙あらば揉もうとした。
「起っきして……」
蘭丸が上半身を起こせば、互いに座るような姿勢で深く繋がり合った。
そのため阿国は眉をしかめ、腰をくねらせた。
「これやったら…ええやろ…?」
「うわぁ……」
目の前に広がる乳肉の絶景に、蘭丸はため息を漏らした。
チラと見上げると、阿国はニッコリと微笑み小さく頷いた。
「好きにしてええよ…。」
恐る恐る蘭丸の口が桃色の突起に近づく。
「やんっ!!」
強烈な吸いつきに蘭丸の頭を抱きしめ、荒く髪を撫でる。
それからは徹底的に乳房が責められた。
飽きる事なく左右交互にかぶりつき、空いた方を形が変わるほどに揉み潰す。
乳房をねだる子犬の様に含んだ乳首を突いては引っ張った。
しかし、感じているのは阿国だけではなかった。
阿国が笑みを浮かべて悲鳴を挙げるたびに、強烈な締めつけが蘭丸に襲いかかり、
深奥からは漏れ出すかのようにして大量の愛液が溢れ、結合部から滴っていく。
「蘭丸くん……そのまま…してぇ……」
口内でコロコロと乳首を転がしながら、蘭丸は腰の律動を再開させた。
座ったままでも楽々阿国を突き上げ、その筋力が発揮される。
「…あっ!んっ!…くぅん…んひっ!やっ!ひあっ!!…」
蘭丸が貫くたびに結合部からは飛沫をあげ、含まれていない方の乳房は
大いに揺れてその激しさを物語る。
すると蘭丸はチュポンと乳首を離し、眉をしかめた。
「ま……また…あ……あぁっ!!」
「ええよ……きて……きて………」
しがみつくようにして抱きつく阿国が、最後の力を振り絞って腰を振った。
「…うくうぅっ!!」
「あああーーーっ!!!」
膣内を一気に駆け昇り、精が阿国を満たしていく。
それでも蘭丸は次々と精を吐き出し、その度に阿国はガクッ、ガクンッと痙攣した。
「あ…あの……」
長い射精も終わってもう何分も経っていた。
いつまでも抱きついたまま離れない阿国が気になり、蘭丸が声を掛けるが応えは無い。
「もし?」
「…すー……すー……」
満足そうな笑みを浮かべ、蘭丸の肩で阿国は気絶している。
蘭丸は一度笑みを浮かべると、阿国の頬に感謝の意を送った。
そのせいか、阿国はピクッと眉を動かして目を覚ました。
「…………」
「あ…。お、おはようございます……」
「蘭丸様…?」
「えっと…あの……」
ポリポリと頬を掻き、蘭丸は言葉を詰まらせる。
「あぁ……」
事の経緯を思い出し、阿国も頬を染めた。
「さてと……」
ちゃっかり蘭丸に用意してもらった風呂に入り、阿国は衣服を整えた。
当然ながら阿国は蘭丸も風呂に呼び、洗い合いっこをした。
「忘れ物は無いれすかぁ……?」
髪を巻くし上げて湯船に浸かる阿国の魅力に負け、再び充血した蘭丸。
さんざん口と胸で奉仕してもらい、出しに出した。
そのためヘロヘロになり、阿国よりもだいぶ遅れて湯船を出てきた。
「お別れは寂しいけど…修繕もあるし……」
「はい…。あ、そうだ……阿国さん。」
「はいな?」
「阿国さん?」
「せやから何……あ!!」
「……ぷっ…ぷぷっ……あはははは!!」
「ちゃ、ちゃうねん……」
「あっははははは!!」
「もう…蘭丸くんなんか知らん!」
バレた事よりも驚いた顔を見られた事に阿国は頬を染め、プイッとそっぽを向いた。
「もう……いつから分かってたん…?」
「いえ、まあなんとなくですけど。それに……」
目尻に溜まった笑い涙を拭いながら蘭丸が答える。
「信長様の堺侵攻には、私も懸念を抱いていました。
それに、貴方が悪人であるわけもないですし…。」
「蘭丸様…。」
「ですから…これを。」
手渡された紙には、『通行許可証』と書いてある。
「この道は一本道なので…おそらく光秀様の関所も通るでしょう。
これを使えばおそらく通過できると思います。」
「蘭丸様……」
「旅の安全をお祈りしています。」
阿国はフワリと抱きつき、二人は最後の口づけを交わした。
小さくなっていく阿国を蘭丸はしばらく眺めていたが、突然彼女がクルリと振りかえった。
「蘭丸様〜?」
「な、なんですかー!?」
「時間でけたら、出雲にお越しやす〜!」
「……はい!」
バサッと傘を開き、クルクルと回しながら阿国は小さくなっていった。
「蘭丸様!」
駆け寄った兵士が蘭丸に問いかける。
「何ですか?」
「いえ、その…特に重要ではないと思うのですが……」
「……?」
「以前山賊を退治した際に押収した小判なのですが……」
「あぁ、あの偽造小判ですか?」
「確か蘭丸様の部屋に保管していたと思うのですが…ご存知ありませんか?」
「え?…私は知りませんよ?」
一方の阿国はというと、
「ひい、ふう、みい…。うふふ…毎度おおき…ってこれ、偽もんやんか!!」
彼女の修繕の旅はまだまだ続く……。