安土城の天守閣にて、ついに阿国と慶次は再会した。
互いの瞳が互いを捉え、熱き想いを交じ合わせる。
二人が無言のうちに歩み寄るその時だった。
「ちょぉーーーーっと待ったぁーーーーっ!!!」
阿国の背後で馴染みの巨体が大きく揺れ、二人の時間を引き裂いた。
「やいやい、信長のイヌ! よくも阿国さんをさらいやがったなっ!!」
「おいおい誤解だぜ。」
「やかましい!!」
「ま、その喧嘩は買おう。お前との喧嘩は愉しい。」
「阿国さん、逃げろ! このデカブツは俺が引き受けた!!」
「…?」
何を言っているのか阿国にはさっぱり分からなかったが、ただ分かるのは
自分が加勢しなければ、弱い五右衛門は下手をしたら死ぬという事だった。
「やれやれ、口と体はでけぇんだがなぁ。」
「んふふ。」
阿国の強力な援護にも関わらず、結局五右衛門は頭にきつい一撃を喰らって倒れ込んだ。
意識を失う前に阿国に一舞を頼み、現在は高いびきをかいて眠っている。
「……久しぶりだな。」
「うん。」
「会いたかった。もう一度。」
「うちも。」
慶次が肩を抱き寄せれば、阿国はその懐に舞い込んだ。
シュルッと帯を解けば、巫女着が空気を含む。
「こ…ここで…?」
「あぁ。」
襟を掴んで強引に胸をはだけさせれば、柔らかな胸が弾んで踊った。
「そ、そんなん……もしも起きたら……」
「大丈夫だ。結構きつめに殴っちまったから。」
「で、でも……」
「そん時ゃそん時だ。見せつけてやろうぜ…?」
パサリと袴が円を描いて落ち、阿国を裸体に導いた。
「もう…!」
「よく言うぜ、こんなに乳首おっ勃てやがって。」
「やんっ!!」
すでに固くしこる桃色を摘まれ、阿国はたまらず悲鳴を挙げた。
五右衛門を起こしてしまうのではないかと、阿国は今さらながら両手で口を塞ぐ。
「こっちも洪水じゃねぇか。」
「ふあぁんっ!!」
秘部へと下った慶次の手に、太腿をも伝う大量の愛液の存在を知られた。
触れただけで手をびしょびしょに湿らせ、指間に糸を引かせている。
「いやらしい女だ…。」
口を両手で塞いでいるため、阿国は首を左右に振って恥辱を否定する。
「ほぉう…。いつまで持つかね……」
秘唇に指を這わせ、音を立てながら反復させる。
敏感過ぎる泉に時に指先を当てがうが、決して挿入はしない。
「…ひっ…ひんっ!………ん…ん、んんーっ!!……」
太腿を掴んで片足立ちさせてますます秘蜜を溢れやすくさせると、
秘肉をめくってわざと聞こえるようにニチニチと音を立てた。
「そんなに辛いなら、俺の服でも噛んでたらどうだ?」
涙目の阿国を気遣って抱き寄せれば、彼女もそれに素直に従った。
「そうそう……声を出しちゃあいけねぇぜ?」
今まで全く相手にされていなかった陰核に触れられる。
「んーーっ! ん゛ーーーっ!!」
阿国は慶次を見上げ、首を振って拒むが聞き入れられるわけが無い。
その様子を見て慶次もますます火がついた。
といっても愛撫に激しさが増したわけではなく、逆に手を止めたのだ。
「いいか? 今から弾くからな。」
「ぇ…?」
荒い呼吸で胸を揺らす阿国の眼前で親指と中指をくっつけ、
それを今まで全く相手にされていなかった陰核に導いた。
「いくぜ?」
返事すらせず、阿国は来るだろう恐るべき刺激に震えながら見つめていた。
パチンッ!!!
「ああぁーーーーっ!!!」
慶次の太い中指が親指の制止を振り切って陰核を力一杯弾けば、阿国は
悲鳴にも似た喘ぎ声を漏らし、力無くすがっていた手も離れて崩れ落ちた。
雀の鳴くような甲高い音と、泥の中を歩むような湿った音。
慶次と阿国が上下逆に重なり、互いの秘部を愛し合う事でその二つの音が生まれていた。
「…ふぅん……んむ…んもッ………はぁん……あむ……ぷぁ……」
慶次の口の動きに合わせて腰を振りながら、夢中で勃起を咥えこむ阿国。
さかった猫の様に甘ったるい声を出し、時に尻肉を掴んで深奥を見せつけた。
「あぷ……んぷ……へぷぁ……」
裏筋を唇全体で丹念にしごき、
「んん〜……」
皮を唇で甘く噛んで、やや乱暴気味に引っ張る。
「おぉっ!!……今のは効いた…ぜ……」
ズリズリと慶次の体を南下し、阿国は慶次の陰茎をその豊満な胸で包んだ。
楽々とその谷間から突出する巨大な亀頭を咥え、全身全霊を込めた愛撫を送る。
「…す…げぇ………おっ…おぉっ!!…」
たっぷりとした乳肉が竿を満遍なく包み込み、弾力溢れる唇は亀頭と
窪みを深くしごき、口内では踊る様に跳ねる舌が鈴口をえぐる。
あまりに健気なその奉仕に、慶次は腰を震わせさらに勃起を張り詰めさせた。
「…う………よ…しっ……出…すぞッ…!!」
それを機にさらに奉仕は強まり、陰茎への刺激がより激しさを増した。
阿国がチラと陰嚢を見れば驚くほどにパンパンに膨れ上がっている。
「くっ…は……いいな…?……い…イクぞ…!?」
「…んぶっ!…んんっ!!…んぷぅっ!!」
「……全部…受けとめろよッ!!!」
「ん゛ん゛ーーーッ!!!」
慶次の腰が阿国を突き上げるほどに跳ね、その口端から精を飛沫かせた。
ゴキュッ!!…ゴク…ゴクッ!!……ゴクッ…ゴク………ゴク……
「…んぷ……ぐ…ふー……んぶッ……ぷぁ……ふー…ん…ふー……」
阿国のくぐもった声と、精を嚥下していく音が紡がれる。
時おり慶次の腰が痙攣して跳ねれば、阿国の艶やかな髪が揺れた。
「ありがとよ……よかったぜ。」
強烈な吸引で最後の一滴まで吸い出した阿国を仰向けに寝かせ、乱れた髪を撫でる。
「…もう満足?」
「ははっ、冗談言うねぇ。」
むっちりと迫力ある太腿の割には細く締まったくるぶしを
掴んで強引に股を開かせると、精を受けとめてから更に
溢れ出した泉に栓をすべく、慶次は亀頭を当てがった。
「あん♥」
「これだけされたんだ。倍返ししなきゃなぁ。」
「うん…。」
声にもならない声が挙がる。
悲鳴に満ちた霞み声でもあり、嬉しさ感じさせる官能的な声でもあった。
「…やあ…あ…ひ…あひぃ……ひは…あ…っ…!!」
「お、おいッ…!!」
肉体を駆け巡る絶頂の刺激と心を満たす幸福感に、阿国は早くも昇り詰めた。
ビクッ、ビクンッと小刻みに痙攣し、無意識の内に脚が慶次に絡みつく。
「お…おお……こ…こいつは……!!」
慶次の想像を遥かに超す反応と感覚だった。
まずはその締まり。
出入りを繰り返すたびにギチギチと重濃な締めが加わり、強靭無比な
その圧迫に慶次は千切られるのではないかと当初は不安感に駆られた。
次にそれを癒すかのような、秘肉の優しさ。
痛々しいまでの締めつけから脱出し、再び深奥へと旅立つ陰茎を、
もちゅもちゅとした秘肉が潤滑液をたっぷりと乗せ、優しくいたわった。
そして何よりも最高なのは、膣襞と吸引が織り成す絶妙の交奏だった。
舞い踊るようにして絡みつくプリュプリュとした膣肉が一刻も早く精を
搾り取ろうと蠢く中で、深奥は離すまいと驚くべき強さで吸い込んでいる。
よって慶次は楽に突き入れられる一方、阿国を引き離すのには相当の力を要した。
「そらよ…っと……」
さんざん突きに突いて阿国を鳴かして抱き起こせば、柔乳が
左右に幾度か揺れ惑い、しばらくしてようやく落ち着いた。
「んうぅッ!!」
下から奥の奥まで貫かれて打ち震える阿国をよそ目に、
慶次はその乳房を揉みしだきながらゴロンと寝転んだ。
形が変るほどにきつく揉みしだけば、指間からは余った乳肉が溢れ出る。
「はぁん!……もっと……もっとおっぱい触ってぇ………」
頂点で屹立する桃色を指で挟みスコスコとしごけば、阿国の締まりが一層増した。
「…はぁん……んっ!…ん……は…あぁ…あっ…ぃや!…あんっ!!……」
円を描いて動く慶次の腰の動きに合わせ、阿国の口から甘い声が漏れる。
乳房で固定する慶次の腕に手を添え、阿国もそれに合わせて腰を回した。
時に同じ軌道で、時に軌道を逆にして。
ズンッ!!
「ひぅっ!!」
いきなり慶次が穿ち上げれば、阿国は大きく眉をしかめた。
甘ったるい結合が急に乱暴になり、余計に刺激が強くなったらしい。
「あッ!…あんっ!…ひっ!…ひぃあっ!!……い…ひぃッ!!」
突如暴れ馬となった慶次の上で、乗り手の繊細で煌びやかな髪は舞い、
乳房は桃色の残像を残して大きく上下し、淫らな悲鳴がお構い無しに挙がる。
「おらっ、もう一丁!!」
「あっ…い…いくっ!……いくぅっ!!」
上半身を起こした慶次は阿国を力一杯抱きしめ、その深奥に精を送った。
「うおぉッ!!」
「…あっ!…ひぃあッ!!!」
熱い塊が子宮を直撃するたびに阿国は震え、歓喜の涙が流れ落ちる。
ゴボッ…ゴボ…と結合部からは精が溢れ、陰嚢を伝っていった。
「あっ…ヒ……ああぁあアぁあぁぁッ…!!」
「まだまだいくぞ?」
「…ふあぁ……ややぁ…か…かんにん………休ませ…てえぇ……」
力無く首を振る阿国と結合したまま、器用に四つん這いにさせた。
もう力が入らないのか、阿国は肘をガクガクと震わせて今にも崩れ落ちそうである。
「そらっ…」
パンッ!
「んひぃッ!」
下腹部と陰嚢が尻を打ちつける甲高い音に合わせ、阿国の悲鳴も付随する。
突き入れるたびに波が走る阿国の尻に、慶次は手を伸ばした。
もっちりとして瑞々しい柔らかさの中にある、しっかりとしたまろみと肉質感。
…パンッ!!…パチンッ、パンッ!…パブッ、パチュンッ!!……
「……あッ!!…あっひっ、んうっ!!…やんっ!…やんッ!!……」
そんな尻肉を左右に広げ、慶次はさらに深く激しく穿ち始めた。
必死に踏ん張っていた肘もすぐに陥落し、阿国は胸から崩れ落ちた。
「ひんっ!…あ…あはぁ……ひっ、ひあぁっ!!…」
たわんだ乳肉が腋下から溢れ、律動のたびに形を変える。
「よっと……」
長い手を伸ばして乳房を鷲掴みにし、阿国を持ち上げて背後から串刺しにした。
結合部からは絶え間無く愛液と精液の混合液が溢れ出し、
凄まじい衝撃で尻全体に飛沫が飛び散っている。
まるで人形のように脱力した阿国は背後からの官能を無抵抗に
受け入れ、時おり背を大きく反らして幾度も幾度も絶頂を迎えた。
「最後は一緒に…な?」
コクンと小さく頷く阿国から一旦離れ、元の正常位に移った。
指を一本一本しっかりと絡ませ合い、再び阿国の体内に侵入する。
「ひっ!…ひいッ!…ひいあぁっ!!…あっ…ああぁーーっ!!」
「よ…しっ……出…すぞッ……!」
慶次の律動が最速に達し、阿国の体内を容赦無しにえぐる。
もげてしまいそうに乳房が上下し、官能の歌声は止まる事はなかった。
「ひいっ!……いくっ…いッ!!……くッ…ああぁっ!!…いっくぅーーーッ!!!」
「阿…国……阿国っ………阿国ぃーーーっ!!!」
その一瞬、確かに二人は永遠を分かち合った。
互いに溶け合い交じり合い、全てが一つとなった。
「おいおい、流石にもう出ねぇぞ……?」
どっかりと座る慶次の股間に寝そべり、阿国は萎えゆく陰茎を頬張っていた。
今まで慶次を受け入れていた女唇からは二人の混合液がトクトクと溢れ、
その尻や下腹部は方々に飛び散った精液で白く染まっている。
「んふふ……んむぅ……ええの。うちがしたいだけやの…。」
「ふっ…そうかいそうかい。」
陰茎を口内でネットリと転がし味わったり、チュポチュポと陰嚢に
吸いつく内に、阿国の太腿がモジモジと世話しなく擦り寄せ出した。
「ん?…………あぁ、そういう事か。」
「んむっ!?」
片方の太腿を持ち上げ、犬の様な姿勢を取らせた。
「しゃぶりながら出しちまえよ。」
「え……」
「いいから。見ててやるからよ。」
頷くものの流石に阿国も耳まで真っ赤に染め、泣く泣く命令に従った。
緊張しているのかしばらく体を震わせた後、我慢も限界に達して放出し始めた。
その光景を眺めながらも慶次は何一つ汚らわしいとも感じず、
阿国も慶次が喜ぶのならばと精一杯股を開いて見せつけた。
全てが終わり、二人は余韻に浸りつつ寄り添いながら語らっていた。
「ほんでな、もうあの後からここまでほんま大変で………」
「…………」
「なぁ、慶次様……聞いてはる?」
「…ん?…あ、あぁ。」
先程からどこか気の入らない慶次の様子を見て、阿国は
不安感からか思い出話を切り上げ、事の核心に迫った。
「……慶次様。」
「何だ?」
「うちと一緒に、出雲に帰ろ?」
笑みを浮かべて誘う阿国に、慶次は目を瞑った。
「……その役は俺じゃねぇ。」
思いもしないその言葉に、阿国の表情から笑みが消える。
「見なよ…あいつを。」
いまだに眠る五右衛門を指差し、続ける。
「あいつなぁ、伊賀の抜け忍だって話だ。自分が狙われてるってのに……
……弱っちいくせに……それでもお前を追って、ここまで来たんだ。」
「そ…そんなん……」
「あいつにならお前を任せられる。」
「ちゃう……ちゃう!…うちは慶次様が…!!」
「違わねぇ。お前さんは俺の強さに憧れてるだけだ。
こんな俺なんか…綺麗さっぱり忘れた方が良い。」
一方的なその口調に、もう阿国は何一つ反論しなかった。否、できなかった。
心の奥で、何かが分かっている。
慶次が自分を想っているからこそ、無理矢理自分を引き離そうとしている事が。
「…それじゃあ、頼むぜ。」
それからこの後の事を言伝てし、慶次は大袈裟に寝転がった。
自分が赴く戦場に、この女性を連れて行くわけにはいかない。
愛しているからこそ、慶次はここで別れを選んだ。
「お待ちやす……」
フワリと上から覆い被さり、その頬を包む。
一滴の雫が阿国の頬から慶次の頬へと落ちると共に、二人は最後の口づけを交わした。
「…衛門様……五右衛門様…。」
「…う…ううっ……あ…りゃ……?」
「起きはった?」
意識を戻した五右衛門が勢いよく起きあがれば、その傍らには慶次がいた。
慶次は気を失っているようで、五右衛門は事態を把握できていない。
「ど、どうなってんだ?…こいつと闘ったトコまでは覚えてんだが…。」
「五右衛門様が倒れる時に放り投げたこん棒が当たったんどす。」
「…って事は……」
「うん。相討ち。」
「しかも起きたのは俺が先!…つまり、俺様の勝ちってわけだ!!」
「うふふ…そうやね?」
「ぃよっしゃぁーーーっ!!!」
その後、見回りの兵士に見つかった二人はそのままにはできないと慶次を
五右衛門に背負わせ、安土城を何とか脱出して近くの廃屋へと逃げ込んだ。
「ひぃー……ひぃー……ったく、このデカブツ…重いっつーの!!」
慶次を木に預けると、五右衛門は息を切らして座りこんでしまった。
「慶次様が起きるまで、うち舞います。」
「うひょっ、ほんとですかぃ!?」
「あんじょう見てておくれやす。」
五右衛門の拍手が鳴る中、阿国は舞台へと上がった。
哀愁、悲しみ、寂しさ、切なさ、そして痛々しいまでの愛しさが
滲み出るような舞に五右衛門はただただ心を奪われるばかりで、
その理由が背後で寝たふりをする男にあるとは知る由も無かった。
阿国が悲しげに微笑み、背を向け傘を回し出した。
ウットリと阿国に見惚れて両手を重ねる五右衛門の背後から、
示し合わしたかの様なタイミングで慶次が近づき、腹を殴った。
(てっ、てめえっ…!!)
(シー…。………行くわ。俺には戦場が似合う。)
(だけど…阿国さんはてめぇを…!!)
(…ばーか。)
(ぅおいっ!…ぅおーいっ!!)
クルクルと傘をひたすらに回す阿国の舞は、夢幻の如く続いた。
慶次の姿が、もうどこにも見当たらなくなるその時まで。
「…慶次様は?」
舞を終えた阿国が、不思議そうに切りだす。
「え……その…なんだ、行っちまいました。はは、あの………
わけわかんないっすね!…なんだよあいつ…なんつって……」
「…………」
「はぁ…。」
「ついて来てくれはらへんのどすか?」
「えっ!?」
「五右衛門様は……うちと一緒に、出雲へ来てくれはらへんのどすか?」
「い…よっしゃあぁーーっ、俺様の時代が来たぜいっ!!」
だが、阿国が五右衛門を選んだのは慶次に言われたからだけではなかった。
確かに五右衛門のひたむきな好意は重々受けとめていたし、旅の終盤を迎え、
時折ふと五右衛門を思い出す機会は日に日に多くなっていた事も事実だった。
大坂や伊賀の抜け道では小物相手に苦戦しながらも、
自分のために体を張って協力し、先に進めてくれた。
つまり慶次への想いが恋や憧れとすると、五右衛門に対しては
世話の焼ける弟に対する情のような、それは正反対なものだった。
悲しい自分を誤魔化す幻想なのかもしれない。
慶次を忘れる事ができないのかもしれない。
しかし、阿国は五右衛門と歩み始めた。
愛しき人が示してくれた、愛しき人との道だから。
こうして阿国の長い長い勧進の旅は終わりを告げた。