家康が帰った後、ァ千代は止まらぬ涙を零しながら自らを強く抱き締めていた。  
気掛かりなのは、腹の中――三成の子、である。まだ三月になるやならぬやの子、それも初めて宿した子であればこそ、先の行為が悪影響するのではと気が気ではない。  
敗戦ならば、討ち死にしたかった。  
しかし優れた武勇は敵を薙ぎ倒しこそすれ、死地に己を導いてはくれず、結局捕らえられ家康の前に引き摺りだされた。処断を覚悟し、またそれを望んだ筈なのに、何故今このような恥辱の限りを尽くされねばならぬのか。  
本当なら自害している。けれどそれを阻んだのは、胎内の愛しい命の 存在。武士ではなく、母として生きる事を決意した。そのためなら、如何なる屈辱にも堪えてみせると。  
男であれば、恐らく殺される。だから女であるようにと願いながら、毎日優しく腹を撫でて無聊を慰める。今もそう、どうか生きて、女の子として生まれてくるようにと、切なる祈りを込め繰り返し腹を撫でている。  
――と、不意にぐぷりと嫌な音がして股間が濡れた。ァ千代の双肩が跳ねる。恐る恐る着物の裾を捲ると、小汚い精が溢れ出しているのを認めて吐き気に襲われた。  
「……ッ!」  
荒々しい手付きで乱暴に裾を捲り上げ、利き手の人差し指と中指を一息に秘部へ埋め込む。愛し合った後にいつも三成がしてくれたように、膣内を指で乱し白濁を掻き出そうと躍起になった。  
いつしかそれは自慰に似る。  
しかし生まれ育ちの良いこの女には、左様なはしたない真似を認めることなどできない。直ぐに止めなくては、と理性が警鐘を鳴らすが、中途半端に熱を持ちすっかり焔の燈り始めた身体は言う事を聞かない。  
已む無く双眸をきつく閉ざし、三成の姿を眼裏に描く。これは自慰ではない、彼に抱かれているのだと己に言い聞かせながら。  
刀を得物としていたために肉刺ができ皮も硬くなっているとはいえ確かに女性的なしなやかさを持つ指は、三成の繊細でありながらやはり男性的な節ばった感触とは異なり、儚い想い出に身や心を委ねきれぬのがもどかしい。  
「み、つな……ァ、ん……其処……っつな、り……」  
ァ千代の指は記憶を辿り嘗て三成にされたよう膣内を掻き乱す。例の箇所を指先で掠める度に腰が跳ね、親指で陰核を優しく擦るのも忘れない。  
愛しい相手を想いながらの行為であるため、甘い声が熱呼気混じりに絶えず上がる。  
呼吸が荒くなるにつれ、酸素を求めて開きっ放しになる唇からは唾液が伝う。秘部から はそれ以上の愛液がとろとろに垂れ流れて室内に厭らしい水音が響き渡り、羞恥に頬を染めた。  
(――日頃の威勢はどうした?)  
(ああ、こんなにも涎を垂れ流して。だらしない下の口には、お説教だな。)  
三成の声が鼓膜に蘇る。心地良い低音の、吐息混じりの囁き。  
意地の悪い言葉を紡ぐのは家康と同様ではあったが、それとは裏腹に何処までも手付きや態度は優しかった。  
だから愛されていると実感でき、寧ろ多少の虐げとても安心して受け止め全て任せる事ができた。  
三成なら自分が本当に傷付くことはしないという信頼が、何をされても快感へ繋げてくれた。  
「……嫌、言うな……あ、あッ……もう、だめ……っ」  
無意識の内に片手は剥き出しの乳房へ伸びて、尖る突起を掌で包み捏ねるようにしながら膨らみ全体を揉みしだく。膣内は其処を掻き回す指すらも排斥する程に激しい収縮を繰り返し、絶頂の近さを訴え出した。  
陰核を一擦り、それと同時に内壁のある箇所を引っ掻くと、  
「みつなり、みつ――…っ、やァ、ああん……!」  
勢い良く潮を噴き出し、大きく身を反らせて達した後、力なく気怠げに横たわる。双肩と胸は小刻みに上下運動を繰り返し、薄く開かれた双眸は蕩けて焦点も定かではない。  
 
「……みつなり、あいしている、と……」  
言って、と。日頃からは想像もつかぬ程、若干舌足らずな甘え声で睦言を求めようとした時、視界が鮮明になり始め其処にはただ天井があるばかりと悟る。  
急に現実に引き戻された恐怖から緩慢に身を起こすと、正に失禁の如く畳の上に広がる潮が目に付いた。  
家康の白い残滓と、今の行為で溢れた愛液とで滑る指先を、その水溜りに浸してみる 。そして付着した水滴を、恐る恐る咥内に含むと酸っぱい味がした。とても美味しいとはいえないそれに、思わず涙が頬を伝う。  
――初めて潮を噴いた日。その存在を知らず、尿と勘違いしたァ千代は死にたい程の羞恥に襲われ、はしたない姿ばかりで嫌われるのが怖いと三成を拒もうとした。  
誠に嫌ならもう抱かぬ、と前置きをした上で、彼は至って真摯な表情を浮かべながら優しく彼女の髪を撫で続け、潮は尿と異なる事、恥ずかしい姿も自分にのみ見せてもら えるなら嫌うどころか愛しさが募ると、らしくもなく甘い言葉で説き続けてくれた記憶が蘇る。  
それでも疑心暗鬼な様子を見せるァ千代を前にし、三成は股間に顔を埋めると潮を丹念に舐め取り美味いと告げつつ嚥下を繰り返した。  
それでまた彼女の恥ずかしさは極限に達したのだが、その行為によって彼の台詞が真実であると確信できて、同時に如何に愛されているかを思い知った夜。  
「こんなもの、何処が美味いと――……みつなり、今、何処に……っ」  
咥内に広がる酸っぱさは、涙の味に紛れて薄まり消えた。両手で顔を覆い、止まらない嗚咽に身を震わせる。  
三成に逢いたかった。戦勝の後で知らせて喜ばせようと、子が出来た事を黙ったままにしてしまった事を悔いた。ありえないと思いつつ、いつか助けに来てくれるのではと下らぬ淡い期待を捨てられない。  
逢いたい、逢いたい、逢いたい。誇り無き者に成り下がるなという理性をも忘れて、今だけは一人の女として狂うように愛しい 男を求めずにはいられない。  
 
――家康により世の中と隔離されて後、三成の末路をァ千代はまだ知らなかった。  
 

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