――安心しろ。
穢(けが)されたその身体を、崩れゆく誇りをも全て、俺が貪(むさぼ)り喰い尽くしてやる。
動けなくなるほどに、離れられなくなるほどに。
さあ…楽しみだな。
―――ァ千代。
「ん……」
ふと、目が覚めた。
しかし何も見えない。
おかしい。寝る前に灯篭に火を灯しておいたはずなのに。
それに、何故か体中が痛い。
どういうことだ―――?
「これは、一体何の真似だ? ァ千代」
突然、正面の方から声が聞こえた。
しかもその声には聞き覚えがある。
「……三成、か?」
「“三成か”と問いかけるのはどういう事だ? 貴様が俺をここに呼んだのであろう」
「……何? 私が、呼んだだと?」
ァ千代の問いに三成は答えない。
人の動く気配がする。やがて、ァ千代の脇にあった灯篭に火が灯された。
一気に視界が開かれ、ァ千代は辺りの様子を見回す。
そこで、初めて自分に置かれている状況に気づいた。
「?! な、何だこれは?!」
自分がいたのは約6畳の見慣れぬ部屋の中心。
両手首は天井から垂れ下がる鎖に繋がれており、つま先立ちの状態。寝着である白の着物は着崩れ、胸の谷間と太ももが露になっていた。
「それはこっちが聞きたい。一体貴様は何がしたいのだ?」
ァ千代の前に立ち、腕を組みながら怪訝に問う三成。
「違う! これは私がやったのではない! とにかくこれを解け!」
ガチャガチャと鎖を揺らしながらァ千代が声を上げる。
「フン……それが人に物を頼む態度か?」
不機嫌そうに三成が言う。
「貴様……!」
奴の不遜な態度には慣れていたが、この時ばかりは無性に腹が立つ。顔を歪め三成を睨んだ。
「解くな、三成」
三成の背後から男の声が聞こえた。
「?!」
その声にも聞き覚えがある。
「お前は……」
部屋の奥。襖に背を預け片膝をついている男がいる。
その男は立ち上がり、ァ千代のもとへ歩み寄ってきた。
「直ぐに解くには惜しいな。やはり俺の予想したとおりだった。あんたは美しい……凄絶に」
「……元親……!! まさか、貴様が……」
元親を睨み、怒りを露にするァ千代。
「残念だが、俺じゃない。俺も三成と同様、あんたに呼ばれた」
「何だと? 私は貴様らを呼んだ覚えは無いぞ?! 一体、どういうことだ……!」
「それを聞かれても困るな。しかしあんたの趣味でないとしたら、これは誰の趣味なのだろうな?」
そう言いながら、鎖を掴みゆらゆらと揺らす。
ガチャガチャと鉄同士の擦れあう音が鳴り響いた。
「……っ、やめろ、揺らすなっ。 とにかく、早くこれを解け!」
苦痛に顔を歪めながらァ千代が懇願する。
「嫌だ」
あっさりと返答したのは三成だった。
「三成、貴様……!」
カッとなり反抗しようとするァ千代だが、三成は臆せずさらに近寄り、ァ千代の顎に手を添えくいと顔を上げさせた。
互いの息がかかりそうなほどの距離で二人は見つめあう。
「いつもは片意地で偉そうな貴様も、鎖に繋がれれば無防備で無様なものだな」
見下すように三成が言う。ァ千代はさらに顔を紅潮させ、
「それを貴様が言うか……!」
と精一杯の憎まれ口を叩いた。
「強情な女だ」
「……離せ。私を愚弄する気か……!」
悔し涙で目を潤ませながらァ千代が言う。
「これまで、“女”と思わないようにしていた。だが……」
三成が言っている途中で、背後から元親が、ァ千代の腰に腕を回した。
そしてァ千代の首筋に唇を這わせる。
「……っう……!」
首筋に電流が流れたかのような衝撃が走る。
元親は唇を這わせながら、腰に回した手で着物の帯を一気に解いた。
「……!?」
ァ千代の前がはだけ、白い肌が露になる。
その美しい裸体を見ながら、
「今の貴様は……どう見ても“女”だろう」
と言い終えるや否や三成はァ千代の後頭部に手を回し、それを引き寄せ、唇を強引に奪った。
「んっ?!」
突然の出来事にァ千代の頭が真っ白になる。
元親の腰に回していた手が、ゆっくりと上に移動する。
そしてァ千代の柔らかな膨らみを掌で包んだ。
びくりと、ァ千代の体が跳ね上がった。
「んん……ん!」
やめろ、と言いたい。しかし「黙れ」と言わんばかりに三成の舌がァ千代の口の中を撹拌する。
どうして、こんな事に。
今まで、元親と三成とは同志だと、対等だと思っていた。
“男”だという事も意識していなかったように思う。
それは恐らく、自分自身を“女”と認めていなかったからのだろうが……。
しかし今は、二人がまるで別人の様で怖い。
この二人が“男”である事を、今初めて認識したのだ。
三成の唇からようやく解放された。
そのまま次は右の耳を責められる。
「っ……! や、やめろ! 三成!」
鎖をガチャガチャ言わせながら、ァ千代は身をよじる。
するとすかさず、背後の元親がもう片方の耳を責め始めた。
「あ……っ! や……やめ」
ぞくぞくっと身体が震え上がる。同時に、体中が熱を帯びてきた。
「……ァ千代」
優しく耳元で囁いたのは元親だ。声の振動が耳に伝わり、腰の力が一気に抜ける。
それを皮切りに、意識とは裏腹にだんだんと身体が敏感になってきた。
三成の唇が下に移動する。
胸にたどり着くと、形の良い乳房を優しく口に含んだ。
「あ……いや……っ。 や、やめて……」
普段からは考えられない声色と口調でァ千代が哀願する。
「気高く男らしいあんたも好きだが、艶のある女らしいあんたもいい」
そう言うと元親はァ千代の顔を自分の方に向けさせ、口付けをする。
「んんっ……」
恥ずかしさのあまり、ァ千代の瞳から涙がこぼれる。
薄氷の上で保っていた誇りが、崩れ落ちようとしていた。
盛り立てようと必死で繋いできた立花家当主の座。
それをあの“男”に譲った後も、誇りを無くさぬように努めてきた。
しかし、その誇りさえも今、崩れ落ちる寸前。
いっそ崩れ落ちてしまえば良いのだろうか。
いや、だめだ。それだけは……
まだ、私の中の立花の誇りは死んでいない。
三成の手が、ァ千代の下腹部に触れた。
「!!」
ァ千代の身体がびくっと反応する。
「身体は正直だな、ァ千代」
意地悪く三成が言いながら、潤ったァ千代のその部分に指をくぐらせる。
「……っ」
小刻みに身体を震わせながらもァ千代は耐える。
しかし乳房は三成の口で弄ばれ、口の中は元親に犯され、敏感な部分を刺激され続けていると、快感に溺れてしまいそうになる。
顔を真っ赤にし、ァ千代は必死に堪えた。一握りの誇りを保つために。
しかし、
「誇りを捨てろ、ァ千代」
三成が言った。
元親が唇を離す。
ァ千代は驚きの表情で三成を見る。
まるで心を見透かされたかの様だった。
「貴様は俺と似ている。だから分かる。その誇りに囚われ、本来の自分を見失いつつあることをな」
そう言うと三成はァ千代から離れ、下に落ちている着物の帯を拾い上げる。
「私は、見失ってなどいない……! 私は……」
震えた声でァ千代が言った。しかし三成はそれを遮り、
「今から教えてやる」
そう言い、帯でァ千代の目を覆った。
「?! 何をする!」
必死の抵抗もかなわず、帯により目隠しされ、後頭部できつく結ばれる。
視界が遮られ、不安がよぎる。
「自分を曝け出せ」
すぐ目の前で、三成の声が聞こえた。
頬に、掌の温もり。三成の手が添えられているようだ。
「俺も……今日だけ、曝け出してやる」
再び口付けされた。
左の太ももが持ち上げられる。
露になった秘部に何か生暖かいものがあてがわれる。
「!!!」
まさか、と思った時にはすでに遅かった。
拒む隙さえも与えず、それは一気にァ千代を貫いた。
「あああぁっ!」
一気に快楽の波が押し寄せる。
視界を遮られた分、感覚が敏感になっている。
もう、声が抑えられない。
「いや……っ! あ……あああっ!」
激しく下から突き上げられ、鎖の大きな音とともにァ千代の声が部屋中に響き渡る。
「嫌と言う割には、随分と素直に俺を受け入れたものだな」
嫌味ったらしく三成が言う。しかしそれに対してァ千代は言い返す余裕も無い。
元親は後ろから、ァ千代の首筋を責めながら片手で乳房を、そしてもう片方の手で下腹部の突起した敏感な部分を小刻みに弾き刺激する。
「あ……っ、だめ…っ! ああっ!」
その度にァ千代の身体ががくがくと痙攣する。
「どうした? まだ足りないか?」
元親が耳元で問うと、乳房においていた手を離し、ァ千代の右側の太ももを持ち上げた。
三成によって左側の太ももを、元親によって右側の太ももを持ち上げられている状態になった。
両足が広げられ露になった秘部の奥底を、三成がさらに激しく責めたてる。
「あっ! あはぁっ! あああッ!」
揺れる鎖の音とともにァ千代の声と湿った音が部屋中に響き渡る。
「そうだ。もっと曝け出せ、ァ千代」
わずかに息を荒げながら三成が言う。
「い…や……、いやだ……っ!」
目に涙を浮かべ叫びァ千代は首を横に振る。
「フ、まだ抗うか」
半ば呆れがちに元親が言う。
「お仕置きだな、元親」
「……上等」
示し合わせたように二人は笑みを浮かべた。
「!?」
ァ千代の身体に緊張が走る。
自分の後の穴に、何かが当っている。
まさか……!
「や、やめろ! 元親!」
身体を仰け反らせ、拒否反応を示す。
しかし両足は二人によって固定されているため、思うように動けない。
「もう遅い」
背後で元親が言うと、同時にぬるりと太い何かが菊穴をこじ開け入ってきた。
「あ……ぐ……うぅっ!」
苦痛に顔を歪め、身体を強張らせる。
そして前を責める三成を何度も何度も強く締め付ける。
「……っ」
三成が小さく呻いた。
あまりの狭さに元親の腰が上手く進まない。
それでも力を入れ、ァ千代の腰を押さえつけ、ずぶずぶと自らを埋め込んでいく。
「あ゛……っ! …………は……ぁ」
ァ千代が無意識に息をゆっくりと吐いた。
すると先ほどより窮屈さが和らぐ。
「ほう、受け入れる時に息を吐くという事を身体で覚えているのか。大分、慣らされているようだな」
「……!」
図星なのだろう。ァ千代の顔が真っ赤に染まる。
「少し、妬けるな……」
元親は微かに苦笑いをした後、彼女の腰を片手で押さえつけ、ゆっくりと抜き差しを始める。
「んう゛っ……あぁっ!」
全身の毛穴が開く。ゾクゾクする。
双方からの下半身の圧迫感に再び身体を強張らせる。
同時に、二人の男をさらに強く締め付けた。
「……っ」
その快楽に、元親が思わず息を荒げる。
「…ァ千代、貴様……少しは、加減しろ……」
三成も呼吸を乱しながら呟く。
それでも抵抗に負けじと、前後の二人の動きはさらに激しくなる。
「あ゛っ! あぁっ! あうっ!」
子宮の中で二つの熱い固まりが幾度もぶつかり合う。
その度に意識が遠のく感じを覚える。
ああ……駄目……だめ…っ、これ以上は……っ
押し寄せる大きな波に耐えるため、唇を強く噛む。
しかし、とどめかの如く、
背後の元親が、片手をァ千代の前に回す。
そして、下腹部の敏感な突起を、指先で軽く力を入れきゅっと摘まんだ。
「――――っ!!!」
ビクンと、身体が跳ねあがった。
そして、これまで我慢し耐えてきたものが、全て吹っ飛ぶ。
突如、下腹部から脳天を突き刺すような快感がァ千代を襲った。
「あ! ……もう、もうだめ…っ!! あっ! あ……あああああっ!!!」
頭の中が、真っ白になった。
意識とは別に身体が大きな痙攣を起こし、両足のつま先が何度も引き攣る。
そして今までにない彼女の中の強烈なぜん動で、三成と元親を幾度も幾度も締め付けた。
凄まじい彼女の絶頂を目の当たりにし、二人とも一気に平常心を失う。
「……ぅ……!」「……!!」
堪えきれず、ついには同時に前後から、勢いよく彼女の中に熱い液を注いだ。
「あ……あぁ……っ」
自分の中で、二人のものが強く脈打ちだっている。
その感覚だけで敏感になり、声をあげてしまっていた。
やがて、絶頂の波がおさまり、身体の全ての力が抜ける。
三成と元親は身体を離し、持ち上げていた両足を降ろす。
すると、秘部からドロリと白濁液が溢れ、太ももをゆっくりと伝っていった。