明朝、元・安芸の領主毛利元就は、健康維持の為にと川沿いへ散歩に出ていた。気ままな
隠居生活を送る彼だが、自室に籠もっていては体がなまると、日々の運動は欠かさず
行っているのだ。
……まあ最近では、趣味の著作に行き詰まり、その気分転換に外に出ているとの
もっぱらの噂であるが。
そんな彼が、ぽやぽやと想像を膨らませながら、大きく手を広げ深呼吸をした時である。
「たのむ……何か、たべるもの、を……」
「うわ!」
幽霊のような声に驚き、慌てて飛び退こうとしたが、着物の裾が尋常ではない力で
掴まれている。元就は体の均衡を崩し、みっともなくぺったりと尻餅をついてしまった。
幸い地面は落ち葉に覆われており、軽い痛みを感じこそすれ、大きな怪我をする事は
無かったのだが。
「後生じゃ……たのむうぅぅぅ」
「わ、分かった! 分かったよ! 分かったから、とにかくこの手を離してくれないか」
裾を掴んでいたのは、うつぶせの状態で顔だけを上げ、こちらを見る少女。目は虚ろだ。
よく見れば目の焦点も合っていないようで、元就はよもや物盗りにでも遭ったのではないかと
その身を案じた。が、身体の状態はさておき、ざっと見たところ身につけている物は高価そうなもの
ばかり。被害に遭う前といったところか。おそらく、濃い草色の衣装が、彼女の存在を
見つけにくいものにしていたのだろう。
どこぞの姫が逃げてきたのだとしたら面倒だ……と、そこまで考えてから元就は彼女を肩に担いだ。
少し首と腰にきたが、まだまだ現役だ。元就は少女の腹の音を耳元で聞きながら、降りてきた
山道をまた上り始めた。
目指すは居城・郡山──。
「元就殿、こたびは助けて頂き、感謝の念に堪えませぬ!」
薄い不思議な色の瞳を輝かせて、彼女は言った。
ちなみに口元に米粒が付いているのだが、全く気付いていないようだ。
元就の方は、気付いてはいたが敢えて黙っていた。身につけている物や食事の所作などから、
身分の高い女性である事は確かなのだが、顔に米粒が付いているのに気付かない、というのは
ちぐはぐで、とても興味深かった。
気付くまでどれ程かかるのか、また気付いた時の反応がどんなものなのか非常に楽しみである。
「うーん、そこまで畏まらなくてもいいんだけど……」
言葉は立派なものだが、言い様に実が伴っていないように元就には聞こえた。無理に礼を
述べられても、言葉通りに受け取る事が出来ない。
「いいえ! 元就殿に拾って頂かなければ、わらわは今頃あの世へ行っていたかもしれませぬ。
物乞いのような真似をしておいてとお思いかもしれませぬが、わらわは本当に感謝しているのじゃ」
本当にありがとうございました、と頭を下げる少女。顔を上げても、まだ米粒は付いていた。
ここまで来ると可哀想に思えてきて、元就は親指と人差し指で摘んで取ってやった。おそらく
彼女は本気なのだろう。礼の事も、米粒に気付かない事も。
だとすれば、上手く出来たと誉めてやるのが先人の務めであろう。
「最近の子はよく出来ているね。その歳できちんと礼を言えるのは良い事だよ」
「むむ? わらわは子供ではありませぬぞ。それに父上が言っておったのじゃ。礼はきちんと、
丁寧に、と」
口元に米粒を付けたまま礼を述べ頭を下げるような彼女の、一体どこが子供ではないと
言うのだろう。しかし元就はいちいち問いただすのも面倒に思い、特に問い詰めるようは事はせず、
「そうかい、良いお父上のようだね」
いつものように穏やかな笑みを浮かべるだけにとどめた。
それにしても、少女のきらきらと輝く瞳を見ていると不思議な気分になってくる。なんとなく
鬱陶しいような、しかし無性に構いたくなるような。
生後間もない赤子が似たような感じだったかもしれないが、元就にとっては赤子の世話など
とうの昔の出来事。今となっては、どう接すれば良いのか正しいのか、この感情をどう処理すれば
良いのかも分からなくなっていた。
最初に見た時は、幽霊か何かかと思った。虚ろな瞳には何も映っていなかったし、髪も
ぼさぼさで艶が無く、体を持ち上げる事も出来ずに顔だけをこちらに向けていた。担いでみると
やはり軽かったし、城に着くまでに死んでしまうのではないかと心配してしまう程だった。
体を清め、食事を与えただけで、ここまで生き生きとした表情を見られるとは露にも
思わなかったのである。
が、おそらくこれが本来の彼女らしさなのだろう。この歳になって、元就は珍しく困っていた。
「しかし、かの元就公がこうも元気でおられるとは驚きなのじゃ!
世の中にはわらわの知らぬ事がたくさんあるのう」
見聞の広める為に『武者修行』の旅をしているのだと、彼女は言っていた。
変に興味を持たれては面倒だと、元就は少女の気を逸らす事にした。
「いやいや、それより君の体験はなかなか興味深い。もしよければ、しばらくここに留まり
話を聞かせてくれないかい」
心持ち興奮したように元就は言った。興味深い事を見つけると早口になるのがおそらく癖だ。
「むむ、わらわはまだ旅の途中なのじゃ。しかし食事の恩は返さねば……」
少女は困ってしまった。嫁入り前に戻らなければ父に叱られてしまう。ここがどこで、今は
いつなのかも分からないのだ。早々に地理を教えて貰い、元の進路へと戻りたかった。
だが、彼女は基本的に素直な子であった。
「ここで元就殿の厚意を踏みにじる事は出来ぬ。
元就殿、わらわで良ければいくらでも話をしようぞ!」
「それは良かった。では、さっそく……」
元就は少女の前に置かれた膳もそのままに、いそいそと紙と筆を取り出した。
実は、部屋に散らばる本や巻物の山の合間に、少女が履いていたぽっくりや腕輪が
隠してあるのだが、それを元就がどうしようとしていたかは推して知るべし、といったところで
あろう。
三日の間、少女は元就の話し相手としてひっそりと過ごした。
いつもぼんやりとして何を考えているか分からない大殿が、久々に生き生きとしているのを
見て、息子や孫達は喜んだ。
少女は器量が良いだけでなく気立ても良く、大殿の機嫌を損ねる事も無い。どこかしら
気品のある振る舞いに、身分の低い者ではないと皆気付いていたので、深く詮索もしなかった。
少女が戒められたただ一つ、元就は病気を抱えているゆえ、無理をさせないという事だけであった。
それを聞いた少女が、元就をおじい様と呼び大笑いされたのは、また別の話。
三日目の夜、少女は元就に呼びつけられた。
早寝・早起き・朝ご飯の健康な生活を送る彼女は既に床に就いていたが、他ならぬ元就の
頼みと聞けば、すぐに布団から飛び出していった。
「元就殿、お呼びでございまするか?」
少女は廊下に跪座し、室内の元就に呼びかける。
少し奇妙な間を置いて、中から返事がした。
「ああ、入りなさい」
「では、失礼いたしまする」
その間を不思議に思いながら、少女は引き戸に手をかけた。
「明日、君は越前へと戻るのだったね」
元就は、布団の上にあぐらを掻いて座っていた。
少女はその手前まで進み、斜め下に正座した。ぴんと背筋を伸ばし、両手は膝の上に
乗せられている。
「はい。船の手配までして頂き……重ねて礼を申し述べまする!」
「いやいや、私も君の話が聞けて楽しかったよ。そのお返しさ」
実は少女の体験してきた話は取るに足らないような出来事ばかりだったのだが、さも
珍しい事のように話す彼女のしぐさや表情が、元就にとっては何より楽しかった。彼女が
いなくなってからしばらくは退屈しそうだ、とさえ思っていたのだが、それを言ってしまえば
少女を困らせる事になると分かっていた元就は、寂しいなどとはおくびにも出さなかった。
「……で、そのお返しのついでに君を呼び出した訳だけど。正直に答えてくれるかい?」
「もちろんじゃ、わらわは嘘は申しませぬぞ」
「じゃあ、聞くよ」
神妙な顔付きの元就を見て、少女もまた真剣な表情になる。口元をきゅっと引き結び、
元就が問うのを持った。
やがて、元就は重々しくその口を開き軽く息を吸い込んだ。
ごくり。少女も思わず唾を飲み込む。
「私が書いた歴史書、どうだった?」
思わぬ問いに、少女は目を見開き、反射的に両手を握りしめた。そしてしばし固まった後、
難しい顔で思案し始める。
あまりにも態度が急変した為、元就は笑いを堪えるのに必死だった。多少傷付きはしたものの、
自分に文才が無い事は薄々気付いていた。
「……っ。し、詳細で綿密な描写が多いゆえ、ひひ広く普及するのは難しい、と、思いまする」
「……くどい、という事かな?」
「そ、そのような事は!!」
必死に否定しようとする少女に、元就はついに堪えきれず噴き出した。
急に笑い出した元就を、少女名ぽかんと口を開けて見つめている。
「いやあ、笑った笑った。君は本当に面白い人だね。きっといい大人になるよ」
「は、はあ……。ありがとうございまする」
一頻り大笑いをして、まだくすくすと笑いながら、元就は少女の両肩に手をかけた。
少女は相変わらずぽかんと元就を見つめている。
「さて、最後に一つ、いい事を教えてあげよう」
「良い事?」
「ああ、とても気持ちの良い事だよ。床にお上がり」
言われるままに少女は布団の上に上がる。
ずっとずっと昔、自分が子供で何も分からなかった頃、父や母と共に布団に入っていた事が
あった。真面目な父はあまり一緒に眠りたがらなかったが、それでも本当に小さい頃には
膝枕などしてもらったものだ。
(父上、父上は達者でおられるじゃろうか……)
ふと思い浮かんだ父の影に、一瞬目の前の事を忘れていた。
──それがいけなかったのかもしれない。
両肩にぐっと力がかかり、少女はそのまま後ろへと倒れ込んでしまった。
「もっ、元就殿?」
「痛くは無かったかい?」
「はあ、少し頭が……それより何を?」
正座の状態からそのまま後ろに倒れてしまったので、足が苦しい。にも拘わらず、元就は
上にのしかかってきたのだ。武術を学ぶ為に体の柔軟さには自信があるが、さすがに厳しい。
「一体どうされたのじゃ? 体調が優れぬのなら誰か人を……んぐ」
元就は両手で少女の口を塞いた。少女は目をぱちくりとさせる。
「これも勉強だよ。一人で出来る遊びだ。退屈な時の暇潰しにはもってこいのね」
「むむーっ? むがむぐー」
「最初は恥ずかしいかもしれないが、まあ耐えられる範囲さ。私も手伝うしね」
さも満足といった感じでため息をつく元就に全く抵抗せず、少女はただ大人しく
従っていた。だが足が苦しいので、それだけはなんとかして欲しかったのだが、如何せん
口が塞がれていては伝える事も出来ない。
「声を上げられると困るから、先に口は塞がせて貰うよ」
元就は自分の帯を解き丸めて少女の口に突っ込むと、今度は少女の着物の帯を解き、
胸元をはだけさせる。あまりの事に少女は抵抗しようと試してみるが、足が完全に
使えない上に無理に動くと太股が痛い。
「もごもが、もが、もごもご!」
「うーん、さすがに何を言っているかは分からないなぁ」
仕方なく喋ってみたが、やはり伝わらなかった。
元就は少女の白い胸元に顔を近づけ、すんと息を吸い込んだ。
湯浴みを済ませた後なのだろう、やわらかい香りが鼻孔に広がった。
さすがにこの程度で陽物が反応する事はないが、元就はなんとなく懐かしい気分を
味わっていた。
「むむー、むむがむむー」
「恥ずかしがる事はないさ。とてもきれいで瑞々しい肌だ」
「むがっ! むむむぐぐ……」
ひょいと顔を上げると、少女は頬を赤らめて明後日の方向を向いていた。よほど恥ずかしいに
違いない。
このまま色々と教え込みたい衝動に駆られたが、直後、それは自分の役目ではない事に
思い当たった。そんな事は当然の事なのだが、人間の欲望・衝動というものは恐ろしいもので、
そんな当然の事すら忘れてしまうのである。
(いやいや、うっかり身も心もぼろぼろにして自分好みに調教してしまうところだった。
これからは気を付けないと)
さすがの謀神も、寄る年波には勝てないらしい。
一つ深呼吸をして気持ちを落ち着けると、太股に軽くかかっていただけの着物を完全に
はがしてしまう。無毛の恥部が丸見えになり、さすがの少女も我関せずでいられる場合ではないと
思ったのか、上体を起こそうとぴょこぴょこと跳ねる。
「こらこら、抵抗しちゃいけないよ。痛いのは嫌だろう?」
「んむ!?」
「私だって女性を傷つける趣味は持ち合わせていないし、大人しくしていてくれると
嬉しいんだけどなぁ」
「うむうーー……」
腑に落ちないのだろうが、痛いのはもっと嫌なのだろう。
とりあえず体の動きは止まったが、少女は眉根を寄せ、不服そうな顔をしている。
「さて、これからが本番だよ。慣れない内は辛く感じるかもしれないが、きっと良くなるから、
それまでは耐えて欲しい。もし耐えきれないなら、抵抗してくれて構わないからね」
こくり、と頷く少女は、やはり素直なのだ。元就は不憫に思った。
聡明で根がまっすぐな人間は、所謂『世の中』を知るにつれて生きにくくなっていく。
世の中の汚い部分を見る度に自分の中にある正義と折り合いがつけられなくなっていき、
いつか心の拠り所を失ってしまうだろう。だがそれが『世の中』というものであり、
自分の友人も兄弟も親も、そうやって生きてきた事に絶望するのである。裏切られたと
感じながらも人を責める事が出来ず、自分を責め、それでもどこか染まりきる事が出来ない……。
いつか彼女がそうなってしまった時に、何か確たる拠り所を得る事が出来るようにと、
元就は祈った。
(良い伴侶を得られるのが、一番いいんだけどね)
だが、それは元就に関わる事ではない。
気を取り直し、元就は手のひらのやわらかい所で少女の恥部を覆った。
「んっ」
ぴくんと腹に力がこもったのを確認すると、元就はそこをゆっくりと撫で始めた。
「うっ、ん……む、むぐ……」
敷布団を握りしめ、刺激に耐える少女。
ぴくん、ぴくん、と体が小刻みに揺れるのを見て、元就は極力優しく語りかける。
「痛くはないかい?」
少女が首を横に振る。
「じゃあ、くすぐったい?」
しばらく迷っていたようだが、彼女はまたも首を横に振った。
「うーん、これはどうかな?」
元就は撫でるのをやめ、軽く押すようにして恥部全体を揉み込んだ。
「ふうっ? んむ、ふむぅ」
鼻から息を出し始めた少女を見て、元就はぽやんと微笑んだ。
人間、上手くいけば嬉しいものだ。
「君はなかなか筋がいいね。あ、下の話ではなくてね」
「う、ん? んむ、う、ふ……」
「もう少し強くしてみよう。……どうかな? あぁ、なかなか良さそうだね」
一人で喋りながら、元就は少女の恥部を延々と弄くり回した。元就はそれ以上に
何かする訳ではなかったが、少女の足は自然と開いていった。
とろんとした声を上げるようになると、割れ目に手をかけめくってみたりする。そこには
透明な蜜が糸を引き、女芯が更なる刺激を待っていた。
「そろそろ気持ちが良くなってきたんじゃないかな?」
こくこくと何度も頷く少女は、もはや完全に元就の手に落ちていた。
早くも主導権を握った元就は嬉しそうに少女の女芯に指を近づけると、羽根のように
そっと触れてみる。
「むむううっ!」
びくん、と腰を震わせ、少女が一層強く布団を握った。
少し哀れに思えたので、元就は自分の枕を彼女の胸の上に乗せてやる。
「辛かったら、それを抱いていなさい」
「む、んむ!」
分かったのじゃ! という声が聞こえてきそうだった。そんな自分に元就は苦笑する。
そして少女を安心させるように微笑んで見せると、再度女芯へと取りかかった。
見るのも久々ならば、触れるのは更に久々だ。優先すべき事は他にあるが、せっかくの、
処女の女陰をじっくりと観察出来る機会である。元就は、可能な限り観察して好奇心を
満たすつもりだった。
「うーん、花びらは薄くて小さいね。さねは……皮は被っているけど、少し膨らんでいるかな?
この辺りは男女共通で個体差がありそうだから、一概には言えないかなぁ……」
ぶつぶつと独り言を言いながらも、指はしっかりと動いている。
皮の上からくにくにと陰核を摘むと、意外としっかりしている事が分かった。
小刻みに弾いてやると、少女の体も同じように震える。
初めてにしては慣れるのが早いような気がするが、自分の腕が良いからだと思えば
誇らしくも思えた。
「さて、そろそろ直接触ってみようか」
元就は左手を丸めて少女の大陰唇を開く。少々やりづらいが、万が一にでも爪を立てないように
という配慮である。そして残った右手を同じように丸め、人差し指の第二関節でゆっくりと包皮を
引っ張り上げていく。
「むぐ、うむむ?」
感じた事のない感触に戸惑っているのだろう。少女が不思議そうな声を上げる。
元就はぴょこんと顔を出したさねに、ゆっくりと顔を近づけていった。そして口を開けると、
舌先でさねに直接触れた。
「ふうあっ!!」
目を大きく見開き、少女はびくんと体を震わせた。しかし元就は構わず、またも彼女の
最も敏感な場所に舌を触れさせる。
「うっあ……っ!」
今度は、それほど反応が大きくない。元就は少女の様子を窺いながら、何度も何度も舌を
触れるだけの愛撫を繰り返した。痛くないぎりぎりのところで加減をするのは、斥候で
敵に見つからないぎりぎりのところまで近付く感覚に似ている。
「む、ふ……む、う、ふむ……っ」
少し強めに押してみたり、触れさせたまま動かしてみたりする内に、少女はすっかり陰核への
刺激に慣れたようだった。自分の心地良い程度の刺激を得られるように、腰を浮かせたり
足の位置を変えたりしている。
それに合わせて自分でも調整をしていた元就だったが、ふと、舌をしまい顔を上げてしまった。
心地良い刺激を急に得られなくなった少女は、素直に続きを求め始める。だが、自分で
足を擦り合わせてみても腰を振ってみても、思うような快楽は得られない。
「むむー? もぐもがー?」
問いかけても、元就は答えない。
部屋の灯りはとっくに消えてしまっていて、互いに表情を見る事は出来なくなっていた。
衣擦れの音と風の音だけがかすかに聞こえた、その刹那。
「ひゅぐぅっ!!」
突如、少女が一際声を上げた。元就が、小さなとば口に親指を押し付けたのだ。
元就は少女の悲鳴など聞こえていないかように、蜜をすくい取るようにしてそのままぐりぐりと
こねくり回し始めた。驚きのせいか、周囲を濡らしていた蜜が乾き始めている。痛みを
感じさせないようにするには、源泉である入り口付近を念入りに刺激するしかない。
元就は、少女が新たな慣れるまで辛抱強く指での愛撫を続けた。
うっかり入り込んでしまいそうな程押し込まれる事もあるが、決して中には入ってこない……
少女は次第にこの感覚にも慣れ始め、自分の秘所が再度潤っていくのを感じていた。
元就の触れ方は優しく、決して性急な所がない。常に冷静で落ち着きがあり、自分を
良く見てくれているように感じられる。今まで無意識の内に感じ取っていた安心感を、
少女ははっきりと意識する事が出来た。
(元就殿は、絶対にひどい事をしたりしないのじゃ!
元就殿に任せていれば、きっと全部大丈夫なのじゃ……)
きゅっと枕を抱きしめ、目を閉じる。今までよりもずっと確かに、元就がくれる感覚を
受ける事が出来た。
そこが潤い始めたせいか指の動きがなめらかになり、滑ってしまうのかたまに気持ちの良い所に
当たったりする。いや、きっと、それすらも計算しての事なのだ。
少女は素直にそこへの刺激を求め、腰を突き出した。
こりゅ、とそれが元就の指で擦られる。ぴりぴりとした強い快楽がそこから全身に伝わっていき、
瞼が半分ほど降りてきてしまう。目を閉じる事もきちんと開く事も出来ず、熱にうかされているように
鼻息を漏らす。
「だいぶいい感じになってきたね。そろそろかな」
元就の声が聞こえ、少女はついに覚悟した。
まだ見た事も無い新しい扉が、開かれる予感がしていた。
「びんびんに勃起しているけど……このくらいなら平気かな?」
元就の指が、少女の気持ちの良い所を小刻みに弾き始める。
くちくちと高い水音と、少女のふーふーという激しい呼吸音だけが部屋に響いた。
少女は腰を突き出したまま、思うさまにその快楽を享受しており、元就はその様子を
満足げに見つめていた。
一度達した後に自分で快楽を得る事を覚えさせ、元就はそれで少女を帰してやる
つもりだった。元より抱くつもりなどない。もうそんな事をしたいと思うような年齢ではないし、
もし手違いがあって彼女にややが出来てしまっては可哀想だ。
「ふぅ、ふが、はふ、ふ……っ!」
少女が声を漏らし始めたのを聞き、元就は愛撫をする指に少しだけ力を込めた。
徐々に太股がつっぱって硬直していき、腰が強く押し付けられる。
やがて、声が止まった。
「……ふ、ふゃはぁぁぁっ! もが、あぐっ!」
鼻にかかったような声を聞いた後、元就は陰核にじっとりと指を押し付け、擦れない程度に
軽く指を動かし始めた。びくんびくんと腰を跳ねさせた後、少女は体をよじって元就の刺激から
逃れようとする。
「悪い悪い、達した後は辛いんだったね」
さして悪そうでもなく言って、元就は少女の体から手を引いた。
未だ刺激の余韻で体を打ち震わせている少女。口に収まりきらない帯は腕の辺りで
重なっており、口の端からは涎が垂れている。そして、股の間から溢れた体液は元就の床を
べっとりと汚していた。
こんな状況は久しく見ていない。改めて見るとなかなか壮観な眺めだった。
息が整うのを待って、元就は少女の体を起こしてやり、口の中の帯も取ってやる。
「ぷはー! やっと息が吸えるのじゃ!」
完全に塞いでいた訳ではないのだが、よほど苦しかったのだろう。
少し無理をさせたかもしれないと、深呼吸を繰り返している少女を見て元就は思った。
帯も、少女の唾液を吸ってだいぶ重くなっている。
「膝が痛いのじゃー」
「おやおや、困ったねぇ」
「足の間もべたべたするぞ。元就殿、この遊びは確かに気持ちが良いが準備が大変じゃ」
「え?」
「帯も汚れてしまうしの……」
「いやいや、それは誤解というかなんというか……あー、まぁいいか」
元就は少女の背中に回ると、自分の胸にもたれかけさせた。
「わ、わっ」
「手を貸して。……さ、足を開いて。……うん、いい子だね」
慌てる少女の手を取り、先ほど自分が愛撫していた場所に導いてやる。
左手でぱっくりと筋を開くと、粘液に濡れた粘膜が露出する。薄桃色に色づいた部分の
上の方……散々弄くり回されて赤くなってしまった陰核に、少女の指を触れさせた。
「っ!!」
びくん。大きく少女の体が震え、危うく顎に頭突きを喰らいそうになる。
が、すんでの所でそれを回避した元就は、左手を少女の秘所から離すと腰骨の辺りに
回し、そっと力を込めた。後ろから抱きかかえるような格好になったが、これなら急に
動いたりはしないだろう。
「元就殿、は、恥ずかしいのじゃ……ひゃぁっ」
「しっ。静かに」
「は、はい……いっあ、ふぁ……」
少女の指を上から押さえ、感触を覚え込ませるように陰核に押しつけさせた。
「ここに、少し固いしこりのようなものがあるだろう?」
「ふあっ、あ、はぃ」
「これをね、こうして……」
「ふっ! う、ぁああ……もと、なりどのぉぉ……」
元就の熟練した技をその身に受けながら、少女は必死に元就の言葉に耳を傾ける。
快楽に流されないように、声を上げないように。そして元就の言う事をきちんと
頭に入れなければならない。今の少女にとってはかなり難儀ではあるが、根が素直な少女は
必死に全てをこなそうとしていた。
「そうそう、君の場合はね。こうして横に弾くよりも、こう……」
「ん! ん、んん、ふ、うぁぁっ」
「ね? 縦に擦りつける方がより強い快感を得られる。あとは、えーと……あったあった。
ここに、裏筋みたいなものがあるせいだと思うんだけど、君はどう思う?」
「も、もとな、どのの……ひっ、言う、通りだと思いまするっ」
「そうかい?」
声を震わせ、まともに返事をする事すらままならない。
そうやって何度も『講義』と『実践』を繰り返し、少女はまたも絶頂の淵まで
追い上げられてしまう。
あと一息で達してしまいそうだという時、元就はふいに指を止めた。
「さて、私が教えるのはここまでだ。後は自分でやってみなさい」
上から押さえ付けていたものがなくなり、蜜にまみれた自分の指だけが秘所に残された。
「……へ?」
「いやいや、最後までしてみせてくれないと。一度達してしまうと少し間を置かなくては
ならないからね。ほら、最初に私がしてあげた時の感覚を思い出して」
「わ、分かったのじゃ……!」
疑うという事を知らぬ少女は、元就の言う通りにしてみる事にした。
大きく息を吸い込んで、同じように吐き出す。やがて目を閉じると、そっと自分の意思で
指を動かした。
「ん……っ」
ぴりっとした痛みにも似た快楽が、腰に走る。自然と腰が浮いてしまい、その分
背中に体重がかかってしまうのだが、それでも元就はしっかりと少女を支えている。
少女は安心して、元就の胸にすり寄るようにしながら拙い自慰を開始した。
「どうだい? 気持ち良いかな?」
「は、はいっ。なんだか、すごく……」
「すごく?」
「胸が……、どきどきするのじゃ」
目を開くと、元就の手が自分の下腹を抱いているのが目に入った。
そっと、空いている方の手をそれに重ねる。体の奥の方からあたたかいものが
こみ上げてきて、少女は腰がきゅうんと疼くのを感じた。
「ああ……わらわ、変、に……なってしまう……!」
「私がしたのとは違う?」
「お、おな、じ……同じ、でございま……ん」
ふに、と唇が塞がれる。よく見れば元就の手で覆われていた。
「しつこく聞いてすまなかったね。もう無理に喋らなくていい。舌を噛んでしまそうだ」
元就はそう言って笑うと、口を塞いでいる手を少女の体へと下ろす。
ほんわりと膨らんだ乳房に手を当てると、人差し指の腹でとん、とん、と頂点を
叩いた。ぷっくりと膨らんでくるのを確認すると、今度は反対側も同じようにする。
「元就、どの……もう、もう……っ」
「いいよ。我慢しないで」
「はあぁ……わらわが飛んで、飛んでしまうのじゃっ」
くちゃくちゃと粘着質な音を立てて、少女は陰核を思いっきり擦り続けた。
すらりと伸びた両足をぴんと突っ張らせ、元就の肩に頬を擦りつけ、少女は快楽の
頂点へと駆け抜けてゆく。
「ふううあ、ああ、あ……もがもごっ!」
うっとりとした吐息は、またも元就の手によって塞がれた。
しかしとろけるような表情のまま、少女はゆるゆると指を動かし余韻に浸っていた。
元就の位置からそれを確認する事は出来なかったが、達する時の動きや指を動かす
かすかな振動などは、しっかりと感じ取る事が出来ていた。