山奥にひっそりと佇む宿。
女将である老婆に一言告げて、部屋をとる頃には日が暮れていた。
都合が良いことに宿は貸し切りで、部屋はお世辞にも広いとは言えなかったが、露天風呂は立派なものだった。
「もう我慢できへん?」
早速露天風呂に向かうのだが、その途中孫市は阿国の腰に手を回す振りをして、ずっと尻を撫でていた。
最初はやり過ごしていた阿国だったが、ついにはむぎゅう、と掴まれそれにも限界がきた次第である。
「いや、いい形だと思ってな…こっちも魅力的だ」
「ひゃんっ!」
更に孫市はもう一方の手で豊満な胸を揉みしだいた。
頂きを服が擦る度、快感に阿国が腰をくねらせる。
「いやぁ、もう助平なお方…」
こうしていちゃつきながら、脱衣所へ到着した二人。
広い露天風呂に誰も居ないことを確認すると、どちらからという訳でもなく口づけを交わした。
互いの舌を啄み、孫市は阿国の衣を器用に剥がしてゆく。
徐々に露になる肌は粉雪のように白く、豊かに実った乳房は重力にまけじと、つん、と張っていた。
孫市は乳房に愛撫を施しながら、秘め所に手を伸ばす。
襦袢の中に指を滑り込ませ、すでに誇張した蕾を摘んでやれば、阿国は甲高い甘声上げた。
愛液は太腿までじっとりと濡らし、秘め所は孫一の太い指をすんなり受け止める。
ぬるり、と肉壁を引っ掻く度、阿国は指をちぎらんばかりに締め付けた。
「ん…あっ、あ、やぁ…あかん、出てまう…んっ、やああぁ!!!」
「おぉ…これはすげぇ…!」
孫一は湯浴み場に阿国の秘め所を晒すように抱え上げ、指の抽送を速める。
愛液を掻き出すようにざらついた肉壁を責め立てれば、阿国はそこが弱いらしく、何度も豪快に音を立て潮を吹いた。
「はは、汚れちまった」
「はぁ…はぁ…もう、あかん…力入らへん…」
幾度も果てた阿国の額には玉の汗がほとばしり、それを丁寧に唇で掬い取る。
阿国はぼーっとした瞳で、しかし悪童のような笑みを浮かべながら孫市を洗い場へと導いた。
「ふふっ、今度はこっちの番どす♪」
阿国は桶に溶いた石鹸を肩からかけると、座らせた孫市を抱きしめた。
「うっ、これは…すげぇ…!」
全身泡まみれになった彼女は、その豊満な乳房で孫市の身体を洗っていき、最後にはそそり立った陰茎を挟み込んだ。
そのまま上下に動かすだけでも孫市に相当な快感が来るというのに、阿国はさっきのお返しといわんばかりにありったけの閨の技で攻め立てた。
膨らんだ先端を薄桃色の頂が掠める度、その堪え難いくすぐったさに孫市の腰が跳ね上がる。
「は…ぁ、うっ!あぁ…ぅ」
「ふふっ、どうどす?うちのおっぱい気持ちええ?」
散々弄んだあと、今度は深く挟み込む。
ぷっくりと顔を出した陰茎に唾液をつつー、と流し込み、手で圧力をかければ、孫市も堪らず腰を振りはじめた。
行き場を失った陰茎を泡に濡れた柔肌が丁寧に擦り上げてゆく。
ぬちぬちと淫らな水音が風呂場に響き、二人の息も上がる。
阿国がより一層動きを早めると、孫市は胸に腰を激しく打ち付けた。
「は、う…はっ、はっ!おい、出すぞ!…」
「あっ、や…嫌っ、待って!」
孫市の興奮が最高潮に達した時、ぎゅむう、と阿国が根本をきつく摘んだ。
走っている馬が急に止まったように、孫市の身体が跳ね上がる。
「くっ…おいおい、まだからかう気か…?」
「ちゃいます…こっちにぎょうさん出してもらお思て」
くぱぁ、と覗かせた赤い果肉はだらしなく涎を垂らし、内腿まで濡らしていた。
その妖艶な姿に孫市は息を呑む。
もはや理性は崩壊しかけているが、ここは少し余裕ぶってみる。
「はは、いいのか…?そんなこと言って…」
しかし、いざ始まってしまうと理性など吹き飛んで力任せに腰を打ち付けている自分がいた。
それは彼女も同じようで、夜の闇に向かって甲高い甘声を上げている。
「あっ、やっ、あぁっ!気持ちええ!おっきいの気持ちええよ!」
「はっ、はっ、はぁっ!」
浴場にぱんっ、ぱんっ、と肉と肉がぶつかり合う音が響く。
阿国は岩に手をつき、突き出した尻に孫市が獣の体位で攻め立てていた。
湯は噴出した愛液や泡で汚れてしまったが、そんなことはどうでも良かった。
二人を包む鋭い快感。
孫市が後ろから乳房を揉みしだき、さらに深く交われば、先端がざらりとした肉壁に届く。
阿国はそこが弱いらしく、突き立てれば、孫市をちぎれんばかりに締め付け、身体を震わせる。
「ひっ、あっ!んあ!…あぁ、も、う…らめっ、らめええ!!」
阿国は幾度も果て、程なくして潮を噴きはじめる。
孫市は腕を拘束すると、さらに奥を突き立てた。
肉壁は痙攣し、入り口は既に蕩けてしまった。
激しい開閉を繰り返す秘め所は生き物のように呼吸し、それが孫市に新たに快感を産む。
力無く崩れ落ちた阿国の乳房を鷲掴みにして、湯の中でなお打ち付けれれば、阿国は何度目かわからぬ絶頂を迎える。
「くっ、そろそろ…俺も…」
「あかん…もう勘弁…うち、おかしくなってまう…ひゃあっ!」
体勢を反転させただけで、敏感な身体は顕著な反応を見せる。
お互い抱き合う形となると、阿国は首に手を回した。
孫市は彼女がだらしなく垂らした涎を啜り、唇を奪うと、渾身の力で抽送を再開する。
「く…お、出すぞっ…」
「んっ、んんぁ!んあっ、ええよっ!中に出して…中にぎょうさん出してっ!」
孫市は阿国の身体が跳ね上がるほどに突き上げ、跳ねた身体が深く交わったところでついに果てた。
刹那、どく、どく、と注ぎ込まれた白濁に阿国も果て、散々焦らしたせいか中々おさまることのない吐精に笑みを浮かべる。
「いやぁ、お腹の中熱ぅ…んっ」
孫市はその姿勢のまま口付けをした。
相当疲労したが、暫くして、へたへたと立ち上がると、まだ熱を帯びた陰茎を阿国の菊門に押し当てる。
「あれだけ言ったんだ、まだいけるよな?」
「もう…意地悪なお方…」
翌朝、鼻につく酒の臭いに目を覚ますと、やはり彼女の姿はどこにもなかった。
勿論、戦利品も跡形もなく消えていた。
机上の置き手紙には一言「おおきに」と書いてあるだけで、昨日のことは夢だったのでは、という思いさえした。
身体に残るけだるさと、頭痛と、虚しさと。
なんとも言えない感情に孫市はため息をつくと、まあいいか、といつもの楽天的な調子に戻り、再び眠りについた。
ちょうどその頃、牛車に揺られる一人の巫女と新たな男。
「ふふ、稼ぎ時どす♪」
「ん?なんか言ったか?」
「いいえ、なんも、それより…ここでお楽しみといかへん?」
戦利品を抱えながら、悪魔のように微笑む巫女に男は下品な笑みを浮かべ、一人蜘蛛の巣へ飛び込んでいった。
牛車はゆらり、ゆらりと左右に揺れながら、宿から遠く離れていく。
あとになって、孫市が城に戻ってから主君の正室に年甲斐もなく怒られたのはまた別の話。
「もうっ!死んじゃったかと思ったよ…ってその格好どうしたの!?」
「いやあ、ちょっと盗っ人に会っちまって…全部持ってかれただけだ…」
終