天王山の奪取に成功した雑賀孫市は、敵軍の戦意喪失を図る為、そして味方への信号として狼煙を上げた。
「ここまでくれば、大丈夫だ。皆、よく頑張った!」
孫市の掛け声に歓声が上がる。
相手の体勢が整っていなかった為か、単純な戦だった。
後は此処を基点として援軍を待ち、一気に攻め落とすのみ。
秀吉の策が絶大な効果を発揮した結果だった。
丁度その頃、大砲の音が響き始める。
辺り一面に火薬の匂いが立ち込めると、孫市はやっと一息つくことが出来た。
「ふぅ…一旦待機だな」
孫市が何気なく見つめた狼煙の先、朱い傘……人影…?
「何だあれ!?ってか危ねぇ!!!」
「ああぁぁれええぇぇ!!!」
叫び声がする前に孫市は走り出していた。
段々近くなる叫び声、間に合う…間に合え…!
ぼふっ
「あいたぁ…風が強うて失敗してしもた…」
「危ねぇ、何とか間に合った」
「いやぁ、これで飛んだらたいそう綺麗やと思って…」
「傘……?何してんだ!?」
「観客からおひねり貰お……ひゃぁ!」
「とりあえず逃げるぞ」
孫市は阿国を担ぎ上げ、近くの騎兵から馬を分捕った。
強引に跨がり、思い切り綱を引き、走らせる。
「このへんでいいな」
狼煙がうっすらと見え、火薬の匂いがしなくなった頃、孫市は適当に馬を繋ぐと、丁寧に阿国を下ろした。
「もう…乱暴なお方!」
その言い回しに少々腹が立ったが、孫市はすぐに戦に戻らなければならなかったので適当に流すことにした。
「ああ、悪かった。それじゃあな」
くるりと踵を返すと、突如背中に柔らかい感覚を感じる。
「待っておくれやす…こないで帰る気?」
「ほぅ、大胆なお方だ……」
阿国は後ろから抱き着くと手を回し、孫市の袴を撫でていた。
戦続きだった為に、孫市の猛々しい性欲が行き場を失っており、担いだ時に肩に当たっていた阿国の豊満な胸によって、陰茎は袴の下で既に熱を帯びていた。
「お礼させてくれへん…?」
「んっ…じゅぶ、じゅる…んぶ」
「そうだ…もっと、深く…」
孫市にも天王山で指揮を取るという責任があったのだが、そんなことはどうでも良くなっていた。
「どうせ勝ち戦だし、だいたいもう終わってんだろ…うおぉ!」
「んぷっ……もう、こっちに集中しておくれやす」
「はは、悪りぃ…うぁ、それ良い…!」
深くくわえて、喉で先端を扱きながら舌で裏筋を攻め立てる。陰嚢を揉みながら、ゆっくりと放せば、鼻に抜ける雄の臭いが阿国を高ぶらせる。
「ふふ、気持ちええ?」
「ああ、最高だ…」
阿国は嬉しそうに再び陰茎にしゃぶり付いた。
今度は唇を尖らせて上から下へ一滴も残らず吸い上げ、やがて陰嚢にたどり着くと、そこに軽く口づけを落とした。
付け根を舌でつつきながら、唾液を塗り広げ、陰嚢全体が粘液に濡れてからくわえる。
いつの間にか、阿国の指が尿道をくすぐっていた。
「んぶ…んく、ぶぶ…」
「もう出そうだ…くわえてくれ!」
ちゅぽん、と勢い良く陰嚢から口を放すと、唇を銀色の糸が伝った。
手で包み込むように扱きながら、何度も先端に口づけを落とす。
先走り汁を下唇で掬い取り、もう一方の手で陰嚢をくすぐった。
「出すぞ………」
上目遣いで先端をくわえ、程よい唇の圧迫で何度もかりに引っ掛ける。
その間も口内で舌を躍らせれば、極限まで膨張した陰茎が跳ね上がった。
「っ………!!!」
「じゅぶ、んっ…じゅる、んんっ…んんー!!!」
阿国の口内に多量の精液が注がれる。
その量に驚いた阿国が中途半端に口を放した為に、その白濁液は唇や頬、髪まで汚した。
尿道に残った分も吸い取ると、くすぐったそうに孫市が身体を震わせた。
固まりに近い精液をこくり、と飲み込むと、唇に付いた分も舐め取って見せた。
「はぁ、熱くてどろどろやぁ……ぎょうさん出して、そないに良かった?」
「ああ、良かった……かなりな…」
孫市は袴を上げ、阿国に布を渡すと、力なくその場に座った。
孫市がそんな様子だというのに、阿国は清拭きが終わると生き生きした表情で孫市を抱きしめた。
「あんな、お願いがあるんやけど…」
「何だい?」
「その…戦利品と汚れた服の代金もろてええ?」
「んな事だと思ったぜ…わかったよ。宿も探せばいいんだろ?」
「んもう……大好き♪」
日が暮れ始めていた。
二人は寄り添いながら、馬に乗ると宿を探すべく夕日に向かって走り出した。
終