長政が義兄に「妻とともに遊びに来い」と誘われて岐阜へやってきたのは、晴れた良い宵のことだった。
宴を催され、したたかに酒を呑んだ。酔い覚ましに中庭に出たのはいいが、
普段来ない広大な城で、ぶらぶらしているうちに迷ってしまった。
これはまずい、と思ったときにはもう遅く、いくつも襖と廊下が続く城内で、完全に
行くべき方角を失ってしまっている。
「宴の広間は、こちらだろうか…」
つぶやきながらいくつかの襖を開け、人を探すが、出払っているのか誰もいない。
困り果てて手近な襖をまた開けると、どうやらその部屋は、誰か女性の部屋のようだった。
どうやら女性たちの居住空間にまで来てしまったらしい。慌てて部屋を出ようとすると、
開けた襖の奥、御簾の後ろに、見覚えのある人が座っているのを見つけた。
「義姉上」
「まあ、長政」
濃姫だった。長政の義理の姉、妻のお市の兄嫁に当たる女性。
彼女も宴に参加していたのだが、席を中座していたのだ。
「これは義姉上、失礼を…」
「城に迷ったのかしら?」
「はい。それでは某は…」
ひどく動揺した長政は部屋を出ようとして、しかし思わず胸が高まるのを感じた。
御簾の奥の濃姫は、敷かれた布団の上、しどけない格好で横すわりしている。
灯りの中で、その胸元が大きく開いて、今にも零れ落ちそうな豊満な乳房が見えている。
長政は、思わず生つばを飲み込んだ。
「この城は大きいから、初めての人は迷うのよ。案内してあげるわ」
「いえ、義姉上にそのようなことはされられませぬ」
濃姫が御簾の中で立ち上がり、こちらへやって来ようとする。長政は部屋を出ようとするのだが、
意外にも濃姫の動きは素早く、御簾から出て長政の腕に身体を絡ませる。
自分の腕に濃姫の胸が当たっているのを感じると、長政は下半身が熱くなるのを覚えた。
彼は、この義姉が苦手だった。嫌いと言う意味ではない。あまりにも美しく妖艶で、
見つめていると眩しささえ覚える。
「あ、義姉上、なりませぬ」
「ふふ、かわいいのね。これくらいで」
どうやら濃姫もかなり酔っているらしい。宴を途中で抜け出したのも、酔いすぎているせいかもしれなかった。
「ねえ長政…」
「は、はい」
腕に当たる、大きく柔らかいものが長政の理性を奪おうとする。濃姫はそれを知って
わざと身体を揺さぶり、乳房の感触を充分に味合わせようとしている。
――誘惑されているのだ。
鈍い長政も、ようやく気がついた。
「あなた、ずっと前から欲しかったものがあるんじゃなくて?」
その言葉は、長政の内心を完全に見透かしていた。
初めて会った時から、長政は義姉に憧れていた。大胆な脚の露出や豊満な肉体、何よりもその艶かしさに。
お市という、この上ないほど美しく優しい妻を持ちながら、罪深いことだと分かっていながら
その憧憬を消すことは出来ず、お市と褥を共にしない夜は、こっそり自分を慰めた。
義姉をこの腕に抱いて、彼女を後ろから、前から、座りながら、立ちながら、思い切り突く。
彼女の胸に顔をうずめ、あるいは指先でこねくり回し、二人で何度も果てる。
そんな妄想をしては、城で、戦場で、彼女とめぐり合うのを心待ちにしていた。
濃姫を独り占めしている信長をねたましく思ったこともあったし、お市が
何故濃姫のような大きな乳房や尻や見事な脚を持っていないのか、残念に思うことすらあった。
もちろん、彼は妻を心から愛していたから、決して口には出さなかったけれど。
「知っているのよ。あなたが私をずっと見ていたこと」
「そ、某は…」
どう答えていいのかわからない。純真な長政は、固まってしまって動けない。
濃姫はそれを良いことに、巧みに身体をひねって、開いていた襖を閉めてしまった。
「ねえ…今なら皆宴に行って誰もいないわ。あなたの欲しかったものを手に入れることも出来るのよ」
濃姫の指が長政の顎を掴み、無理矢理引き寄せて口付ける。押し開かれた口の中に
濃姫の舌が入ってきて、鼻腔に甘いお香のかおりを嗅いだ時、長政は彼の理性が崩壊し始めるのを知った。
二人でもつれるようにして御簾の奥に入り、再び激しく口を吸う。
ただ長政の舌を受け入れるだけだったお市とは違い、濃姫は積極的に舌を絡め、
長政の口の中を探る。彼女の太ももが長政の両足の間に入り、彼の股間を挑発するかのように脚を動かされる。
「んっ…ふっ…ぅ」
その義姉の声に長政はいっそう興奮して、着物の中に手を差し入れ、ずっと憧れていた乳房に触れる。
それは長政が想像していたよりもずっと大きく、たゆん、と揺れる。
突起に触れると、濃姫の身体がぴくりと反応した。
長政は両手で二つの乳房を持ち上げると、親指で突起をいじりはじめる。
濃姫の吐息が甘くなり、長政の下帯の下では、彼のものが激しく自己を主張し始めた。
唇を離して押し倒そうとすると、その手は払われてしまった。
驚いて義姉の顔を見ると、濃姫はにっこりと笑って
「焦るのは駄目よ。さあ」
褥の上に座り、自ら着物をはだけて乳房をあらわにさせる。長政も座ると、
濃姫の胸にむしゃぶりつく。顔をうずめ、舌で突起を細かく嘗め回す。
「はっ…ぁあっ…!」
普段はけだるげな義姉の声が、嬌声に変わる。片方の乳房を口でいじり、
もう片方も指先でつまむと、濃姫は上半身をしならせる。
「あっ、ひゃぅ…っ!…ふ、よっぽど欲しかったのね…んんっ」
「義姉上、某は、某はずっと…」
「かわいいわ、長政」
胸から頭を離し、もう一度口付ける。今度は先ほどよりもずっと念入りに、奥まで
舌を這わせ、義姉の口膣を貪った。
手を伸ばして濃姫の下半身に触れようとすると、再びその手は払われる。
思わず不満げな顔をすると、濃姫は妖艶に笑った。
「大丈夫よ、可愛がってあげるわ」
長政を仰向けに寝かせ、袴を脱がせ下帯をはずすと、濃姫の脚が伸びて、
淡紅色のつま先が長政の股間をいじりはじめた。
「あっ、義姉上…!」、
思わず声を漏らすが、濃姫は動じない。すっかり硬くなって屹立する長政のもの足を使って器用にしごく。
「ずっと私にこうして欲しかったのよね、長政?」
「あ、はぁっ、義姉上…」
与えられる快感は酔いも手伝って強く、さらに濃姫が両方の脚でしごき始めると、
長政は夢を見ているような恍惚の気分に陥った。ずっと憧れていた義姉が、某にこんなに淫らなことをしてくれている。
一度でいいから触ってみたかったあの脚が、某に快感を与えてくれているとは。
ふと義姉を見ると、すっかりはだけた着物の奥、濃姫の両脚の付け根が濡れて光っているのが見える。
義姉も興奮している、と分かると長政は再び恍惚感に襲われる。脚の動きはさらに激しくなり、
両足を使って一気にしごき上げていく。
「あ、義姉上、そんなにされては…」
「もういってしまうの?まだ駄目よ」
からかうように濃姫が笑い、脚を引っ込めて
「今度はあなたの番よ。私を気持ちよくしてご覧なさい」
長政は身体を起こすと、義姉の両足をの間に顔をうずめた。
かぐわしい義姉の秘部を念入りに舐めようとしたが、その前に
見事な形をしている美しい脚に、嵐のように口付けをする。
「あなたは私の脚が好きなのね、長政」
「はい…義姉上」
正直に答えた長政の頭の上で濃姫は少し笑って、長政の頭を撫でた。
長政が秘部を舐め始めると、濃姫は身体をくねらせる。
「ひゃぁっ…!あっ、んっ…」
義姉が上半身をしならせる。既に秘部はすっかり濡れており、舌先で
紅くなっている秘部の突起を舐めると、濃姫は特に大きく反応した。
舌だけではなく指も使って愛撫すると、そこはひくひくと悦んでみせる。
唾液と愛液が混じりあい、奇妙なぬめりとなって濃姫の秘部を流れ落ちていく。
「ぁあっ…、長政、もっと、もっと舐めて…っ、そうよ、んっ、すごく良い…っ、ああっ」
濃姫は白い身体を震わせている。
舌と唇と片手で秘部を愛撫し、空いている手で義姉の脚を撫で回す。
義姉は長政が思っていたよりもずっと敏感だった。内心、大喜びだった。
「…んっ、ふう…もういいわ、長政」
義姉の声に長政が顔を上げると、義姉は「よく出来たわね。ご褒美を上げる」と囁いて
長政を仰向けに押し倒した。
仰向けになった自分の身体の上に濃姫がまたがり、最早限界まで大きくなった長政のものを
自らの秘部にあてがった。ゆっくりと義姉の中に己のものが入る。
長政は濃姫と同じに、大きく息を吐き出した。
「…はぁ、ああっ…すごいのね、長政っ…大きいわ…」
「ああ、義姉上…」
濃姫は床に手をつき、腰を大きく動かし始める。
「ああっ、あんっ、んっ、あぁんっ」
自分の体重のせいで、より深く長政と繋がる濃姫は、腰を使って動く。
さすがに慣れているらしく義姉の腰使いはとても上手だ。上下だけではなく、前後左右にも器用に動き
普段乱れない彼女が、激しく乱れ嬌声もより大きくなる。
「義姉上…っ、とても、とても気持ちいいです…っ」
長政は自分の上で揺れる義姉から伝わる快感と興奮、背徳感でおかしくなりそうだった。
零れ落ちそうなほど大きいたわわな胸が、長政の顔のすぐ前で揺れる。
思わず手を伸ばして揉みしだくと、義姉の乱れがより大きくなった。
長政は自分も下から突き上げ始める。
「ああっ…いい、長政、っひゃあん…っ!あぁっ、あっ、あんっ」
濃姫の上半身がしなる。天を見つめ髪を振り乱す濃姫は、長政の瞳に
限りなく美しく見えた。
「いやっ、だめ、いくわ、長政、あんっ、いっちゃう…!」
「義姉上、某も…某ももう…」
「長政、中に…中に出してっ…!!」
濃姫の身体がのけぞり、繋がっている部分が収縮した。身体を震わせるのと同時に、長政も達し、
濃姫の中にたっぷりと欲を注ぎ込んだ。
しばらくは、乱れた呼吸を整えるため声も出ない。ようやく濃姫が言葉を発した。
「ふふ…よかったわ。さあ長政、次はあなたの番よ」
そう濃姫が言い終わる前に、長政は濃姫の身体を抱きとめると、うつぶせにして
後ろから腰を引っ張り、自らのものを義姉の秘部にあてがった。
一度達したにも関わらず、彼のものはすぐに硬さを取り戻し、義姉の身体を必死で求めていたのだ。
「義姉上、後ろから挿れます」
律儀にそう伝えると、あとは一気に奥まで挿入する。
「はぁっ…!」
義姉の背中がびくびくと震える。一度達した濃姫の中は止め処も無く敏感になっており、
少し腰を動かすだけですぐに締め付けてくる。
とうに酔いも醒めた長政は、普段の穏やかさを忘れ去ったかのように激しく腰を打ち付ける。
「あっ、なが、ま…いや、ぁああんっ、もっと…んんっ、もっと…!」
「義姉上、義姉上っ!某は、ずっとこうしたかったのです!ずっと…ずっと、義姉上と繋がりたくて…」
繋がった部分から伝わる快感が二人をかき乱す。腕を伸ばして濃姫の乳房に触れると
義姉は顔を上げてより大きく声を漏らした。長政の腰の動きに合わせるかのように
乳房は大きく揺れ、突起をいじると義姉の声はさらに激しくなる。
「駄目、ながまさっ、あぁっ、もうイクぅ…っ、いくわっ、あぁ…んっ、だめ…!」
「義姉上、まだ駄目です。まだ…!」
義姉は既に涙を流していた。長政は一度己を引き抜くと、その義姉の身体を再び抱きしめ
今度は仰向けにして再び挿入した。
「ひぁっ…あんっ、もっと、奥、までっ…、突いて、あっ、ああっ」
義姉の腰を掴み、少し持ち上げてより深く繋がろうとする長政の金の髪をつたって汗が落ちる。
濃姫の中が激しく収縮する。濃姫は身体を大きくしならせて、最早限界のようだ。
「義姉上っ、某もいきます。中に…中に出しますっ、義姉上…!!」
その言葉を言うのが限界だった。長政と濃姫、二人は同時に果て、
長政の熱い白濁は濃姫の中に放たれた。
長い長い時間が経ったと思われたが、実はそうでもなかったらしい。
宴はまだ続いているようで、遠くから人々の笑い声がかすかに聞こえてくる。
我に返ってみると、憧れていた人とまぐわったとはいえ、興奮しすぎたと長政は照れる。
行為自体は想像以上に、というよりも長政の人生の中で最も良かったと言って良いのだが、
何か気恥ずかしい気もしていた。お市にも申し訳ないことをしてしまった。
褥の中で濃姫が囁く。二人は添い寝しながらお互いの体温を感じていた。
「長政、あなたは宴へ戻るのかしら?お市を置いてきたんでしょう」
「は…」
しかし長政はここを離れがたく感じた。今ここを去ってしまえば、二度と機会は無いかもしれない。
長政にとって理想の身体をもつ麗しい人。お市には決してないものを持つ人。
「その…義姉上」
「なぁに?」
「もう少しここにいてもかまいませぬか」
「構わないけれど、あの人にばれたら知らないわよ」
「その…」
長政は、またも己のものが硬くなるのを感じていた。褥の中で荒い呼吸を整えていた濃姫の
うなじが、この上ないほど色っぽく感じたのだ。
「その…、某のものを、義姉上の胸で…挟んでくださらぬか」
「ふふ…どうしようかしら」
濃姫の匂い袋は、枕元に置かれていた。二人の夜は、まだ続く。