残暑もようやく穏やかになった頃、出雲大社は朗報に沸いていた。  
まずは、阿国が無事に出産を終えた事。  
しかもそれが双子の女の子だったので、喜びも倍だった。  
「か…可愛い〜っ!! ほらほら、幸村様も触ってみたら?」  
「あ、あぁ…。」  
柔らかな頬にプニッと触れると、むず痒そうにして小さな手が動いた。  
幸村の頬がポッと染まる。  
 
疲労と安堵に満ちた阿国は皆の様子を見ながら微笑を浮かべ、  
まさに母親と呼ばれるに相応しい荘厳とした様相をしている。  
一方の父親といえば、部屋の片隅で仁王像の様にして直立不動を保っている。  
昨晩からの心労も祟ってか、双子との感動の  
ご対面後すぐに感極まって気を失ってしまった。  
 
「ん〜、どっちか言うたら……うち似やろか?」  
「…………」  
決して口に出さないが、一同は内心ホッとしていた。  
父親似にならなかったことが一番の朗報であることは間違い無かったのだ。  
似るのは元気だけで充分だね、とはくのいちの名言より。  
 
「あら…?」  
いやでも賑わう阿国の部屋の前を通ったのは濃姫だった。  
「あらあら、産まれたの?」  
慣れた手つきでくのいちから赤ん坊を奪い取り、鑑賞する。  
かつての城内での生活を思い出せば、濃姫にとって  
出産など珍しくもなんとも無い出来事であった。  
「だぁ……だぁ……」  
「…っ!!」  
 
「どないしたん? 怖い顔して。」  
「な、何でもないわ……」  
赤ん坊を早々に返し、濃姫は部屋を後にした。  
「?」  
 
恐ろしい剣幕で廊下をドスドスと進み、濃姫が部屋へと戻っていく。  
すれ違う神主達が進んで道を譲った程に。  
 
(嗚呼……孕むほど撃ちこまれたいわ…!!)  
 
赤ん坊を抱く中で本能がビンビンと刺激され、濃姫は激烈に欲情した。  
「そうねぇ…。」  
色っぽく顎に指を当て、さっそく射精対象を思案する。  
真田幸村。  
くのいちの警備の目が厳しく、攻防しているだけで一日が終わってしまう。  
雑賀孫市。  
相手にとって不足は無いが、濃姫にとって何かが違っていた。  
どこか自分と同じ『匂い』がして、いま一つ燃えない。  
石川五右衛門。  
百歩譲ってとも考えたが、生理的な限界感が否めなかった。  
不倫という最高に燃える状況ではあるのだが。  
旦那。  
どこにいるかも分からない。  
 
頭に浮かぶ男衆の顔全てにブブーッと×印が付き、  
「……仕方ないわね。」  
深いため息と共に、濃姫は一通の手紙をしたためた。  
 
「すみませーん…。」  
それから六日後。  
出産騒ぎも落ちついた出雲大社に、一人の来客が現れた。  
「はいなぁ。」  
もうすっかり元気になった阿国が門へと向かう。  
「いやぁ、蘭丸様やおまへんか? お久しゅう♥」  
「あ…お久しぶりです!」  
「よぅ来やったどすなぁ。…遊びに来はったん?」  
「それは――」  
 
「あら、来たわね…。」  
腕組みをしながら、かつての主君も出迎えにきた。  
「姫君様!!」  
「遅いじゃないの…まったく。」  
「遅い、じゃないですよ! 今までどれだけ大変だったか!!」  
「何が?」  
「あれから、天下がどうなったかご存知なのですか!?」  
「…………」  
二、三度目をパチクリさせ、ポンと手を叩く。  
「そういえば、そんな事すっかり忘れてたわね。」  
「やっぱり…。」  
「で、どうなったのよ。」  
会話に没頭する二人の背中を阿国は押し、居間へと導いた。  
「お父ちゃ〜ん! お茶の準備や!」  
「合点っス!」  
 
いつの間にか一人二人と居間に集まり、蘭丸の話に耳を傾けていた。  
事情はともかくとしても、一度は時代の中心となって戦ってきた  
者達である以上、なんだかんだでその後の話が聞きたかったのだ。  
 
「まず、天下はまだバラバラです。」  
「あら、そうなの?」  
「信玄公と謙信公は何があったのか引き篭もりになったそうで。」  
阿国のせいである。  
「光秀様も服部半蔵殿との死闘の末重症になりまして。お互い現在療養中です。」  
これも阿国のせいである。  
「伊達政宗公も傷心旅行に出るとかで。」  
もちろん阿国のせいである。  
「それになにより信長様が行方不明になりましたから……」  
蘭丸の視線が疑惑を乗せて濃姫に移る。  
それに対して濃姫はうっすらと笑みを浮かべただけだった。  
「……諸侯も皆、毒気を抜かれたようにして各国へと帰っていきました。」  
「なんや色々あったんやねぇ、お父ちゃん?」  
「そうみたいっスねぇ。」  
ある意味で日本を戦乱から救った巫女は、自分の偉業など知るよしも無かった。  
のん気に夫婦でせんべいなどかじっている。  
 
 
「姫君様!!」  
「何よ…怖い顔しちゃって。」  
談話も終わり、蘭丸は濃姫に連れられた客室に居た。  
「本当に…本当に信長様をご存知ないのですか?」  
「うふふ……知りたい?」  
「知り……やはり何かご存知なのですね!?」  
「そうねぇ…。でも、何階かは分からないのよ。」  
困った様な表情はしているものの、心底からではないのは明らかだった。  
 
「か、階…?」  
「でももういいじゃない。戦も終わったのでしょう?」  
「しかし私の主君ですし、なにより姫君様の――」  
「いいのよ。あんな馬鹿。」  
濃姫の眉間が龍の様に歪んでいる。  
それ以上、蘭丸は何も言えなかった。  
 
まさにその時。  
ここは日本のどこかにあるという無限城。  
 
かつてのとある戦場で、信長はどさくさに紛れて阿国に手を出した。  
それが発覚して濃姫の逆鱗に触れ、無限城の地下二百階に全裸でブチ込まれた。  
長い旅路を終えてようやく希望の持てる階にまで上がってきたのだが、  
「待! 止! 曹操!!」  
「ふっ……人違い、か。」  
今は大男に追いかけられていた。  
戟を振り回せば恐ろしく強く、中国人なのか言葉も通じない。  
自分を曹操と呼ぶその大男は、何か恨みでもあるのか執拗に追ってくる。  
「ふっ……泣きそう、だ。」  
信長が地上に戻るのは当分先のようである。  
 
 
「まぁ、いいのいいの。」  
「はぁ…。」  
「それより、蘭丸をここに呼んだのには訳があるの。」  
「何でしょう?」  
淡々とした蘭丸の反応に、濃姫の口端が妖しく上がった。  
 
顎をそっと摘まみ、顔を近づける。  
「薄々分かっていたんじゃないの…?」  
「な…何の事か、分かりません。」  
いつの間にか両腕が絡みつき、鼻先が触れ合う程に密着している。  
「本当に?…本当に何の期待もせずに…?」  
ゴクッと大きく喉元が動き、蘭丸の体が身震う。  
なぜか目線を逸らせない。  
「久しぶりに可愛がってあげるわ…。」  
意味深な発言を残して濃姫が後ろ手で障子を閉めると、  
夕日の差し込めていた室内が一気に暗くなった。  
 
「ふふ……相変わらず綺麗な体ねぇ…。」  
どっかりと椅子に腰掛ける濃姫の前に、蘭丸は全裸で立たされていた。  
決して屈強ではないが、華奢でもない絶妙の肉体。  
女性のように丸みを帯びつつも、そこに秘められた鋼のような筋肉。  
透けそうに白い体の中で、顔面だけが羞恥心で朱に染まっている。  
「ひ…姫君様……」  
まるで初夜を迎えた少女の様にして股間を隠す蘭丸。  
しかし、主人はそれを許さなかった。  
「手をどけなさい。」  
「…………」  
泣く泣く両手をずらせば、そこには五分起ちの陰茎があった。  
肌と同じく白く汚れていない一方で、ムクムクと充血しつつある  
その様相は蘭丸が男性であることを証明するのに充分だった。  
「あら…。さっきの綺麗事は何だったのかしら?」  
組んだ脚からすらりと伸びる足の甲がそれを下から掬う。  
 
小刻みに脚を揺らせば足の甲と陰茎が打ちつけ合い、ペチペチと音を立てた。  
「んうぅっ!!」  
蘭丸の眉が歪む。  
「ほら…ほら…。」  
「んっ!…ん……ぃあっ!」  
陰茎をこれでもかと振り上げれば、さらに大きく甲高い音が鳴る。  
強すぎる刺激が逆に痛みに近い感覚を促し、蘭丸はたまらず腰を引くと  
濃姫はよろめいたその隙を見逃さず、くるぶしに足を引っかけて彼を押し倒した。  
 
とはいえ、そのまま二人は絡み合ったわけではなかった。  
「あっ…!!」  
濃姫は倒れる蘭丸を腰から掬い上げ、折り曲げるような体位にした。  
陰部どころか肛門までもが露わにされ、天井に向かされている。  
「あらあら……恥ずかしい格好…。」  
「お、おやめくださいっ、姫君様!!」  
「そういえばここに着いたばっかりだったわね…。」  
クンクンと濃姫の鼻が微かに動く。  
長旅を終えたばかりの股間は、たとえ蘭丸といえども蒸れた香りに満ちていた。  
「蒸れてすごい匂い…。」  
軽蔑した視線が蘭丸に突き刺さる。  
もう紅潮しきったその顔からは分からないが、蘭丸は顔面が熱くなるのを感じた。  
自分が女性のような風貌であるのは重々分かっている。  
それ故に自分を女っぽいと言われる事には慣れているものの、  
このように汚らしい表現をされる事には過度の恥辱を感じた。  
「…こっ…こんなのっ……」  
「ほら、見てなさい……」  
淫らにうねる舌先が陰嚢に近づいていく。  
 
「ぅあぁッ!!」  
レロンと一舐めすれば、陰嚢が大きく上下した。  
背筋を走る刺激に、蘭丸が大きく腰を跳ねさせる。  
 
袋の付け根までをも執拗に舐り倒し、濃姫は続いて薄皮を唇で甘噛みして  
音を立てて吸いつき、そのまま強く吸引して片方をポコンと丸飲みにした。  
「んあんっ!!」  
「んぷ………なんて声出してるのよ…。」  
「で、でもっ…!」  
言い訳など聞く耳持たず、もう片方を咥え込む。  
「んうぅっ!!」  
ポチュッ、ポチュンと咥えては引っ張って離しを繰り返し、  
陰嚢が開放されるたびに蘭丸は腰を震わせ喘ぎ声を漏らした。  
 
汗ばんだ陰嚢の味をたっぷりと堪能した後、濃姫の舌は  
ねちっこく蠢きながら蟻道を沿って肛門に向かった。  
「そ、そこは…!!」  
「あんたの一番臭くて汚らしいところよ。」  
のたうつ舌が触れる。  
「あッ!…ア…ッ!!」  
ほじる様にして肛門を舐ると、目の前の陰嚢が急速に伸縮していく。  
先程よりも一段と大きく鳴き叫ぶ蘭丸を見下ろし、濃姫は機を伺っていた。  
蘭丸を陥落させる好機を。  
 
試しに幾度か竿をしごいてみると、  
「あッ…んっ!」  
その亀頭には驚くほどの先走った液体が溜まっている事を発見した。  
先に滲み出たものは腹に垂れ落ち、糸を引いている。  
 
膝の裏を抑えて痴態を保たせていた手を離して蘭丸を寝そべらせると、  
今にも爆発しそうな勃起をシュコシュコとしごきながら顔を近づけた。  
散々背徳的な快楽に浸らせられ、半泣きで  
呆けた表情に濃姫もたまらず鼓動を速める。  
「ねぇ…イキたい?」  
絶妙な手さばきながら決して放出はさせずに尋ねる。  
「どうなの…?」  
汗と涙に湿る頬にレェ…と舌を這わせる。  
 
「…………」  
快感に震えながら、ほんの僅かに蘭丸の顎が上下した。  
「わたしのこと、好き?」  
「…えぇ!?」  
「好きって言ったらイカせてあげるわ。しかも口で。」  
口を開き、口腔内を見せつける。  
「そ…んな……」  
「あら、いいのよ。このまま出させてあげても。……でもいいの?  
 どうせイカせてもらえるのなら、温かい口の中でイキたくない?」  
「…………」  
「このまま虚しく手で出すか、わたしの口で受けとめてもらうか…。」  
しごく速度が遅くなり、蘭丸はまたも射精できない苦痛に身を歪めた。  
 
「全部飲んであげるわ。その後も奥の分まで吸い出してあげる。」  
「お…ねが……」  
「なぁに?」  
理性と本能の衝突が限界になり、蘭丸は顔をクシャクシャにしながら累々と涙を流す。  
「おねがい…します……」  
 
「どうして欲しいの? はっきりお言い。」  
しごく速度がまた速くなる。  
「イっ…キたいです…!」  
「わたしのこと――」  
「好きです! 大好きですッ!! だから…だからぁッ!!」  
蘭丸の中で、何かがふっ切れた。  
「いい子ね……」  
額にチュッとご褒美の接吻を残し、濃姫は体を反転させた。  
 
我慢すべく溢れた液体と我慢できずに滲み出た液体が  
混ざり濡れ光る勃起を、濃姫は約束通り咥え込んだ。  
「はあぁんっ!!」  
温かく滑った口腔内に囚われ、悲鳴に似た呻き声が挙がる。  
股間で堰が切れる独特の感覚。  
「もう…もうッ!!」  
無意識に腰を振り、濃姫の唇を激しく蹂躙する。  
「…あ…ぶぁ……んっぶッ……んぐっ………」  
「あっ!!…い……いっ、イっちゃ…ます……イキますッ!!!」  
大きく腰を浮かせて根元までも濃姫の口内に穿つと  
同時に、熱い精液が一気に管を駆け抜けていった。  
 
流石は歴戦の猛者、濃姫だった。  
喉奥に直接精を放たれても、ただ小さく呻くのみ。  
時折喉を大きく動かして次々と精を飲み干していった。  
それよりも何より濃姫が驚いたのは、その量だった。  
勢い良く放出された後にトクトクと溢れ出てくる量が半端ではなく、  
濃姫は吸い出すどころか嚥下することにかかりっきりだった。  
 
「は…あぁっ……」  
長かった射精もようやく終わり、蘭丸の体から力が抜ける。  
跳ねに跳ねた勃起は今は口内で清められ、尿道に残る分も吸い出されていた。  
 
「まったく……どれだけ出せば気が済むのよ…。」  
まだそそり立つ裏筋に指を這わせれば、面白いように蘭丸は体を跳ねさせた。  
「すっ…みま…せ……」  
「でも、良かったでしょう?」  
「……はい。」  
「それじゃあ次はわたしの番よね?」  
「ぅえぇっ!?」  
倒れたままの蘭丸の顔上に跨り、濃姫は徐々に腰を降ろしていく。  
「さぁ……お舐め。」  
自ら着物の裾を捲くると、蘭丸は眼前に広がる光景に目を疑った。  
今にも湯気が立ちそうなほどの蒸れた熱気と甘酸っぱい香り。  
そして太腿を伝い糸を引きながら滴り落ちている数多の汁。  
それは、失禁しているのかと疑うほどだった。  
「う…わ……」  
濃姫も精を飲み干し興奮し出したのか、顔をやや紅潮させ  
余裕の笑みの中にも動揺を隠しきれていない様子である。  
「ふふ……さぁ、お舐め。さぁ!」  
腰を降ろして無理矢理陰部を押し付ける。  
「ぶぐッ!!」  
「は…あぁ…♥」  
蘭丸の口元が一気にヌルヌルになり、口内へと次々に  
流れ込んでくる媚薬に酩酊のような状態となった。  
 
「ほらほら、しっかりお飲み。」  
自ら陰核を摘まみ、好きに弄って自由自在に愛液を溢れさせる。  
このまま小をしてやろうかと考えたが、さすがにそれは自重した。  
「ん…ぶ…!」  
「あはは、ほらほら!」  
「んぐっ! んん゛っーー!!」  
「し…舌を……舌を使いなさいっ!」  
「むぐ…。」  
「はあぁ…んっ…!!」  
 
乱暴な乗り手の命令にも、蘭丸は従順に従った。  
吸えと言われれば吸い、綺麗にしろと言われれば太腿の裏側まで丹念に舐る。  
もう躊躇する素振りさえもしなかった。  
「中も…中もしゃぶってぇ……」  
蘭丸の舌が秘唇を掻き分け、ニュクニュクとした膣内に潜り込む。  
「はあぁんっ…!!」  
上下左右と膣内を掻き分け、強烈な吸引の後に陰核を噛んだ。  
「んひィっ!!」  
ガグンッと身震いさせ、濃姫は蘭丸の顔面に勢い良く潮を吹かせた。  
遠めに見れば、まるで蘭丸が便器のように。  
 
休む間もなく、次に蘭丸は体中への接吻を命じられた。  
丁寧に着物を脱がせて横たわらせ、  
「失礼します…。」  
その豊満な肉体の上に覆い被さった。  
首筋から耳元まで丁寧に口づけを重ね、そこから胸元に下っていく。  
 
上向きに寝ても形を崩さない良質な乳房をみっしりと揉み、丹念に舐り出す。  
「ふふ……ちゃんと順番を覚えてるのね…。いい子……」  
よしよしと頭を撫でられ抱き締められると、  
蘭丸はその谷間に強く顔を埋められた。  
「むぐ…!」  
息苦しいものの、両頬で弾む絶品の乳房が心地良かった。  
 
腋、腰と徐々に下っていき、太腿やふくらはぎを越えて足に至る。  
「嗚呼…いい子ねぇ…。」  
貴重品の様に丁寧に足を持ち、丹念に指々をしゃぶっていく。  
 
散々奉仕させて満足した後、濃姫がいらっしゃいと言わんばかりに  
両手を広げると、蘭丸も吸いこまれるようにして懐に入っていった。  
「ねぇ……入れたい?」  
若干の間はあったものの、もう本能の赴くままに蘭丸は頷いた。  
「わたしのこと、どうなの?」  
「は…はい。…好きです。」  
ここに濃姫の妙技が隠されていた。  
何回も相手に『好き』と言わせることで、思考を破壊するのである。  
「ちゃんとお呼び。」  
「姫君さ――」  
「お濃って言って。」  
「いぃっ!?」  
「いいから。」  
モジモジと蘭丸の視線が目と胸の谷間を行き来し、  
「お…オ、お濃が…好きです…。」  
結局は素直に従った。  
 
よくよく考えれば、こんな台詞を蘭丸が言うわけが無い。  
「嗚呼っ…呼んでよかった…!!」  
濃姫は満ちていく征服感と可愛い犬を得た幸福感に感無量だった。  
だが、まだ完璧に満たされていない感情があった。性欲である。  
 
「さぁ……いくわよ?」  
またギンギンに張り詰めた蘭丸を握りしめ、濃姫は腰を沈めていく。  
「うわっ……わぁっ…わあぁっ!!」  
「…んふぅ……大き…いッ…!!」  
貫かれる快感と包み込まれる快感に、互いにゾクゾクと感じ合う。  
「ふ、ふふ……どう?……久しぶりの…わたしの膣内は……?」  
騎上から蘭丸を見下ろし、胸板に手を添える。  
「すっ…すごっ……熱…あぁっ!!」  
ニュルニュルとした肉襞が愛液を乗せて満遍なく絡み、  
秘唇は喰い千切らんばかりに根元を締めつけ離さない。  
 
さっきの問題発言も、蘭丸の耳には届いていなかった。  
そう、濃姫は以前にも蘭丸に手を出していた。  
自分の浮気は良いくせに、旦那の浮気は許さない。それが濃姫である。  
 
もちろんのこと、乗り手から腰を動かし始める。  
しかしここで驚くべき事態が起こっていた。  
あまりの締め付けと吸引に、濃姫が尻を上げるたびに蘭丸の腰が浮いたのだ。  
「う…わっ!……わっ!……あぁっ!!……」  
「ほ…ら……あんたも…しっかりなさい…!」  
強烈な快感に驚くばかりの蘭丸の胸板をペチペチと叩き、律動を促す。  
「は…い……」  
 
蘭丸の突き上げに合わせて濃姫が尻を振れば、たっぷり  
大きめの乳房がタパタパと音を立てんばかりに上下する。  
「あ…はぁん……ん……い…いいわぁっ…!」  
蘭丸の調子を越え、濃姫の腰使いが一層激しくなっていく。  
コリコリに尖った桜色の乳首が、残像を残して世話しなく踊った。  
「…う…うわっ……うあぁっ!」  
深く結合するたびに溢れた愛液がピッ、ピッと  
飛沫をあげ、次々に辺りに飛び散っていく。  
 
腰に添えられた蘭丸の手を乳房に導き、濃姫はさらなる刺激を求めた。  
蘭丸も突き上げを止め、掌一杯に溢れる乳肉を揉む。  
指の間に乳首を挟み、円を描くようにして調子良く。  
「はんっ!!……もっと…もっとぉ……」  
「は、はい…。」  
握力の限りに乳肉を握り潰し、ギュムギュムと揉みくちゃにする。  
「痛ぁっ…!!」  
苦痛に眉をしかめながらも、濃姫の口は笑みを浮かべていた。  
お返しとばかりに蘭丸の陰嚢を後ろ手に握る。  
「あっん…!!」  
 
「蘭丸…おいで……」  
両手を広げて蘭丸を迎え、対面座位で二人は自然と唇を貪り合った。  
舌と舌とが淫らに絡み、互いの唾液を混ぜ合い飲み干し合う。  
そんな中でも濃姫は腰を回転させ、甘ったるい刺激を分け合った。  
「まだまだいけるでしょ…?」  
そう言うと濃姫は結合を解いて四つん這いとなり、蘭丸に尻を見せつけた。  
 
 
パン、パンッ!スパン!パンッ!!  
「はぁんっ!!…あっ、ひっ、はぁんっ!!」  
 
部屋に鳴り響く、肉と肉のぶつかり合う淫靡な音。  
さっきまでの結合と打って変わり、今は激しいものとなっていた。  
蘭丸の強靭な筋肉がしなり、息もつかせぬ程に濃姫を撃つ。  
「もっとぉ……もっ…とぉんっ!!」  
穿つ方向を平行から斜め上に意識し、腰ごと突き上げるようにする。  
「ぃあんっ!!…そっ…それ……それぇっ!!…いいんっ!!」  
濃姫の『良い』という言葉に、蘭丸は至極の嬉しさを感じた。  
蘭丸の調教が完了段階に入った証拠だった。  
 
…プジュッ!……グプッ……ブリュッ!!……ブシュッ……  
「はッ…あんっ!!……あん!…あぁんっ!!……んんッ!!……」  
 
速度は劣るものの、一撃一撃に力の込もった攻撃に  
濃姫の喘ぎも悩ましく艶かしいものに変わっていく。  
 
(確か……)  
蘭丸は以前この体位でするように言われた事を思い出した。  
濃姫の下腹部に手を回し、ビンビンの肉芽を摘む。  
「んヒぃッ!!」  
ガクッと濃姫の体から力が抜け、踏ん張っていた腕から陥落した。  
陰核がどれほどの刺激をもたらすかも知らず、蘭丸は力一杯指でこね回す。  
「んひッ…ギ……だ…めぇっ!……ひっ、ひぃっ!…ひぃーッ!!」  
「姫君様……姫君様っ!!」  
強引すぎる絶頂の嵐に、ぐったりと尻だけを  
突き出す濃姫に対し蘭丸は律動を再開させる。  
 
「ちょっ…お待…ち……はぁっ!!…待っ…待…ってぇ……はあぁんっ!!」  
しかし先程よりも締まりが増した上に今の状態では穿ちにくいので、  
蘭丸は濃姫の片足を担いで半ば交叉するような体位に移行した。  
「んんっ…!」  
太腿を抱いて体を固定し、無心で貫き出す。  
一層結合が深くなり、濃姫は悲鳴混じりの喘ぎを発するのみ。  
 
(こ…今度は加減ってものを仕込まなきゃ…ね……)  
 
霞れゆく意識の中で、濃姫は調教の至らなさを反省する。  
だが、これはこれで良いという意識も恍惚としたその表情に出ていた。  
「はんっ!……ひんっ!……はっ、ひぃっ!……あ…あぁっ…!!」  
目の前のふくらはぎをしゃぶりながら、蘭丸の律動が最高潮に速まる。  
二人の絶頂が急速に近づいていた。  
「姫君様……姫君様……姫君様……」  
呪文の様に呟きながら、無我夢中で腰を振る。  
「…あっ…イっ……もっ…もうっ…もうだめぇんッ…!!」  
食い込まんばかりに自分の乳房を揉みしだき、  
濃姫はだらしなく口元に涎を溢れさせる。  
「姫君様……姫君様!」  
「い…クッ……あっ、ああっ!!…いッ…いっちゃうぅっ!!!」  
「あ…うぁ…あぁっ!……ひっ…ひめっ…姫君様ぁっ!!!」  
思いきり突き込まれた蘭丸の腰が激しく弾み、  
濃姫の美脚もそれぞれ思いきり伸びて痙攣した。  
 
息を切らせながら、ぐったりと抱き合う二人。  
「…蘭丸……よかったでしょう…?」  
「はい…。」  
濃姫の豊乳に顔を埋め、蘭丸の表情も満足感で一杯となっていた。  
緩やかに髪を撫でられ、さらに幸福感も増す。  
「ん………ふふ…たくさん出したのねぇ…。」  
秘唇からはトクトクと白濁液が垂れ落ち、畳に染みていく。  
さらに二人の結合部周辺は真っ白に汚れ、その射精の凄まじさを物語っていた。  
「すみません…。」  
「いいのよ。わたしも嬉しかったわ。」  
見上げれば、見た事も無いほどに優しく微笑んでいる濃姫の笑顔。  
蘭丸も心から嬉しく思い、笑顔を――  
「わたし、今日危険日なのよねぇ。」  
シャアァッと毒蛇の様な妖しいその微笑みに、蘭丸の笑顔は固まった。  
「これからも、よろしく頼むわね?」  
「…………」  
「返事は?」  
「………は…い。」  
「嬉しい?」  
「大変…光栄です。」  
「そうよねぇ。いい子いい子。」  
毒蛇に体中を雁字搦めされた感覚。  
もう一度見上げると毒蛇は腹一杯なのか、もう眠りについていた。  
幸せそうに眠る一見清純なその寝顔を見て、  
 
(…ま、いいや……。)  
 
と蘭丸は前向きに考えることにし、ポフッと谷間に顔を埋めて眠りについた。  
嫌ではないし、なんとなくこうなる事も薄々感じていたのだろう。  
 
 
後日、一同が茶を楽しむ穏やかな午後。  
「はいは〜い、みんな注目〜!」  
突如くのいちが幸村の腕を組んで皆の注意を引いた。  
「どないしたん?」  
「おっほん。…あたし、おめでたでーす!!」  
「ほ、ほんまに!?」  
「うん。オエーッてやつ、来たもん♥」  
フフンと得意げに濃姫を睨み、散々幸村に毒牙を  
かけようとしてきた宿敵の第一声を待つ。  
濃姫も珍しく目を点にしているだけに、くのいちは勝利を確信した。だが――  
「ふ…ふふっ……ふふふ……」  
「な、なにが可笑しいのよぉっ!!」  
「あぁ〜ら、偶然ねぇ。」  
「えっ?」  
俯く蘭丸の顔が一気に紅潮する。  
 
「わたしもだっつーーの!!!」  
 
「にゃにーーーーッ!?」  
御美足を晒し、濃姫はバーン!!と畳を踏みつけた。  
本当に飛びあがって驚くくのいち。  
「おぉーーーっほっほっほ!!」  
「ムギギギギ…!!」  
「ん?…でも、相手は誰なん?」  
幸村を見る。  
「ち、違いますよ!」  
「そうやんなぁ。」  
 
ハッと気付いて急ぎ五右衛門を見る。  
「ま…まさかお父ちゃんっ!?」  
「じ、冗談じゃあねぇっス!!!」  
「そうやんなぁ。」  
残るは俯く一人。  
「まさか…蘭丸様どすか!?」  
「実は…。……はい。」  
誰でもすぐに分かりそうな結論に、阿国はようやく辿りついた。  
「なんやぁ。やるやんかぁ♥」  
「幸せになりましょうねぇ、蘭丸。」  
「は、はい!」  
ベッタリと蘭丸に抱きつき、フフンとくのいちを鼻で笑う。  
「あ、あたし達も幸せになるもんねーーーっだ!!…ね、幸村様!?」  
「お、おい!…苦しいって…!!」  
「お父ちゃん、負けてられへんで!」  
「合点!」  
 
一人の巫女がもたらした、かけがえの無い安息の日々。  
その後も出雲大社は末永く平穏な暮らしが続いたという。  
 
                             阿国勧進放浪記    完  
 
―― 後日談 〜十ヶ月後〜 ――  
「へっへーーんだ! あたしも阿国さんと一緒で、双子だったよーーっだ!!」  
「ふ…ふふっ……ふふふ……」  
「え?……ま、まさか……」  
「わたしなんか三つ子だっつーーの!!!」  
「にゃにーーーっ!?」  
 

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