「左近、おねね様から菓子をいただいたのだがーーー」  
俺は甘味は好まんからやる、と続くはずだったその言葉は、三成が左近の自室の障子戸を開いた途端に霧散した。  
日の光の差し込まない薄暗がりの部屋の中で、こもっていた異臭がむわっと鼻をつく。  
三成は眉をしかめ、自然と自身の目元がきつくなるのを感じた。  
彼が冷ややかに見下ろす先には、泰然とあぐらをかいて下半身をくつろげた部下と、その股間に頭をうずめる女性の姿がある。  
黙って立ち尽くす主人に気づき、左近がなんでもないかのように片手を上げた。  
女のほうは、左近の背に阻まれて入口のほうは見えない為かそれともよっぽど熱心に大筒をねぶっているのか、三成の来訪に気づいていない様子である。  
「おお、殿。これはこれは」  
「貴様、真昼間から下らんことをしているものだな」  
「下らぬことではありませんよ、左近がわけもなく殿の不興を買うようなことをするとお思いか」  
「・・・どういう意味だ」  
含みのある物言いに三成の片眉が跳ね上がると同時に、左近はなにも言わず上体をひねった。  
自然、女の姿が三成の目に入る。  
気づいた女が顔を上げると、それまで怒りで青ざめていた三成の顔がさっと赤く染まった。  
「なっ・・・ぎん・・っ」  
「三成」  
ァ千代も少し当惑した様子で、唇についた唾液とも精液ともつかぬ液体を、手の甲でぬぐった。  
よく見ると、唇以外にもその凛々しい顔に汗とは違う白濁した液が散っている。  
左近はというと、これ以上も無いというほど楽しそうににやつきながら、口を意味も無く開いたり閉じたりして動揺を隠せないでいる上司を眺めていた。  
「き・貴様ら、これはどういうーーー」  
「三成、悪いが出て行ってもらおう」  
「な」  
「立花には成し遂げなければならぬことがある。今はまだ、貴様の出る幕ではない」  
「・・・っ!」  
 
普段から同志としてお互いを認め合う仲であるァ千代に、弁解一つなくすげなく言われれば、流石に傷つく。  
さらに言えば、その相手が密かに(実のところ周知だが)淡い恋心を抱いている女性ならなおさらである。  
すっかり混乱している三成の頭では、よく考えれば疑問の残るァ千代の言葉の真意を汲むことなど無理であった。  
「邪魔をしたなっ!」  
力任せに戸を閉めようとしたのを、左近がやっとおしとどめた。  
「殿、ァ千代がこういう言い方をするのはいつものことでしょう。・・・・ァ千代、この左近を一度でもイかせたんだ、充分合格だと思うがね」  
「む・・・だが、立花はなにごとにも完全を良しとする。貴様はまだ、精力が有り余っているように見えるが」  
依然として天井にそそりたつそれを見て、ァ千代が不満そうに左近を見上げる。  
「しかし、立て続けに何度もやると顎が辛くなるだろう。本番で使えなくなるんじゃ話にならない。ね、殿」  
突然話を振られた三成はというと、状況をまったく理解できずに、戸に手をかけたまま固まってしまっている。  
「そうか・・・左近が言うのならそうなのだろう。ならば、もういいのか」  
「もちろん。ね、殿」  
「だから、なんの話を」  
再び呼ばれ左近の顔を見るや否や、ァ千代が立ち上がって三成の手を引いた。  
ドサッ、と三成の体が畳に叩きつけられる。  
「な、何をする?!」  
「特訓の成果を見せてやるのだ。貴様は大人しくしているがいい」  
言いながら三成の袴をくつろげていく。  
身をかがめると、衝撃の数々にすっかり萎えてしまっているそれを咥えた。  
突如生暖かいものに包まれる感覚に、三成は息をつめた。  
まだ少しぎこちなさの残る舌の動きで三成自身を愛撫するァ千代の姿に、展開についていけないながらも一抹の感動を覚える。  
当然三成も健全な男子なのだから、想像の中でァ千代にこういったことをさせる、ということもなかったわけではない。  
だがあまりに普段の彼女からかけ離れたそんな姿を想像するには難しく、不明瞭なイメージではおかずにするとまではいかなかった。  
が、今現実に三成のものを咥えるァ千代の姿は、想像以上に艶めかしかった。  
上から彼女を見下ろす今の体勢では、白い首筋を伝う汗が胸元の二つの丘陵へと流れる様がありありと見える。  
 
「ん・っ・ふ・・っ」  
苦しいのか、息遣いと共に時折漏れる切なげな声は常の彼女からは考えられないほどに高く、艶っぽい。  
視覚的な刺激と直接下半身に与えられている刺激とで、三成自身がァ千代の口内で大きく膨らんでいく。  
遠慮がちながらもァ千代の頭を優しく撫ではじめた三成の耳元に、左近が大真面目に語りかけた。  
「どうです殿、なかなかでしょう」  
「っ・・・左近、貴様・・・これは、どういう、ことだっ」  
「いやなに、最近の殿はずっと仕事にかかりきりだったので随分溜まっているだろうと思いまして。しかし娼妓を呼んでも殿は見向きもしませんしねえ。  
そこでァ千代に助援を願おうとしたのですが、やり方がわからぬと言うので僭越ながら私が直々に教授させていただきました」  
「下らぬことを・・・」  
「なら、左近がお相手すればよかったですかね」  
「馬鹿にしているのか・・・く・・っ!?」  
ちゅうう、と音が聞こえるほど強く先端を吸われ、緊張していた背が一気に弛む。  
次の瞬間には、青臭い白濁液がァ千代の顔に勢いよく降りかかっていた。  
久しぶりの放出感に心なし満足げに肩で息をする三成に、唇のまわりについた液を舌で舐めとりながら、ァ千代が小首をかしげて見上げた。  
「気分はどうだ?三成」  
「・・・・最悪だ」  
「やはり立花は、まだ未熟であったか・・・・」  
ァ千代がふてくされた三成の悪態を真に受けて、肩を落とす。  
それに左近は苦笑して「殿は照れているだけだ、気にしなくていい」とフォローを入れた。  
「殿、いけませんな。殿の体の為を思って懸命に奉仕してくれた女性にそんな態度では。大体、気づきませんか」  
「なにをだ」  
左近は答えず、ァ千代の後ろに回りこんで彼女の袴の紐に手をかけた。  
膝立ちだった彼女の腰から、するりと袴が落ちる。  
「左近!?」  
あらわになった太ももは、滅多に露出することのない為か白磁のように白い。  
そのまま左近はァ千代の腰に腕を回し、彼女の体をあぐらをかいた自信の膝を枕にするように仰向けにさせた。  
三成の方に向けられた秘所は、てらてらと妖しげに輝いて見えた。  
「どうやら自分も濡らしてしまったらしいですな」  
「や、やめろ・・っ」  
「・・・ほう」  
左近の言葉に慌てて膝小僧をすりあわせて頬を染めたァ千代の姿に、決して小さくは無い三成の嗜虐性があおられた。  
 
「左近、足を開け」  
「はいはい」  
「?三成!」  
ァ千代の非難の声を無視して、左近の無骨な手が彼女の両膝を掴んで足を広げさせた。  
大きくM字に開かれたまま、いくら足を閉じようとしてもびくともしない。  
しげしげと恥部を眺めまわす三成の視線に、ァ千代は唇を噛んで耐えるしかない。  
「貴様でも興奮するということがあるのだな。驚いたぞ」  
「黙れっ」  
「殿、そう苛めずに触ってあげたらどうです。ァ千代もこのままでは辛いでしょう」  
「フン」  
左近の明らかに悪戯を含んだ台詞に鼻で笑って、細い指を蜜を含んだそこへと沈ませる。  
既に大分濡れていたのだろう、思ったよりも素直に三成の指を咥えこんだァ千代の中は悦びにひくついた。  
指が中で動くたび、ぬちゃり、と粘着質な音をたてて蜜が穴から垂れ流れる。  
「ぁ・・っ・・や・・」  
たまらず漏れた声を抑えるかのように左近の足の間に顔を埋めようとするのを、左近が頬を掴んで上を向かせる。  
左近を睨みつける瞳は、心なしか潤んでいるように見えた。  
もう膝を押さえていなくとも、足は力なく開いたままである。  
ァ千代の弱点を攻める三成の正確無比な指使いに、肉を擦られる度ァ千代の腰が浮く。  
指を入れたまま手のひらで肉芽を擦ってやると、ひときわ高く啼いた。  
「ひゃ・・ぁ!」  
「立花が男の指一本にここまで乱されるとは、情けない姿だな」  
「だ、黙れ・・三成・・っ・・いい加減に・・」  
「ならば、やめてやる」  
そう言うなり、惜しげもなく指を引き抜いてしまった。  
「ふやけたな」  
指を包む卵白のような液体を拭き取るように、ァ千代の首筋につつ、と滑らせる。  
羞恥と放置された劣情とで一層顔を赤らめたァ千代を、三成は先ほど良いようにされた仕返しとばかりにさらに追い立てる。  
「左近、どうやら矜持の高い立花殿は俺のような小大名が相手では不満と見える。ここは秀吉様を呼ぶべきだろうか」  
「いや、秀吉殿だとおねね様が怖いですな。そういえば、丁度城に真田達が顔を見せているようですぞ」  
「それは丁度いい。ァ千代、選べ。幸村か、兼続か、それとも慶次か。どれも俺よりは身持ちがよい男達だ」  
「貴様・・っ立花をなめるな!」  
自分をからかっているだろうということは二人の声音から分かるが、下手なことを言えば左近の場合本当に呼びかねない。  
立花を辱められたこの場から本当は一刻も早く立ち去りたいと思いながらも、慣れない感覚に麻痺して足が動かない。  
ァ千代は悔しげに顔をしかめた。  
 
「ならば、どうしてほしいのだ?貴様、まさか自身の下の口が物欲しげに涎を垂らしているのに気づいていないのか」  
「あっ」  
三成がおもむろに陰唇をくぱぁ、と広げてみせると、中でピンクの肉壁が男を誘うかのように蠢いていた。  
「ァ千代、こういうときは素直になるのが一番だ。武士というものは潔くあるべきだろう?」  
都合のいいことを囁きながら、左近がダメ押しとばかりに小袖の裾から手を差し入れる。  
丁度よい大きさの乳房をやんわりと揉みしだきながら、先端を指先で摘んで転がすと、ァ千代はばつが悪そうに三成から目をそらした。  
「・・・・み、三成・・・その、・・・・ない・・のだ」  
「聞こえん」  
そっけなく突き放すと、喉から絞りだすように、ァ千代の声が震えた。  
「指では足りない、のだっ・・・入れて・・ほしい、三成」  
言い終わるのを待たずして、三成自身を突き入れる。すっかり濡れているとは言っても、処女の膣は狭い。  
きつく締め付けられるのに顔をしかめながら、ゆっくりと腰を動かす。  
ァ千代も初めは痛みに息を荒くしていたが、段々とその吐息に甘さが加わっていった。  
「それでは、こっちも楽しませてもらいましょうかね」  
左近の膝に頭をのせたァ千代の眼前に、再び大筒がそびえる。  
ァ千代は言われるまでもなく左近に舌を這わせ、熱に浮かされたように裏筋を舐め上げた。  
左近のものを咥えている為こもった嬌声が、三成が突き上げるたびにァ千代の喉から漏れる。  
「んっ・・ふぅ・・ぅ!」  
肉を打つ音と水が弾けるような音が部屋に響く。  
開け放った障子の向こうでは室内で行われている痴態など別世界のように、太閤自慢の鮮やかな庭園が日差しを浴びて輝いていた。  
 
 
 
 
「おーおー、ヤるねえあいつ等も」  
「み、三成殿!なんと破廉恥なっ!」  
「3Pとはなんたる不義!」  
「ちょっと、あんた等静かにしなさい!気づかれちゃうでしょ!」  
 
 
後日、出刃亀達により見事ゴッドフィンガーの称号を与えられた三成であった。  
 
 
「指一本で勇猛な立花殿を陥落せしめるとは、まったく義のなせる技であるな」  
「だまれ」  
 

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