「…んっ……あぁ…」
彼女の甘い声が部屋中に響き渡る。
私は、その声に構わず彼女にひたすら腰を打ち付けた。
今、私達がしている事は間違っている。間違っていると気付きながらも、私はただ彼女にこれくらいの事しか出来なかった。
…これで彼女の気がおさまるならば…
ある日、彼女の夫が戦中に亡くなった。
このご時世ならば当たり前な事だが、その時の彼女は気が狂った様に泣きわめいていた。
正直私も泣きたい気持ちで一杯だった。
なぜなら彼女の夫は、私の実の兄でもあるのだ。
だが、その気持ちを抑え、なんとか平常心を保ち、彼女を慰めた。
これが、取り返しのつかない出来事の第一歩になろうとは、誰も気付きはしなかった…。
何日か経ったある日、私はいつものように彼女を慰めに、彼女のいる部屋へと足を運んだ。
彼女は虚ろな瞳で、私の方を見ていた。
この時、彼女の心に変化があった事は気付かなかった。
いつものように、私は身振り手振りでいろんな話をした。
「今日はこんな事がありまして―…」
「昨日、父上が―…」
彼女は、いつもはおとなしく聞いていただけだったが、今日は違った。
日も暮れたので、私は彼女の部屋を出て行こうとしたら、彼女がいきなり私の二の腕を掴んだ。
そしていきなり
「…私を…稲を…抱いて下さい…。」
私は思わず目を見開いた。一瞬、彼女が何を言ったのかが理解出来なかった。
「お願いです…。稲を…抱いて下さい…。」
もう一度、彼女はゆっくりと言った。
独りになって寂しいので、抱いて欲しいと…。
私は以前から彼女に淡い恋心を抱いてはいたが、まさかこんな事になるとは思わなかった…。
「…ん……あぁ…」
彼女の甘い声が部屋中に響き渡る。
私は、その声に構わず彼女にひたすら腰を打ち付けた。
「ゆっ…幸…村様ぁっ…。」
その甘ったるい声が、私の聴覚を刺激する。
結合部からは、ぐちゅぐちゅと水の音が響く。
私は彼女の豊かな胸に触れた。そして、円を描く様にゆっくりと愛撫した。
「あぁっ…んぁああっ…!!」
「…んぐぅっ…!!」彼女の膣内(なか)が、きゅうきゅうと引き締まったのと同時に私はその膣内(なか)にありったけの精を吐いた。
「…幸村様…、…ありがとうございます…。」
情事の後、彼女は力無く呟いた。
私は無言で彼女を抱き締めた。
私は、情事の後の気だるさと自分の兄嫁と性交した罪悪感で一杯だった。