弘治3年11月2日(1557年11月22日)  
 
その日、織田ノブユキは尾張国愛知郡鳴海荘末森村の居城・末森城にて自身の懐刀である家臣からとある報告を耳にする。  
 
「姉上が……風邪?」  
 
なんとも次元の小さい病にかかったと家臣であり姉のような存在の柴田カツイエから聞かされてノブユキは信じられないといった表情で聞き返す。  
 
「はい、清洲城にてノブユキ様の名を連呼して寝込んでおられると……。」  
 
「姉上が風邪……ね。」  
カツイエからの姉の様子にますますノブユキは信じられなくなり。  
腕を組んで怪しそう推測する。  
 
うつけ。って言われてても姉上って頭良いからな……。病を装って僕を呼び寄せて殺すのもわけないかな。  
 
ま、仮にそうだとしても姉上に取っちゃ僕は邪魔な存在だろうし。  
カツイエだって姉上と密通してそうだ。  
 
何となしにノブユキは自分の置かれている状況が四字熟語で理解できた。  
 
四面楚歌だ。と  
まあ、それが天下泰平への近道になるなら喜んで僕は死を受け入れるかな。  
 
短い時間の中であったにも関わらず、考え込むと何故か時間が長く感じるのは不思議だ。と錯覚に陥ったことを噛み締めながら。  
ノブユキは決断する。  
 
「解ったカツイエ。姉上の見舞いに行ってくるよ。」  
 
 
 
※清洲城  
同じ尾張国であるが歩くだけでかなり時間は掛かる。  
同じ国で織田家を二分させてしまっていることを考えれば遠くもあり近いとも思える距離だ。  
。  
 
なんとも不思議な錯覚に陥る。  
 
そんな感覚を噛み締めながらノブユキは姉、織田ノブナガの居城・清洲城に赴いた。  
城の造りはかつて母ノブヒデが生きていたころに暮らしていた為に酷く懐かしく思える。  
姉の家臣に案内されゆく中でノブユキは城での記憶が自然と振り返っていく。  
ふと庭先にあった木を眺めた瞬間。  
姉に手を引かれ、無茶をした小さい頃。共にその木を昇り、柿をとって貰った……。  
 
なんとも懐かしい気分になる。  
死ぬ前に見れるなんて幸せなのかもしれないな……。  
 
そう思っているうちにノブユキはノブナガの寝所に通された。  
開け広げられた引き戸の奥の間には敷かれた布団。  
その布団に横になって、口元まで着物をかけられた姉の姿があった。  
 
「姉上、具合が優れぬとカツイエから聞き及び。織田ノブユキ参上しました。」  
廊下にしゃがみ込み、姉上への礼を取るノブユキ。  
「ん……ノブユキか。よくきた。」  
彼の声が耳に入り、ノブナガはゆっくりと顔こちらに向け。身体を起こそうとする。  
 
そんな姉の姿に慌ててノブユキは歩み寄って彼女を制した。  
「姉上、ご無理をなさらないで。」  
「ふん。わしは無理なんかして……おらん。  
ノブユキと二人で居たい、おまえ達は下がれ。」  
ノブナガの言葉に、ここまで弟君を案内した家臣は「はは。」と答えて寝所に姉弟だけを残して退散する。  
彼女達の立ち去る足音が廊下に響き、聞こえなくなるとあらためてノブナガは弟に声をかけた。  
 
「わしは風邪を引いた……。」  
「カツイエから聞きました、姉上。」  
 
「そう……じゃな……。」  
 
力無い姉の返答にこの時まで抱いていたある考えがノブユキの中から次第に霧散していく。  
かけられた着物から紅潮した顔を覗かせ、眼はとろんと呆けている。  
これは本当に風邪かもしれない……。  
 
「姉上、失礼します。」  
「うむ?」  
ボーっとしている姉の額に手を置くと、熱は湯を沸かしている茶釜のような温度であり。  
風邪という報告は確信に変わる。  
 
「薬は飲まれましたか。」  
「ちょ、調合して出された分は……な。」  
 
「なら、無理して僕を呼ばなくてもよかったのでは?」  
ノブユキの尋ねにノブナガは怒りを孕んだ眼で睨みながら答える。  
「バカもの……察せ。  
今ではわしも当主、おまえも当主で敵同士に等しい。昔みたいに仲良くは出来ん。」  
 
気のせいか、より頬に赤みがさしたような……。と思いながらノブユキは「申し訳ありません。」と頭を下げる。  
 
「じゃが……このような時だからこそ。互いに姉と弟に戻るのも……そにょ」  
「そにょ?」  
熱で呂律が回らなかったのか変な日本語を発した姉を可笑しく感じ、笑い声を押さえながら反復する。  
「う、うるさい……悪くはないじゃろう。」  
「ええ、姉う「昔のように呼べ。ノブユキ。」  
 
再び『姉上』と呼ぼうとした弟を遮りノブナガは呼び方を強要した。  
その呼び方は小さい頃に使ったもの……懐かしそうに微笑み、ノブユキは頷く。  
「……そうですね、姉さん。」  
「うむ……ノブユキ。ん……」  
「は……むっ……」  
横になっていたノブナガの顔が視界を遮った。  
 
姉……上?  
突然のことにノブユキは何が起きたのか理解出来ずにいた。  
 
『静かにしろ』と言うように僕を捉えている眼は愛おしさの情を発し、薄い襦袢越しではっきり解る豊かな双球を胸板に押し付けながら激しく抱きしめて口付けあう。  
浅い攻めはすぐに深く、情熱が篭ったものになっていく。舌を絡ませられ、ノブナガの唾液が流し込まれる。  
 
「ふ……ん…ちゅ、あふ…」  
 
しばらくして接吻をやめ、ノブユキは気恥ずかしさから両手で姉をゆっくり押し倒す。  
「姉さん、風邪を引いているんだから……ダメだよ。」  
「うるさい、寂しくてどうもいかん……。病人のわがままを聞くのも弟の勤め、だぞ。」  
 
まるで駄々をこねるこどものようで悲しげな表情をノブナガは弟に向ける。  
その表情にノブユキは心を揺れ動かされ、姉へと尋ねた。  
「分かったよ。僕に任せてくれたら、良い。だから姉さんは無理をしないで……。」  
 
しかし、膝で立つ形だったノブユキの股間に彼女の手で撫でられる感触があった。  
既に海綿体には血が集まり硬くなっている。袴を張っている棒をぐにぐにと弄くってから褌ごと袴を脱がす。  
 
「相変わらず立派じゃのう。 さすがわしの弟よ。」  
「ね、姉さん……」  
うっとりとした表情を浮かべノブナガは弟に口元まで腰を近づけさせるように指示し、眼前にそそり立った肉棒の先端の割れ目に「ちゅ」と接吻するように音を立てて口づける。  
「う……」  
 
なんとも甘い痺れが神経を突き抜け、思わず。声を出してしまった。  
 
「汁が出てきたぞノブユキ。姉に犯されて気持ち良いか?」  
「う、うん。」  
 
「我が儘を聞け。」  
「な……何?」  
「精を、飲ませろ。」  
「……ああ、良いよ。」  
 
そう許可を下すとノブナガはなんとも嬉しそうに亀頭から口を離し、竿の部分に舌を這わせ甘く噛む。  
 
今の口づけとは違う衝撃がノブユキに波紋として伝わせていく。  
感じている弟の顔を見つめながら、ノブナガはモノを右手で優しく握り。上下に緩急をつけて扱き始める。  
 
「ね、姉さん……くっ」  
「早く飲ませよ、わし口に玉袋の中の精をぶちまけるのじゃ……」  
亀頭の割れ目に舌先を挿入し、ノブナガは彼のモノ全体がビクビクと脈打ち。持ち上がるのを感じ……絶頂くんのだと理解して。  
口に含んで雁の部分を下の口のように締め付けた瞬間。  
 
「くっ、射精る!!」  
ドピュン! ドピュッ!  
 
ビュー!ビュー……。  
 
「んぶ、う、んふああぁぁ!あはぁ……んんっ!!」  
精が咥内に放たれ、どろどろとした熱いものが喉奥にぶつかった瞬間。ノブナガは我慢しようとしたが嬌声をあげながら達してしまう。  
 
「まだ、まだのこっておる……。」  
彼の物に残る精を吸いあげて喉をならして飲み込んで開放し。  
音が立つように口の中で転がして飲み込む。  
 
「はぁ…はぁ……んく。 美味じゃ」  
口に出されただけで気をやってしまうとは……。  
射精してもその覇気が衰えていない弟の男に。  
ノブナガは我慢という結界が崩れていくのを感じながら寝間着を脱ぎ去り、何も着用していない下半身から愛液が溢れていたその源泉である股間を指を這わせて掻き回す。  
とたんに淫靡な音がくちゃくちゃと響き渡った。  
 
「はぁ……」  
ふふ、子宮口も開いて精を望んでおる……わしが我慢できなくなった……。  
 
 
「ノブユキ、挿れてくれ……。もう我慢がならん。」  
「姉さん……」  
いけない。と頭で解っていたがノブユキも姉の美しい身体にもはや我慢が出来なかった。  
体勢を変えてノブナガの片脚が抱えられる。  
曝された姉の股間に自分の男を侵入させていく。  
ノブナガの膣内の襞が絡み付いてきた。  
 
「くはあぁ……。」  
もうそれだけでノブナガは達してしまいそうになる。が、ゴツンと膣内の奥……子宮口に肉傘が突き付けられた瞬間。  
「あぁあぁあっ!」  
「ぐっ、姉さん締めすぎ……。」  
ちぎってしまいそうな程に膣内がノブユキを締め付けてきた。  
姉がまた絶頂したんだと理解しながらも先程から自分ばかり気をやっている彼女に少し憤りを感じてノブユキはそのまま突き上げるように抽送をはじめ、小刻みに姉の子宮口に亀頭で接吻を繰り返す。  
「がはっ!? やめっ、ああぁっ!」  
途端にノブナガは白目が向きそうになるほど喘ぎ始め。酷くそれがノブユキには快感変わって燃えあがらせた。  
 
「形が!!形がわかるぅ……きゃふっ!」  
膣内で力強く逞しい形がわかるほどに自分は弟の肉棒を締め付け。それがゴリゴリと襞をこすり、子宮口を攻めてくる弟の戦法に気が狂ってしまいそうだった。  
「さ、さっき、絶頂ったはあんっ!ばかり、だから…ふぐあっ!」  
「姉さん、僕も、もう……ぐっ、射精るよ。外に「膣内ぁ……子宮に注いでくれ……」  
遮るように耳元でノブナガがそう囁いた瞬間。  
膣奥で熱い精が放たれる。  
「っああああああ!!」  
ッピュン! ドクンっ!  
 
ドピュ、ビュー! ビュー!  
 
死んでしまうかのように嬌声をあげ。ノブナガの体が痙攣し、子宮口を突いてきた亀頭に吸い付き精液を飲み込んでいく。  
絶頂の余韻に浸りながらも卵巣が漬かるほどに精が音を立てて子宮に溜まっていったのを感じていた。  
 
 
「はぁ……はぁ……姉さん。ごめん、やり過ぎた。」  
「ん…んはぁっ、さ、囁くな。また気をやって……はあぁんっ!」  
びくびくと痙攣しる身体をどうにもできず。ノブナガはただ眼の前の弟を愛しく抱きしめる。  
それが何故かノブユキにはもう心残りさえ無くなっていた。  
……十分生きた、もう僕は戦国の舞台に不必要だ……。  
 
「姉さん、殺すなら殺してくれ。僕は天下泰平の為に死を受け入れる。だから姉さん、後は−−」  
「うるさい、おまえも魔王の血が流れているのじゃ。  
これからもわしに抗え。簡単に死ぬのは許さん。」  
 
ノブナガのその言葉の意味がノブユキには解らなかった。  
「え……姉さん。いった……い。」  
「……すぅ。」  
絶頂による疲労感からか、睡魔が襲い……姉弟は眠りにつく。  
 
 
そして翌日、ノブナガは嘘のように体調が全快し。政策に勤しむようになる。  
と同時に清洲城には見舞いにきた弟が風邪をひいて残ったとか。  
「ははは。染して悪かったな。」  
自分が寝ていた布団にノブユキを寝かせ。  
笑い飛ばしながらノブナガは彼の額に手桶から水に浸した手ぬぐいを乗せる。  
その手ぬぐいが上昇した体温には冷たく心地良かった。  
「いや、空気に流された僕も悪い……だる……。少し熱が下がったら末森に帰る。」  
 
「いや、おまえが帰る場所はない。」  
 
「へ?」  
 
「今日、織田ノブユキは死んだ。今からおまえは太原セッサイとして駿河に行け。」  
姉から述べられた言葉を、ノブユキ……いやセッサイは理解出来なかったが、その次に述べられた名前に今回呼び出された真の意味を知る……。  
 
続く?  
 

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