乙女2話より。レズ注意!
「――じゃあみんなどうやって生まれてくるの? だってさ、赤ちゃんって……」
この世界には男がいないと聞かされて、ヒデヨシは驚いた。
当然浮かんでくる疑問をシロにひそひそ耳打ちする。
「ゴショゴショ……じゃないの?」
「もう一回言ってみろ」
それを聞いたシロはぎろりとヒデヨシをにらみつけた。
思春期の女子には恥ずかしい話題だ。頬を染めるヒデヨシが、はばかるように小さな声でつぶやく。
「もういいよ……」
「でっかくなった男の何を、グチョヌレの女の何に何して、奥でたっぷり何出しするって?」
「そ、そこまで言ってないし!」
ヒデヨシはいくら成績が悪くても、一応中学生だし赤ちゃんのできる仕組みぐらいは知っている。
もちろんそれはまだ遠い世界の話、マンガや雑誌やクラスメイトの噂話の中でだけ垣間見れる大人の世界なのだが。
年頃の女の子なら誰でも持っているそういう行為への興味と憧れは、ヒデヨシの中にもそれなりにあった。
「でも、じゃあ、体の形も違ったりするの?」
「どこの形が?」
「あの、だから〜、……、あそこ……だよ」
「どこの形が?」
「わかってて言ってるでしょ!?」
「フン。この城にいる全員のを掃除してるが、お前のと大してかわらんぜ。見た目はな」
「へえ、そうなんだ……」
シロはこの城お抱えのおしっこ掃除犬であり、ヒデヨシも早々にペロペロしてもらった。
垂れ下がる舌を見ていると、昨夜のいけない行為を思い出して股の間がムズムズしてくる。
「まァ中の方は違ってるかもしれんが。なにしろ子宮も卵巣も必要ねーんだからな、こっちは」
「なるほど……あっじゃあ生理がない? それは楽でいいかも」
「セックスも子作りじゃなく、純粋に快楽や充足感を得るための行為だ」
「セッ……や、やっぱりするんだ。そういうこと」
「もちろんだ、この時代は同性愛当たり前なんだぜ」
直接的な言葉を聞いて、ヒデヨシの胸がどくんと波立つ。
『こちらの世界の人』の姿と、『セックス』という行為が、頭の中でイメージとして混ざり合う。
ヒデヨシは口ごもった。
「ふ〜ん……じゃあ、つまり、その、たとえば……」
「あん? なんだよ?」
「なんでもない、寝よ! もう寝よ!」
……ロウソクを消し床についたあとも、ヒデヨシはなかなか寝つけなかった。
シロに聞こうとして聞けなかった疑問――
『ノブナガとミツヒデもそういうことを?』
布団をかぶって目をつぶるとどうしても、あの二人の姿が浮かんできてしまう。
ノブナガの大きな、そして大胆に露出させた胸のふくらみ。
大胆というより豪快といったほうが合っているかもしれない、堂々とした姿。
迫力ある体つき、力と自信に満ち溢れたその所作は、同じ女のヒデヨシから見ても魅力的だった。
うらやましいとかそういう気持ちを軽く飛び越えて、圧倒的に美しい。
そして、そんなノブナガに影のように付き従うミツヒデ。
ノブナガに比べたら少し小さな体だが、鎧に守られた白い双丘は十分に張り出していた。
頭の先から爪の先まで、主君の命には絶対に逆らわない忠義の肉体だ。
お互い堅い信頼のもとで、天下獲りへの道をゆく二人。
そんな二人が……そういうことを?
(う〜〜)
ヒデヨシは悶々とする気持ちを、寝返りをうってごまかした。
(でも……まさか……)
もしかしたら今、この時も、ひとつの布団で――
大広間は闇に包まれ、いくつか並んだロウソクの火が、かろうじてほのかな円を描いている。
部屋の中央にぽつりと敷かれた布団の上で、ふたつの肉体の接触する音と、甘い息の音が響いている。
「お館様……、は、あっ……」
仰向けに横たわるミツヒデが、腰を浮かしてのけぞった。
はだけた浴衣からこぼれる乳房が上を向いていて、その体にのしかかるようにしてノブナガが、
二つのふくらみを力強く愛撫している。
一時も剣振りを欠かさないノブナガの手は厚く指は節くれだっていて、それが荒々しく、
しかし同時に繊細に、ミツヒデの柔肌にめり込んだり表面の産毛をさすったりする。
「相変わらず感じやすいのう、ミツヒデ」
「や……、そ、それは……っ」
それはあなたが触っているからです、ミツヒデはその言葉を飲み込む。
指が敏感な先端にふれるともうそこは固くなっていて、指先でつままれたり転がされたり、
はさんで軽く引っぱられたり、いいように弄ばれるうちに、全身にジンジン熱がまわってくる。
そんなミツヒデを見下ろし反応を楽しむノブナガ。
その髪はおろされ、真紅の糸が二人の体を包むように布団の上に乱れている。
ノブナガは頭を下げると、ミツヒデの桃色の先端に舌を這わせ口に含んだ。
「んんぅっ……!」
ぬめった舌のぬくもりを感じ、快楽が電流のように走る。
張り詰めた乳首はノブナガの舌に転がされ、吸われ、その味を丹念に確かめられる。
ミツヒデの両手はやり場を失い、何かをこらえるように布団をぎゅっと掴んでいる。
「辛抱するな。もっと声を出せ……」
「っは、ん、あ……、あっ、あぁあっ」
快楽の場所を知り尽くした主君からの愛撫に、ミツヒデは眉を寄せてあえいだ。
「どうじゃ? 準備は……」
しばらくねっとりと舌を動かしたあと、ノブナガがささやいて、手を股間に伸ばす。
すでに剥き出しになっている茂みに触れ、ピクンと体を震わすミツヒデ。
その顔に慈しむような目を向けながらノブナガは、指先を花芯へと滑らせた。
「っああぁっ……!」
ミツヒデが高い声を上げる。ノブナガ以外には絶対に聞かせない、女の声。
その部分は主君を待ちわびて、熱くしめっている。それはすぐ指に悟られてしまう。
たまらない気恥ずかしさが、さらなる快感に変わってミツヒデを包む。
「ふふっ、万端じゃの」
「そんなこと……っ……」
「うい奴じゃ……ほれ、股を開け……」
股間では閉じられた内腿が形だけの抵抗をしている。
その肉の谷にノブナガはグイと手を割り込ませ、もう片方の手で膝をつかむと強引に開かせた。
「あ、あ……!」
「まったく、わがままじゃのう。ワシを待っておるくせに」
生殖や排泄とは何の関係もない、快楽のためだけに造られた二つの器官。
そのうちの一つ、とろとろと蜜を出す不思議な穴に、ノブナガの中指があてがわれる。
そこは簡単に、歓喜の水音を立てながら、太く長い指を受け入れていった。
「う、っんんっ……、くぅう……!」
「喜んで締め付けてきおるわ。中でうねっておるぞ」
「おやか、た……さまァ……!」
「もっと喜べ。おぬしが乱れれば、ワシも昂ぶる……」
ノブナガの低くくぐもった声が頭の中で響く。
中へと侵入した指は肉の内壁を丁寧になぞり、ひだを余さずこすり、なめまわし、
剥き出しになったミツヒデの感覚をビリビリと刺激する。
頃合いとみたノブナガはさらに、薬指をもそこにうずめていく。
「うく、くはァあああっ」
器官をぎゅうぎゅうに押し広げられ、ミツヒデは苦しさのあまりうめき声を上げたが、
同時に、全神経で主君の指を感じているような気がして、とてつもなく甘い快感に包まれた。
「いっぱい……です、っ……、もう……、いっ、ぱいぃぃっ」
ノブナガはそれを聞くと、そのまま指を曲げて壁の上側を愛撫し始めた。
大きくたっぷりと、そこにある快楽の塊をしごくような動き。
それまでなんとか耐えていたミツヒデの体が、がくんと跳ね上がる。
「あぁあっ! そこ……そこは、っあ、あ、はあっっ」
強烈な感覚に、思わず股間に手をやって止めようとするミツヒデ。
しかしノブナガは左手であっさりと払いのけ、手首を掴んで布団の上に固定する。
その勢いで右手の指を根元まで挿し込むと、浮いた親指を、穴の上のもう一つの器官に添えた。
快楽のためだけに造られたもう一つの器官は、充血してはちきれそうに膨らんでいた。
「ひぁ! ぁああっ……!」
「ハハ、そうか、こっちも可愛がってほしいか」
さらなる刺激がミツヒデに覆い被さる。
高まりの頂はすぐそこだった。
「どうじゃミツヒデ、締まっておるぞ。どうじゃ!」
「ノブナガ様、ノブナガ様っ、ノブナっ、さま、あっ、ア、ア……!」
感情のすべてを晒け出し、子供のように主君の名を連呼する。
頭が真っ白になっていき、そして――
ミツヒデは全身を弓の形に反らせて、愛する人の指に応えた。
「――どうした、もう降参か?」
肉穴から指を抜きながら、ノブナガが笑った。
ミツヒデはぐったりと横たわりハアハア息をついている。
「ほれ、ワシにもせんか……。燃えておるわ……」
ノブナガはそう言うと布団の上に立ち上がった。
うつろな目のミツヒデが見上げると、腰に手をあて仁王立ちする女体の影。
ノブナガが自慢の裸身を見せつけている。
力強い脚の間に紅々と茂る谷、大きな尻にしっかりとくびれた腰まわり、
上方にそびえる乳房の突端ではプックリと乳首が立っている。
ミツヒデはよろよろと起き上がり、主君の脚にすがりついた。
汗で少ししめった太腿に手をやって、顎を上げ股間に顔をうずめる。
そこは濃厚なノブナガの香りがする。
茂みの丘に鼻先をこすりつけながら、豆のように膨らんだ器官に舌を伸ばす。
「おぉ……っ……」
ノブナガが声を漏らす。
口を強く押しつけると眼鏡が当たってカチカチ音を立てる。
「邪魔だろう、はずさんのか?」
「いえ……このままで……」
あなたの感じておられる姿を見たいのです、ミツヒデはまた言葉を飲み込む。
ノブナガの肉豆はすぐに唾液でベトベトになった。
断続的にヒクヒクと蠢き、その脈動を舌の上で感じる。
ノブナガはミツヒデの頭を強く両手で掴み、顎を股で挟むような形に固定した。
不自然な体勢は苦しい。しかし、乱暴に扱われるのは、主君が昂ぶっている証だ。
もっとお喜びになって。あなたが昂ぶれば、私も乱れる――
ミツヒデは舌をありったけ伸ばして、甘い蜜をしたたらせる肉穴に挿し入れた。
「ぐうっ、う、う……!」
まるでミツヒデという椅子にまたがるように、体重をかけて局部を押し付ける。
そんな動きで舌の愛撫を楽しんでいたノブナガの体が、ピンとこわばった。
低いうめきと共に、膝が細かく震え、爪先が布団を噛むように丸まっている。
絶頂に達している。
そのことを悟り、ミツヒデの全身もまた、果てしない喜びに震えた。
「――今宵も、なかなかのまぐわいであったぞ」
「はっ。ありがたき幸せ」
行為が終わると、二人はいつもの主君と部下に戻る。
ほてった体を冷ますように、つとめて平静な態度でそれぞれの床につくのだ。
ふとノブナガが、こっちを向いて口を開いた。
「おいヒデヨシ、何を見ておる。お前もこっちへ来い――」
「――はっ!?」
ヒデヨシは布団の中で目を覚ました。
いろいろ妄想しているうちにウトウトしてしまったようだ。
(うそっ、なんて夢……)ヒデヨシは頬を赤らめた。
股間がほのかにヌルリとしているのを感じる。
下着を汚すといけないので、あわててブルマとパンツを脱ぎ去った。
かたわらで寝ていたシロが不機嫌な声を出す。
「何だよ、メスくせえ……」
「お、起きてたの?」
「ったく、こんなに発情の匂いさせられたら寝てられねーよ」
「あのさ、……ねえ、シロ……」
モジモジと、媚びを売るような声で呼びかける。しかしシロは決然として、
「おい、何を言いたいか知らんが、オレはバター犬でも何でもねーんだぜ。
あくまでもおしっこ掃除係だってこと忘れんな。てめーのオナニーはてめーでやりな!」
「そ、そんなぁ〜……」
プイと背を向けてしまったシロを尻目に、一人寂しく股間に指を伸ばすヒデヨシであった。
「声聞いちゃヤだよ」
「そりゃムリだ」
「う〜〜」
<終>