「子猫の昇天」 
 
先輩とぼく4〜夏休みになくてはならないイベントと私より  
 
      ☆ ☆ ☆  
 私は、皆の視線が完全に届かなくなった事を確認して、草の上に座った。そして、はじめ猫を後ろから抱き寄せ、  
膝の上に座らせる。  
「うにゃ?‥‥‥って、ちょっと、先輩、なにするつもりですかっ!?‥‥‥うなぁ〜ん。」  
 子猫と主導権を争いつつじたばたするはじめ君。実にかわいらしい。  
「さっきからいっているだろう、はじめ君に取り憑いた子猫の霊を成仏させてあげるのだ。そうすればはじめ君は  
解放されるのだし、一石二鳥というものだよ。」  
「みゃうん………何が一石ニ鳥ですか!そもそも先輩がペンダントを取り上げなければこんなことには…………  
ゴロゴロ………。」  
「済んだ事を今更言っても仕方ないだろう。問題は、今現在のはじめ君の身体をどうするかだ。では、はじめようか。」  
「はじめようかって、何をですか〜〜〜〜!………ゴロゴロ………」  
 私がはじめ君ののどを優しく撫でると、夜目にもはっきり分る程顔を真っ赤に染めたはじめ猫が気持ち良さそうに  
喉を鳴らした。  
「だから、言っただろう?子猫を満足させてあげるのだよ。それに、はじめ君もそろそろ女性の悦びに目覚めても  
良いのではないかな?」  
「目覚めなくていいです!………ふにゃん………」  
 抗議を無視して耳朶を軽く啄むと、はじめ猫はピクリと震えた。  
「以前、そう、駅前で典弘君と初めて会った時に言ったと思うが、私は、その身体のことなら隅から隅まで知って  
いるのだよ。例えば、ここ。」  
 私は、はじめ君を後ろから抱き締め、ワンピースの上からはじめ君の胸に両手を押し当てた。  
 ふむ、はじめ君の手は意外に大きいのだな。私が自分で触った時には乳房がだいぶ余ったのだが、この手だと、  
すっぽりおさまって調度良い。  
 柔らかく心地よい弾力のある乳房を、優しくさするように揉む。  
「みぃっ………って、うひゃっ!………ふにゃあ〜ん………」  
 はじめ君はこの身体でオナニーなどはしたことないだろうから、乳房に発生した感覚の正体を知らないはずだ。  
入れ代わる前までは十五歳の健康な少年だったのだから、書物やビデオを通して知識としては知っていたかも  
しれないが。  
 
「どうだい、身体から力が抜けていくだろう?」  
 身体の主導権を子猫に完全に奪われたらしく、はじめ君の返事は無い。マタタビと私の愛撫に酔ったかのように、  
目を閉じて私の手の動きに身体を任せている。  
「私は、私のはじめ君への思いを自覚した時から去年のクリスマスイブに私達の脳が入れ代わってしまうまで、  
毎晩こうしてきたのだ。」  
「………にゃ?………」  
「私の身体に触れるこの手が、はじめ君の手だったらどんなにかいいだろうと思いながら、丁度今のように、全身  
隈無く触りまくったからね。その身体の性感帯は熟知しているよ。」  
「…にゃにゃっ!?…」  
「まぁ、もっとも、はじめ君は私を触ってくれなかったから、自分で触った時と今とでどちらがどれくらい気持ち  
いいのか分らないのは残念だが。」  
 はじめ君のうなじを舌先で舐める。  
「ぺろぺろぺろぺろ」  
「…自分で『ぺろぺろ』なんて言わないで下さい!……」  
 こんな時でも突込みを忘れないはじめ君。実にすばらしい。  
 私は、はじめ君の身体を持ち上げて私の方に向けた。いわゆる座位というポジションだ。  
 愛撫と私の言葉で真っ赤になったはじめ君。うっすらと肌に浮かんだ汗の匂いが鼻腔をくすぐる。  
 
 突っ込むだけつっこむと、すぐにはじめ君の意識は闇に沈んでいった。身体の操縦権を子猫の霊にほぼ完全に  
掌握されながらも突っ込むポイントだけは外さない、はじめ君の天性の突込み根性を、ここは誉めるべきなのだろう。  
 ゴロゴロと喉を鳴らし、くねくねと全身を捩りながら、掏り寄って交尾をせまるはじめ猫。  
 なんだかこのままでもいいような気がするのは、正気のはじめ君は絶対にこんなことはしてくれないからだ。  
 この姿を記録に残さないのは全人類と私の好奇心に対する冒涜のような気がするのだが、この状況で川村君を  
呼び寄せるのは非常に危険だ。とても残念だが、今回だけは諦めるとしよう。  
 
 さて、どうしたものか。  
 今回のミッションは、当初の予定には無かったものだが、非常に単純だ。  
 はじめ君に取り憑いた子猫の霊の未練を晴らし成仏させる、それだけだ。初めは子猫の霊の未練がなんだか  
分らなかったが、今では、子猫の霊を性的に満足させれば良いと分かっているから、行為そのものはあと5分と  
かからず終わるはずだ。  
 しかし、「ちょっと待て」と私に話し掛けるもう一人の私がいる。「本当に、それ『だけ』でいいのか?」と。  
 確かに、このまま子猫の霊が満足して成仏し、解放された時のはじめ君のリアクションを想像すると、それだけで  
イってしまいそうになる程ゾクゾクする。いわゆる、「それだけでご飯が3杯はいける」状態が発生する事は間違い無い。  
 しかし、もう一工夫加えれば、もっと美味しい状況が発生するのではないか?と、もう一つの私の声が告げている。  
「本当に、それ『だけ』でいいのか?」  
 私は、その声に従うことにした。  
 
「ふむ、はじめ君は意外とムッツリスケベなのだな。」  
「………誰がムッツリスケベだっていうんですかー!……」  
 予想通り子猫の霊を押し退けて浮上してくるはじめ君。  
「もちろん、はじめ君が、だよ。私達は、はじめ君に取り憑いた子猫の霊を満足させる為にこうして乳繰り合って  
いるわけだが、分かっているかね?」  
「あんまり分りたくないですけど、分かってます。だから恥ずかしいのを我慢してるんじゃないですか。」  
「それがいけないのだよ、はじめ君。答え難いのはわかっているが、敢えて質問させてもらう。私が、胸を揉んだり、  
うなじを舐めたりした時、気持ちよかっただろう?」  
「……………はい……………」  
 羞恥のあまり、真っ赤になって消え入りそうな声で答えるはじめ君。ああ、実に良い。  
「うむ。そうだろう。私は、私の経験からいって、子猫の霊が満足するだけの刺激をその身体に与えているはず  
なのだが、子猫の霊は満足していない。何故か分るかい?」  
 子猫の霊が満足するだけの刺激をその身体に与えているはずという言葉の意味を理解し、さらに赤くなるはじめ君。  
ああ、もう理性とい名の足枷を自ら外しても良いのではないだろうか。  
「今、その身体は、はじめ君と子猫の霊が共有しているわけだが、身体的な感覚、例えば、見ているものや聞いている  
音、『皮膚から受ける刺激』といったものも、共有しているのだろう?」  
 でなければ、私や嵐君、川村君のボケに突っ込めるわけがない。  
 
「元男であるはじめ君が女性としての快感に身をゆだねる事を善しとしない事は分らないでもないが、それを否定する  
事によって子猫の霊が満足出来ないのであれば、子猫の霊に満足してもらってその身体から出ていってもらいたい  
私としては更なる刺激をその身体、則ち、はじめ君により大きな快感を与えなければならなくなる。」  
「☆▲×♂%…」  
 私が言いたい事を理解したらしいはじめ君。頭から湯気を吹き出して絶句する。ハァハァ。  
「そして、はじめ君はその事を知っているのではないかな?その上で、女性としての快感に身を委ねることを否定  
してるとしたら、それはより大きな快感を求めているのと同じだ。これをムッツリスケベと呼ばずに、なんと呼べば  
良いのだね?」  
「………、じゃぁ、先輩はぼくにどうしろって言うんですか?………」  
「受け入れたまえ。現実を。」  
 私が、あの朝に男性としての現実を受け入れたように。  
「分りました。」  
 何か悟りを開いたように、力なく頷くはじめ君。  
「私としても、このような形で初体験をしたいとは思わないから、最後の一線を越えないことは約束するよ。」  
 私は、はじめ君を地面に寝かせ、優しくキスをした。  
 
 さて。はじめ君の許可も貰った事だし、来るべき日に備えて会得した舌技と指技の効果の程をじっくりと確認する  
事にしようか。  
 再び子猫の霊の支配下に入ったはじめ君……はじめ猫が、気持ち良さそうに頬擦りしてくる。  
 私はそんなはじめ猫を軽く抱き締め、再びキスをした。舌をはじめ猫の口の奥に差し込むと、はじめ猫もそれに  
応えるように舌を絡めてくる。  
 
 はじめ君もいつかはこういう反応を返してくれるようになるといいな。  
 
 口の中でサクランボの茎を結ぶ要領ではじめ猫の舌を嬲りながら、私ははじめ君のワンピースの背中のジッパーを  
下ろした。上半身だけ脱がせてブラのホックを外す。左手ではじめ猫の身体を支えて、右手で乳房に触れると、既に  
熱く充血し、先端は硬くなっていた。  
 私は、唇を解放し、はじめ猫の耳朶を甘噛みして、囁く。  
「ああ、はじめ君、もうこんなに乳首が硬くなっているよ。私の事を信じて、感じてくれているんだね。嬉しいよ。」  
「………っ!」  
 私の声が届いたのだろう、はじめ猫の身体が一瞬ピクリと震え、熱を持った乳房が更に熱くなった。  
 右手の掌で乳首を転がしながら、首筋から胸元に舌を這わせると、はじめ猫の口から声にならない声が漏れる。  
「………なっ……あっ……」  
 そのまま左の乳首を口に含む。舌先で乳輪の縁をなぞり、乳首を舌で弾く。  
「…はぁ……や……」  
 はじめ猫の漏らす声は、熱く甘い。  
 私は、Tシャツを脱いではじめ猫を抱き締め、再びはじめ猫の唇を塞いだ。  
 
 続く  
 
 

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