「ねぇねぇ、ちょっとブラシ貸して」
洗面台で前髪をなおしていた小林は、声をかけた人物を振り返って、ぎょっとする。
「まてぃっ! バカ関、なんであんたがココにいんの!」
個室だけが並ぶ秘密の空間。女子トイレ。
スカート裾を抑えて平然とメイクを直すのは、紛れもなく男子生徒、関譲治だった。
「だってぇ、スカートで用を足すと男子がジロジロみるんだもーん」
「アホかー!! そんなんスカートはかなきゃいいだけじゃん!」
思わず放った小林の蹴りが横腹にヒットし、よろけた関が後ろにひっくり返る。
ゴゴン。「ギャッ!」
……鈍い音を立てて床に倒れた関は、そのままピクリとも動かない。
「え! あれ? 関? 大丈…………ぶっ!」
頭でも打ったのかと心配して駆け寄った小林は、緊迫した場面に似つかわしくない
モノが視界に飛び込んできて、へにゃへにゃと座り込んでしまった。
倒れた拍子にめくり上がった関の短いスカート。
あろうことか、その下にはレースが施された青いパンティが覗いていた。
女性下着の少ない布には収まりきれないのか、端から陰嚢がはみ出しており、
薄い生地は、しまいこまれた男性器の形を露骨に浮かび上がらせている。
初めて見る生の男性器は、なにか別の生き物のようだった。
呆けていた口はやっと閉じたが、異常な光景に小林の頭はクラクラする。
とりあえず、スカートだけでも直そうと手を伸ばした小林の手がぴくりと止まる。
気絶した(女装)少年、放課後の学校、人気のない女子トイレ。
小林は、自分の頭の中によぎった妄想に、顔が赤くなっていくのを感じていた。
自分の右手がそろそろと前に出るのを、小林はなにか他人事のように見つめる。
青い布の下で横たわる関の性器に、伸びきった手がそっと被さる。
かた柔らかい。不思議な感触をもった棒は少し熱を帯びているようだった。
小林はつまむように棒の部分を触る。柔らかさを試すように指を動かすと、棒は微か
に反応を見せる。
女子だけを集めて行われた保健で見たビデオと同じ形状だったが、関のそれは少し大
きいように思われた。
自分がとてつもなく破廉恥な行為をしているがわかっているのに、小林は右手の動き
を止められない。
右手の移動距離が伸びていくに従って、関のモノは膨れ、ついには赤黒い先端が布を
押しのけて顔を出す。
明らかに熱を帯びた男性器の先を、指で触れようとした小林はそっと右手首を掴まれ
てぎょっとした。
「あっ!! あ! あの!」
半身を起こして、面白いものを見るような流し目を送っていた関は、手首を掴んだま
ま立ちあがると、小林を奥の個室へと引っ張っていく。
「うううううそ! うそっ!!」
関は個室に連れ込んだ小林のブレザーを手早く脱がすと、蓋を閉めた洋式便器に
どっかりと座りこみ、ひろげた右ひざの上に小林を抱き寄せた。
なんとも男臭い所作を、スカートを押しのけて立ち上がる男性器という光景が、全て
ぶち壊しにしている。
「やだっ! やだやだっ!」
屹立した性器が自分の左腿にあたり、小林は身をふりほどこうと暴れた。
「気絶した人間に、あんな事しておいてよく言うよ」
弱味をつかれて動きが鈍った小林の口を、関が強引にキスで塞いだ。
「んぅっ! ん〜んん〜」
ねじ込まれる舌に息を詰まらせる小林の体に、関はテキパキと手を滑らせた。
ブラウスのボタンが外され、姿を現わしたシンプルな白いブラジャーは、あっという
間にフロントホックを弾かれて、白い乳房をさらけだす。
「んぷ……んん!」
片手で乳房を覆い、右胸と左胸を交互にほぐすと、先端で膨らんだ赤い乳輪を指で摘
んでは引っ張り、こすって離す。
「っふ、ふんん! んっ、んんっー」
親指と中指に摘まれた先で固く尖る乳首に、中指が刺激を送る。
指の腹でこねまわされる感覚がはしるたび、小林は小刻みに足踏みをして反応した。
「ふぅ、ん、ん、んんん、んんん、んんん、んん」
あまりにマニュアルめいた手つきだったが、深い接吻に舌をまきとられ、互いの唾液
を混ぜあわされる小林の目は、うっすらと恍惚の光を帯びつつあった。
「んぱっ! はーはーはー…………っやん! やぁぁん!」
開放された口から、吐かれていた熱い吐息は、すぐに甘い鳴き声に変わる。
小林のスカートに差し込まれた指が、下着の上からヴァギナのみぞを割って、中の肉
を探り始めた。
「やん、ああん! んん、ん」
関の首に両腕をまわしてしがみつき、スリットを往復する指を味わう小林の顔には、
ほんの少しだけ不安が残っている。
そんな不安を感じ取ったのか関が、小林の耳に口を寄せた。
「好きだ、小林」
「えっ!? アッ!」
優しい声。
聞き返そうとした小林は、自分の白い下着がずり下げられ、下半身が露出するのを感
じて言葉を継げなかった。
パンティに濡れ染みていた汁が糸を引いて太ももにつき、小林は肩をすくませて吐息
を漏らす。
「俺、小林に触られて嬉しかったんだ」
足首まで下ろされた下着が左足で丸まる。
スカートがたくし上げられ、綺麗に切り揃えられた恥毛が黒い姿を現わした。
関の長い指が下生えを越えて下り、ひくつくクリトリスをいじりだすと、小林は無意
識に腰を浮かして更なる快感を求める。
「ひゃっ、そっそんなっ、そんなのっ! ひゃあ! はっん!」
「だから……」
関の囁きが、心地よく響くたび小林は自分の体に、今までにない情欲が灯るのを感じ
ていた。
暖かい気持ちで、身をゆだねる小林の肉穴に関の中指が潜り込んでいく。
「んん! んっ! んっ! んふっ!」
第二関節まで潜った指が小林の中を探る。
内壁は柔らかに収縮し、溢れた愛液は中指の後を追って侵入した人差し指を、熱く
濡らした。
体に走る快感に幸福感すら感じて、小林は膣内の動きを楽しみ始めていた。
「小林って激しい自慰するほうでしょ。処女膜取れちゃってる」
「!?」
一転、軽薄な声に驚いた小林は、関が無邪気な笑みで小林の中からすくい取った愛液
をぺろりと指で舐め取るのをみて戸惑った。
「まあ、あんなもの飾りだから、俺は気にしないけど」
関はそう言って、小林の手をペニスにそっと誘導する。
「おまけに、かえって好都合かも」
握らされた肉棒の感触に、小林は愕然と振り返る。
「! な、なに……コレ……」
関のスカートから伸びる肉棒は、さっきまでとは比べ物にならない大きさで
反り返っていた。
「…………こんなの……無理だよ……」
大きなカリ首をもたげる、25センチはあろう肉棒に恐怖を感じた小林は、個室から
出ようと立ち上がって、内鍵に手を伸ばした。
しかし、関は素早く前に回りこみ、小林の左膝を持ち上げると。そのまま壁に押し付
け、濡れそぼったスリットに亀頭を潜りこませる。
「あっ! くぅぅっ!」
肉穴を押し広げ、あてがわれた亀頭は、硬く閉ざされた内壁に進行を阻まれた。
「力抜きなよ、大丈夫だから」
ぐちゅ、と音を立てて亀頭が膣内に埋没する。慌てたのか、喜んだのか、膣口付近の
肉壁がヒクヒクと肉棒を咀嚼する。
「無理……無理よぉ…………」
小林は頭を振って身をよじる。腹筋に力を入れると内壁はさらに固くなり、キツイ締
めつけに、関が思わずうめき声をあげた。
「ん、よし、負けないゾ」
「しょ、勝負じゃないよぉ! アッ! アッアッ!」
小刻みに腰を揺らして、小林の秘肉を緩ませながら、関は肉棒を前進させた。
その太さを感じて大量に分泌された液体が、幾筋もの跡をつけて肉棒を滑る。
「ムリっ! ああっ! 死ぬかも! 死ぬよぅ!」
3センチの侵入に喘ぐ小林の口を、関の手が突然ふさぐ。
次の瞬間ドアが開き、ぺたぺたとサンダルの音がトイレの中に響いた。
誰か来た! 恥ずかしさでへたりこみそうになった小林は、また3センチ肉棒の侵入
を許して、関が撫でまわす尻を震わせる。
「おーい、誰かいるんですかぁ〜」
間の抜けた子供声は紛れもなく、みか先生のものだ。
肉棒を突きたてられたままの姿を見られるわけにはいかない。小林は息をひそませて
下腹部に力を集中させる。
「なんか死ぬとか不穏当な単語が聞こえたようなぁ」
コンコン! ノックの音に驚いたヴァギナが、肉棒を5センチも飲み込んで、小林は
関の肩に爪を立てて悶えた。
「入ってるの? 大丈夫なの?」
タイムリーな台詞が、羞恥を加速させ、小林は目を硬く瞑る。
紅潮した小林の顔を見つめていた関は、さらに4センチほど肉棒を侵入させながら、
ゆっくりと個室の壁をノックした。
「あ〜入ってるの〜。もうすぐ下校時間だから、適当に切り上げてね〜」
無言の返答にマヌケなコメントを残し、先生の足音が遠ざかっていく。
耳を澄まし、先生が遠くに行ったことを確認した関は小林にウィンクで合図し、
小林は安堵の息を吐いた。
次の瞬間。
じゅぶぶっと盛大に音を立て、肉棒の残り全てが、油断した小林の中に埋没した。
「……かっ……ひぁぁ……!!」
自分を貫く灼熱に、小林は背筋を伸ばして天を仰ぐ。
「うッ!! アアアアッ!!!」
関が腰を引くと、巨大な物体が腹中を移動し、肉ヒダが外側によれていく。
「……ッ!!!」
再び突かれた。声にならない。思ったほどの激痛はない。しかし、熱い。
ひたすらに熱いものを咥えこんだ小林の性器は関の形に丸く拡がっていた。
「あッああうッ! あッ! ああひゥ! っ! ああああ! ひッ!!」
関は容赦なく動き始めた。
大きく引き、一気に突き上げるを繰り返されるたび、小林は長い悲鳴と短い悲鳴を
交互に上げる。
「アアッ! ひゃッ! アア! ひ! ア! あ! あ! あ! あ!」
テンポアップした肉棒が、小林の膣壁から、じゅぶじゅぶと水音を引き出していく。
「あ! あ! あ! あつ、熱い! あっあっあっあっああっああっ!」
立ったまま結合した二人の下で、垂れた汁が光る斑点を床に穿つ。
「すご……スゴイよ、小林。このまま中で出しちゃうから」
関は、倒れそうな小林を固く抱きしめて、赤い耳たぶにとんでもない予告をした。
「ひ! あ、だめ、あん! だめだめ! あ、あ、ああ! あ! あ!」
激しく拒否する小林の腰は、言葉とは裏腹に、より深い結合を求めて恥知らずな前後
運動を繰り返している。
「大丈夫。ボクのセーエキは薄いから」
「そっそっんなん、種が少ないか多いかだけのォ! ひあっ! ひんッ! アアン!」
子宮を突き上げる肉棒の動きが早まる。
「アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ! アッ!」
一本調子になったよがり声に、絶頂が近いことを感じた関は、突き上げた肉棒の先で
柔からい子宮口を、きゅっ擦った。
「う! ……ア……アア……ア……ア」
静かな絶頂だった。
わななく口から小さな声が漏れ、焦点の定まらない眼は、細かな瞬きを繰り返した。
「あ……だ、め……ダメ………………」
膣壁は大きく波打ち、関はそれにあわせて射精した。
「ぁ、あ……だ…………ぁ……」
熱い汁は子宮を満たして漏れ出し、膣壁を押しのけ、結合部からも溢れ出す。
泡立ち白濁した液体は、小林の右足を伝い落ちて、白いソックスを汚した。
関は、快感に彷徨う小林にそっと口付けをする。
優しい瞳がに自分の顔が映っていて、少女は体中が幸福感で満ちていくのを感じる。
二人のキスは、しばらくの間、繰り返し、繰り返し、続けられた。
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汚れてしまったソックスの代わりを、当然のように持っていた関に借りて、二人は
校門をくぐる。
夕日を背に受け、前に伸びる影を追いながら、男子制服に着替えた関の横に並んだ
小林は拗ねたようにぶーたれた。
「中はマズイよ、関」
関の解答は気楽だ。
「大丈夫だって、大丈夫じゃなくても大丈夫」
はー、とため息をついた小林は、会話を続けた。
「ねぇ、わたしのこと…………好きなんだよね」
関が立ち止まる。
夕日を背にした関の表情が見えず、小林は体が固くなった。
「…………ああ、好き」
小林の右手に、自分の左手を重ね、そう答えた関の顔は優しい。
寄り添うようにして歩き始めた二人の前には、白く輝く月が昇りはじめていた。
了