「いいか中山!夏を制するものはコミケを制するっ!この夏は書いて書いて書きまくるぞっ!」  
「はい、頑張ります渡部先輩!そして中山の同人誌が100万部売れるようにしますっ!」  
「あー、それは間違っても絶対無いから…」  
季節は夏真っ盛り、いつも生徒の声で賑わっている興津高校も夏休みとあってかその数もまばら。  
そんな静かな校舎の一角、漫研部ではいつもの凸凹コンビが来るべきコミケに向けて熱い会話を交わしていた。  
「さて中山、今回はお前にも1冊同人誌を出してもらう」  
「本当ですか!?」  
中山の驚きの声に渡部は怪しさを湛えた表情のまま自らの眼鏡を上げる。  
「本当だ。冬のコミケでは何かの間違いでお前の同人誌がよく売れる結果となったが…。今回はお前の実力が本物かどうかを確かめるためだ」  
「はいっ!中山精一杯頑張らせていただきますっ!」  
その言葉に満足そうな笑みを浮かべ渡部が自らの拳を突き上げる。  
「我が漫研のために!」  
「漫研のためにっ!」  
『エイエイオーっ!』  
2人のシュプレヒコールはいつまでも続くのであった。  
 
そして翌日。  
「渡部先輩、ちょっといいですか?」  
いつものように原稿に取り組んでいた渡部に中山が話しかけてきた。  
「んー、何だ?」  
「実は今度出す同人誌は渡部先輩をモデルとした主人公を登場させようと思ってるんです。もしよければ先輩に協力してほしいのですが」  
「ああ、別に構わんが…」  
彼はゆっくり椅子に腰を掛け中山に視線を向け再び言葉をつむぐ。  
「取りあえずどういう事をすればいいんだ?」  
中山はその言葉に手で待った、の形を作る。  
「ちょっと待ってください。中山、今から準備を始めますっ!」  
彼女はそう言うなり脱兎の如く部室から走り去っていく。  
「な、何なんだ一体…」  
渡部は一瞬の出来事に呆れた表情を隠そうともしない。  
開けっぱなしの扉を見ながら呆然としたままで待つ事数分、遠くのほうから誰かが走ってくる音が聞こえてきた。  
「やっと来たか…。お前、何をしに行ったん…だ!?」  
戻ってきた彼女の姿に渡部は驚きの声を上げ椅子から立ち上がる。  
「中山、今回のヒロインの姿になってみました、えっへん!」  
無意味に胸をそらす中山。  
「…って、それ僕の資料用の衣装じゃないかーっ!」  
思わず声を荒げてしまう渡部。  
それもそのはず、彼女が身に纏っている衣装は渡部の持っていた夏用セーラー服だったからだ。  
白の布地に紺の首襟と袖、その中を通る白の2本ライン。  
胸は同じく紺色のスカーフ。  
スカートもこれまた同じく紺のプリーツスカート。  
女子高生、というよりどちらかというと中学生に近い雰囲気である。  
 
「似合いますか、きゃは♪」  
スカートの裾を軽くつまみポーズを取る中山。  
その姿に渡部は少しの間じっと見つめてしまう。  
「ま、まあ衣装が良いからな、取りあえず似合う事にしておこう」  
渡部はばつの悪そうな顔になりながら再び椅子に座ろうとする。  
そんな彼に中山は笑顔を浮かべながら言葉を出す。  
「あ、今から始めますからそのまま立っておいて下さい」  
「始めるって、何をだ?」  
一瞬戸惑いの表情を見せる渡部。  
「まずは一番のメインとなるシーンですっ」  
そう言うと彼女の手がいきなり渡部の腰のベルトを外し始めた。  
「な、中山!?」  
もう一度驚きの声を上げる渡部。  
「えっと、これを外してっと…」  
「こら、何してるんだ、やめんかっ!」  
彼は中山のいきなりの行動に慌てて止めようとする。  
しかし彼女は渡部の手を上手い具合に振り払い、腰に自分の手を当て一気にズボンをずり下ろし自らもしゃがみ込む。  
そして目の前に黒い茂みと小指ほどの男性自身が彼女の視界に入ってきた。  
「これが渡部先輩の…」  
中山はごくりと息を飲み、おそるおそるその男性自身に手を伸ばす。  
「本のとおりだと…こうするんだったかな?」  
そう言って目の前の男性自身を口に咥えだす。  
 
「んのぁ!?」  
渡部はいきなりの出来事に思わず意味不明な言葉を出してしまった。  
「ふぇんふぁい、ひもひひひふぇすふぁ(先輩、気持ちいいですか)?」  
口に彼の男根を咥え上目遣いで問いかける中山。  
たどたどしい口使いだったが、徐々に渡部の男性自身が大きくなっていく。  
「こらっ、中山っ!」  
非難の声を出す渡部。  
しかし微かな気持ちよさに自らの身体が勝手に震えてしまう。  
(先輩のがだんだん大きくなってる…。次は…どうするんだっけ?)  
中山は少し困惑の表情を浮かべながら口をもごもごさせ、適当に口の中で動かし始める。  
そして―  
「いでーっ!」  
竿の部分を噛まれてしまったのか、その大きくなった男性自身を慌てて引き抜きその場にうずくまる渡部の姿。  
「先輩、どうしたんですか?」  
相当痛かったのだろう、渡部は悶絶しながら今の彼の状況を全く分かっていない中山に話しかけた。  
「あ、あのな…。お前、あー、ゴホン…」  
次に繰り出す言葉に少し恥じらいが入る。  
「ふ、フェラチオの仕方とか分かってないだろう?」  
「『ふぇらちお』って何ですか?」  
少なくとも16歳の少女が口にするべきではない言葉をあっさりと放つ中山。  
「…ああ、こんな何も知らないやつに僕は弄ばれているのか…」  
きょとんとした表情を浮かべる彼女に渡部は思わず頭を抱えてしまう。  
「取りあえずだ、今度出す同人誌の中身にこういうシーンがあるんだな?」  
「はいっ!」  
中山の勢いのよい返答に渡部は少しの間考える。  
(そうだな、このネタは次の作品で使える…。あいつの絵じゃ何描いているか分からないだろうし…)  
そして自らの眼鏡をくいっ、と上げ怪しい微笑みを醸し出す。  
ただ下半身は何も穿いていないのであまりそんな雰囲気は出ないのだが。  
 
「よし中山!今からお前のネーム作りに協力してやろう!」  
そこまで言うと自らスケッチブックを取り出す。  
「多分お前自身ラフスケッチは描けないと思うから僕が代わりに描く。お前はじっくりネームを作ってくれ」  
その言葉に中山が気合を入れ始める。  
「分かりましたっ!中山、早速ネーム作りに取り掛かります!」  
渡部は軽く頷いて、  
「じゃあ、まずはこれを大きくしてもらおう」  
少し小さくなった彼の男性自身を指差し、中山の顔に近づける。  
「はいっ!」  
そう言うと彼女はその小さい口を使って男根を咥える。  
「まずは舌を使って、そうだな…アイスキャンデーを舐めるような感じでするんだ」  
「ふぁい!」  
渡部の言われるがままに舌を使ってその男根を舐め始める。  
亀頭の部分を舌の先端を使って舐め、そのまま竿に向かって舌を這わせる。  
舌だけではなく口を少しすぼめ、吸い出すような感じで動かす中山。  
そんな彼女の動きにまた大きくなっていく渡部の男性自身。  
「そうだ…。次は前後に動かしていくんだ…」  
中山は彼の言葉通りに口を使ってゆっくりと前に後ろに動かしていく。  
唾液が彼の男根を包み、じゅぷじゅぷという淫猥な音が聞こえてくる。  
(ああ、渡部先輩のものを舐めてる…。何か私も変な気持ちになってしまいます)  
憧れの先輩の大事な部分が自分の舌で脈打っている。  
そんな状態に中山も感じ始めてきたのだろうか、そっと左手が自分の下着の中に入っていく。  
もちろんそれを見逃す渡部ではなく。  
「中山、ひょっとしてお前も気持ちよくなってきたのか?」  
スケッチを続けながら渡部が己のものをしゃぶり続ける中山に話しかける。  
一瞬ぴたっと動きが止まり、恥ずかしそうに頷く彼女。  
その表情に彼の身体に身震いが走る。  
「よし、お前も慰めていいぞ。その様子もばっちり描いておくからな」  
渡部はそう言うと再び筆を走らせた。  
彼女の舌が自分の口の中で這い回り、渡部の言葉が終わらないうちに左手が自らの茂みの中に入り込む。  
 
(私のここ…濡れてます)  
そして自分の秘所をそっと触り始める。  
「んっ」  
口に咥えた状態であえぎ声を上げる中山。  
渡部はそんな彼女の状態を動き一つ漏らさずスケッチしていく。  
中山の顔と手の動きが少しずつ速くなり、淫靡な音が渡部の耳にも入ってきた。  
口腔全体を使って渡部の男性自身を舐め動かし、空気が入っているためかちゅぽちゅぽという音に変わっていく。  
(先輩のが大きくなってる…。何かすごく気持ちいい…)  
中山の秘所も知らないうちに愛蜜が溢れだし、自らの左手はその部分を愛撫し始めていく。  
自分では気づいていないほどその表情は熱っぽく淫らになっていた。  
「よし、もうちょっと奥まで動かすぞ」  
渡部はそう言うなり自分の腰を前に突き出し、自分の男性自身を中山の口内の奥のほうに突っ込ませる。  
「んんっ!」  
喉付近まで渡部の男根が当たる。  
むせそうになるのを堪えながら口内の前後運動を激しくさせる中山。  
そして自分の指を今度はかなり濡れている秘所に入れ、口の動きに合わせ愛撫し始める。  
「むぐっ!ううん、んぶぅ!」  
じゅぽじゅぽっ!  
中山の唾液とカウパー液が混ざり合い淫猥な音がますます大きくなる。  
その音は彼女の口だけではなく下半身からも聞こえてくる。  
彼女の秘所から出てくる愛液はすでに下着から染み出て、その指だけでなく手も汚れていく。  
(ああ、駄目です…何か来ちゃいます!)  
中山の全身が快感に包まれて絶頂に達しようとした時、渡部が言葉を掛けた。  
「よし、そろそろ出すぞっ!」  
「ふ、ふぁいっ!」  
その言葉が終わらないうちに彼の男根が一気に口から引き抜かれる。  
反り返った男根の先端から熱い精が噴き出し、その液体が中山の顔と胸のスカーフを白く汚す。  
 
「あああっ!」  
精液が掛かった瞬間中山の身体が大きく震えた。  
じょろっ!じょじょろっ!  
彼女がしゃがみこんでいた部分から蒸れた匂いが漂う。  
そう、中山は絶頂のあまり全身の力が抜け失禁をしていたのだ。  
「あうっ、ああうっ…」  
うめきにも近い声が彼女の口から漏れる。  
まだ止まらない尿液が彼女のスカートを濃紺に染め、床にも黄色い染みを広げていく。  
顔に掛かった大量の精液は地面に向かって流れ、あごの部分から滴り落ち、濡れたスカートに白い模様を作り出す。  
その彷徨とした表情を浮かべる中山の顔、精液と自らの尿液で汚れたセーラー服の姿を渡部が細部まで描き始める。  
そんな状態でも彼女は自分で慰めている時よりもはるかに感じる快感に全く身体を動かさずにただ呆然としていた。  
「おい、終わったぞ」  
「…は、はい。あ、ありがとうございます…」  
中山は渡部の言葉にふらつきながらもゆっくりと立ち上がろうとするが、力が入らないのかそのまま彼の身体に倒れこんでしまう。  
慌ててその身体を抱きかかえる渡部。  
「駄目です、渡部先輩…。汚れてしまいます…」  
「気にするな。それよりもこんな感じでよかったのか?」  
相変わらずの眼鏡の先から彼の感情は見えない。  
しかし、抱きかかえているにも拘らず器用に右手のペンを先ほどよりも速く走らせ中山の欲情した姿をデッサンする。  
そして筆を止め一言。  
「ネームはこれでもういいのか?」  
中山はその言葉にゆっくり首を横に振りながら、  
「いいえ…。まだ主人公とヒロインの絡みの場面が残っています…」  
多分その言葉の真実味は半分ほどだろう。  
彼女の女としての部分が再び疼きだしているのが自分自身よく分かる。  
渡部先輩とひとつになりたい。  
自らを慰める程度の性知識しかなくても本能の部分がその感情を呼び起こしていた。  
 
「今度は、こういうポーズでお願いします…」  
羞恥心を漂わせる表情を見せながら中山は柱に両手を当てすっかり濡れ、汚れてしまったお尻の部分をゆっくり渡部に向ける。  
渡部の喉の音がごくりと鳴ったのは気のせいだろうか。  
彼は少しずれた眼鏡をもう一度上げて口元を微かに歪ませ、それでもいつものような声を出す。  
「よし、お前のその姿をばっちりと描いておくからな」  
その言葉に中山は身体を一度ぶるりと震わせる。  
(私の恥ずかしい姿が渡部先輩の手で描かれるんだ…)  
そう思うと秘所からは愛蜜がまた溢れ出す。  
渡部は彼女の尿液でまだ滴り落ちているスカートを少したくし上げ、ひくついている陰核をじっくりと見つめる。  
彼女の秘所からとろとろと溢れ出していく蜜。  
その淫猥な姿を逐一逃さずスケッチブックに描きこんでいく。  
「今から入れるぞ」  
「は…はいっ!」  
中山の痴態に再び大きくなる渡部の男性自身。  
それは躊躇いも無くゆっくりと彼女の秘所の中に入っていく。  
「か…はぁっ」  
指しか入れたことの無い部分にはるかに大きいものが入る初めての体験にうめき声を上げる中山。  
「痛いか?」  
渡部が心配そうな声をかける。  
それでも右手は破瓜の痛みに震える様子を描き続ける。  
彼女は首を横に振り、  
「少しだけ…でも大丈夫です」  
「…分かった。ちょっとだけ動かすぞ」  
その言葉に彼の腰が微かに動き始める。  
愛液が潤滑油の役割をしているとはいえやはり痛さはあるのだろう、時々堪える表情を浮かべる中山。  
(ちょっと痛いけど、やっと渡部先輩とひとつになれたんだ…)  
そう考えると痛さも快感の一部として認識しだしたのだろうか、先ほどよりも蜜の量が増えていく。  
 
「あっ、ああっ」  
口から漏れるあえぎ声。  
渡部の腰の動きはだんだん速くなっていき、その動きに合わせて繋がっている部分から淫靡な音が響いてくる。  
「もっと声を出してもいいぞ。この時期、学校には人は殆どいないからな」  
「は、はいっ!」  
痛さは痺れと変わり、その代わりに沸き起こる別の感情―快感。  
「ああん、きゃんっ!」  
中山はもう声を押し殺そうとせず、一突きごとに声を喘がせその快感に身を任せ始める。  
一気にこの状態を描き終えた渡部がスケッチブックを置き、その手を彼女の腰の部分に当てる。  
「先輩…もう描き終えたんですか?」  
「ああ、だから今度はこの行為をじっくり楽しませてもらうぞ」  
渡部の声に嬉しそうな表情を浮かべる彼女。  
「はいっ!中山を…おもいっきり犯してくださいっ!」  
その言葉が終わると同時に渡部は自らの男根をさらに中山の奥に挿入させていく。  
「はぁっ!」  
そして今度は大きくストライドさせて入り口まで抜き、また一気に奥に当てる。  
「あんっ!」  
何度かその行動を繰り返し、その度に中山の口から喘ぎ声が飛び出す。  
腰に置いてあった手はセーラー服の中に入り、下着越しから乳房を触り始める。  
秘所からはくぐもった水音が聞こえ、渡部の腰は最初の頃よりかなり速く動いていた。  
 
「中山、どこにかけて欲しい?」  
そろそろ限界に近づいたのだろう、自らの精の放出を我慢しながら彼女に話しかける。  
「ああんっ!渡部先輩の熱いものを私の身体にかけてください、お願いします!」  
目を潤ませ、もっと自分を汚して欲しいと言わんばかりの表情を見せ渡部に懇願する。  
「よし、出すぞっ!」  
脈打ち中山の恥蜜が絡まった自らの男根を引き出し、再び先端から熱を帯びた精液がほど走る。  
その白く染まった液体は中山の背中に―先ほどよりは少ないが汚すには十分な量である―降りかかっていく。  
「ああ、先輩の熱いものが中山を汚してます…」  
そして荒い息遣いのまま力なくへたり込み、彼女が放った足元の水溜りに倒れこむ。  
彼女の頬の色は赤く、上着の白の部分は尿液によって檸檬色に染まり紺色の部分は渡部の精で白く汚れる。  
紺のスカートは自らの液体でさらに濃く染まり、同じく精液が白のまだら模様を作る。  
そんなあられもない姿になりながらも中山は幸せそうな表情を浮かべ渡部に話しかけた。  
「先輩、ありがとうございます…。今度のコミケはいい作品が出来そうです…」  
渡部は満足そうに頷くと机の上のスケッチブックに手を伸ばし、その欲情にまみれる中山の姿を描き始めるのであった。  
 
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」  
教室に響く渡部の溜息。  
夏休みも終わり、新学期1日目。  
彼の溜息にみか先生が不思議そうな顔で周りの生徒に聞き始める。  
「ねえ、渡部君いったいどうしたの?」  
その質問に同じように溜息を漏らして答える富永。  
「夏のコミケで中山さんと一緒に参加したんだけど…」  
「冬の時と同じく彼女の売り場は行列が出来たのに渡部のところは閑古鳥が鳴く状況だったんですって」  
北川がその言葉を繋げみか先生に話しかける。  
 
「しかも渡部の持っているセーラー服を着て参加したそうよー」  
小林が両手を広げ呆れた表情で喋る。  
「というか、そっちのほうが問題じゃないのか?」  
「まあその時点で勝敗は決まっていた、って事ね」  
おやじと委員長の言葉が聞こえたのだろうか、片隅に座っていた渡部の溜息がますます大きくなる。  
「私はみか先生に着せたいです、セーラー服」  
「だっ、駄目駄目駄目っ!大人の女性に学生服を着せちゃいけませんっ!」  
顔を真っ赤にさせ否定のポーズを取るみか先生にぎゅっと抱きつく北川。  
「というか、そんなことさせたら確実に犯罪だろ」  
「多分中学校入学したばかりの学生に間違えられることこの上ないわね」  
「はう〜…。私、27歳の大人なのに〜…」  
工藤と富永の言葉に何も言い返せないみか先生。  
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」  
渡部は再度深く、深く溜息をつくのであった。  
 
「渡部先輩、この前はお疲れ様でした!」  
授業が終わり、部室に入る渡部を笑顔で迎える中山の姿。  
「中山、今回は身体を張って頑張らせていただきましたっ!これも先輩のおかげです」  
「…ああ」  
彼女の無垢な笑顔に少し顔を赤らめてそっぽを向きぶっきらぼうに答える渡部。  
「自分はまだまだ先輩の域に達していません、これからもご教授お願いしますっ!」  
そして彼女はすばやく渡部の頬に唇を寄せる。  
「!」  
彼の身体が一瞬固まる。  
その状況を確かめて、中山は頬を赤らめながらそのまま画材を取りに準備室へと向かおうとする。  
「中山っ!」  
彼の声に中山は立ち止まりくるりと振り返る。  
「何でしょうか?」  
渡部は軽く咳き込むポーズを取って一言言い放つ。  
「そんな事している暇があったらもっと自分自身を鍛えろっ!そして今度は自分の画力で同人誌を売れるようにするんだっ!」  
「はいっ!」  
その言葉に中山は満面の笑みを浮かべ、そのまま走り去る。  
彼女の後ろ姿を見ながら渡部は照れを隠すように自らの髪を掻くのであった。  
 

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