窓の外からやわらかい日差しが降り注ぐ。  
季節は8月、猛暑真っ盛りだが、まだこの時間はお日様の照りも爽やかでもあり、優しくもある。  
そんなまどろんだ空気が部屋の中を支配し、ベッドの上には1人の女性が安らかな寝息を立てていた。  
彼女の名前は鈴木みか。興津高校の国語教師である。  
もう三十路を越えているにもかかわらず小柄な身長に幼児体型、顔も性格もどこか幼さを残している姿が特徴的だ。  
そんな彼女が睡眠を貪っていると、どこか別の場所から香ばしい匂いが漂っていき、未だ眠りに浸る彼女の鼻腔をくすぐり出した。  
「ん…」  
鼻をひくつかせ、その重いまぶたをゆっくり開けていく。  
シーツをゆっくりとした動作で剥がしていき、まだ考えのまとまらない頭で周りを見回す。  
「ふにゃ〜…。えーっと、ここは…」  
背を伸ばし、ひとつ欠伸をして目を擦る。  
「あー…そっか。北川さんが一人暮らしを始めたから遊びに来たんだっけ…」  
そして自分の身体を見ながら昨日の状態を徐々に思い出していく。  
「昨日の北川さん、激しかったなぁ…。あー、キスマークいっぱいつけられてる〜…」  
少し赤ら顔をしながら独りごちるみか先生。  
彼女の数年来の恋人であり同じ興津高校の同僚でもある女性、北川理央の部屋にお邪魔した後、いつものようにお互いの身体を愛し合ってそのまま眠りについていたのだ。  
そんな彼女の様子を見に来たひとつの影。  
「あ、みか先生、おはようございます」  
北川はいつもの柔らかい笑顔を浮かべて彼女に近寄っていく。  
「おはよー…。そういえば何かいい匂いするんだけど何か作ってた?」  
「ええ、さっきまで朝ご飯を作ってました。いま目玉焼きとパンが焼けましたけど、食べます?」  
彼女のその言葉にまだぼーっとした表情をしながらも即答するみか先生。  
「うん、食べる〜。パンは2枚ね〜」  
「分かりました。じゃあ準備してきますね」  
そうして北川が台所に戻っていく。  
みか先生も近くにあったワイシャツを羽織り、まだ眠さを残す表情のままゆっくりとした足取りでテーブルに向かうのであった。  
 
「うわ〜、すっごく美味しそう!」  
みか先生の目の前にはいい塩梅に焼き色のついたパンと目玉焼きが乗っかったプレートが置いてあった。  
「では早速…いただきま〜す」  
先ほどの気だるさはどこへやら、生き生きとした表情になりながら食事を始める彼女を北川は愛しい顔で見つめていた。  
「先生はコーヒーに砂糖いくついれます?」  
「ん〜、2つ〜。あとミルクもたっぷり入れてね〜」  
口の中をもごもごさせながら答える彼女。  
慣れた手つきでコーヒーを入れ、彼女に渡すと自分もお皿の上の目玉焼きに手をつけ始める。  
「北川さん、本当に料理上手だね〜」  
「そうでもないんですけどね。今回は冷蔵庫の残りで作ったんで…」  
「ううん、すっごく美味しいよ〜。私が作ったら多分こげこげにしちゃうもん」  
みか先生の素直な言葉に北川は照れを隠そうとして彼女の髪の毛をわしゃわしゃと触ってしまう。  
「ふふっ、今度は先生の料理を食べてみたいなー」  
「もう〜、意地悪な事しないでよ〜」  
その言葉とは裏腹に暖かい雰囲気を醸し出し、さらに食卓を和ませるみか先生。  
そして暫くの間、他愛のない話をしつつ食事の手が進んでいく。  
 
「そういえばみか先生、今日ご予定はありますか?」  
「ん?特にないけど…」  
北川がテーブルの上に1枚のプリントを彼女の前に置く。  
「ふぇ?何なの、これ?」  
そのプリントに書かれていたのは『夏休み時における繁華街での生徒指導』という文字。  
「先生、終業式で教頭先生に言われたじゃないですか」  
そこまで言ってカップのコーヒーを一口。  
「いつもこの時期になると生徒たちが繁華街でうろつく事が多くなって、いろいろなトラブルが起こる事があるって。  
ゴールデンウィーク時に他の高校の生徒がモデル募集の言葉に騙されて、如何わしい店に連れて行かれた事件がありましたし、  
うちの高校も数年前に同じような事件があったじゃないですか」  
「え、昔もそんな事あったっけ?」  
みか先生の言葉に思わず溜息をついてしまう北川。  
「先生ぇ…。その事件の当事者、小林だったんですけど…」  
「あ…。確か道端でスカウトされて、ついて行ったらアダルトビデオの撮影をされそうになってた…」  
その発言に北川はこくこく頷く。  
「まぁ、幸い同じ時にその場にいた関が気づいて阻止したんですけれども」  
「うーん、あの時は本当に大変だったね〜。私も電話でその事を聞いて慌てて直行したら道に迷って、  
結局近くの警察官の人に事情を説明したらパトカーで警察署まで連れて行かれて、そこで2人に会ったすごーく嫌な思い出があるよ…」  
その当時の事を思い出したのだろうか、だんだん言葉の端々が重い口調になっていく。  
「そうそう、それで私や他の連中がそこに行って。私はみか先生にすりすりしてたのを覚えてますよ」  
何故か嬉しそうに話す北川。  
「も〜、そんな事まで思い出さないでよ〜」  
少しふくれっ面でそっぽを向くみか先生に北川が謝りの言葉を入れながら話を続ける。  
「ふふっ、ごめんなさい。…それで定期的に繁華街を回ってそういうチェックをしていくんです。今週は私とみか先生が回る番だったと思いますよ」  
「そっか〜、じゃあ行かないと駄目だね。そうやって生徒を危険な目に遭わせないのも教師の大切な役目だし」  
やる気が出てきたのか、語気を強めるみか先生に北川は満足そうな笑みを浮かべ、待ってましたとばかりに部屋の奥のクローゼットに足を運ぶ。  
「じゃあ、早速行きましょう。その前に先生にはこの服を着てもらいますね…」  
 
 
「北川さ〜ん?私達、繁華街の生徒指導に来たんだよね?」  
「ええ」  
「じゃあ、何でこんな格好してるのかな〜?」  
「もちろん、自分達も生徒の目線に立つためです!」  
みか先生の言葉に北川が力強く答える。  
興津市内の中でも一番の繁華街、その中心になる三角公園の噴水前に彼女達はいた。  
ただいつもと違ったのは、彼女達が制服を着用している事。  
北川は興津高校の制服を、そしてみか先生はどこで調達したのか、夏用のセーラー服を着ていたのだ。  
「うう、私もう31なのに…しかもサイズもぴったりで悲しい〜」  
「うふふっ、すっごく似合ってますよ。まるで中学生みたいです」  
そう、2人とももう成人しているのに、周りの学生らしき人々と混ざっても全く違和感がない位似合っていた。  
みか先生に至ってはその容姿はまるで修学旅行に来た中学生に見えてしまう。  
「は〜う〜…。しかも北川さんの目がぎらぎらと輝いてるのは、気のせい…?」  
「気のせいです。さー、早く巡回しましょうねー」  
自分の欲望がだだ漏れになっているのを気づかれないようにそそくさと歩き始める北川。  
「あ〜、待ってよ北川さ〜ん」  
みか先生もその様子を見て慌てて後ろをついていくのであった。  
 
 
夏休みの興津は都心から近い事もあってか、若者の姿が多い。  
部活の行き帰りの学生も多く、彼女達の姿も何らおかしくは見えなかった。  
それどころかみか先生に至っては修学旅行生に間違えられ、土産物屋で店員にお土産を進められる始末。  
もちろんそんな様子を見ながら、北川は嬉しそうな表情をまったく隠そうとはしなかったのだが。  
それでも何かトラブルが起こっていないか、彼女達はのんびり歩きながらも目は光らせていた。  
「ん〜、今のところは大きな問題は起こってないね〜」  
休憩の為立ち寄ったファーストフード店の中で注文したバニラシェイクをすすりつつ話し始めるみか先生。  
「ええ、このまま何事もなければ良いんですけどね」  
「まぁそんな事もめったに起こるはずないし。こうやって街中をぶらぶらするのも偶には良いよね〜」  
当初の目的はどこへやら、思いっきり楽しんでいるみか先生に北川が柔らかな笑みを見せつつ諭す。  
「先生?一応この報告もレポートにして書かないといけないんですよ?」  
「はうっ!そうなの?」  
彼女は全く予期していなかった言葉に驚きの声を上げ、一気にテンションが下がる。  
「あ〜…この後ウインドウショッピングとか映画館とかで楽しもうと思ってたのに〜…」  
「ふふ、みか先生ったらすっかり遊ぶ気満々だったんですね?」  
「だって〜」  
唇を突き出して不満げに話しつつまたシェイクを飲む彼女。  
「へー、何処か遊びに行く予定してるんだ」  
突然横の方から若い男性の声が聞こえてきた。  
「え、あ、えっと、その…?」  
「その制服、興津高校のでしょ?こっちの子はまた別のところの学校だね」  
みか先生の隣に座ってきた男性は年の頃なら20代後半ほど。男性ファッション誌とかにモデルとして掲載されていそうな容姿をした長身の男性である。  
そんな彼のいきなりの会話に慌てふためく彼女。  
彼女の視線はすでに北川に助けを求めていた。  
(北川さ〜ん、これってひょっとしてナンパってやつ?)  
(みたいですねー。無視すれば被害はないと思うんですが…取りあえずあしらいつつ様子を見ましょうか)  
小声で囁き合う2人。  
「あ、そうそう。もし時間があったら一寸したバイトを頼みたいんだけど…」  
「ば、バイトですか?」  
彼の言葉にみか先生は緊張した面持ちで答える。  
「うん、ちょうど雑誌のモデルを募集してたんだけど、予定していた女の子達がドタキャンしちゃって…」  
そこまで言うと若者は懐から名刺を出し、机の上に置く。彼女達も知っている有名なファッション雑誌の名前が記載されている。  
「2人とも今回撮る予定のイメージにぴったりだから、もし良かったらお願いしたいんだけどなぁ…。撮影料もはずむし」  
「ちょ、ちょっと待って下さい!聞いてみますっ!」  
真っ赤な顔をしながらもう一度北川の方向を向く彼女。  
(北川さん、モデルだって!どうしよう?)  
小声で問いかけるみか先生だが、当の北川は彼を見つつ何か考えている様子。  
(北川さ〜ん!)  
そんな彼女に再び助けを求めるみか先生にやっと気づいたのか、北川は少し申し訳なさそうな顔をして彼女の言葉に反応する。  
 
(へ?…ああ、すいません先生。ちょっと考え事をしてまして…)  
そこまで言うと若者のほうに顔を向け、  
「いいですよ、ぜひお願いしていいですか?」  
「き、北川さん!?」  
てっきり断るかと思った北川の反応に思わず驚愕の声を上げてしまう彼女、そして喜びの表情を浮かべる若者。  
「本当かい!じゃあ早速撮影場所に移動してもいいかい?時間が無くてさ」  
「場所って、どこですか?私達もそんなに時間は取れないですからあまり遠くだと困るんですけど…」  
「ああ、名刺にも書いてあるけど場所はここから歩いて10分位のところだよ。撮影自体も1時間も掛からないし」  
彼の言葉を聞いた北川は、先ほど渡された名刺を見ながらにっこりと笑みを浮かべ答える。  
「分かりました。じゃあ早速行きましょうか」  
「ちょ、ちょっと北川さん…!」  
そそくさと席を立とうとする北川にやや非難じみた声を出そうとしたが、北川の人差し指がみか先生の唇に当たる。  
「大丈夫ですよ先生。まぁ、ちょっとしたスリルを味わうかもしれませんが…」  
「へ?どういう事?」  
みか先生が疑問の声を投げかける前に彼女と若者は外に出ようとする。  
「あわわ!待ってよ〜、北川さ〜ん」  
その後ろをシェイク片手に慌てて飛び出すみか先生であった。  
 
約10分ほど歩いたところに撮影場所はあった。  
繁華街から少し離れたオフィスビル街、建物自体も綺麗で中も見た目には撮影事務所、といった感がある場所だ。  
途中北川がお手洗いに行くといって席を外しただけでその他は大きな出来事も無く、現在彼女達は事務所の一角でソファに座りながら待っていた。  
「…北川さん、本当に大丈夫なの?モデルなんてやった事無いし…」  
そんな不安そうな表情を浮かべるみか先生の頭を北川は赤子をあやす様に撫でる。  
「まぁ気楽にしておいてください。そのうち勝手に事が運びますし」  
そこまで言って北川はポケットから自らの携帯を取り出して弄り始める。  
「…?」  
北川の言っている事が理解できず、首を傾げるみか先生。  
そしてその意味を問おうとした時、奥の扉から先ほどの若者が現れた。  
「お待たせー、準備が出来たからこっちの部屋に入ってきて」  
言われるがままに2人は若者の待っている部屋に入っていく。  
部屋の中には撮影機材とカメラマンだろうか、数人の若者。そして中央には白いソファが置いてあった。  
「じゃあさ、そこのソファに座って」  
若者に促され、2人は恐る恐る座る。  
そして何故かその若者も横に座り始めた。  
「あ、あの…。撮影するのに何で横に座っているんですか?」  
少し怯えの表情を見せつつ話すみか先生に、優しく答える若者。  
「まずは緊張を解さないとね」  
そして人懐っこい笑みを浮かべて話し始める。  
「え〜っと、年はいくつだい?中学生っぽいけど…」  
彼の質問に答えようとするみか先生だったが、その言葉を北川が遮る。  
「ああ、この子は今年中学校を卒業するんです。同じ学校の1歳年の離れた先輩後輩の間柄で、来年は興津高校に進学するんです」  
出まかせをもっともらしく話す北川。  
「へー、じゃあ…」  
その後も彼は軽い口調でいろんな質問を投げかける。  
最初は緊張していたみか先生もだんだんとその糸がほどけていく。  
「じゃあ、撮影のほうに入るよ。まずは2人の仲良くくっついてる写真を撮るね」  
撮影が始まり、何枚か彼女達の写真が撮られていく。  
「ん〜、いい表情だねぇ。はい、もっと笑って〜」  
(なんだ、普通の撮影じゃない)  
撮られながらも安堵の表情を浮かべるみか先生。  
そして無事撮影も終わり、若者がもう一度彼女達に話しかけてきた。  
「良かったよー。じゃあさ、最後にもうひとつだけ撮るからそのソファに座って」  
彼の言葉にソファの上にもう一度座るみか先生と北川、そして今度は先ほどの若者と北川の傍にもう1人一緒に座る。  
「あ、あの〜、私達を撮るんですよね?なのに横に座ってるってどういう事ですか?」  
さらにカメラマンの1人が後ろの扉に鍵をかけ、不審に思った彼女が若者に話しかけようとした瞬間、彼はいきなりみか先生の身体に触り始めた。  
 
「へ?…な、何するんですか!?」  
「ん〜、その怯える表情、いいねぇ」  
「嫌っ!放してくださいっ!」  
いきなりの出来事に抵抗するみか先生だったが、彼はその手を振り払い押し倒そうとする。  
「って本当にモデルの撮影をすると思ってた?さっきの撮影は君達を安心させる為の嘘にきまってるじゃん!」  
先ほどの柔和な口調は一変、暴力的な語尾に変わっていく。  
「さあ、たっぷりと味あわせてもらうから覚悟するんだな!これだけロリ体型ならマニアに高く売れそうな品になりそうだ!」  
「嫌ぁっ!北川さんっ!」  
その時、腰に何者かの手が延び、ひょいっと持ち上げられる。  
「もう…勝手にみか先生の身体を触っていいと思ってるんですか?万死に値しますよ」  
「き、北川さん…」  
そう、北川はみか先生を軽く持ち上げ、肩に乗っけていたのだ。  
北川の傍に座っていた男は彼女にやられたのだろう、股間を押さえ悶絶している。  
「何の真似だ…?」  
「何処かで見た顔だなー、と思ったら数年前に小林が連れて行かれそうになった時の犯人のひとりじゃない?」  
「え、そうなの!?」  
驚愕の事実に目を白黒させるみか先生。  
「数年前…、ああ、同じように興津の学生のビデオを撮ろうとしてドジった時だな…!何でお前が知っている!?」  
「私もその友人の一人だったのよ。まさか同じ事を繰り返してるとはねー。さ、また捕まってもらいましょうか」  
北川の言葉に薄ら笑いを浮かべて言葉を吐き捨てる男。  
「はっ!この状況でよくそんな大口を叩けるなぁ…」  
いつの間にか彼女の周りを男たちが取り囲んでいた。  
「思う存分犯してやるから覚悟するんだな!」  
「き、北川さん!どうしよう!?」  
みか先生は彼女の身体をぎゅっと抱きしめる。  
まさに絶対絶命の状態、しかし北川は不敵な笑みを欲望に塗れた男たちに見せつける。  
「さて、そろそろいいかしら?」  
北川は何かを確認したかのように持っていた携帯のボタンを押し、みか先生を床に降ろしてしがみつかせる。  
「何がそろそろだ!お前ら、ビデオにばっちり撮れよ。かなりの上玉だから高く売れるぜ」  
若者はそこまで言うと彼女たちに向かって襲い掛かろうとした、その瞬間。  
バンッ!  
扉が勢いよく開き、警察官が何人も部屋の中に侵入してくる。  
「興津警察の者だ、ここでわいせつなビデオ撮影が行われていると一般市民からの通報を受けた!監禁並びに強制わいせつ未遂の現行犯で逮捕する!」  
いきなりの闖入者に必死で抵抗する男たちだったが多勢に無勢、あっさり取り押えられ証拠の品々が次々と見つかっていく。  
「警察が、何故ここに…!まさか、この女が…」  
手錠をかけられ呆然とする若者の言葉に北川は軽く笑みを浮かべ、何も言わずにみか先生と一緒に部屋から出て行った。  
 
「北川さ〜ん…。『勝手に事が進む』ってこういう事だったの〜」  
やや怨めしそうな視線で答えるみか先生。  
あの後警察で事情徴収を受け、その足で北川の住むマンションに戻った2人。  
北川はファーストフード店で若者の顔を見てぴんと来たため、自分の携帯を使って警察内の知り合いに頼み後を追跡してもらったのだ。  
「黙っててごめんなさい。でも先生に教えたら計画がばれちゃうと思って…」  
舌をぺろりと出して可愛らしく謝る北川にみか先生は頬を膨らませる。  
「もう、たまには私にそういう大切な事を教えてくれてもいいじゃない〜」  
「本当にごめんなさい、でも…」  
そんなみか先生を後ろからそっと抱きしめる北川。  
「き、北川さん?」  
「うふふ。でもモデルになってたみか先生も可愛かったですよ」  
抱きしめる力が少しずつ強くなる。  
「そんなこと無いよ〜。幼児体型だし、胸もないし…」  
「じゃあ、そんなに気になるのならその胸を大きくしましょうか?」  
「え…っ、んんっ…」  
みか先生の言葉を遮って北川の唇と彼女の唇が重なり合う。  
お互いの温かい舌同士が絡み合い、その唾液が喉を潤す。  
「んっ…んふっ」  
みか先生の腕も北川の背中に回り、身体と身体を擦り合わせ情欲感を高めさせる。  
さらに北川の手がみか先生の胸をそっと触り始める。  
「あ、んっ…」  
彼女の身体が徐々に感じ始めたのか、ぴくりと軽く震える。  
その状態に気づいた北川の手の動きがだんだんと早くなっていく。  
もちろん唇同士は塞ぎあったままで。  
「ん、んふっ!」  
彼女達の瞳はまるで熱にうなされたかのように蕩け、妖しげな表情のまま北川が塞いでいた唇を離す。  
「先生のセーラー服姿もよく似合いますよ…。今日は中学生みたいなみか先生を頂きますね」  
そう言ってみか先生をベッドの上に押し倒し、優しく触っていた胸を服の下から強く揉み始める。  
「ああん!胸、弱いの…。もっと苛めてっ…」  
もう胸の先端部分はぷっくりと膨らみ、北川の指がその乳頭を弄るたびに彼女は可愛らしい声をあげて喘ぐ。  
「もっと、もっと乳首触ってぇ!」  
甘い声をあげて懇願するみか先生に北川の表情は赤くなる。  
(もう、先生の声だけでいっちゃいそうになるじゃない…)  
それでも彼女の手は休まずみか先生の乳房を手で転がし、先端を摘まみ、そして激しく揉む。  
「あふぅんっ!」  
その度にみか先生の小さい口から嬌声が発せられ、よく見ると紺のスカート部分に小さな染みが出来ているのを北川は見逃さなかった。  
 
「先生ぇ…。ひょっとしてもう濡れてるんですか?」  
空いたほうの手がスカートの中に伸びる。  
みか先生の秘所を軽く触るともうすでに下着を通り越してスカート生地も彼女自身の愛液で濡れていた。  
「ふふふ、胸だけでこんなになっちゃうなんて…。先生ったら本当にいやらしいんですね」  
「だめぇ…、そんな事言わないで、ああん…」  
耳元で囁かれ、胸を先ほどより激しく弄られている彼女の口調はすでに我慢の限界を超えている感じであった。  
「もし指を入れたらどうなるのかしら〜?」  
やけに嬉しそうな声をあげる北川、それに対して小さく首を振るみか先生。  
「だめっ、入れたら…私もう…」  
「『入れたら』何なんですかぁ?」  
まるで今から手に入れたおもちゃをどうやって遊ぼうかと言わんばかりの表情を見せる北川。  
「くすっ。入れちゃいますよ〜」  
唯でさえ敏感になっているみか先生のことだ、指を使おうものなら…。  
これから起こるであろう出来事を想像するだけで彼女の全身に快感が駆け巡る。  
そして彼女の手がもう一度みか先生のスカートの中に入り込む。  
「先生のスカートの中、もうびしょびしょですよ…」  
相変わらず耳元で囁く北川の言葉に快感すら覚えるみか先生。  
それでも制御しきれない自分に恐れてか、否定の言葉を発してしまう。  
「だめ、駄目っ…。入れたら本当に…おかしくなっちゃうよっ…」  
「私はそんな先生を見たいなぁ…。やさしーく、入れますからねっ」  
みか先生の下着を少しずらし、ぬるぬるになっている彼女の秘所の一番敏感な部分を指でなぞり始める。  
「ああっ!」  
思わず身体を仰け反らせてしまう彼女。北川はどんどん溢れてくる愛蜜に手をべとべとにされながらもその中にそっと中指を花弁に触れさせる。  
「き、北川さん…入れたら、出ちゃうよぉ…。シーツ汚しちゃう…」  
糸一本で保たれた理性を残して抵抗の言葉を出すみか先生。  
しかし北川は満足そうな笑みを残して、もう一度耳元にその口を近づける。  
「いいですよ、むしろいっぱいみか先生のもので汚してください♪」  
その言葉を引き金に、北川の指が彼女の蜜壷の中に入っていく。  
「ふぁぁぁんっ!」  
先ほどよりも激しく淫靡な声をあげるみか先生。  
北川の指が彼女の中で細かな振動を与えつつ動きだす。  
指でなぞられるよりもはるかに多くの量の愛液が北川の手を、自身の肌を、下着とスカートを汚す。  
「先生の中…すっごく温かくて、柔らかくて…。私の指が、犯されてます…」  
そう囁きかける間も彼女の指はみか先生の蜜壷の中でうごめく。  
みか先生の腰は指を入れられた時から激しく動き、その部分からはぐちゅっ、ぐちゅっ、と粘度のある水音が大きく聞こえてきた。  
「あんっ、ああんっ!北川さん、もう、出ちゃう…っ!」  
もう限界が近いのだろうか、みか先生の息は荒くなり目から涙が零れ落ちる。  
「いいですよ、先生…!いっちゃってください、いっぱい出してくださいっ…!」  
彼女の指はみか先生の中で特に敏感に感じる部分を激しく動かし、擦りだす。  
 
「あっ、もうっ、もう駄目っ!で、出ちゃうっ!」  
そして彼女の身体が大きく震える。  
ぴゅっ!という音が北川の耳の中に入ってきた。  
その温かい液体が音を立てて彼女の手を濡らし、みか先生のスカートに染み出す。  
「ああ…あああっ…!」  
身体中に流れる快感に声にならない声をあげるみか先生。  
止まらない液体は彼女の紺色のスカートをさらに濃く染め、シーツに檸檬色の染みを作る。  
絶頂を迎え、意識を手放そうとする彼女だが、北川はそんな彼女の痴態を見せる為にその上体を少し起こし、頬にキスをする。  
「先生、見てください…。すっごく綺麗でしたよ…」  
彼女の口付けでみか先生は意識を取り戻し、ぼやけていた視界を徐々に取り戻していく。  
目の前には汚れたシーツと蒸れた匂いを放っているどろどろに汚れた下半身。  
スカートからは尿液が滴り落ち、白い靴下も黄色く汚れていた。  
みか先生は自らの仕出かした状態を見て顔を赤らめ、涙を溜めて申し訳なさそうな顔をする。  
「ごめんなさい…シーツ、汚しちゃった…」  
「いいんです。先生のおもらしが見れたんだし、すごく嬉しかったです」  
そこまで言うと再びお互いの唇を重ねる。  
「今度は…私を汚してください…」  
北川の言葉にみか先生の手が彼女の秘所に触れる。  
「北川さんのここも、すごく濡れてる…」  
触るだけでくちゅ、という音が聞こえるのが分かる。  
「あ、んっ…」  
愛しい人の小さい手が北川の花弁を触られるたび彼女の口から蕩けるような甘美な声をあげる。  
北川自身から出てくる蜜液が下着越しにぽたり、とシーツの上に滴り落ちる。  
「北川さんもいっぱい濡れてるね…こんなに感じてくれたんだ」  
「だって、先生のあんな姿見せられたらそうなりますよぉ…。必死でイクのを堪えてたんですからっ…」  
切なそうな表情の北川に再び身体と心が感じ始めるみか先生。  
そして右手は北川の秘所を愛撫しながらその身体をきゅっ、と抱きしめる。  
「北川さんのそんな顔見てたらこっちもまた気持ちよくなりたいよ…。今度は、一緒に…いいかな?」  
北川は彼女の言葉にゆっくり頷く。  
「お願いします、みか先生…。私を、愛しい人の手で壊してください…」  
半ば隷属的な言葉を発する北川の唇を彼女は満面の笑顔を浮かべてまた塞いだ。  
そしてぐしょぐしょに濡れた下半身を衣服ごと北川の大切な部分に当てる。  
「ああ、先生のおしっこが私のところを濡らしていきます…!」  
「北川さんもいっぱい汚してあげるね…」  
情欲に塗れた北川の口を何度も塞ぎ、舌を絡ませる。  
お互いの下着を脱ぎ去り、むき出しになった秘所をくっつけ、みか先生自身の尿蜜の上で絡み合う。  
 
「ああっ!先生のここ、すごく熱いですっ…!」  
「んっ!北川さんも…どんどんぬるぬるしたものが溢れてくるっ」  
2人の蜜壷から止め処も無く溢れる愛液がさっきのようにお互いの肌を、スカートを濡らす。  
「やだっ、すごく、すごく気持ちいいっ!もっと動かしてください…!」  
「うん、私もっ…もっともっと激しくするね?」  
彼女達の腰の動きが激しくなり、ベッドの軋む音が聞こえる。  
それでもお互い休むことなく、駆け巡る欲情と快感に身体を震わせながらその全てを貪る。  
「みか先生っ…!私、もういっちゃいますっ!」  
「いいよ…イって、私の身体で思いっきりイって!」  
北川に限界が訪れようとしている。  
それを見たみか先生は彼女の身体を強く抱きしめ、彼女に更なる快感を与える。  
「だ、駄目っ…!い、いっちゃう、ああっ、あああーっ!」  
大きく2人の身体が震え、北川が絶頂に達した。  
彼女の未だひくつく秘所から愛液が潮のように吹きだし、彼女とみか先生を塗れされる。  
「ああ…、あああ…」  
「北川さん、とっても良かったよ…大好き」  
そしてもう一度甘いキスを交わす。  
「んっ…。あ、駄目、私も出ちゃいます…」  
「いいよ、私も北川さんのもので汚して…」  
あまりの快感に尿道が緩んだのだろうか、その言葉が終わらないうちに下半身から大量の温かいものが流れ出す。  
「ああ、私もおもらししちゃいました…」  
快感のあまり口を半分開けたままみか先生を見つめる北川。  
再びお互いの下半身同士が北川の放った液体に塗れ、温かさが2人を支配する。  
「いいの、すごく嬉しいんだから…。もう一度、しよ?」  
熱っぽい微笑を見せるみか先生の言葉に北川がゆっくり頷き、再び抱き合う。  
もう一度熱烈な口付けを交わし、彼女達はそのまま濡れたベッドの上に倒れこむ。  
そしてお互いの愛液と尿液に汚れた制服に身を纏う2人は、身も心もひとつになりながら今夜を明かすのであった。  
 
数日後。  
今回の顛末をレポートにして学校に提出したのだが、それを見た校長が2人を呼び出し『公務員が例え犯罪を防いだとはいえ、怪しいバイトまがいの事をしたのは大変けしからん事だ』と思いっきり説教をされてしまったのだ。  
幸い賞罰に引っかかることはなく、もちろんこの事は公然の秘密となったのだが。  
それよりも校長先生は自分の愛娘がまさかそんな危ない事をしていた事実に驚いて叱った、という方が正しいのであろう。  
 
「すみませ〜ん、お父さ…じゃなかった、校長先生〜」  
(ふふふ、怒られて半べそをかくみか先生も素敵よね…)  
父親に叱られべそをかくみか先生を見つつ、緩みそうになる頬を何とか堪えながら説教を受ける北川であった。  
 
 

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