冬休みも明け、興津高校に新学期が始まった。  
世間では休み明けの授業ほど身の入らないものはないと思っている学生は一人や二人ではないと言われている。  
そしてここにもため息をつきながら道をとぼとぼと歩く人影がひとつ。  
「ったく、何で新学期明けから授業が始まるのよ…」  
とんでもない言葉を吐く彼女こそ2年A組で一番の毒舌を使うお嬢様、富永美奈子である。  
その表情はどこか気だるそうな感じが醸し出されていた。  
「あー、夏休み明けもだるかったけど今回のほうが寒い分やる気も失せるわー…」  
冬の寒空を見上げ、文句をぶつぶつ言い続ける彼女。  
「本当、こんな理不尽な授業形態で真の教育改革っていえるのかしら!?もっと生徒の事を考えたカリキュラムにして欲しいわ!」  
言ってる本人が思いっきり理不尽なのだが、全く意に介した様子も無くひとり手をぽんと叩く。  
「そうだ、こうなったらもう一度革命ね!そうよ、第二次トミ・ナガ・レボリューション!シトワイヤンよ、今立ち上がるときだー!…ああ、休みボケで脳が工藤化してるわ」  
彼女は再び意味不明な言葉をひとりごちる。  
…早い話が授業をサボるために自分の中で納得させているのである。  
夏休みの時も同じような事をして何と一週間ほど授業放棄をしてしまったのだ。  
それでも成績は全く落ちなかったのだからある意味すごいと言えばすごいのだが。  
暫くして学校に着くと、富永は教室に自らの荷物を置いてすぐさま廊下に出て行く。  
「そうとなれば早速行動に移すのみ、今日は保健室で過ごしますか!」  
彼女はひとりシュプレヒコールを上げてその足を保健室に向かわせる。  
「あ、富永さんおはよ〜」  
「おはようございます、みか先生」  
廊下ですれ違うみか先生に挨拶をし、そのまま通り過ぎようとする彼女。  
「あれ?富永さん、予鈴もう鳴るよ〜?」  
怪訝そうな表情で彼女を見つめるみか先生にくるりと振り返り話しかける。  
「いいんです先生、今日は第二次TMレボリューションなんで」  
「あ、そっか〜…って富永さん、一体それ何!?」  
いきなりの意味不明な発言に呆然としてしまうみか先生。  
「ああ、気にしないで下さい。とにかく今日はそういう事で保健室行って来ますねー」  
「…富永さ〜ん、お願いだからちゃんと授業受けようよ〜…」  
後に残されたのはみか先生の悲痛な叫びだけだった。  
 
「さて、と…。保健室に着いたのはいいけどもどういう方法でサボるかよね…」  
保健室の前で腕を組みながら思案にふける富永。  
「前回は日焼けで皮がめくれて授業に出れない、って事で行こうとしたら中山さんに同じ事をされてちょっとショックだったし…」  
目を閉じて、眉をひそめながら自分の症状を考えていた。  
「…今回は裏の裏をかいて直球勝負でいきますか。オーソドックスに貧血、って事にしておきましょ」  
よしっ、と掛け声をつけると保健室の扉をノックすると『どうぞー』の声が聞こえてきた。  
「失礼しまーす…」  
何故か恐る恐る入ってしまう富永。  
「あら富永さん。珍しいわね、どうしたの?」  
中には保健医の松本先生が椅子に座りながらさまざまな書類を書いていた。  
「ええ、ちょっと朝から貧血気味で…。もし宜しければ少し休ませて欲しいんですけれども…」  
「ふーん…。じゃあちょっとこっちの椅子に座って」  
富永は言われるがままに座り、松本先生と向かい合わせになる。  
慣れた手つきで軽い診察を始める彼女。  
「富永さん、朝食は食べた?」  
「あ、いえ…。今日は朝から調子が悪かったので抜いてきました…」  
彼女の問いかけに富永はやや病弱そうな口調で話す。  
先ほどの毒舌ぶりとはうってかわった変貌っぷりである。  
「最近ダイエットか何か流行ってるみたいで、貴女みたいに朝食を抜いて具合を悪くする生徒が増えてるのよ」  
松本先生はため息混じりに彼女に話しかける。  
「取りあえずキャンデーあげるからそれ舐めて少し休んでなさい」  
そう言って戸棚から飴を何個か彼女に渡す。  
「ありがとうございまーす…」  
それをひとつ口に入れ、ブレザーを脱いでベッドに横になる。  
「あ、そうそう。私、10時になったら出張で出かけなきゃいけないから後で鍵を掛けといて頂戴」  
「は〜い…」  
その言葉を耳にして少しの間、まどろんだ空気を浴びているといつの間にか眠りについてしまった富永であった。  
 
ちらりと自分の腕時計を見る。  
「11時か…。松本先生はもう出かけただろうし、誰なのかしら?」  
まだぼんやりとした思考で軽く伸びをしてベッドから起き上がろうとした時、再び声が聞こえてきた。  
よく聞くと男性と女性の声が入り混じっているのに気づく彼女。  
(どこかで聞き覚えある声ね…?)  
おもむろに耳をすませてみる。  
「…駄目だよー、誰か来ちゃうじゃない」  
「大丈夫だって、今日松本先生は出張って聞いたし今の時間なら誰もいないって」  
その声の主たちは彼女のよく知っている人物の声だった。  
(関、それに小林まで…?何であいつらがこんな所に?)  
疑問が彼女の頭をよぎる。  
しかしそれはその後の二人の行為で氷解した。  
「んっ…」  
何かに塞がれたかのような小林の声が微かに聞こえてくる。  
同時に聞こえる水の音。  
「ぷぁっ…。学校でこんな事するのってドキドキしちゃうね…」  
「まぁ、スリルがあっていいんじゃないか?」  
そして再び同じような音が保健室に響く。  
(なっ!…あ、あいつらこんな所で何してんのよっ!)  
危うく出そうになった声を慌てて塞いで、それでも目と耳はカーテン越しに映る二つの影に集中してしまう。  
「や、やだっ…。変なところ触らないでよっ…」  
「いつもしてる事なのに、そんなに恥ずかしいのか?」  
「馬鹿っ…!あんっ…!」  
お互いの身体を愛撫しているのだろう、影が二つになったり一つになったりする。  
「ふぁっ…。気持ちいいよ、関…」  
「やっぱ俺が毎日胸を揉んでるからかなー?」  
「やだっ、恥ずかしい事言わないでよっ…!」  
嬌声を上げる小林。そしてまだ愛撫を続けているのだろう、嬉しそうな声で関が喋っている。  
(ちょっとちょっとっ!ここ学校よーっ!?何ホテル代わりにしてるのっ!)  
顔を赤らめて、それでも気配を悟られないように息を潜めその様子を聞き続ける。  
「ああんっ!そこ、もっと舐めてっ…!」  
「すげえな小林、もうびしょびしょじゃねーか…」  
何度か絹の擦れたような音がしたかと思うと、今度は粘度をもった水の音が聞こえてくる。  
「ああんっ!お―――気持ちいいっ!」  
「舐めても舐めてもキリがないな…。いつもより感じてるのか?」  
「だって、こんな所でしてるんだもん!心臓がどきどき鳴りっぱなしで…」  
「ふふ、可愛い奴」  
二人の情欲に塗れた会話が否応なしに富永の耳に入ってくる。  
 
(もう…!何かこっちまで変な気分になってきたじゃないっ…!)  
そっと自分のスカートの中に手を伸ばす。  
(うわ…ちょっと濡れてる。参ったなぁ、これ以上動いたらバレちゃうし…)  
そんな彼女の苦悩を知ってか知らずか、カーテン越しからはさらに淫靡な声が聞こえる。  
「関…、お願い!もう我慢できないの…はやく、入れてぇ…」  
「何を入れて欲しいのかなー?関君分かんなーい」  
切願する小林の声とわざととぼけた声を上げる関。  
「おっ、お―――んを入れて欲しいの…お願い、関ぃ…」  
普段の小林からは想像も付かない甘く、乱れた声が富永の耳の中に流れ込んでくる。  
自分では分からないが顔は赤く染まり、下着の中も大変な事になっているのだろう。  
(後であいつら絶対にシメてやるっ…!)  
悪態をつきながらもその行為から目も耳も離す事が出来ない彼女。  
「ああ…!入ってくる、入ってくるよぉっ…!」  
「すごいな、いつもよりキツキツだっ…」  
ぐにゅっ、と何か柔らかいものに入れる音が聞こえてきた。  
もちろん富永にはカーテンの向こうで二人が何をしているのかは分かっていた。  
ベッドのきしむ音、そしてくぐもった水音。  
さらに耳の中に入ってくる関と小林の淫靡なあえぎ声。  
「関、気持ちいいっ!もっと、もっと突いてっ!」  
「ああ、思いっきり突いてやるよ…!」  
「駄目、腰が動いちゃうっ…!」  
(もーっ、聞いてるこっちの身にもなってよっ!)  
自分の愛液が下着を通り越して両腿の付け根を濡らしているのが分かった。  
向こうでは二人の行為が終焉に移ろうとしていた。  
「ああ、駄目、いっちゃうっ!」  
「俺もやばい…!今日は大丈夫なのか!?」  
「うん、大丈夫な日だから中に、中に出してっ…!」  
そしてお互いの動きが激しくなるのが影越しからでも分かる。  
「いくっ、いっちゃう!ああああっ!」  
「くっ、俺も、だっ…!」  
不意にその動きが止まり、何かが放出している音が聞こえてきた。  
そしてぐったりとした感じでベッドに横たわる二人。  
「はぁ、はぁ…。まだあそこがジンジンするぅ…」  
「そんなに気持ちよかったのか?いつもより腰を動かしてたぞ?」  
「も〜、関もいつもより激しかったじゃない…」  
そしてまた聞こえる唇の交わる音。  
(うー、あいつらめー…)  
富永はそれを聞きながら自らの心に湧き起こる欲情を必死に抑えるので精一杯であった。  
 
その後、二人はそそくさと後片付けをして保健室から出て行く。  
そして足音が完全に消えたのを確認すると、やっと安堵のため息をつくのであった。  
「あんの馬鹿がーっ!ここはラブホテルじゃない、つーのっ!」  
不機嫌になりながらそっと自分の布団を取り払い、下半身を見る。  
「あーあ…。スカートもちょっと汚れちゃったなぁ…。まぁこれ位ならすぐ乾くとは思うけど、問題は下着よねー…」  
人よりも愛液の量が多い彼女は、少し濡れただけでもすぐ下着が駄目になるほどの量を溢れさせてしまうのである。  
もちろん今回も下着が透けるほどの蜜が滴り出ていた。  
この現状をどうしようかと考えてきたとき、外から足音が聞こえてきた。  
「失礼しま〜す…」  
また聞き覚えのある声。  
「やばっ…」  
慌ててもう一度布団にもぐる富永。  
そしてカーテンが開かれ、目に入ってきた姿は担任のみか先生その人であった。  
「富永さ〜ん、具合どう?」  
心配そうな表情で富永に近寄る彼女。  
「まぁ…大丈夫だと思います」  
ぶっきらぼうに答える富永にみか先生は再び声を掛ける。  
「松本先生から聞いたよ〜。朝ご飯抜いて貧血だ、って。確かに朝ちょっと様子がおかしかったから心配だったのよ〜」  
「ご心配なく。松本先生から飴貰いましたし、あまりにも調子が悪かったら早退も考えてますので」  
「それがいいかもね〜。顔も赤いし、風邪も引いてるかもしれないよ?」  
みか先生の言葉に危うく心の動揺を顔に出しそうになる。  
「と、とにかくもう少し休んで、お昼には帰ります」  
「分かった〜。クラスのみんなにも言っておくね〜」  
その言葉に口元を少し嬉しそうに歪ませて強めの返事を返す富永。  
「ええ、クラスのみんなに宜しく言っておいて下さいね!」  
これで少しは気が晴れるから。  
そう思いながらもう一度布団をかぶる彼女であった。  
 
みか先生が再び保健室から出て暫くして。  
昼休みだからか、外は生徒の話し声と足音でごった返す。  
しかし板一枚挟んだここ保健室は人の気配も無く、まるで別空間のようであった。  
「あー、今日はもう帰ろうかなー。汚れた下着も変えたいし、シャワーも浴びたくなってきちゃったし…」  
結構自分勝手な事を言いつつ起き上がり、ブレザーを身にまとう。  
「えーっと、何か拭くものは、っと…」  
流石に濡れた太ももは拭いたいのか、彼女は引き出しからタオルを出し自分の足元を拭う。  
「ったく…。まぁ明日の関と小林の顔が見ものだけどね」  
軽く笑みを浮かべながら、そのタオルを軽く水で洗い適当に干す。  
「さて、と…帰りますか」  
そして外に出ようとした時、保健室の扉ががらっと開いた。  
「富永、大丈夫なの?」  
現れたのはお弁当と富永の鞄をそれぞれ手に持った委員長と北川。  
「貧血って聞いたけど…。今まで休んでたから心配になって来ちゃったのよ」  
彼女たちの言葉に少し申し訳ない表情で答える富永。  
「ごめんねー、心配かけちゃって。まぁ大丈夫だと思うけど念のためお昼で帰る予定をしてたんだけどね」  
「そっかー…。一応お昼買ってきたんだけど食べれるかしら?」  
委員長はそう言って机の上に購買部で買ってきたであろう菓子パンやおにぎりを置いた。  
「んー…。まぁちょっとお腹も空いたし少しぐらいなら食べるわよ」  
「じゃあ一緒に食べようか。そういうと思って私たちも準備してきたのよ」  
自分たちのお弁当も机の上に広げ、近くにあった椅子を寄せて座る三人。  
「そういえば小林は?」  
富永はおにぎりをつまみながら北川に問いかける。  
「何か用事があるから、って言って慌てて出て行っちゃったわよ。いつもは『お昼だー!』って叫んで一緒に来るのに」  
少し残念な表情になる北川に向かって富永はさらに言葉を続ける。  
「小林、何か言ってた?」  
「何も言ってなかったけど…。そう、確かみか先生が富永の事を言った瞬間にすごくびっくりして椅子から転げ落ちてたわね」  
その言葉に富永は唇を微かににやり、とさせて何事かもなかったかのようにもう一口おにぎりを口に含む。  
多分関と小林の行為が彼女にばれた事に動揺したのだろう。  
「ふーん…」  
とぼけた様子で北川の言葉を聞く。  
(明日はあの二人に会うのが楽しみね…)  
何故か表情がほころんでしまう富永であった。  
 
食事を終え、彼女らを見送る富永。  
「じゃあ気をつけて帰ってね」  
「ノートはちゃんと取っておくから安心しといて」  
各々彼女に向かって話しかけると自分たちの教室へと帰っていった。  
そしてその姿が見えなくなって富永も保健室に戻る。  
昼休みのチャイムも鳴り終え、周りには人の姿は無く閑散としている。  
「お腹がふくれたからちょっと眠くなっちゃったわね…。すぐ帰ってもいいんだけど、眠いまま帰るのも何だし少しだけ横になろうかな」  
再びベッドの上にその身体を横たえ軽く布団をかぶり、ぼんやりと天井を見つめる。  
そして5分ほど過ぎた時だった。  
微かな物音に虚ろになっていた目がゆっくり見開かれる。  
(…誰か、来た?)  
扉の動く音に微かな足音。  
「さて、と…。富永も昼で帰ったそうだしここには誰も居ないはず…。中山、入ってきていいぞ」  
これまた聞き覚えのある声。  
「は…い…。待って下さい、渡部先輩っ…」  
それに続いてやや息を荒げて女の子の声が聞こえてくる。  
(渡部に中山さん?何で漫研コンビが保健室に?)  
怪訝そうな表情を浮かべ、問いただそうとベッドから再び起き上がろうとした時である。  
「ふぁああんっ!」  
中山の口から出てくる、切なそうな甘い声。  
「何だ、もう耐え切れないのか?」  
そしてがっかりしたかのような渡部の声が聞こえる。  
「先輩っ…お願いですっ、これ外してくださいっ…!おかしくなっちゃいます…」  
半ば涙声で懇願する中山の言葉を拒絶する渡部。  
「駄目だ、今回の作品は極限まで快感に耐える表情が重要なんだ。まだその程度じゃ今までの作品と変わらないものしか出来ないぞ」  
「わ、分かりました先輩…。ああんっ」  
影越しの彼女から何かが振動する音、そして床にこぼれる水滴の音が聞こえてくる。  
(わ、渡部っ、あんたも一体何をしてるのよっ!)  
直接その姿を見れなくても、如何わしい事をしているようにしか見えない様子が言葉だけで感じ取れる。  
「よし、今からデッサン始めるからなー。いくんじゃないぞ」  
「はいぃ…」  
中山の下半身の部分から振動音―多分ローターか何かだろう―が響いてくるたびに彼女は声をかみ殺し、  
気を緩めると襲い掛かってくる絶頂を必死に堪えていた。  
富永からは見えないが中山の表情は涙で目が潤み、顔は恥辱で赤くなっておりいつもの彼女からは考えられない痴態を見せていた。  
そんな状態でも無表情でラフスケッチを描く渡部。  
 
「先輩…もう、スカートの中が大変ですぅ…」  
息を荒げながら自分でその中身を慰めようとする中山。  
「まだ触るなよ。もう少しその感覚を堪えるんだ」  
「は、はいっ…」  
中山の言葉とともに聞こえる愛液の噴きだす音。  
それはおのずと息を潜める富永の耳に入ってくる。  
(やだっ…!また濡れてきちゃうじゃないっ…)  
富永は布団に包まりながら身体を貫く疼きに耐えようとスカートの上からぎゅっ、と手で一番熱を帯びた部分を押さえる。  
そんな彼女をあざ笑うかのように外では中山の淫らな姿とそれを一心不乱に描き続ける渡部がいた。  
「よーし、次は自分で慰めるシーンを描いていくからそこに座って触っていいぞ。ただし何度も言うようだがいくなよ」  
「分かりましたっ…」  
ぺたん、と力なく椅子に座る中山。  
そして自分の秘所に入っているローターをゆっくり出して、また入れる動作を繰り返す。  
「ああっ、あふんっ!」  
にゅぷぷ、と彼女の秘所に丸型のローターが出たり入ったりするたびに、その快感に堪えきれず声を上げてしまう。  
渡部はその表情や手の動き、秘所から溢れていく愛液の流れる様子を隅々まで書き込んでいく。  
「渡部先輩、もっと私のいやらしい姿を描いて下さい!」  
無意識のうちに動いている腰もそのままに、あまりの気持ちよさに涙をこぼしひとり表情の変わらない渡部の目の前で自慰行為に耽る中山。  
「もちろんだ。…いきたいか?」  
その言葉に彼女はおそるおそる首を縦に振る。  
「よし、じゃあいっていいぞ!ばっちりと描いてやるからな」  
「はいっ!…んぁんっ!」  
渡部の許可が出ると同時に彼女は自らの動かしていたローターを先ほどの比ではないほどに速く動かしていく。  
「ああん、きゃふんっ!」  
その度に淫らな音を立てて滴り出てくる愛液。  
(中山さん、すごくいやらしい声出してる…)  
布団の中に顔を埋めながら押さえていた手が少し動き始める。  
もう富永の秘所からも大量の愛液が流れ、スカートを押さえていた部分の生地がぬるぬるになっているのが感じ取れた。  
(すごい事になっちゃった…どうしよう)  
その場から動く事も出来ず、かといって外の痴態に欲情する身体を止める事も慰める事も出来ず、その身を任せる事しか出来ない富永。  
そしてカーテンの外から聞こえる嬌声は終着点にたどり着こうとしていた。  
「渡部先輩…!私を、いやらしい私を見てくださいっ!」  
もう彼女の下半身は自らの出している蜜で濡れ、スカートのお尻の部分や足、床にまで広がっていた。  
「駄目です、もう…!駄目、いく、いくぅっ!」  
びくん、と大きく彼女の身体が仰け反り、椅子からずり落ち愛液の溜まった床にへたり込んでしまう。  
絶頂と同時に出てきた液体で中山の周りにさらに大きな水溜りを作る。  
「せん、ぱい…」  
そんな欲情に満ちた表情を浮かべる中山をさらに満足そうにスケッチする渡部であった。  
 
部屋を掃除して入った時と同じように忍び足で保健室を出て行く漫研コンビ。  
そして部屋には富永一人が残された。  
「はー…、今度は二次元おたくの渡部とあの天然ボケ娘のせいで帰れなくなっちゃったじゃない!」  
悪態を再度つきながらもう一度布団をめくり、自分の下半身を見る。  
朝ではスカートには微かな染みがあっただけだったのが、今では手で押さえてた部分が自らの愛液で濡れているのが見てとるように分かる。  
「あ、また垂れてきちゃったよ…。参ったわね、身体も疼いてどうしようもないし…」  
そう言ってもう一度ベッドに横たわる。  
「スカートは確か保健室に替えがあったから着替えるとして…。下着はしょうがないわね、濡れているけど我慢するか…」  
そして今度は自らの意思でその濡れたスカートの中に手を入れ、そっと擦りだす。  
「んんっ…」  
手が触れると思わず声を出してしまう彼女。  
下着の上からでも自分の花弁がひくひくと動いてるのが分かる。  
「人のしてるのを見て自分もするのって何か屈辱…。でも気持ちいい…」  
熱い吐息を吐き出しながら右手でぬるぬるになっている秘所を、左手はブレザーの隙間に入れて服の上から胸を触り始める。  
「んぁっ…。あんっ」  
今までの溜まっていた欲望が放出されたのだろうか。  
最初は秘所を撫で回していた手がそのうち中指を使って下着をずらし、直接愛撫し始める。  
「もう、明日みんなの顔がまともに見れないじゃない…」  
敏感になっている部分を指で触りながら軽く親指と人差し指で摘む。  
「はぁっ!」  
身体に電流が走ったかのような快感に秘所から蜜がじゅわっ、と溢れ出す。  
「ああ、すごい…。私も学校でこんなエッチな事してる…」  
そして触っていた指がゆっくりと蕩ける秘所の中に入る。  
「んんぅ!」  
途端に蜜壷の中が締まっていく感覚が自ら分かる。  
さらにその指をゆっくり前後にグラインドさせていく。  
「ふぁっ…!ああんっ!」  
指をスライドさせていくたびに気持ちよさのあまり、腰が溶けて感覚が失われていきそうになる。  
「制服汚れちゃう…。でも気持ちよすぎて止まらないの!」  
すでに愛液は両方の腿にまで垂れており、スカートにもその染みを広げている。  
「ああ…。もう少し、もう少しでいっちゃう…」  
その表情はいつものクールな顔ではなく、快感に身を委ね淫靡さを醸し出す一人の女としての表情になっていた。  
「はぁ、あんっ!も、もう…!」  
その時、外から人の足音が聞こえるのを彼女の耳が捕らえていた。  
「ああ、後少しだったのに…!しかもこっちに来る!?」  
慌てて布団をかぶり、もう一度息を潜めなおす富永。  
 
「失礼しま〜す…ってだれもいなかったんだよね?」  
(み、みか先生!まだ授業中じゃなかったの!?)  
保健室に再び現れたのはみか先生だった。  
彼女は辺りを見回しながら部屋の奥のほうまで歩み始める。  
「え〜っと、確か松本先生の白衣は、と…」  
ベッドの横のロッカーを開け、何やらごそごそとし始める彼女。  
(お願い、こっち来ないで…!)  
富永は自分の心臓の鼓動さえ彼女にバレるのではないかと思いながら絶頂に達しようとする身体をこわばらせ、  
彼女が出て行くのをじっと待っていた。  
「あったあった。ふふ〜ん、前はこれ着て遊んでたら北川さんが現れて『みか先生だぶだぶ最高!』って言われて  
ベッドに押し倒されちゃったけど…。流石に今は授業中だから来ないよね」  
どうやら彼女は松本先生がいつも羽織っている白衣を着て遊ぼうとしているようだった。  
「まさかC組が緊急学級閉鎖になっちゃって午後の授業が潰れちゃうとはね〜。  
でもこうやって白衣を着てお医者さんみたいになるのもそれのおかげかなー、なんちゃって」  
もちろん外の様子を感じ取っている富永にとっては気分のいいものではないらしく。  
(みか先生ーっ!教師が授業中に遊んでどーすんのよっ!こっちの身にもなってよねっ)  
自分も保健室で自慰をしていた事は隅に置いて、怒りの声を上げそうになる富永。  
むしろそうする事によって何とか湧き上がってくる絶頂感を押さえようとしていたのかもしれない。  
そんな富永をよそにみか先生は、自分の姿を備え付けの大鏡で見ながら嬉しそうな声を上げた。  
「やっぱ白衣を着るとお医者さんになった気分だね〜」  
そう言って椅子に座り一人医者のまね事を始める。  
「うーん、君の病気は手術をしないとあと三ヶ月の命だね」  
「え、そんな…!他の病院では胃潰瘍って言われたのに…!」  
「治したければ三千万!それで治療しましょう」  
…何かの医師アニメの影響を受けているのかそれっぽく一人芝居をしているみか先生。  
(馬鹿っ、本当に遊んでないで授業に戻ってよぉ…)  
富永はだんだん涙目になりながら抗議の声を心の中で上げていた。  
彼女の陰核はぷっくりと充血しており、あと二、三回愛撫すれば確実に絶頂に達する事になるのが彼女自身よく分かっていた。  
愛液はそれを受け入れるかのごとく噴き出ており、もはや彼女のスカートとブレザーの裾は自らの放つ蜜でびしょびしょに濡れていた。  
「…なーんてね、あははっ!」  
カーテンの外のみか先生は自分のなりきっていた役に照れながらゆっくりと立ち上がる。  
「さーて、そろそろ職員室に戻らないと他の先生に怒られちゃうし…」  
と言って着ていた白衣を脱ごうとした時である。  
コンコンと扉をノックする音が鳴り響いた。  
「は〜い」  
間延びした返事をするみか先生に反応したかのように扉が開かれる。  
「失礼しまーす」  
「どうぞ…って北川さん!?」  
驚きの声を上げるみか先生。  
それもそのはず、本当なら午後の授業を受けなければならない彼女なのに何故保健室に来たのかが理解できなかったのだ。  
そして保健室の扉を閉め、内側から鍵をかける。  
 
「き、北川さん?」  
嫌な予感がしておそるおそる声をかけるみか先生。  
「ふふふ…みか先生の白衣姿…。やっぱC組の調理実習の時間にそっと材料をすり替えておいたのが功を奏したのね…おっと」  
「北川さん、何か言った?」  
「いえ別に。それよりも…」  
とんでもない事をさらりとかわし、目を光らせまるで獲物を狙うか如く彼女を見る北川。  
そして素早くみか先生の身体を抱きしめていた。  
「もう〜、だぶだぶの白衣を着てるみか先生可愛い〜♪」  
北川は彼女のそう言って彼女の身体を触りだす。  
「あの、ちょっと、いやっ…北川さん?」  
「ああ、このぷにぷにとしたお腹、そして柔らかい肌…!という訳で頂きますね」  
「頂くってちょっ…んっ…」  
かろうじて口にした抗議の声もいきなりの北川のキスで塞がれる。  
「んんっ…」  
北川のマシュマロみたいな唇がみか先生の思考を止め、いつの間にか彼女も舌を絡め始める。  
(今度は北川とみか先生っ!もう、今日は厄日じゃないの!?)  
富永も荒い息をつきながら早く保健室から出て行って欲しい、それを願うばかりであった。  
唾液が糸を引き、名残惜しそうに唇と唇が離れる。  
「じゃあ早速気持ちよくさせちゃいますね」  
まだぽーっとしているみか先生をお姫様だっこをしながら移動し、富永のいるベッドの隣に彼女を寝かせる。  
「北川さん、駄目だよぅ…。人、来ちゃうよ…」  
恥ずかしそうに顔を赤らめ話すみか先生。  
「大丈夫ですって、表に『不在』の看板立てておきましたから」  
こういうところは抜け目がない彼女である。  
みか先生の上にまたがるように身体を乗せて、彼女の手を押さえながらもう一度軽いキスをする。  
「今日は白衣を着せたままでエッチしちゃいますね」  
「ああん、馬鹿ぁ…」  
甘い抵抗を示す声に北川の情欲がさらに膨れ上がる。  
そのまま馬乗りの状態からみか先生の胸を触り、もう片方の手で服の脇から直接乳房を揉み始める。  
「ああん、声出ちゃう…」  
「もっと私の手で感じてください、みか先生…」  
お互いの顔が近づき、再びひとつになる。  
布団の隙間から富永はそんな痴態を息を殺しながら見聞きしていた。  
(もうおかしくなっちゃうよぉ…)  
それでも今自分で慰めれば隣の二人に見つかってしまう。  
 
すでに下半身の感覚は麻痺しており、少し動くたびにくちゅっ、と粘り気のある水音が聞こえてくる。  
もう軽く何回か絶頂に達しているのだろう。  
表情も熱っぽくうなされた感じで、淫靡な雰囲気をさらけ出していた。  
「先生のおっぱい、いつ見ても綺麗ですね…」  
「やだ、見ないで、恥ずかしいっ…」  
隣では北川がみか先生の上着をずらし、直にその形のいい乳房を愛撫しているところであった。  
「あん、すごく気持ちいいっ!北川さん、もっと苛めてっ!」  
「もちろんです、こんなに先の部分までぷっくり立っちゃって…」  
そして今度は乳首を舐め出す北川。  
「あふぅんっ、おっぱいだけでもすごく気持ちいいよっ…!」  
みか先生の嬌声にさらに興奮する北川はさらに強く乳房を揉み、先端をすする。  
その度にみか先生の口からあえぎ声が飛び出してくる。  
「ああん、きゃんっ!」  
「今日は胸だけでいかせちゃいますね〜」  
北川も顔を上気させながら指で乳首の部分をつまみ、もう片方の手で乳房を握り締め、口に持っていく。  
部屋を支配しているのはみか先生の淫靡な声と激しい息遣いの音のみ。  
そんな中富永は自分にも襲い掛かってくる絶頂をかろうじて堪えていた。  
(もう訳分かんないよ…。いったら壊れちゃうかも)  
ベッドの中は富永の女の匂いで溢れかえっており、動かすと絶頂に達してしまうのか両手はスカートの上から押さえるに留まっていた。  
外からみか先生も限界に近づいていたのか、声をさらに荒げる様子が聞こえる。  
「北川さんっ、もうおかしく、なっちゃう…!」  
「いいですよ、思いっきり変になっちゃって下さい」  
北川の愛撫でみか先生の胸はまるで直接秘所を触られているかのような快感に覆われ、そしてもう自分が耐えられない事も分かっていた。  
「駄目、もう駄目っ…。北川さん、もっと激しく苛めてっ!」  
「分かりました♪」  
北川は嬉しそうな笑顔で、しかしその手は容赦なくみか先生の胸を攻め立てる。  
そして彼女の我慢が限界を超えた。  
「ああ、もう、だ、駄目ぇっ!」  
大きく身体が仰け反り、一瞬呼吸が止まりそうになる。  
「あ、ああ、あ…」  
快感のあまり声にならない声を上げるみか先生。  
北川はその愛らしい表情を見つめながら唇を奪う。  
そして同時にベッドの中でも、富永が今まで我慢していた欲情を一気に放つ。  
(あ、私も、もういく、いっちゃうっ!)  
それでも隣に悟られないようになるべく身体を動かさずその瞬間を受け入れる。  
(あああああっ!!)  
瞬間身体がこわばり、秘所から普段よりも大量の愛液が出てくる。  
それだけに留まらず、絶頂により緩んだ尿道からもう一つの液体が彼女のスカートの中に溢れ出して来た。  
(駄目、止まってっ…!)  
その願いも空しく温かい液体はその勢いを止めずに下半身とベッドを濡らし、吸収し切れなかった尿蜜が今度はブレザーに染み込んでいく。  
そんな状況なのに身体はまだ快感に襲われており、もう一度蜜がまるで潮を噴くかのように出てくる。  
(ああ…この年になっておもらししちゃったよ…。でも何でだろう、気持ちいい…)  
霧がかった思考で自らの快楽を素直に受け止める富永。  
そして隣のベッドでも北川とみか先生が名残惜しそうにお互いの唇をついばみ合うのであった。  
 
二人が教室から出て行って後、富永は自分の姿をようやく見れることになる。  
「すごい…あたしこんなにびしょびしょになっちゃったの…?」  
布団を除けると改めてその状況が分かった。  
彼女の小水はその大半が制服とシーツに染み込んでおり、ハイソックスも黄色く染まっている。  
そして制服のスカートは元のスカイブルーとは全くかけ離れるほど完全に変色して濃紺に染まっていた。  
さらにブレザーにもそれが染み込み、袖の部分と腰までがスカートと同じようにその色を変えていた。  
ゆっくりとベッドから降りると残っていた液体が太ももを濡らす。  
後片付けをしようとその足を進めるが、力が入らないためその場に崩れ落ちてしまう。  
(こんなひどい目にあったのに…。すごく感じちゃった…)  
虚ろな目でまだ情欲に燃える思考が残っていたのだろうか。  
もう一度自分の濡れたスカートの中に手をそっと入れ、まだひくついている秘所を再び愛撫しはじめる。  
そして彼女がまた絶頂に達し、床に恥蜜を撒き散らすのにそう時間は掛からなかった。  
誰も居ない保健室に彼女の甘美な声だけが残るのであった。  
 
 
そして翌日。  
いつものように教室に入るみか先生。  
「みんな、おっはよ〜!…あれ?」  
何故か教室の空気は妙に重い。  
しかも座席の隅の方に座っている富永からその重苦しい雰囲気が立ち込めていた。  
バックには吹きすさむ暴風に雷が鳴っているのがよく似合う状況なのかもしれない。  
「富永さん、どうしたの〜?昨日ちゃんと家に帰って休んだ?」  
心配そうに声をかけるみか先生、しかし。  
「大丈夫です、もう身体の方は問題ないですから。それよりも早く授業を始めてください、  
他のクラスに比べて授業内容が遅れてるんですから!」  
「は、はい…」  
富永のあまりの迫力に肩を落として恐怖のあまり目に涙を浮かべて教壇に戻るみか先生。  
「富永、朝からずっとああなのよ…」  
委員長がみか先生にこっそり耳打ちする。  
「機嫌が悪いを通り越して近寄れない雰囲気を撒き散らしてるし」  
「何か嫌な事でもあったんだろーか…?」  
工藤とおやじがぼそっと呟く。  
「関が話しかけようとしたら思いっきり殴られたし。まぁあいつはいきなり『あの日か?』ってほざいたから自業自得なんだけど…。  
暫くは近寄らないほうがいいわよね…」  
昨日の事で少し責任を感じているのだろうか、申し訳なさそうな表情で彼女を見つめる小林。  
 
(もう、昨日の出来事のせいでみんなの顔がまともに見れないじゃない!)  
心の中で悪態をつきながら、保健室での秘め事を忘れるため教科書を開ける富永であった。  
 

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