「で、最近どうなのよ?」  
「え?」  
北川の言葉に富永の箸から玉子焼きがぽろり、と落ちる。  
 
ここは興津高校の屋上。  
季節は12月の上旬なのだが、珍しくぽかぽかとした陽気に2−Aのいつもの女子たちがお昼を堪能していた。  
食事も佳境に入り、最初は他愛も無い話だったのが、次第に恋愛の話にシフトチェンジしていく。  
そこでの北川の一言であった。  
 
「え、えー…」  
「もう皆知ってるわよ?富永が工藤と付き合ってるって事」  
「しかも小林ともいい関係なんですって?ある意味逆ハーレム状態じゃないの」  
委員長と北川の言葉に顔を赤くして口をぱくぱくさせる富永、それとは対象的に笑みを隠そうともしない小林。  
「そうなのよ、ちょっと奇妙な三角関係だけど、ね」  
「ちょっと、小林…!」  
いくら気心の知れた友人であってもやはり恋愛のプライベートは突っ込まれたくないものだ。  
そんな気持ちからか、やや語気が強くなる。  
「まぁまぁ…。私もみか先生とラブラブだから別に富永の事を茶化したりしないわよ?」  
「……」  
 
取りあえず、振り上げた拳の置き場に困って、膝のランチョンマットに落ちた玉子焼きを箸で拾ってお弁当箱に戻そうとする。  
「で、工藤とは上手い事いってる?富永の事だから、多分デートも1、2回くらいで、エッチも1回くらい、かな?」  
「!」  
北川の言葉にますます動揺したのか、戻しかけの玉子焼きが派手に飛んでいく。  
そんな状態の富永を見ながら彼女は少し悪戯っぽい笑みを、委員長は相変わらずの表情で。  
(北川…!ひょっとして隠しカメラで私の行動を見られてるのかしら!?)  
図星だったらしく、変な方向に勘繰ってしまう富永。  
そんな彼女を代弁するかのごとく、小林が口を開く。  
「とみーったら、私の時は結構慣れた手つきでいろいろしてくれるんだけど、工藤と一緒だと中学生みたいな恋愛になっちゃって。  
さっきのデートの回数も当たってるよ?あれから2ヶ月経つのにね」  
「小林…あんたはーっ!」  
富永の指が小林の口を引っ張る。  
「ふにゃ〜!ひたいひたいっ!やめへ〜!」  
もちろん本気で引っ張られている訳ではないが、やはり痛いものは痛い。  
そんな2人を見つつ、北川と委員長はやや呆れ気味に見つめる。  
 
「でも、本当にお付き合いしてるのかどうか気になる部分ではあるわね」  
北川の一言に小林が喰い付く。  
「でしょ?だから私としては、とみーがちゃんと工藤とラブラブになってるのか、そこを検証したいと思います!」  
「ちょっ…!何で私がラブラブにならなきゃならないのよ!?」  
「だって彼氏彼女の関係だから。はい却下」  
富永の発言も小林の言葉にあっさり流されてしまう。  
 
「そういえば、この前工藤は濡れフェチって属性がはっきりしてたわね」  
委員長が手を顎に掛けながら2人の会話に参加する。  
「ならそういう状況を作ればいいんじゃない?手段はどうであれ、恋のキューピッド役を演じた私としては、この状態は歯がゆいもん」  
「でも、どうやってそんな状況作るの?」  
小林の言葉に委員長が疑問の声を上げる。  
「ん〜…出来ない事も、無いわねぇ…。ただ、それにはみんなの協力が必要だけど」  
北川の言葉に一同(但し富永は除く)が賛同の声を上げる。  
「さんせ〜い!私に出来ることなら何でもするよ?」  
「いいわね、親友の恋の悩みを解決するのも人として大切な事だもんね」  
「か、勝手に私の許可も無く人の悩みに突っ込まないでよ!」  
ただひとり声を荒げて拒否の姿勢を見せる富永に、北川が何故か艶かしく背後からそっと抱きしめて耳元で囁く。  
「でも…今のままだと、また末武の方向に走っちゃうわよ?」  
「こ、こら北川っ…。変な事しない」  
「さっき『人の悩み』って言ったわよねぇ?自分も気にしてる事じゃない?」  
「そ、それは…」  
不用意な一言に対しては容赦ない北川。  
そんな彼女の不意を突かれた発言に富永は一瞬言葉が詰まってしまう。  
「みんな富永の為を思ってるのよ?富永も嫌でしょ、せっかく振り向いてくれた彼氏が他の人、それも同性の男の子に奪われるのなんて」  
そこまで言って首筋に息を吹きかける。  
「やっ…!そ、それは…そうだけど」  
富永の言葉を確認するや否や、北川はあっさりその身体を離して他の2人に向かって言葉を放つ。  
「という訳で、富永と工藤をさらにくっつける為に私達が一肌脱いじゃいましょ〜!」  
『おーっ!』   
「あんたら…」  
あまりの唐突な流れにもはや言葉も出ない富永だった。  
 
それから1週間後。  
「は〜い、これから期末テストを返しま〜す。…はぁ」  
教室では国語教師である鈴木みか先生が先日行われていた期末テストの結果を生徒に渡す準備をしていたが、  
彼女の表情は何故か暗い様子。  
「先生、どうしたんだ?妙に表情が暗いぞ?」  
「多分体重がまた増えてアンニュイになってるんじゃないか?」  
男性陣から他愛も無い言葉や揶揄が飛んでくる。  
「違うよ〜、赤点取った人が何人も居たからちょっとショックなの〜」  
その言葉の後に溜息をつきながらもみか先生は答案を返す。  
 
「次、北川さ〜ん」  
憂鬱な表情で答案を返すみか先生とは対照的に嬉しそうな表情を隠そうともしない北川。  
「北川さん、頭いいのに何で赤点取るの〜?」  
「つい、ヤマが外れちゃって…すいませ〜ん」  
常に満点に近い成績を収める北川だ、どこからどう見ても確信犯としか思えない言葉を述べる。  
「次は…工藤く〜ん」  
みか先生の顔がますます暗くなる。  
「も〜、工藤君らしくないよ?」  
「すいません、ヤマが外れてしまって」  
こちらも言葉の割には全然ショックの欠片も無い。  
 
「…末武だな」  
「ああ、末武だろうな」  
2人のやり取りを見ながら呟くのは同じクラスの中村元(通称おやじ)と関譲治。  
付き合いが長いせいか、友人の様子を見て一目で分かるほど。  
「そして、次の展開も予想出来る、と。ある意味競馬の予想より簡単だよなー」  
おやじの言葉が終わると同時に、教卓上ではみか先生がさらに悲痛な叫びを搾り出していた。  
 
「小林さ〜ん…。あと1点なのに…」  
「中間テストより頑張ったじゃん、労いの言葉は無いの?」  
「ありません…。はう〜、折角の冬休みをエンジョイしたかったのに」  
思わず本音がぽろりと出たみか先生だったが、末武の答案を返す時にようやく笑顔が戻る。  
「末武君、よく頑張ったね。赤点免れたよ?」  
「え、マジで!?やったー!」  
嬉しそうにはしゃぐ末武の隣で真っ白な灰になっているのは工藤。  
「何故だ、末武が赤点を取ると予想してわざと手を抜いたのに…」  
「どーせ北川に勉強教えてもらったんじゃない?」  
事の真実を知っている小林が彼の肩をぽん、と叩く。  
 
「ほら、な」  
予想通り、とおやじが苦笑いを浮かべる。  
そしてみか先生の顔色がまた暗くなる生徒がひとり。  
「富永さんまで〜。赤点、全部で4人だよ〜?また教頭先生に怒られる〜」  
「まぁまぁ、追試で満点取りますから心配しないで下さい」  
富永もまた確信犯なのだろう、反省の言葉とは到底思えない彼女の発言にがっくり肩を落とすみか先生であった。  
 
「で、第一段階はOK、と」  
放課後の教室、その隅で机を囲んで密かに打ち合わせをしている4人の姿。  
「次は当日の仕込みね…。富永、例のものは用意出来そう?」  
北川の言葉に少し溜息をつきながら富永は答える。  
「出来るけど…それで本当に工藤がこっちを向いてくれるのかなぁ?」  
「大丈夫大丈夫、工藤の性癖はとみーが良く知ってるでしょ?」  
不安そうな彼女の肩をぽん、と叩く小林。  
「委員長は場所のセッティングを宜しく。私は補習の日程データを少し弄って…これでいいわ」  
北川はそう言いながら机の上にあるノートパソコンを弄くる。  
「じゃあ後は当日を待つだけね。上手く行くといいわね」  
委員長の言葉に全員が頷いた。  
 
「あ〜遅刻するっ!何で起こしてくれなかったの、お母さ〜ん」  
部屋から飛び出し、階段を勢い良く駆け下りるのは寝坊して半べそ状態のみか先生。  
「何回も起こしたのに『起きる〜』って言ったまままた寝ちゃったからでしょ?」  
「うぇ〜ん、それを何とかするのが親の役目じゃないの〜」  
「27にもなって親に頼ろうとするのがそもそも間違ってると思うけどねぇ」  
「はうっ!返す言葉がありません…」  
寝巻きから私服に着替えながらも親子で掛け合いをするのは地なのだろうか。  
「行って来ます、帰ってくるのは夕方くらいだからっ!」  
慌てて飛び出そうとするみか先生を見送りながら母親は言い放つ。  
「みか〜、今日は昼から雪が降るから気をつけて帰りなさいよ〜」  
「分かった〜!」  
その言葉を残して、いつものみか先生では有り得ない程の俊敏な動きで去っていく。  
 
それから数分遅れて、台所にやってきた父親が周りの様子を見て一言。  
「何だ、みかはもう出かけたのか」  
「ええ、何でも学校の補習授業だって…」  
母親の言葉に彼は首を傾げる。  
「あれ?一昨日から学校の改修工事が入ってて、教員も生徒も入れないはずなんだが…」  
なぜか学校の詳細情報を知っている父親。  
そう、外見からはのんびりとした子煩悩の父親にしか見えないが、実は興津高校の在宅校長という役職を持っているのだ。  
「あの子の事だから、勘違いして行ったんでしょ。まぁ暫くしたら戻ってくるわよ」  
そう言って流し台の清掃を始める母親。  
もちろん、「本当にみかはおっちょこちょいなんだから」の言葉は忘れない。  
その言葉に父親も納得したのか、椅子に座りながら新聞を読み始めるのであった。  
 
「何で、私達はこんな所に居るのかな?」  
「だって、学校が改装中で教室に入れないからじゃん」  
「幸いこの保健室だけはちゃんと開いてたけどな」  
「暖房も使えるし、ここで授業したらいいじゃない」  
不満たらたらのみか先生に対して補習に来たメンバーが彼女を慰めたりフォローしたりする。  
そう、彼女の父親が言ったとおり学校は改修工事の真っ最中で使える教室が保健室のみという有様だった。  
「しかも外は大雪…暫く帰れないですね、みか先生」  
こんな状況なのに嬉しそうな表情を隠そうともしない北川の言葉にますます落ち込むみか先生。  
「はう〜、補習が…冬休みが…」  
「まぁまぁ、せっかくみんな来たんだし。センセ、これでも飲んで落ち着いて下さい」  
北川の手に握られていたのは温かい紅茶が入ったカップ。  
「ぐすっ、ありがとう〜」  
半べそをかきながら湯気の立つその液体を飲むみか先生。  
同様に一同にもカップが手渡され、みんなそれを飲み始める。  
 
「ふぅ〜」  
気持ちがやっと落ち着いたのか、みか先生がいつもの表情を取り戻す。  
「みんな、ありがとう。じゃあ早速補習を…」  
そんな彼女の目の前では、小林を囲んで他の面々がレクチャーをしていた。  
「だからそこは前の段落から読み取って…」  
「この『らむ』は助動詞の『む』の連用形だから…」  
「文章の冒頭部分は川端康成の作品でも有名な部分よ。『国境の長いトンネルを越えると…」  
「なるほど、みか先生より分かりやすい…ってあれ?」  
「みんな〜、私のお仕事取らないで〜」  
目を潤ませ、恨めしそうに見つめるみか先生であった。  
 
補習も終わり、他愛も無い雑談が続く。  
外は相変わらずの雪で、帰るにはかなりきつい状態だ。  
そんな中、工藤が富永の異変に気付いていた。  
「どうした、富永」  
「な、何でも無いわよ…」  
両足を少し固めに閉じて、身体を軽く震わせている。  
荒い息を何度かつき、外の様子をみつめている彼女。  
同様にみか先生や北川、小林も似た状態になっていた。  
「ひょっとして…トイレか?」  
「ば、馬鹿!そんなのじゃないわよ。ちょっと寒いなー、と思っただけよ」  
部屋の中は十二分に暖かく、むしろ少々暑いくらいだ。  
富永の顔も少し赤くなっている。  
 
時を同じくしてみか先生も北川にこっそり耳打ちをしていた。  
「北川さん…お手洗いも確か改装工事してたよね?」  
「ですね…。雪が止むまでちょっと我慢ですね」  
「そんなぁ…」  
はぁ、とため息をつくみか先生。  
(しかも何か身体が熱い…。風邪でもないのに)  
彼女の身体の中心から湧き起こる奇妙な感覚。  
「んっ…」  
北川の手がみか先生の身体に触れた瞬間に思わず声が出てしまう。  
「どうしたんですか、みか先生?」  
「な、何でもないよ…」  
必死に自らの状況を悟られまいとする彼女。  
 
(ふふふ…効いてきたわね。本当は薬に頼るなんて事はしたくないんだけど…富永と工藤の為だもんね、ごめんなさいみか先生)  
みか先生を優しく見つめながら心の中で謝る北川。  
そう、先ほど飲んだ紅茶の中には利尿剤と媚薬が混ぜられていたのだ。  
本当は富永とみか先生だけ飲ますつもりだったが、北川は女性陣の紅茶のカップに全て薬を入れていた。  
(最近私とみか先生もしてなかったから…久しぶりに壊れたいしね)  
そんな事を思う北川の頬も少し赤くなる。  
 
「んっ…ふぅっ…」  
小林も口から漏れる声を必死に押さえながら両足をもじもじさせ、北川の方をじっと見つめる。  
(北川〜!まさか、私にも…!?)  
目で訴える彼女に対して北川も『ごめん』的な視線が返ってくる。  
(も〜!富永の為に作戦練ったのに…馬鹿っ)  
小林はスカートの上から両手を押さえ、徐々に溜まっていく泉を必死に堪え、ちらりと富永に目をやる。  
 
「大丈夫か…肩貸すぞ」  
「だ、だいじょう…ぶっ」  
上気した表情になりながらも工藤の肩を借りる富永の姿。  
小林と同じように両手でスカートを押さえ、荒い息を止めようともしない。  
目を潤ませながら工藤を見つめる彼女に、彼もまた心臓の鼓動が速くなっていくのが分かる。  
(駄目…我慢すればするほどおかしくなっちゃう)  
富永も必死に泉の決壊を防ごうとするが、意識をすればかえって襲い掛かってくる波。  
「く、工藤…お願いを聞いてもらっても、いい?」  
「何だ?」  
苦しくも切なそうな声を発する富永に工藤はそっと抱きしめながら次の言葉を待つ。  
 
「…キス、して欲しいの」  
「おいおい、みんなの前だぞ?」  
「でも、して欲しいの。じゃないと、私、おかしくなりそうで…」  
状況が状況だけに躊躇いを見せる工藤だったが、富永の顔を見ているとそんな気分も飛んでしまいそうになる。  
「…仕方ないな、ちょっとだけだぞ」  
「うん…」  
微かな笑みを浮かべ、富永が首を伸ばして工藤の唇に自らの唇を近づける。  
そして、お互いの唇が重なった。  
 
柔らかい唇の感触。  
温かい舌同士の絡み合い。  
「んちゅっ…あふっ…」  
唾液と唾液の交わる音が淫靡さをさらに醸し出す。  
工藤と富永はお互いの身体を抱きしめ合いながら濃厚なキスを交わしていく。  
そして。  
 
「あ、駄目っ…我慢、出来ないっ」  
工藤の身体を離し、自らのスカートを押さえながら。  
「やだっ、工藤…見ちゃ、嫌っ…」  
言葉とは裏腹にこれから起こる痴態を工藤に見えるように彼の目の前でへたり込む富永。  
「と、富永?」  
「駄目、駄目ぇ…」  
じょっ、じょろっ、じょろろっ!  
手で押さえていたスカートの生地があっという間に濃く染まっていく。  
「あ、あああっ…!」  
檸檬色の液体が湛えていた泉から一気に放出される快感と恋人に見られる恥辱が合わさった表情を浮かべながら失禁してしまう富永。  
スカートを一気に汚し、さらに足元に広がる尿液が工藤の近くまで広がる。  
「富永…」  
「はぁっ…。工藤、私…こんなになっちゃった」  
下半身をぐしょぐしょに濡らして恍惚の表情を浮かべる富永はさらに言葉を続ける。  
「おもらしして、びしょびしょに濡れた私を襲って欲しいの…お願い」  
そしてその状態から工藤の顔を見つめ、両手を広げて哀願する富永を見て、彼の理性が保てる訳が無かった。  
 
「富永っ!」  
「きゃっ!」  
そのまま工藤に押し倒され、唇を奪われる彼女。  
そして首筋をキスされ、さらには服の上から胸を触られ、濡れたスカートの上から秘所を愛撫される。  
「あはっ、あんっ!」  
軽く触れられただけなのに富永の口からは淫らな声が出てしまう。  
「お前を…無茶苦茶にして、いいか?」  
「うんっ、私を襲って!そして壊れるほど犯して!」  
その言葉の後に抱きしめあいながら再び激しいキスを交わす。  
 
みか先生もまた、北川の膝の上に抱きかかえられる形になりながら耳元で囁かれていた。  
「みか先生…キス、しちゃいましょうか」  
「ええっ!駄目だよ、みんな見てるよ…」  
顔を真っ赤にさせながらみか先生が彼女の言葉を否定する。  
「でも、富永と工藤もキスしちゃってますよ?」  
「嘘…。本当だ…、駄目だよ…富永さん、工藤君…」  
北川に抱きしめられながらも必死で抵抗するみか先生だったが、富永たちの痴態を見た瞬間にその力が緩まり、間髪入れず北川が彼女の唇を奪う。  
「んっ…んふぅ」  
同時にみか先生の胸を揉み、太ももを撫でながらぴくぴくと反応する彼女を愛撫する。  
そして微かに残っていた抵抗もその両手を捕まれ、成す術も無く北川のキスを受け入れていた。  
「ん、んんっ、んんんっ!」  
そんな蕩けるようなキスにみか先生も我慢していた事を忘れていたのだろうか。  
不意に穿いているスカートの中が温かいもので広がり、それはあっという間に外に溢れ出てしまう。  
(みか先生、我慢できなかったみたいね…。私も、出しちゃおうっと…)  
漏らしてしまった恥ずかしさからか、目に涙を浮かべるみか先生に対して北川は優しく微笑みながらキスを続け、  
両手を腕から背中に回す格好となりながらも自らの身体を震わせる。  
 
(北川…さん…)  
みか先生のお尻の部分がまた別の温かさに包まれる。  
そう、北川もまた己の我慢していた泉を放っていたのだ。  
お互い優しくも淫靡なキスを交わしながら、下半身は泉を決壊させて尿蜜で汚していく。  
みか先生の薄桃色のロングスカートも北川の制服のプリーツスカートも。  
今ではそれらは濃い染みが出来ており、所々に元の色が模様となって残るのみ。  
 
「…ぷはっ」  
全てを放った後で、お互いの顔を見つめる。  
「北川さんの意地悪…。27にもなっておもらししちゃうなんて恥ずかしいよ〜」  
恥ずかしそうに俯くみか先生の髪の毛を撫でながら北川が微笑む。  
「そんな事無いですよ?私も、気持ちよくてしちゃいましたし…」  
お互いの凄惨な状況をちらりと見ながら、表情は全く崩さない彼女。  
「…北川、さん」  
「何ですか?」  
みか先生の消え入りそうな声に反応する北川。  
この状態から彼女が発する次の言葉が容易に想像できるのは、やはり恋人同士、といったところか。  
「こんなに気持ちいいのは久しぶり、だし…」  
「襲って欲しいんですね?」  
北川のダイレクトな言葉に少し詰まりながらも、小さく頷くみか先生。  
「いいですよ。あっちもすごい事になってますし、私達もしちゃいましょうか」  
工藤と富永の愛し合いを目でちらり、と追いながらそのまま倒れこむ2人。  
 
「ああんっ!工藤…またイッちゃうっ!」  
「まだ指で軽く触ってるだけなのに、すごく感度がいいんだな」  
「工藤だから…工藤だからこうなっちゃうの、あああっ!」  
まだ工藤の男性自身を入れられていないのに、これで何度目の絶頂だろうか。  
ぴくぴくと身体を震わせ、秘所から蜜が溢れる。  
「可愛い奴…でもな」  
顔を上気させ、快感に浸る富永の前で彼はおもむろに自らのズボンを脱ぎ始める。  
 
「俺も、もう我慢できないんだ」  
トランクスを脱ぎ取り、現れた彼の男性自身。  
それは大きくそそり立ち、先端からは透明な液体が滴り落ちる位になっていた。  
富永の視界に入ったそれを見て、彼女の身体がまた反応する。  
「お願い…私に入れて、その大きいので、私を犯して…」  
彼女が工藤に対して懇願する。  
「ああ、勿論だ…。だが、その前に」  
不敵な笑みを浮かべる工藤を見つめながら、頭上の影に気付く。  
 
「小林…」  
富永はその人影をじっと見つめる。  
「気持ち良さそうな富永を見てたら、もう我慢できないの…」  
スカートの裾を上げ、脱がれた下着から露になった部分が彼女の視線を釘付けにする。  
そこから滴り落ちる愛液もそのままに小林は彼女をじっと見つめる。  
「私も、一緒に壊れていい?」  
小林の言葉に、先ほどまで為すがままの富永の表情が少し妖しく歪む。  
「いいわよ…。意識が飛ぶほど壊してあげる」  
そう言うと、彼女は四つん這いになりながら工藤に自らのお尻を向ける。  
 
「工藤…思いっきり、突いて」  
その言葉に、工藤は濡れたスカートを少しめくり上げ、熱くぬるぬるになっている秘所に自らのいきり立った一物をゆっくり宛がう。  
「ふぁ…」  
背中を少し反らし、きゅっと締まった蜜壷の中に工藤のそれを受け入れる。  
「流石に、きついな…」  
そう言いながらも工藤の男性自身が根元まで入っていくと同時に、富永が一際大きい喘ぎ声を出す。  
「あ、あああっ!」  
どうやら挿入されただけでまた絶頂に達したらしい。  
支えていた両腕が地面に落ち、身体が何度も震える。  
「はぁ、はぁ…。また、イッちゃった…」  
それでも目の前で両足を広げて富永の愛撫を今かと今かと待っている小林の姿を見て、ふらつきながらもスカートの中に顔を近づける。  
蒸れた女性の香りを堪能しながら自らの舌で敏感な部分をちろちろと舐める。  
「あ、ああっ!」  
淫らな声を上げる小林に反応したのか、富永の蜜壷がきゅっ、と締まる。  
そして富永の愛液が潤滑油となって、ぐちゅっ、という音を立てながら工藤の腰が滑らかに動いていく。  
 
「ふ、うぁん…」  
彼女も彼の一物で身体の中を満たされながら、自らの淫靡な声を隠そうともしない状態。  
と同時に、小林の花弁を舌で愛撫し、さらに空いた右手の人差し指で彼女の秘所を上下に動かす。  
「ああっ、気持ちいいよぉ…」  
小林の身体がぴくぴくと反応する。  
富永の指の動きに合わせて彼女も腰をゆっくり動かし、さらに秘所からとろとろの蜜が自身のでん部まで流れ、スカートの生地にぽつぽつと染みを作っていく。  
「小林のあそこ、ピンク色でびしょびしょで…。気持ちいい?」  
スカートから顔を出し、喘ぎながら虚空を見つめる小林に声を掛ける。  
もちろん指は休む事無く彼女の秘所を攻め続けているが。  
「うんっ…!富永の手がっ、すごく気持ちよくて…油断したら漏らしちゃいそ、うっ!」  
きゅっと締まる小林の秘所、それを無理矢理こじ開けて彼女の弱い部分を愛撫していく。  
「あんっ!私も…後ろから、突かれて、気持ち、いい、のっ!」  
富永も工藤の腰の動きに敏感に反応し、その度に甘い声色が半開きになった口から漏れる。  
「工藤の、――が大きくて、んんっ!感じちゃ、うっ!」  
途切れ途切れになる程に快感を得ているのだろう。  
富永の顔はまさに淫らな『女』の顔、彼女の身体は工藤のそれに反応して秘所から蜜が溢れ出し、スカートの縁を通って床にぽたぽたと滴り落ちる。  
そして小林の秘所からも富永の愛撫で噴き出す蜜が富永の手や制服の裾を濡らしていく。  
「ああんっ、あああんっ!」  
淫らな声を止める事もせず、小林は何度も自らの腰を激しく動かし、その甘美な感覚を貪る。  
 
「富永ぁ…。ずっと我慢してたけど、私ももう、漏れちゃうよぉ…」  
「いいわよ…私に、かけて」  
小林の限界を自分の身体で受け止める準備をしている富永の姿を見つめ、彼女は自分の絶頂感が一気に高まっていくのが分かった。  
「富永…俺も、限界だ。どこに、かけて欲しい?」  
工藤もまた、2人の淫らな姿に限界寸前であった。  
「私に、かけてっ!工藤のもので、私を汚してっ!」  
その言葉に彼の腰はぱちゅぱちゅと音を立てて彼女を突いていく。  
「富永っ、ごめんっ!もう…で、出ちゃうっ!」  
「俺も、だ、め、だっ…くっ!」  
2人の声が同時に富永の耳に入ってくる。  
そして、工藤は己の一物を引き抜き彼女のスカートに、ブレザーの背中に、その黒髪に。  
 
びゅくっ!びゅるっ!  
音を立てながら、どろどろとした濃い白濁液が彼女の背中からお尻にかけて一面に広がり、彼女の制服を汚していく。  
それと同時に、小林の秘所からも。  
ぷしゅっ!  
噴き出た尿蜜が自らの下半身だけでなく、富永の顔にも掛かる。  
「あ、あああっ…!出てる、いっぱい出てるよぉ…」  
はぁはぁ、と荒い息をつきながら小林は自らの失禁を止めようともしない。  
広がる尿液が富永の胸にまで到達し、彼女の着ている制服は自分と小林の尿蜜、工藤の精液で凄惨極まりない状態になっていた。  
しかし、そんな自分の汚れた姿に彼女もまた絶頂を感じていたのだった。  
「工藤の、精液…小林の、おしっこが…ああ、イッちゃうっ!」  
彼女はスカートの上から手を押さえながら再び自分の秘所から噴き出す蜜を受け止め、そのまま床に崩れ落ちる。  
残っていた尿蜜を自らの意志で放ち、スカートの周りに水溜りを作っていく。  
「ああ、あああっ…!」  
工藤と小林はその場で崩れ落ちながら、富永はうつ伏せに身体を寝かせながら快楽の余韻に浸るのであった。  
 
「先生、どうですか…」  
「うん、北川さんの大事な部分がとても熱くて…変になっちゃう」  
北川とみか先生もまた、お互いの大事な部分をくっつけ合わせて腰を激しく動かしていた。  
ぐちゅっ!ぶちゅっ!  
激しい水音が2人の耳の中に入り、その度に甘い声を上げる彼女たち。  
「北川さん、私、溶けちゃいそうっ!」  
何度も北川にキスを求めるみか先生。  
 
「んんっ…!」  
お互いの唇から唾液の糸がつっ、と伸びる。  
「先生には、もっと気持ちよくなってもらいますね…」  
北川は彼女の服を捲り上げ、愛撫の際に外した下着を除け、露になった乳房の中心を自分の舌で吸う。  
「ああんっ!おっぱいが、気持ちいいのっ!」  
ちゅうちゅうと音を立てながらぷくっと膨れ、立った乳首を吸い、舐め、そして甘噛みする。  
「だ、駄目っ!そんなに激しくしたら、いっちゃうっ!」  
秘所と乳首の2ヶ所を攻められ、みか先生の身体も限界に近づいていた。  
「いいですよ…一緒に、一緒にいきましょ?」  
北川の手と腰の動きが一段と激しくなる。  
濡れたスカート同士が絡み合い、腰の部分までお互いの蜜と尿液で汚れているにも拘らず、むしろそれが快楽の一種に変換されている2人。  
そして、みか先生の身体が徐々に弓なりに反っていく。  
「だめ、いっちゃう、いっちゃうっ!」  
その言葉と同時に全身を引きつらせ、声にならない声を上げるみか先生。  
「あ、あああーっ!!」  
北川もそんな彼女の様子を見つめながら対象的に静かに、ぴくんぴくんと一度二度、と大きく身体を震わせ、富永の様にこちらも自分の意志で、泉に残っていた温かい液体を放つ。  
「ふぁ…ああっ…」  
お互いの身体を抱きしめ合いながら、そしてどちらが求めるでもなく、その唇を絡めながら。  
2人は全身を駆け巡る快感に身を委ね、お互いの愛を再確認するのであった。  
 
 
「もう…激しすぎてまだ身体がふらふらしてる」  
事が終わり、これまた女性陣が準備していた替えの制服に着替えた富永がベッドに腰掛けている工藤の傍に寄る。  
「大丈夫か?…まぁ、あれだけ激しくしたらそうなるか」  
「…心配してくれてありがと」  
ちょっと顔を赤くしながら、それでも感謝の言葉を述べる富永。  
「何だ、珍しいな。お前の口からそんな殊勝な言葉が出るなんて」  
「それどういう意味よ、まるで私がいつも憎まれ口叩いてるみたいじゃない」  
富永の言葉に工藤は柔和な笑みを浮かべ、その髪の毛を優しく撫でる。  
「もうっ、はぐらかして!」  
少し憮然としながらもその肩に自らの身体を預け、彼の体温を感じながら余韻に浸る富永であった。  
 
そんな2人を遠くから見つめる北川たち。  
ちなみにみか先生は彼女らの手によって寝かしつけられている。  
「ちょっとはお互い、素直になったかしら?」  
「かもね〜。何だかんだ言っても、妬けちゃうくらいお似合いのカップルだもんね〜」  
北川の言葉にまるで母親のような慈愛溢れる視線を送る小林。  
「…小林はそれでいいの?」  
そんな彼女に向けて北川が一言、声を掛ける。  
彼女の言葉に小林は一瞬表情を暗く落としたが、すぐに明るくいつもの表情に戻る。  
「いいのよ、私は。あの2人が幸せになってくれればそれでいい。それが私にとっても嬉しい事だもの」  
「小林…」  
何故かそんな彼女を見てると切なくなって。  
北川は彼女の身体を後ろからそっと抱きしめる。  
「き、北川?」  
最初は驚いていた小林だったが、その意図が分かったのか、そっと彼女の手を握りながら目を伏して、北川の気持ちを受け止めていた。  
(心配してくれてありがとう、北川…)  
小林は肩を寄せ合う工藤と富永を見つめながら、自らの色々な思いを反芻するのであった。  
 
 

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