「ちょ...なんか今日ハードじゃない!?」  
「久しぶりだから...腰が言う事聞かなくてさ」  
 
こいつと交わるのは一週間ぶりだ。  
と言っても、二人きりになれなかったんじゃなく、  
時間やチャンスはいくらでもあった。  
 
受け入れてやろうと思えば出来たんだけど...私はそうはしなかった。  
 
「んぁっ!あううっ!」  
「そういうお前だって...締め付け凄いぞ」  
「ばっ...はっ!くふっ...締め付けとか言うな...ふああぁっ!」  
 
こいつも猿じゃないし、私の心をふみにじってまで求めるやつじゃない。  
二人で話す時間はあったけど...でもこういうことにならなかったのは  
こいつの妹が言うほど、この男がデリカシーをわきまえないバカじゃないからだ。  
 
「はぁっ!く...うあっ!あっ...んあああっ!」  
「お、おい、声大きいって!外に漏れるよ?」  
「腰...振りながら...言う台詞...か...あっ!ひゃあぁっ!」  
 
じゃあバカは誰なんだって言ったら、それはきっと私のほうだ。  
きっと...じゃない、誰でもない私がバカなんだ。  
 
「やば...い...き、できな...はっ!はぁくっ!」  
 
放課後、誰もいなくなった保健室に誘いこんで私から足開いて...。  
 
「俺だって...苦し...くぅっ」  
 
...最低にバカなのは私。普段、こいつの事をさんざん変態扱いしてるくせに。  
その変態をベッドに...それも学校のベッドに連れ込む私をバカ以外に何て言ったらいい?  
こんな欲求不満の最低女にかける言葉なんて、私自身にも思いつかないわ。  
 
「お、俺...もう...ヤバい...かも」「私はとっくにヤバいわよっ...あっ...ああっ!あがっ...ふああっ!」  
 
...本当に...最低。  
 
「くっ、はっ...月子...月子っ!」  
 
こんな時だけ名前で呼びやがって...  
 
変態女とか最低女って罵られたほうがどれだけマシか。  
どれだけ救われるか。こいつはきっとわかってない。  
 
「さくっ...眞一...眞一ぃっ!!」  
 
...高校の時...親友の好きな相手を寝取ったって  
私がさんざん嫌がらせされた事だって、きっと知りやしない。  
 
「眞一っ...わた...し!もうっ!もうぅっ!」  
「一緒にな、一緒に...月子っ!」  
 
なんにも知らないでノーテンキに私の名前を呼んで...  
 
なんにも知らないくせに私の事をなんでも知ってるような顔して...  
 
「月子っ!月...子っ...」  
「んあああぁぁぁっ!イクっ...イッちゃうぅぅぅっ!!」  
 
私のわがまま、なんでも聞いてくれて...  
こうやって優しく包み込んでくれて...  
 
「月子ぉっ!」  
「しん...い...ち...あっ...あああああああああっ!!」  
 
...ますます自分がイヤになる...ますますこいつに溺れてく...  
 
「...好きだよ、月子」  
 
こいつに溺れる自分がイヤだから...  
イヤでイヤでたまらなくて...だから...  
 
「な、泣いてるのか?」  
「あったり前でしょ...あんた、激しすぎんのよ。腰が壊れるかと思ったじゃない」  
 
...私は絶対「好き」なんて言ってやらないんだ。  
 

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